ダッセぇ
元首都圏中枢部。
今そこは黒木とその部下が管理していた。正しく補正された道路を車両がいく。人の行き交う交差点で、信号機が青く光る。それは、場をわきまえない愉快さで、鳥の様に鳴いた。
高層ビルの屋上で部下達が言う。
「黒木さん、例の集落をまとめた少年がこちらに向かっています」
「い、今のうちに迎撃しますか?」
「……通せ。あれは、お前達の手に余る」
黒木は、ガラス越しに国を見下ろす。
無表情な人々が、今日を歩いている。
……
とある研究所。
「局長、バイタルサインどんどん低下していきます」
「ええい、なんとしても生かせ!! ようやく見つけた時には瀕死とはな……」
異常対策本部、局長は頭を抱えた。
残された数少ない知恵の集団。その誰もが絶望の中を走っていた。
「局長、少し休んでください。メタラーの領土争いは一応の区切りを迎えたのですから」
副局長の言葉に局長が怒鳴る。
「それがヤバいんだがな!! アイツら、無法のままに集団になりやがった。核兵器や核融合炉がゴロゴロ転がっているこの世界でだぞっ!!」
局長が大きく息を吐く。
「すまない……だが、今は無理だ。馬鹿げているだろう? 地球環境を治せるだの、テラフォーミングができる様な……そんな絵空事の様な英雄を探すしかないなんて」
副局長は苦笑する。
「局長の無茶苦茶はいつもの事ではないですか。それに、今回は私も同意します。もし、そんな『情報』を持っている可能性があるのは……情報屋『世道虚』しかいない」
彼らは諦めない。
諦めたら……そこで地球滅亡だから。
(なんだ? 俺、生きて?)
蘇生装置の中、吐き出された泡が昇っていく。
(生きてんのかよ……ダッセぇ……)




