第三章 遭
WARNING!WARNING!
この小説には、グロテスク描写が含まれております。
そのような反PTA物質が苦手な方は、ご注意ください。
では、本編へ、GO!↓
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「天城さん!?聞こえますか!?天城さん!」
「よっちゃん!?よっちゃん!!」
平日の午後の病院。
本来なら何事も無い、うるさい場所が嫌いな人にとっては絶好のくつろぎエリアと化すはずの病院内。
そんな定理をぶち壊し、ガラガラと大きな音を立てて、病院の中を一台の担架が駆け抜ける。
急患のようだ。
何名かの医師が患者に呼びかけを、2人が担架をもち、そのうちの、20代前半の容姿をした女性は、涙を流しながら必死に患者の男性に呼びかけている。
どうやら患者の恋人らしかった。それもかなりの美人である
その騒ぎようといったら、町工場の騒音のごとくだ。
うとうとしながら院内を散歩していた老婆が、その急な騒音にびっくりして杖を落とした。
そんな老婆には一筋の視線もくれずに、担架はある場所へと向かっていた。
そのある場所の扉の前で、女性は入室を禁じられた。
「おねがいです!中に入れさせてください!」
必死に訴える女性。しかしその願いは常識という壁に押しつぶされる。
「駄目です!一般の方は入室を禁じられていますから!ここで待っていてください!」
「そんな・・・・・」
嘆く女性をよそに、医師たちはある場所へと担架を運び、踏み入れていった。
ある場所へと駆け込んだ数名の医師らは、運び込んだ患者を台に乗せ、ある担当医の到着を待つ間に、ある作業を行う準備をしだした。
彼らは皆汗をかいていた。
「応急処置!急げ!」
「消毒したか!?してないなら別の奴もってこい!」
「執刀医はまだか!?」
「竹原先生がこちらに向かってくれています!」
その場にいた全員が深緑色の作業着をまとい、それと同じ色のゴム手袋を装着した。
ある医師が患者にチューブを繋ごうとした時。
「おぅ、おっ、おぐうっ、おう゛え゛あ゛え゛え゛・・・・・」
その中でも若い男性が、突如その場で嘔吐を始めた。
理由は、患者の状態にある。
患者の容態は脳震盪。全身骨折、出血多量、全身打撲と、全身傷だらけ状態であった。
この患者、マンションから落ちたらしい。背中から落ちたのだろうか、背中に全身打撲の傷がよく目立つ。頭から落ちなかっただけましなのだが、骨髄の裂傷がひどかった。背中の傷口から、ヒビの入った骨が確認できた。出血多量も、その背中の傷口からがほとんどであった。
別の医師が叫ぶ
「お前!初めてか!」
「は・・・・はい゛・・・・おうぅおおおおろ・・・・・!」
「お前はこっちに来ないでメスの用意をしてろ!」
と、若い男を一括したとたん
バタンッ
「患者の容態は!?」
突如初老の白髪の生えた短髪の男が、その場所へと入り込んできた。
「竹原先生!」
「容態は、脳震盪。全身骨折、出血多量、全身打撲!主に背筋部の損傷が酷く、肉は取れ、むき出しになった背骨に巨大なヒビが入っています!」
「さらに出血も酷いです!主な出血場所はさきほど申した背筋部!それに全身打撲による出血も多量!流れ出た血液の量が500ccを越えています!」
若い男を一括した医師が、竹原先生と呼ばれた初老の男に、患者の容態を伝える。
竹原はすぐさま作業着に着替え、メスを手に取り、患者の台の横に立ち、医師たちに伝えた。
「これより、天城義人の手術を行う」
医師たちが気合を入れて作業に取り組んでいる一方。
扉の外で、患者の恋人の女性は、静かにその手術の成功を祈っていた。
硬く手を胸の前で握り締め、今にも席を立ちそうに全身をこわばらせて、呻くような声で、声を押し殺して言った。
「よっちゃん・・・・死なないでぇ・・・・・!」
その悲痛な美女の叫びは、果たして天に届いたのだろうか。
その美女の願いを、果たして神は聞き入れたのだろうか・・・・・・
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「何を呆けている。早くついて来い」
初老の死人が俺にすばやい行動を促す。俺は言われたとおりに、足をできるだけすばやく動かして、死人に追いつき、再び死人の隣を歩き出した。
俺はふと、死人の顔を覗き込んだ。
その表情は無骨で、笑う姿が想像できないほどだ。
右目を蝕んでいる洞窟は、一定のリズムでヒクヒクと動いている。
残った左目は、死んだ動物のような目をしていて、視線は空に浮いていた。
正直・・・・
正直・・・・・・・・・・
「きもっ・・・・・・」
「何か言ったか?」
「いや・・・・・・・・」
率直な感想だ。悪いことはしてない。と思う。
「十分悪いことだ。率直な感想と称すれば悪口が美化されると思うなよ。」
「何読んでんだよ・・・・・」
「後俺にも名前はある。藤林宗吾だ。65歳だ」
「そんなこと細かく聞いてねぇよ・・・・」
死人の個人情報なんざ知りたくなかったよ。
あの後俺は、初老の死人、もとい藤林宗吾に、
「ついて来い。お前に、チャンスをやろう」
といわれ、マンションを降りて、宗吾に言われるがままに、道路のど真ん中を歩き出した。
歩くたびに、異様な光景が視界に飛び込んでくるのにもうなれてしまった俺は、次は空を見上げた。
緑の空に、黒い雲。うむ。俺が知っている昼下がりとは天地ほどの差だ。
俺が知っている雲は、こんな黒ではない。俺が見上げて空は、こんな禍々しい緑色をしていなかった。
こいつの言ったことがまだ信じられない俺は、改めて聞いてみることにした。
違う答えが返ってくるという、淡い希望を信じて。
「もう一回、言ってくれないか。」
「・・・・・・」
藤林宗吾は、無骨なその表情を一切変えない。
それは、答えが同じってことなのか。
いや、きっと違う。別の答えが返ってくる・・・・・・
「ここは、どこだ」
「地獄だ。死んだ悪人が来るところだ。詰まるところ。お前は死んだんだよ」
即答だった
マジで・・・ここは地獄なのか・・・この俺が、死んだだと!?
「嘘だろ・・・・・ありえねぇ・・・糞ッ!」
俺は地面を蹴った。悔しさを地面にぶつけた。
俺が死んだなんて、今でも信じられない。けど・・・・・
さっきのみぞおちの痛みが、夢でないことを証明している。
痛みはまだ続いていて、嫌というほど現実を誇張してくる。
この光景が、ここが以前俺がいたところとは違うということを知らせている。
もう一度上を見上げると、緑色の空を、片翼の翼で飛んでいるカラスが見えた。
いつ死んだのか。どう死んだのか。全くわからない。
今わかることは、俺の人生はここで終わりってことだ。
「畜生・・・畜生・・・ッ!」
涙がこぼれてくる。
そりゃそうだ。いつの間にか人生が終わってたんだから。
まだやりたいことがあったのに。やらなきゃいけないことが。
あれをしないと。俺は、鉋に嫌われてしまうかもしれない。
そんなの嫌だ。せっかく。会えたのに。まだ。あれを。あれを。
まだ・・・・・・
マダシタイヲショブンシテナイノニ
「俺は言わなかったか?」
「・・・・?」
宗吾と俺の視線がぶつかる
「チャンスをやる。お前に、もう一度人生を送るチャンスをやろう」
つれてこられた場所は、病院だった。
しかし、その外見はとても人を治療する場所のようには見えなかった。
病院の色が真っ黒と真っ白で半分こなのだ。
左側が真っ黒。右側が真っ白。
そして、左側からは、異常な悪臭が。
右側からは、ほのかにミルクのにおいがした。
何の意味があってこんな色なのだろう。
何の意味があってこんなにおいがするのだろうか。
いや、意味なんて無いのだろうな。ここは地獄。悪人を裁くところなんだから。
宗吾につれられて、真ん中の玄関の白い所から病院に入ると、中の廊下も真っ二つに色分けされていた。宗吾は、黒いところには絶対入らずに、右側の白い通路だけを進んだ。俺もそれについていった。
黒いほうの通路側をちらりと見ると。
見覚えのある顔が俺とすれ違った
けど、見ないこととにした。
宗吾につれてこられて、ある部屋の前まで来た。
「入れ」
宗吾が入室を促す。
その部屋には、「事務室」と書かれた看板が立てかけられていた。
俺は言われるがままにその部屋に入った。
すると、中には複数の人間がいた。
「うっわまた腕取れたよ俺・・・・」
「ガムテープあるわよ」
「うっ・・・うっ・・・ねぇ・・・誰か僕のベロしらない・・・?」
「うヒヒヒヒいひゃひゃへいぇはははははっひゃひゃはひいいいひひいああ!」
「ミド!そろそろその目玉返しなさい!それは宗吾のよ!」
「夜が来ない・・・夜が来ない・・・夜夜夜夜夜夜夜・・・あ゛ぁ゛ぁ゛・・・!!!!」
「うっせぇよおまえ!ちったぁおとなしくしろ薄暗野郎!」
「あんたがうっさいのよ!本が読めないでしょ!」
「お前目なんか無いだろ!」
「点字よ!見てわかんないの!?」
撤回しよう。
人間だった人達だ。
宗吾が茶髪の若い男の片に手をのせる。
若い男は宗吾に気づくと、振り返って宗吾に
「・・・あ!宗吾!てめぇどこいってたんだよ!!」
と言葉をぶつけた。
「すまない。予想以上にてまど」
「てめぇがいなかったせいでこいつら自由奔放に動きやがるんだ!なんとかしてくれ!後ミドの奴がお前の目玉で遊んでるぞ!いいのかあれ!?それと蘭の奴が宗吾宗吾うっさいんだよ!耳障りだからあれ何とかしやがれ!!後なぁ!」
さしずめ言葉のマシンガンである。
「ふんっ」
ボゴァッ
「うぐぇっ!?」
宗吾が俺のときにも食らわせたみぞおちへの一撃を男に食らわせて黙らせた後、宗吾は俺をその場にいる全員の視界に移るように前に押し出した。
「お、おい!お前何を・・・」
全員が俺を見る。
さっきの男が俺に突っかかってくる。
「ああ?んだてめぇ・・・・・」
「い、いや、あの・・・・・・・・」
それにしても、口が耳元まで裂けている。
たぶん、死因は口が裂けて、だろう。
それにしても、口がここまで裂けるとは、いったい何をどうしたっていうんだ・・・・?
「・・・・・・・・んだよ、死んだ割には大して外傷ねーじゃん。」
なんで汚してない理由というだけでがっかりされればならないんだ。
「後ろを見てみろ」
宗吾が俺の後ろを指差す。
俺の後ろ?
「うっわ・・・エグッ。肉取れてて背骨ポッキリ逝ってんじゃん。お前ほどじゃないけど結構深いな」
・・・・・は?
「お、おい!背中、俺の背中どうなってんだよ!おい!!」
落ち着けといわれても無理だろう。自分の背中が逝ってるといわれて騒がない奴などいない。
しかも肉が取れててだと?恐ろしいぐらいの重症じゃないか!!
「落ち着け。その年で死んだんだからなんらかの外傷で死んだのは明らかだろう。それにここは地獄だ。そんなに気にすることでもないだろう?」
「気にするんだよ!!」
俺の心からの叫びだ。
俺がやんややんや背中のことで騒いでいると、後ろから、しかも一番かかわりたくないような奴に目をつけられた。
「ね、ね、君、誰??誰???」
緑のモヒカンの頭をしていて、目は恐ろしくにごっている。
歯をカタカタ鳴らしながら、俺をじっと見つめている。
先ほどミドと呼ばれていた奴だ。
おそらく頭が緑だからミドなのだろう。
そいつは、首のど真ん中に大きな傷を、腹部に大きな穴を開けていた。
「き、君、全部ある。全部ある!」
「は?ぜ、全部?」
こいつの状態からすると・・・・内臓のことか・・・?
「くれ!それ全部!俺にくれ!」
「は?や、やだよ!何で内臓なんか上げなきゃならないんだ!それに今俺、背中が・・・」
ドゴォッ
メキッ
宗吾の正拳突きをみぞおちに食らった俺。
宗吾のかかと落としを首に食らったミド
手負いの老人に活を入れられてもだえている俺とミドは、男としてとても情けなく。
旗から見ると間抜けで滑稽な光景であった。
死んだというのに、なぜこんなに痛みを感じてしまうんだ。
ここは地獄なんだろ。理不尽じゃないか・・・・・・
となりで女3人が一緒になって笑っていた。
畜生。
女に笑われたのは鉋以外で初めてだ・・・・・・・
宗吾が部屋の中央に立って全員に伝える。
「いいか。後3日だ。後3日で閻魔の奴が来る。」
「まだ人生に悔いがある奴。まだ人生を楽しみたい奴、まだやりたいことがある奴は、この計画を聞け」
腕をなくした丸刈りの大漢の男が言う。
「聞き飽きたぜ宗吾。そんな前振りはいいから、とっとと内容を練ろうぜ」
鼻をなくした20代前後の黒髪短髪女が言う。
「あせっては駄目よ。焦りは冷静さを欠けさせるもの」
目に包帯を巻いた黒髪長髪少女が言う
「カサねぇの言うとおりだよ。しくじったら、二度とチャンスは無い」
口が裂けた茶髪の男が言う
「いいから、不安がらせるなよ。モチベーション下がるぜ」
首に傷を、腹が無い緑の頭のモヒカン男が叫ぶ
「生き返る!生き返る!俺達生き返る!」
髪をだらしなく伸ばし、耳が無い少年がつぶやく
「生き返ったら・・・また・・・・夜が来る・・・・・・」
宗吾にぴったりと引っ付いている、足が無い短髪の少女が言う
「ミド!うっさい!生き返るのは当たり前でしょ!」
舌を失った、まだ10歳にも満たないような少年が宗吾にすがりつく
「ねぇ宗吾、この人誰ぇ?新しい人?」
右目がなく、右わき腹が無く、右足が無く、先ほどつけた義足で補っている初老の老人が言う
「そうだ。俺達は生き返る。地獄の抜け道を探すんだ。閻魔に見つかる前に。」
「人手はそろった。さぁ、おいかけっこの準備だ」
急に、カビくさいにおいが漂ってきた。どうやらこの部屋のベッドの匂いのようだ。
あの朝を思い出した。
また、あの愛しい朝を迎えるのは、かなり先になりそうだ。
そう思った。
今思ったけど懐中時計見つかったら俺懐中車じゃないんじゃ(ry
ということで、第3章です。
最近ゆめにっきと歪みの国のアリスというゲームをやりましてね。
どちらもホラーなのですが、なかなか手が込んでて面白かったです。
特に後者はお勧めですので、ぜひプレイしてみてくださいね。
本編の文中でこうしたほうがいいんじゃね?みたいなものがありましたら、評価欄にてご報告させていただければ幸いです。
後内容についての質問も受け付けております。(てか・・・読者いるのかこの小せt(ry)
更新ペースは、週土日になりそうです。
では、次回の懐中車に、チョークスリーパー!(?




