第一章43 『マイのスキル11』
「じゃあ、定型分言わせてもらうぞ」
ユリオスはそう前置きしてから言った。
「どうぞ。暴爆」
「結界。どうぞって言っておきながら、不意打ち狙ってくんじゃねぇ」
ちょっとした戯れなので、言わせてやるか。
「この剣を再び使う時がくるとはな。お前らで2回目だよ」
「ちなみに1回目は?」
「魔王様との喧嘩の時だ」
「シュークリムでも食べられた?」
「いや、食った」
シャルがしょうもない上に、なんで当たってるのか不思議でしかありませんわ。と呟いているの無視して話を進める。
「あの時は魔王様も完全にからだができあがってなかったから、実力は同じだった」
「筋トレ?」
「違うわ!言っとくけど、魔王様はもっと強いからな。俺も老いぼれたから今じゃすぐにやられるだろうよ。ちなみにあの時の喧嘩は、魔王城が半壊した」
魔王城が半壊するというのは、並ならぬ力同士がぶつかり合ったのだろう。それじゃあ今の日でないことも納得だ。
「どう解決したの?」
「俺も魔王様も案外グルメでな。いきなり龍が現れたんだ。それを狩るために一致団結。そんな感じだ。狩ることはできなかったが。魔王城立て直しは俺がやらされたけどな」
「まさか、あの龍が魔王城を半壊させたって伝えられてるけど……ただの喧嘩だった?」
「龍というとあのノールさんが追ってる?」
「そうです」
なんかものすごくしょうもない話を聞かされている気がする。
「そうだな。あれはただの喧嘩だった」
話もこんなところで終わりだろうか?
「ああ。そうだ。最後に1つ」
「なに?暴爆」
「結界。もうそのくだり1回やったわ!」
「はいはい。で?」
話の続きを促す。
「あの犬たちはどうなった?」
「それは安心してください。俺が調理してしっかり食べるんで」
「お前も結構ためらいというものがないな」
まあ、ノールさんは肉があればというか、食材があれば料理に走るからね。
「その事なんだが、1人の美食家として、お勧めしない」
「は?」
なに言ってんだいきなり。頭狂ったか?ユリオス。
「そのまんまだ。あの肉は不味すぎるから、すすめない」
「はぁ?」
「食べたいというんだったら、今から食べる時間をやるが……どうする?」
「ふつうさ、そこまで言われてでも食べる人はいないと思うけど?」
「同感」
「右に同じですわ」
食べるとしたらの忠告だけか。
ユリオスが剣を構えた。自分たちの背丈よりも大きい。
あの犬など、一瞬で真っ二つにすることができるだろう。自分も同じように真っ二つにしたのは置いておいて。
「身体強化魔法」
四人全員にかける。後のことより、今無事に切り抜ける方が大切だ。
銃を。剣を。双剣を。杖を。
それぞれが構えて、相手の出所を探る。
「雷系魔法。迅速」
最初に動いたのはユウだった。身体強化魔法と雷魔法系の技で、圧倒的に速度は上がっている。
「風系魔法」
「炎系魔法」
ユリオスが魔法を放つが、それがユウの進行方向の邪魔にならないように結界を張る。
「結界」
ユリオスは剣も使って、ユウを近づけないようにしている。
僕もユリオスに接近する。
狙うのは、前回と同じで足。体勢を崩させれば、こっちの勝ちだ。
ユリオスが剣を横に薙いだ時に、ユウが高く飛んだ。
「マイ!」
まさかもうやんのか?
「結界」
ユウが飛んだ先に結界を作る。
それをユウは足場にして、地面に向かって結界を蹴る。
「落雷」
ユリオスは避けもせずにそれを受け止めた。
鉄同士がぶつかる甲高い音と、ギリギリギリギリという耳障りな音がする。
「大剣」
自分も剣を作り出して、横に薙ぐ。
「結界」
剣を模しているとはいえ、結局は魔法なので結界によって防がれてしまう。
ユウの剣とユリオスの剣の接触部分では、火花が発生している。
「防御力低下」
それを見て気後れしていたシャルが突っ込んできた。
攻撃はユウと拮抗しているので、良いタイミングだ。
ちょうど腹の部分に連撃を繰り出した。
「結界」
そこから、自分で出した結界を足場にして、ユリオスの腹に双剣を突き刺した。
なるほど。ここで防御力上昇なんて使ったら、剣が抜けなくなってしまう。
「結界を足場に使うなんて発想、なんで思いつくのかしら。不思議でしかないわ」
「はは。よく考えたでしょ」
膝の部分に手を当てて、ゼロ距離で攻撃。
「通常攻撃魔法」
逃げられるはずがない。
……あれ?ノールさんは?
ノールさんの存在を思い出した瞬間に、銃声がなった。
「命中」
そして、次弾が込められ、再び銃声が。
「命中」
ユウはあの後、ユリオスが力で勝って、吹き飛ばされていたが、もう戻ってきている。
ユリオスが振り向きざまに剣で突いてきた。
避けられない。
「獲った」
喉元に、剣が刺さる。
「雷系魔法」
喉元に剣が刺さっている物体は、魔力に戻して再構築。
そして、雷に。それが剣に流れて感電を誘った。
「ダミー⁉︎くそ!」
「暴爆。通常攻撃魔法」
どうやらうまく欺くことができたみたいだ。
「結界。防御力上昇」
シャルは振り落とされたようで、振り出しに戻る。
しかし、確実にダメージは積もっている。
「旋斬」
唐突の未知の技。
「結界」
思わず結界を張り、本能に任せて横に飛び直撃を避ける。
「くっ。痛い」
ユウが負傷か?
「回復魔法」
さっきのはなんだ?解析をしたいので、もう一度放って欲しい。
あれは魔法っぽい。好奇心がくすぐられる。
地面を蹴る。
「ダミー。通常攻撃魔法」
出現させたダミー全てから魔法を放つ。
この量を一気に倒すならば、さっきの攻撃をやるだろう。
「旋斬」
周りのダミーが全て死んだ。
実体は、ローブのおかげでダメージなし。ローブで受け切れたということは、魔法だ。
それに、
「盗んだ。旋斬」
ユリオスの腕が飛んだ。
「これでおしまいにしよう。ユウ!」
「分かった」
「面白かった!」
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