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森川天星の善行

  天星は目を覚ますと枯葉や細枝で覆われていた。

  身体は傷だらけなのに、不思議だ。力が漲り、まるで別物だ。


「……おじさん?」


 その声に返事はない。

 何かがあったはずだけど、分からない。ただ、世道虚にはもう会えない予感がした。


 天星の悪魔の証明は、まだ解けていない。


……


「おじさんの言った事は、悔しいけど……」


 実際、その通りになった。


 あの日以来、できることが増えた。

 助けられる人も距離も増えて、感謝の声が増えた。気づけば30メタルと、多分おじさんの……それが今の、僕の力だ。


……


「すまなかった。ワシは君を低く見ていた」


 集落を収めていた狩人の老人が深く頭を下げる。


「いえ……そんな」


 大袈裟だと首を振る天星を豊かな集落の女性が笑う。


「謙遜のしすぎっていうのは、嫌味になるわよ?」


「あっ……ほんとに、そんなんじゃなくて……」


「いやぁ、すごい事だよ。君は1人で、僕ら3人の集落を1つにしてしまったんだから」


 統治に優れた青年がそう言い、天星は作り笑顔を浮かべた。


「ええ、でも……最後の集落がありますから」


……


 音のない村、その頭上に巨大な人。

 少女は今日も怯えていた。時々、賑やかな2人の影を思い出した時だけ……頬が緩んだ。

 いつも飢えている。集落の近くでは、もう食べ物がない。女子供が外に出ないのは、危ないからだ。

 そんな集落に今日、空に話しかける様に大きな、聞き覚えのある声が響いた。


「僕は、君と話しをしにきた!!」


……


「あ……おめ、誰だ?」


 巨人がぼそりと呟いた声が、鼓膜を揺らす。


「……」


 天星の肩が震えた。

 それでも、目は逸らさない。


「君は、何がしたいの?」


 その言葉に、巨人が空を見上げる。


「あ? オラは……おっさんを探してるだ」


「……おっさん?」


 巨人の言葉は要領を得ない騒音の様だった。

 天星はそれを辛抱強く聞き分けて解釈していく。友達と呼ばれる人。いなくなった人。豪華なもてなしに、『唯一のお友だち』という、言葉。


「なんとなく分かった。けど、1つ分からないんだ」


「あ? なんだ?」


 首を傾げる巨人に、なんの打算もなく問う。


「なんで、友達は『唯一』じゃないといけないんだ?」


「……え? それはおっさんが……」


 天星は頭を掻いた。

 想像で人を悪くいうのは、良くない。だから過去はいい。今、彼のために叫ぶ。


「友達は多い方が楽しいよ。きっとみんな、君と友達になれる!!」


 巨人はしばらく、考え込んだ後……ぼそりと呟いた。


「ああ、そっかぁ……」


……


 全ての歯車が噛み合った。

 ルールが決まり、麦が植えられ、干し肉が陽に香る。巨人は食う以上に働いた。その光景を見た少女は、小さく、ありがとうと言

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