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HELLO MORNING  作者: 懐中車
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第四章  策【前】

更新が少し遅れてしまいました。

いつもどおり、グロ描写が苦手な方はご遠慮ください。

では、本編へGO!↓

日が落ちる時間。空に君臨していた王が墜ち、紫色に似た色が空を埋め尽くす頃。

少し心がざわつく。

それに合わせるかのように、体は落ち着きを無くしていく。

足は貧乏ゆすりを始め、手は常に動かしていないと気がすまなくなり、とうとう体が家の周りをうろうろする有様と化す。

待ち望んでいる「その時」が来るのを、体や心が急かしているのかもしれない

それとは逆に、この時間は、とても静かだ。

秋の夜長にふさわしい静けさを、俺の家にもたらしてくれる。

俺は、この時間も好きだ。



日が昇る時間。草花が活気付き、雀が電柱でさえずる頃。

俺はいつも人一倍早起きだ。布団から疾風のように飛び起き、私服に着替えて、洗面所へ向かう。

顔を洗顔フォームで洗い流し、タオルで顔をまんべんなく拭く。

そうして、窓を開ける。


窓を開けると、太陽が地平線の向こうからわずかに顔を出しているのがわかった。

そしてその太陽が放つ光は、俺の部屋へと一直線まで伸びてゆき、最終的には俺の部屋は華やかな山吹色に染まる。

染まってゆく過程を見ていると、心がとても清清しくなってゆくのを、俺は心と体で感じていた。


他人との劣等感。

世間からの俺を殺すかのごとく鋭い視線。

自己嫌悪。


これらを全て、その清清しい空気が忘却の彼方へ消し去ってくれる。


だから、俺は朝が好きなのだ。

後もうひとつ理由はあるのだけれど、それはまたの機会にしよう。



それにしても、こうして思うと、自分が実に弱く、愚直で、無様で、臆病で、卑怯で、常に保険として逃げ道を作っている自分が浮き出てくる。


こんな理由では、まるで、自分が楽な気持ちになりたいがために、朝が好きだといっているのかのように聞こえるだろう。


そのとおりである。自分は、きっとこんな生活から、こんなつらい現実から逃げるために、朝の世界へ逃げ込んだのだ。


高校を辞め、バイトと転々として、そして今では無職となってしまった。

昔稼いだ駄賃のようなはした金で生活する毎日。

スーパーへ行けばそのだらしない生活ぶりに世間からは容赦のない言葉の暴力。

現実で待っているのは、いつもこんな障害ばかり。

世の中で成功した奴などを見れば、たちまち殺気が湧いてくる。


しかし、先ほども言ったとおり、朝になってしまえば、そんなつらいことなど、何もかも忘れていられるのである。

自分にとって、清清しい朝は、ドラッグのような中毒性のある薬物の代わりとなってしまっているのだ。


実に情けない。実に滑稽。


自分のまいた種に恐れて、何かにすがって生きていく自分。

何がに頼って生きなければ、自分を見失ってしまう者。

それが俺なのだ。

それが俺、天城義人なのだ。



だから、今のこんな状況も、寝て、朝になれば全てなくなってしまっている。

きっときれいな気持ちで、朝を迎えられると思った。











結論


現実は非情である。






「う゛っ・・・・!!」



ベッドで寝ていた俺の腹部に、何か大きな、そしてかなりの重みを携えたものが大きく振り落とされた。

その衝撃で、ベッドは揺れ、俺の脳内を漂っていた睡眠波は見事きれいに消滅し、残ったのは俺の腹部の痛みだけであった。

その重みの正体は、小さな少年だった。

「ねぇ!聞きたいことがあるんだけど!」

その少年は、俺の腹部の上に載りながら、大きく口を開け、元気いっぱいに俺に質問をした。

それを見上げている俺としてはその光景は迫力があり、俺は少々気圧されていた。


その少年の舌は、根っこからちぎれて無くなっていた。






































事は、先日へと遡る。

























「宗吾!こいつ役に立つのかよ!」

茶髪の男が俺を指差して、宗吾へと詰め寄った。

宗吾は俺のほうへ近づいてくるなり、俺の肩に手を置いた。


「そんじょそこらの奴をほいほいメンバーに入れても仕方ないだろう?」


無気力な表情で、宗吾は茶髪の男にアンサーを返した。

しかし、茶髪の男はいまいち理解ができていないようだった。


「ど・・・どういうことだ?」


宗吾の足にしがみついていた少女がやや挑発気味な態度を茶髪の男に見せた。


「凛平、最近ここに来る奴らは殆どが自殺者なのよ?生き返る気がない奴らを仲間にしてどうすんのよ。なんなの?考えることを考えることもできないの?」


この少女、相手が20歳前後、自分は13歳程度の年齢だというのに、この度胸はどこの誰の受け売りなのだろうか。一切引けをとっていない。


もし自分なら、こんな肝の据わった行動は無理だろう。


「んだとぉ蘭!てめぇが一番下の癖に威張ってんじゃねーよ!」


「黙りなさいよ口裂け男!ろくな死に方してないくせに!」



どうやらこの二人の相性はとてもいいとはいえないようだ。

それにしても、ここにはいろんな傷を負った人たちがいる。

たとえばあの大漢、左腕を丸々義腕だ。

いったい何をどうしたらあのようになってしまうのだろうか・・・・




「なんだ。俺の腕がそんなに変か。」


急に男の顔がドアップになる


「うわっ!?」


俺はいきなり視界が男の顔でいっぱいになったことに驚いて、思わず腰を抜かして仰向けに倒れてしまった。まるでマンションの時みたいで、デジャヴを感じた。

それにしても、吃驚ビックリした・・・・・・


腕に気をとられて、男が近づいてきたことに全く気がつかなかった。

まさに油断大敵。これからこういうところを直していかねば。


「なさけねぇなあ・・・これじゃ、凛平の奴が頼りないと思うのも、わかる気がするぜ・・・・」


自分でも、なんてざまだ。なんて思ったりした。

一日で2回もしりもちをつく男など、早々いない。

心がまだ据わってないんだろうか。俺は周囲を見渡しながらビクビクしていた。



「ま、これから同じメンバーだ。俺は厳望。よろしく」


「は、はい。よろしくお願いします。」


「おいおい、敬語なんて使うな。ため口でいいんだよ」


表情も体もがちがちの俺の肩を、厳望はその大きな右腕でバシンとたたいた。

たたかれたとき、昔感じていた、懐かしい感じがした。



大きな大漢、厳望は、俺に向かって輝かしいばかりの笑顔を送った。

人のよさそうな、優しい目つき。

腕をなくしていても、それを気にする様子はなく、俺に気さくに話しかけてくれた。

ようやく、安心できる人物と出会えた気がした。


安心したので、厳望に、俺が一番気になっていることを質問してみることにした。





「えと、質問、いいかな?」


「ああ、なんでも聞くといい。」



「えと、メンバーって・・・・なんのことなのかなって・・・」


厳望は急に大声を上げた。



「おいおい!?宗吾から何も聞いてないのか!?・・・・おい宗吾!」



厳望は宗吾に呼びかけた。が、宗吾はそれに反応しない。



「てめぇその義足誰が作ったんだと思ってんだ!?あぁ!?」


「誰が作ろうと関係ないでしょ!うるさいのよ、この口裂け!」


「こんの糞餓鬼・・・・ッ!!!!!!」


「うるさい。鼓膜が痛くなる。少し黙れお前たち」



相性最悪の二人の仲裁になっている宗吾は、その二人の言葉のドッヂボールゆえ、厳望の声が聞き取れなかったらしい。



厳望があきれた顔で3人を見つめる。




「すまんな、あいつら何かあるとすぐこうなるんだ。」


厳望はそういうと、俺を事務室の机の椅子に座らせ、

残りのメンバーを俺の前に連れてきた。


厳望は、その一人ひとりを俺に紹介した。






「紹介しよう。この鼻の無い女が、笠葉だ」


「厳望、「はな」の無い女だなんて、女性に対して失礼な言動よぉ?」


「すまん。言葉のあやだ。んで、こっちの包帯少女が瑞葉だ。」


「厳望、カサねぇは「はな」の無い女なんかじゃないよ」


「わかったわかった。次に、こっちのモヒカンがミドだ。少々言動に問題があるが、気にしないでくれ」


「ゲンボー!ゲンボー!ゲンドウってなんだ!?面白いもんか!?」


「・・・・んで、こっちの小さいのが、正春。皆からはチビって言われてるな。」


「この人が、新しい人?なんかひょろいよ?」


「そういうな。そして、こっちの暗い奴が、睦月だ。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「いや、何か言いなさいよ睦月」





こうしてみてみると、本当にいろんな人たちがいる。


鼻がない女性、目が見えない少女、喉に穴が開いてる男、舌をなくした男の子、耳が無い根暗な人。


皆、何かしら無くして、ここにいる。




俺は、自分もこの人たちと同じなんだと思うと、とても悔しく感じた。

何かをなくした自分がいるのを、許せなかった。

俺は、小さく唇をかんだ。








「・・・・・・・で、メンバーについてだな・・・・笠葉、説明してくれ」


「嫌よ、私、説明苦手だもの。貴方が説明すればいいでしょう?」


「何だよ・・・俺も説明なんて難しくてできねぇよ・・・・」





説明が難しいという、厳望や、笠葉の性格に、俺は親近感を感じた。

実を言うと、俺も説明が苦手な人間である。

教えてくれといわれても、自分はそれを感覚で覚えているので、どう言葉にしたらいいのかがわからない。

それがいわゆる、説明下手という奴なのだろう。





「僕が・・・・説明するよ・・・・」



たしか、この人は睦月、だっけ・・・

髪は肩まで伸びていて、髪の間から見える目が、俺はとても怖く感じた。

どこかその目は、不気味さを持ち合わせていた。

睦月は、小さな声で話し始めた・・・・・・・・・・・・









「まず、ここはどこかわかるよね・・・」



「えっと、地獄、だよね・・・・」




「そう。で、ここは何をする場所・・・・?」




「・・・・罪人を裁く場所?」




「正解。で、ここの管理者は誰かな・・・?」





淡々と話す睦月に、俺はただ会話の流れに流されるだけであった。





「え、閻魔大王・・・なんちゃって・・・・」




「正解。」



マジか、適当に答えたのに。ほんとに閻魔なんているんだなぁ・・・・・

そう思ってる間に、睦月は次の質問に移っていた。





「閻魔は罪人に裁きを下す・・・・これはわかるよね・・・」



「う、うん」



「正確に言えば、ここは正式な地獄じゃない」



ん?正式な地獄じゃ・・・・ない?

どういうことだろう・・・・・・





「本来の地獄は、閻魔の元にある。ここは、地獄が罪人であふれかえらないように作られた仮地獄。」



仮地獄・・・・?





「罪人たちは、ここで処刑までの日々を過ごす。処刑は、君が思ってる類の、かまゆでだとか、そんなちゃちな元だとは思わないほうがいい。」




「・・・・・・・・・・・・・・」




次第に、俺は言葉をなくしていった。

笠葉が、タバコをくわえて退屈そうにしているのが見えた。




「そして、罪人たちの処刑の日。ここと、本来の地獄がつながる日。その日だけ、海が真っ黒に染まる。」




睦月の口調は、次第に淡々と話すだけでなく、その言葉ひとつひとつに重みを持つようになっていた。

唖然として話を聞いている俺を尻目に、睦月は会話を続ける。






「その門が開いたら最後。仮地獄にいる全ての罪人は、その海に吸い込まれ、ゲームオーバー・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・」


「けれど、その門が開くとき、ある場所に歪が生じる。」






他のメンバー達が会話を挟む。



「そこは、へその穴といわれているの。」



「僕たちは、3ヶ月後、処刑の日までに、そのへその穴へたどり着かなきゃならないんだ!」



「そうすれば、晴れて生き返れるってわけだ。」



「けど、そこにたどり着くまでには、門番たちの、そして閻魔の目を潜り抜けてかなきゃならないの」



「閻魔死ね!死ね!死ね!」



「これが、俺達の計画。



俺達はこんな、



空が緑色じゃなくて、あの清清しかった青空を、清清しい朝を迎えるために。



自分が犯した罪を、もう一度、生きて償うために。



この脱出計画を立てたんだ。題して・・・」






























モーニング・コール








それが、彼らの立てた最後の希望の旗だった。

自分の罪に後悔し、生きて償うことを選んだ罪人達の最後の賭け。

それがこのプランというわけだった。






その日は仲裁を終えた宗吾の計らいによって、いったん全員で睡眠をとることにした。

時間は、いつのまにか真夜中を回っていた。といっても、ここじゃ太陽は沈まないし、空は緑だし、雲は相変わらず真っ黒。

鳥は縦横無尽に飛び回るし、とてもこれじゃ時間なんてわかるはずが無かった。










与えられたベッドの中で、俺は考えた。



今もし生き返っても、周りからはどう思われる・・・?



なぜ生きてるんだとか、そんな屈辱の言葉を浴びせられるだけなんじゃないのか?


なぜ、そうまでして。なぜここまでのリスクを負ってまで、生き返る必要がある?


俺は自分が嫌いじゃなかったのか?


いっそこれはチャンスじゃないか。嫌いな自分から抜け出すチャンスじゃないのか?


いや、まだだ。まだ人々に、ここに天城義人がいたということを証明できていない。


ただ死んで、それで誰からも忘れ去られていくなんて末路はごめんだ。





・・・・・・・待てよ?それこそ何の意味がある?


存在を証明できても、結局俺は自分が嫌いなわけで、また自己嫌悪の海に飲まれるだけじゃないのか・・・・?





けど、なぜこうも無理に生き返ろうとしている?


厳望は言った。生きて罪を償いたい。そのためにこのプランを立てたと。






なら、俺は、償うために、生き返るのか・・・?





それとも、ただだらしなく、楽な人生を生きたいだけなのか・・・・・?


















そして、今。


「君!どうやって死んだの!?ねぇねぇ!」


元気いっぱいに死因を聞かれても、こちらとしては回答に困るだけなのだが・・・・

仕方なく俺は、重たい体を起こして少年をベッドからおろし、ベッドの横側にたった少年に、背中の死傷を見せた。


「なんで死んだのかはわからないけど・・・とりあえずこの傷だけでも見せておくよ」

今の俺の背中の詳細を、宗吾から聞いたら、次のように話した。


・背中の肉は剥がれ落ち、その生々しい赤色をした人肉をさらしている。

・その肉が剥がれ落ちた跡からは、無数のヒビが入った背骨が背中の肉からこんにちはしている。

・まだビクビクと動いている。きもい。


最後のは単なる宗吾の悪口だが、俺の背中は今とんでもない状態になってしまっているのだ。

少年は俺の背中を、舐め回すようにじろじろと見続けた。

正直、こんな背中をじろじろと見られて、心の涙が止まらない。


「へぇ!昨日はあんまり見られなかったけど、こんなえぐいことになってたんだね!」


嘗め回すかのごとくじっくり背中を見られて、さらにえぐいとも言われれば、俺のガラスのハートを破壊するのに十分すぎる威力だった。







外と見てみた。

何も変わっていない。相変わらずカラフルな世界だ。

だが、もし、昨日のプランのことが本当なら、こんな景色からおさらばできる。


そうだ、俺は、こんな景色はもううんざりだ。


あの空の澄んだ青色が見たい。

翼を自由に広げて旅立つ鳥達を見たい。

あの真っ白な雲を見上げたい。




そうだ。こんな気持ちの悪い景色から、抜け出すために、俺は生き返るんだ。




そう、自分に言い聞かせた。



今は、そう思うことにしよう。



答えを見つける、そのときまで。

















宗吾が俺を見つめている。

一足早く起きていたようだ。




「あ!宗吾おはよう!」


「ああ、おはよう」



正春・・・チビの元気な挨拶に、宗吾は無気力な声で答えた。




しかし、それとは逆に、目つきは今まで見たことも無いような鋭い眼光を放っていた。

まるで、何かを決心したかのような。

あれは、覚悟の目だ




「義人、全員を起こせ。プランの説明をする。」



「あ、ああ・・・・・」




俺は、そのときの宗吾の目に、恐怖のようなものを感じた気がした。










to be countinued・・・・・・










更新が遅れて申し訳ありませんでした。

最近忙しくて、プロットが間に合いません。助けてください。

ホントに猫の手も借りたいってこういうことを言うんですね・・・・


これから更新ペースを元に戻して生きたいと思います。

では、ごきげんよう。

PS;BUMP・・・新曲待ってたんだぞ・・・・

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