第一章42 『マイのスキル10』
2発目の銃声が聞こえた。
相変わらずノールさんは探知に引っかからないので、無事かわからない。
「さて、ここからは二手に別れよう」
「そうですわね」
二手に分かれて助けに行くとしたら、
「とても、大変、大変不本意だけど。シャルはユウの方行って」
「そんなに嫌ならばマイが行けば良いじゃないですの?」
本当なら僕が行きたいよ。
……でも、
「もっと切実な理由が……」
「なる…‥ほど。確かに私の技量じゃノールさんの場所は分からないわ」
「僕の技量でもギリギリわかるか……」
「そういうことなら、早く行動に移したほうがいいわね。じゃあ、健闘を祈るわ」
シャルはまだ続いてる身体強化魔法の効果を使って、ユウの方に走っていく。
僕は目をつぶって、探知魔法に集中。
「探知魔法」
この森全体の情報が一気に頭の中に流れ込んで来た。
「うぅ。こっから見つけるとかめんどくさすぎる」
ノールさんを見つけるコツは空気よりも魔力濃度が低くなっているところを探すことだ。
魔力が無さすぎることによって、逆に少し違和感が出るという。それを見つけなければならない。今回はそんなに広い範囲では無かったので、30秒ほどで見つかった。
「生きてるは生きてるな」
浮遊魔法で飛びながらノールさんのところまで行く。
「ノールさん。倒した?」
「倒しましたよ。今日は犬鍋ですね」
「そうだね」
ノールさんの横には獣が転がっていた。傷は見つからないが、よくみると首から血を流していた。
「じゃあ、ユウたちと合流しにいくよ。ユウももう倒せたみたいだから」
「探知魔法ですか?」
「そう。ノールさん見つけんの結構大変だったんだからね」
ここからユウと合流し、もう一度ユリオスに挑む。
前に、
「ノールさん。ちょっと忘れたことあるので、付き合ってもらって良いですか?」
「ああ。いいよ。忘れたことって?」
「えっとね。あれ。自分を襲ってきたやつ、まだ結界の中に閉じ込めてるだけなんだよね。だからそれを倒すっていうだけ」
ノールさんが戦っていたところと近かったので、すぐに着きそうだ。
「ノールさん森の中走るの慣れてるね」
ノールさんは森の中の木や石などをうまく使って、飛んでいる僕にもついてこれている。
「まあ、職業柄ですよね」
「確かにそうか」
結界に着いたので、その結界を解く。
探知魔法で獣の場所はわかっている。ここからもかなり近い。
「あ。いますね」
「目視⁉︎」
「そりゃあ。スキルもありますけど、職業柄こういうのも狩りの効率に関わるので」
やっぱり、ノールさんが本職をやっているところを見ていると驚かされることが多い。
「じゃあ、倒してくる」
「一人で大丈夫なんですか?」
「倒し方はもうわかったから大丈夫だよ」
身体強化魔法はもう切れてしまっている。
「探知魔法」
それを唱えると同時に、地面を蹴る。
ちょうど良い機会だから、魔法で出す大きな剣も試してみようか。
「試してみるなら、派手にやりたいよな。大剣」
大きな剣が現れて、柄の部分を握る。ただ大きいだけで、実際にこんなものを鉄で作っても使えるような人はいないだろう。
「でもこっちは、大賢者様だからね」
振りかぶった剣を振り下げる。
ものすごい爆音と共に地が割れた。
「うわ。すっごい威力」
獣には掠ったが、避けられてしまって致命傷は負わせられていない。
振り下げた剣を、次は横に薙いでみる。
見える範囲の木が全て倒れ、獣も真っ二つになったようだ。
「すごい威力ですね」
「想像以上だよ」
「シャルか。マイじゃないのね」
「嫌そうにいうんじゃないわよ!せっかくきてあげたのですから」
「ごめんごめん。マイはあれでしょ、ノールさんの回収」
私は倒す道筋は思いついているが、まだ倒せていない。
「回収っていう言葉に少し語弊を感じるけど、ニュアンス的にはあってますわ。それで、あなたはこの獣を倒せるんですの?」
「倒せる倒せる。ちょっと遊んでたからできてなかったけど」
普通に歩いて獣に近づいてみる。
「お手」
「ふざけてますわよね⁉︎」
犬にお手をさせようとすると、シャルに怒られてしまった。
「マイもやったと思うけど」
「マイはちゃんと戦ってましたわよ!あんたもそろそろちゃんと戦いなさい」
「はーい」
やるか。と思った瞬間にものすごい地響きと、揺れに襲われた。
「な、なんですの?」
「マイじゃん」
「なんであなたはそんなにすぐ断言できますの?」
そして、次は何か大量のものが倒れる音がした。
「派手にやってるな。実験でもしてんのかな」
「はいはい。呑気なこと言ってないで早く倒してほしいですわ」
「はーい」
体勢を低くして、剣を下に向ける。
雷系魔法を纏わせた剣で、一気に切り裂く。
そんために、もっと引き寄せてから。
魔法なら長距離もできるが、それはさっき魔法を打ってみて確信した。無理だ。避けられると。
だからこの獣が油断したり、無理な体勢になったところで攻撃に移るのが最善だろう。
「こい」
獣は右の前足をあげて、爪で切り裂きにきた。
右足が上がっている状態。チャンスだ。
「雷系魔法。迅雷」
右足の隙間から懐にまで入り込んで、そこから剣を沿わせる。
骨に当たったところはスピードと筋力で無理やり。
剣に纏わせた雷は全て獣の体に流れ込んでいき、体が何かに殴られたのように震えた。
「これは取ったな」
返り血でベタベタなのが不快だが、思った通りの倒し方。
「お手できなかったのは悔しいけど」
「……まだ言ってますの?」
「褒めてくれてもいんだけど」
「すごいですわ。っていうのは置いといて、あの二人ももう少しできますわね」
それからすぐにマイとノールさんはやってきた。
「終わってるみたいだね」
「終わった終わった。マイ、水魔法」
「あー。分かった。水系魔法」
上からどんどん水が流れてくる。返り血は全て流せたみたいだ。
すっきりしたが、水を含んでしまって重い。
「風系魔法」
自分が飛んでいくのではないかというくらいの暴風で、服や鎧が乾かされる。
よし。
「じゃあ、もう一度ユリオス討伐と行こうか」
「面白かった!」
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