↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無敵のガーデナー 〜花を美少女に変える魔法でハーレム作ります【悲報】煩悩が消えて美少女たちは変態で俺は魔王と呼ばれています〜  作者: 余儀ノ理人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/42

㉘ミノタウロスを倒そう

 不気味なニチコの笑顔に怖気づいたのか、ミノタウロスは凄まじい勢いで俺に突進し、丸太棒を大きく振りかぶった。

 あまりの速度と恐怖で、思考する余裕などなかった。


「まって……!」

 逃れる間もなく、丸太棒が俺の体に直撃した。

 轟音とともに洞窟の床が砕け散り、俺は盛大に地面へと叩きつけられて土煙がもうもうと上がった。


「ハナ兄さんっ──!!」

 エミリーが両手で顔を覆い、本気で涙を浮かべながら絶叫した。

 泣いてくれるな妹よ、俺のことを忘れないでいてくれ……って。

「……あれ? なにこれ全然痛くない。もしかしてこいつ雑魚なんじゃね?」

 俺が首をかしげていると、すぐ背後から別の意味でヤバい声が飛んできた。


「主様。わたしより先に殴られるなんてズルいです。さぁ牛さん。私も殴りなさい」

 ニチコが目をハート型に輝かせ、うっとりとした表情でミノタウロスの前にトコトコと歩み寄っていく。


 そんなニチコをよそに、プータスがぶつぶつと呟いていた。

「なるほど、なるほど、あの上腕二頭筋には魔力筋が含まれているのか。そしてあの角……よく見ると角ではないな、頭髪か? それにしても、あの大胸筋の発達具合はどういう理屈だ? このダンジョンになにかトレーニングルームのような施設でも?」

「よーし、じゃあ私も下痢魔法を使ってみるね」

「ちょっとみんな一旦落ち着け」

「ハナ兄さん! 本当に怪我はないんですか!? あんな大木で正面から叩き潰されたんですよ! 頭を強く打って感覚が麻痺しているんじゃ……あっ、頭がおかしいのは元からでした!」

「おい妹よ、心配してくれるのは嬉しいがどさくさに紛れて酷いことを言うな。本当に痛くも痒くもなかったんだよ」

 自分の胸や肩をペタペタと触ってみるが、骨が折れているどころか擦り傷一つ見当たらない。


「さぁ牛よ。かかってきなさいっ」

 ニチコは皆を守るように両手を広げた。あまりにも無防備な姿だったが、逆にミノタウロスは怯んでる。


「さあさあ牛さんよ、遠慮はいりません。その太くて逞しい腕で、私をメチャクチャに蹂躙してください」

「ブ、ブモォォォォッ!!」

 目の前のちっぽけな少女に完全に舐められていると察したのか、ミノタウロスが怒りの咆哮を上げた。鼻から白く荒い息を噴き出し、血管の浮き出た丸太のような剛腕を振り上げる。

 そして、先ほど俺を殴り飛ばした時以上の凄まじい膂力で、ニチコの華奢な脳天めがけて丸太棒を振り下ろした。


 ズガァァァァンッ!!


 洞窟全体が揺れるほどの轟音が響き渡る。

 だが、砕け散ったのはニチコではなく、ミノタウロスが振るった巨大な丸太棒の方だった。木っ端微塵になった木片がパラパラと降り注ぐ中、ニチコは微動だにせず、ただ恍惚とした表情で赤い吐息を漏らしていた。


「はぁっ……素晴らしい重量感だ。でも、まだまだ足りませんよ。武器が壊れたなら、その自慢の拳と角で私をもっと苛めてくださいな」

「ブ、ブモ……?」


 全力の一撃を無傷で受け止められたどころか、熱い眼差しでさらなる暴力を要求され、ミノタウロスが明確にドン引きして一歩後ずさった。魔物すら恐怖させるドMってなんだよ。


「ニチコちゃんばっかり楽しそうでズルいー。私も混ぜてよ」

 鼻をつまんでいたシーラが、諦めたように手を下ろして前に進み出た。

 ふわり、と彼女の周囲から淡い紫色の妖艶な香気が立ち昇る。洞窟の淀んだ空気を塗り替えるように、甘く濃厚なシクラメンの香りがミノタウロスへと絡みついていった。


「不潔な牛さんには触りたくないけど、私の香りなら離れてても届くもんね。ほら、精一杯吸い込んで、お腹の中からスッキリしちゃいなさい」

「ブモッ!? ブモ、モォォ……ッ!?」

 紫の香気を吸い込んだ瞬間、ミノタウロスの巨体がビクリと跳ねた。

 次の瞬間、獰猛だった牛頭の魔物が、両手で自身の分厚い腹を押さえてその場にうずくまったではないか。脂汗をダラダラと流し、内股でガクガクと震えながら、苦悶のうめき声を上げている。


「す、すげえ……魔物にもシーラの下痢魔法が効いてるぞ!」

「当然でしょ。生き物である以上、私の毒素からは逃れられないわ。……あれ? なんか自白作用の方も効いちゃってるみたいだけど」

「モォォ……(本当は戦いたくないのに……新入りのゴブリンどもにカッコいいところを見せようと張り切っただけなのに……お腹痛い、ママァ……)」

 なんだ? プータスの魔法で頭の回転が早くなっているせいか? ミノタウロスの悲痛な心の声が聞こえている気がするぞ。


「ふむ。筋繊維の収縮パターンと、魔力回路の伝達速度の計測は完了した」

 パタン、と空中で見えない本を閉じるような仕草をして、プータスが一歩前に出た。

 その小さな手が、自身の頭にちょこんと乗ったトゲトゲの球状髪飾り──プラタナスの果実を模した塊へと伸ばされる。


「ニチコが足止めし、シーラが内臓機能を麻痺させてデバフをかけた。ならば、最後は我が綺麗に処理してやろう。この個体の魔力核(コア)は、その異常発達した大胸筋の裏側に位置しているな」

「プータス、まさかイガグリ爆弾を使う気か? 洞窟が崩れたりしないだろうな!?」

「我の演算を誰だと思っている。指向性を持たせた魔力爆破ゆえ、周囲の岩盤には一ミリの干渉もせぬよ」


 プータスは冷徹に言い放つと、手にしたイガグリのような球体を、腹を押さえて悶絶するミノタウロスの胸元へと軽く放り投げた。

 ポトリ、とミノタウロスの分厚い胸板に当たった球体が、次の瞬間、眩い翠緑の光を放つ。


「散れ」

 プータスの短い号令とともに、耳をつんざくような爆音が炸裂した。

 ドォォォォンッ!! という衝撃波がミノタウロスの巨体だけをピンポイントで捉え、周囲の壁を傷つけることなく、その筋肉質な肉体を天井近くまで豪快に吹き飛ばした。

 ドサァッ、と地面に落下したミノタウロスは、白目を剥いて完全に気絶し、やがてダンジョンの魔力粒子となって黒い霧のようにシュウシュウと消滅していった。跡には、キラキラと光る魔石が一つだけ転がっている。


「…………」

 静まり返った通路で、エミリーが口をあんぐりと開けたまま固まっていた。


「あ、あの……精鋭騎士団が小隊を組んでようやく討伐できるはずのミノタウロスが、たった数分で、しかもこんな意味不明な連携で消滅したんですけど……」

「見たかエミリー。これが俺が丹精込めて手入れした我が家の花たちの実力だ!」

「主様、あの牛さん全然物足りなかったです。次はもっと暴力的でしつこい魔物をお願いします」

「私はもう少し清潔な相手がいいなー」

「ふむ、魔石の純度はそこそこだな。サンプルとして回収しておこう」

 三者三様にマイペースな感想を口にする美少女たちを見て、俺は大きく胸を張った。

 これならいける。アビスダンジョンなど恐るるに足らずだ。この調子で一気に最深部まで駆け抜け、幻の『紅花山玉蘭』をこの目に焼き付けてやる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。