48.怪良の頭脳
編入生、怪良……
(一条院 宗雪視点)
「……俺様、夢でも見てんのか?」
季節外れの編入生としてやって来たのは、人間に化けた怪良だった。
……なんて、現実離れしてるにも程があるだろ!
しかも、怪良の名前は割と美乱雑技団の動画とかに上がってる訳で……
ーざわざわ……
「おい、怪良って美乱御前の部下の名前じゃ……」
「そういえば、見た目も何処と無く……ってか、肌の色と服装以外同じ様な……」
「え、それじゃあマジで……」
……とまあ、周囲がざわつき始めた。
しかも、それとは別に……
「これ、アタイ達にも勉強で勝ち目あるっすよ!」
「も、萌音もそう思うのだ!」
点数悲惨組もまた、面倒臭い事を考え始めてやがったし……
「あ~もう、収集つかねぇぞ……」
そう思った直後だった。
「……そこまででござる。……確かに、彼女は美乱御前配下の妖、怪良でござるが……ぶっちゃけ、下手に刺激したら美乱御前が来るでござるから、出来る限り普通の人間と同じ様に接して欲しいでござる!」
「「「は、はい……」」」
す、凄ぇ……
原作ゲームでは四美院 蘭子と並んで終盤で加入する最強キャラだった筈の杏美先生が、ここまで弱気な発言してるとか……
いかに美乱御前がやべぇ奴なのか……って、これ前も思ったよな?
……とはいえ、これでこの場は静かに……
「怪良、この際だから点数で勝負するっす!」
「するのだ!」
ならなかった!
点数悲惨組、何で諦めてねぇんだ!
……というか、夏芽はもっと俺様の婚約者としての自覚を持ってくれ!
「アタイは知ってるっす!……編入するには、それ相応の試験があるって事を!」
「そうでござるね。……今回は時期もピッタリだったでござるから、中間試験で出した5教科の問題をそのまま解いて貰ったでござる」
「まあ、午後から夜までかかったケラけどね!」
5教科……つまり、国語、数学、理科、社会、英語の問題か。
これが期末試験だったら9教科だったのか?
「……で、どうだったんすか!?」
「それは……丁度、今日はその5教科の授業でござるし、その時にでも確認すると良いでござる」
「……それじゃあ、楽しみに待ってるっすよ!……あ、それともう1つ。……負けた側は、勝った側の願いを何でも1つだけ聞くってどうすか?」
「あ、それ良いのだ!」
……この2人、別に性格は悪くねぇし寧ろ良い方だから、相手が嫌がる事はしねぇだろう。
だが、いったい何をするつも……
「それで、もしお前達が勝ったら何を私に要求するケラか?」
「え?……そんなの、私と萌音主催の勉強会を開くだけっす!」
「勉強は、他人に教える事でも効果を発揮するって何かで見たのだ!……でも、私達より賢い相手に教えても虚しいだけなのだ!」
「……お前等な……」
訂正……悪気がねぇ分、尚更質が悪かった。
「……これ、私は挑発されてるケラか?」
「いや、2人に悪意はないでござる。……だからこそ、余計にアレでござるが……まあ、追い詰められてるんでござるよ」
「た、大変なんケラね……」
怪良、最早憐れみの視線すら送り始めたぞ……
夏芽も萌音も、何か追い詰められておかしくなってねぇか?
「……まあ、この後どうなるかだが……」
そうして俺様は、この先の展開を心配した。
そして1時限目、国語の授業……
「アタイは100点満点中の56点っす!」
「萌音は60点だったのだ!」
……相変わらず、誇れる点数じゃねぇな……
だが、沙耶花や空助に勉強を教えて貰ったお陰で以前よりは点数が上がっている。
さて、対する怪良の点数は……
「私は92点だったケラね」
「何でっすか!?」
「何でなのだ!?」
……え、マジかよ……
てっきり、俺様としては夏芽や萌音と同じ位かと思ってたんだが……
「ま、日頃から美乱御前様に色々と教えて貰ってたケラからね。……この程度は余裕ケラ!」
ちなみに、俺様の点数は85点……
いや、下手しなくても俺様より上じゃねぇか!
だが、これは始まりでしかなかった。
2時限目、社会の授業……
「アタイは100点満点中の59点っす!」
「萌音は64点なのだ!」
「私は90点ケラ!」
3時限目、数学の授業……
「アタイは100点満点中の52点っす!」
「萌音は58点なのだ!」
「私は93点ケラ!」
4時限目、理科の授業……
「あ、アタイは100点満点中の56点っす!」
「萌音は62点なのだ!」
「私は94点ケラ!」
5時限目、英語の授業……
「アタイは100点満点中の49点っす……」
「萌音は52点なのだ……」
「私は社会と同じ90点ケラ!」
……うん、間違いなく夏芽と萌音の点数は上がってんだが……怪良の点数がどれも俺様すら越えてるのが何とも言えねぇ……
「ちなみに、僕は国語95点、社会94点、数学96点、理科98点、英語94点でした」
「ちなみに、私はオール100点でございました」
「……ま、負けたケラ……」
……な、何なんだよ……この天才やら秀才やらの領域に居る3人は……
ってか、怪良はこんなに賢いのに普段は馬鹿っぽいのはどうなってんだよ……
「……本当に、僕としては普段の怪良の言動と点数が一致してなくて驚いているんですが……」
「あ~……昔から知識で問題を解くのは得意なんケラが、それを戦闘や普段の生活に活かすのは苦手なんケラよね~」
「な、なるほど……」
……あれ?
これ、まさか三官女で1番やべえのは怪良ってオチじゃねぇか?
それこそ、その知識を戦闘や普段の生活で活かせる様になったりした時には……最早、誰も手を付けられなくなっちまうぞ……
「じゃ、そういう訳で私のお願いを……ちゃんと出来る範囲で叶えて貰うケラ!」
「あ、そこの分別はあるんすね……」
「よ、良かったのだ……」
こうして、俺様は怪良の秘めたる潜在能力を見せつけられ、より一層警戒心を上げる事になったのだった。
だが……彼女を味方……とは行かずとも、せめて友好的な関係にさえなれれば……とも葛藤してしまったのは俺様の駄目な癖だな……
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(俯瞰視点)
とある家屋の屋根にて……
「……あたし、松夜さん……メレリー、電話相手は決めた?」
「……あたし、メレリーさん……ううん、まだ……」
不気味な西洋人形と市松人形が、何やら不穏な会話をしていた。
「……あたし、松夜さん……秋楽様から命じられた電話相手候補は7人……その中から、電話相手を決めないといけない……」
「……あたし、メレリーさん……あたしはパス……松夜が決めて……」
「……あたし、松夜さん……だったら、あの沙耶花って女の子が良い……あの子の黒髪、あたし欲しい……」
「……あたし、メレリーさん……うん、決まり……」
メレリーと松夜……数日前に秋楽が放った人形が、ようやく行動を始めた。
そして、その標的は沙耶花だった。
「……あたし、松夜さん……早く、電話かけよう……」
「……あたし、メレリーさん……いや、周りから人が居なくなるのを待つべき……じゃないと目的も果たせないまま、あたし達が死にかねない……」
「……あたし、松夜さん……それもそうだね……」
「……あたし、メレリーさん……あたし達は弱い……だから、比較的弱者を狙う……」
秋楽からの刺客たる彼女?達は、そうして標的の隙を狙い始めた。
報復の使命を果たすための鉄砲玉として……
ご読了ありがとうございます。
メレリーと松夜、その実力はいかに……
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