第一章40 『マイのスキル8』
ここまで強いとは。防御力上昇魔法など、多大な魔力量があってこそできるもの。
「マイ!」
ユウとは道すがら話していた。
強すぎる時は、身体強化魔法を使えと言われたのだ。使った時の副作用は考えなくていいと。
だから迷いなくかけることにしよう。
「身体強化魔法」
防御力低下も方を使っても、防御力上昇をされてしまい、意味がないのは分かった。でも、誰かが攻撃する瞬間に防御力を低下させれば、攻撃は通るはずだ。
自分の魔法は、スキルのおかげで必ず入る。
「暴爆」
左右から大きな爆発を起こすが、案の定結界で防御された。
自分のローブなら、魔法攻撃もある程度防げる。自分の暴爆に突っ込んで、結界を破壊し、ユリオスに直接当てれば。
自分も突っ立って魔法撃ってないで、動くことにするか。自分の死角になってユウの攻撃が意味のないものにならないよう、探知魔法は切らないように。
「身体強化魔法」
自分にもしっかり身体強化魔法を。
後のことなんて知ったことはない。ここでユリオスを倒すことが先決だ。
「ノールさん!誰かが攻撃するタイミングで、一緒に撃ってください」
「分かった」
ノールさんは探知魔法にかかりにくいので、誰かが攻撃して、攻撃が通る時に一緒に攻撃してもらうことにする。
これで無駄な動きは出ないはずだ。
ユウは俊足でユリオスの背後にまわる。そこから跳躍し、背中に剣を突き立てようとする。
「防御力低下」
「防御力上昇」
一瞬にして相殺されてしまった。
空中にいるユウにユリオスは腕を後ろに振り抜く。ユウはその腕に剣を沿わせ、自分の体を持ち上げるとともに、その腕に乗る。
逆にユリオスは僕らに背を向けている。
これほどの魔族が探知魔法を怠るとは思えないが、チャンスではあるだろう。
地面を蹴り、浮遊魔法でそれを加速する。今まで体験したことがないくらいの速さで周りの空気が流れて行っている。
「暴爆」
「電斬」
ユウは雷を纏わせた剣で、急所である首筋を狙う。離れており、ユウの持っている剣の間合いの中ではないが、電斬ならば届く。
雷の如く移動し、一気に距離を詰めて切り裂く技だからだ。
僕はユリオスの足元を狙って、魔法で出した暴爆と共に移動する。
ユウの剣先が、もう少しで届く。
「防御力低下」
暴爆もユリオスに当たる直前まで迫っている。
「結界。防御力上昇」
来た。
魔法を当てようと思っていた手前に結界が現れた。その結界に暴爆が止められてしまう前に、右手を出してそれに触れた。
結界は音もなく崩れ落ちる。
その瞬間、ユリオスの足が爆ぜた。
自分もその爆発に飲み込まれているが、魔力を流し続けているローブのおかげで被害はない。
ユウの攻撃は当たったかわからない。しかし、こっちは確実に当たっている。
ユリオスの体は倒れていった。
どうやら、ユウの攻撃は避けたみたいだが、それと僕の魔法で体制を崩したらしい。
ならば、ここで一気に仕留めてしまうとしよう。
しかし、そこで仕留めることはできなかった。
「犬ども!頼んだ」
そうユリオスが言った途端に、周りの森の中から大きな犬型の魔物が現れ、僕らに飛びかかってきた。
3人も応戦しているところが探知魔法で見えたが、もうそれに構っているよ余裕はなさそうだ。
その犬の前足で吹き飛ばされ、森の中に背中から突っ込んでいく。
痛みによって動けないところに、また飛びかかってきて腹部を強く押さえつけられた。
「くそ!鎌鼬」
鎌鼬は、風系魔法の激しい竜巻の中に、無属性魔法の幾つもの刃が入っている。
そのため、少しずつ切り裂いていくものだ。
危険を察知したのか、後ろに飛び移って避けられてしまった。
動きが早い。いつしかの狼男のように、普通に魔法を打ち込んでいくだけでは避けられてしまうみたいだ。
「身体強化魔法」
切れてしまった魔法をかけ直す。この分だと、ユウももう切れているだろう。
「暴爆。氷弾。無属性魔法」
幾つもの魔法で犬の場所を拘束し、そこに無属性魔法を打ち込む。普通なら避けられない魔法を犬は横に飛ぶだけでかわしやがった。
これは、誰かと合流して戦うのが一番いいか?
「結界」
結界で一度足止めをする。
一番希望があるのは、ユウだが。
探知魔法を使ってみるに、シャルあたりは危ない。ノールさんは狩などで慣れているのかまだ平気そうだ。
「あ、違う。これはあの犬がノールさんを見失ったのか」
思わぬところであの人は役に立つんだよな。
「ユウは、自然回復もあるし平気でしょ。シャルだな」
結界で閉じ込めている犬は、出てきて誰かのところに加勢されても困るので、警戒しておこう。
結界で閉じ込めたのならば、そこに魔法を打ち込んで倒して仕舞えばいい気がするが、そんな狭い結界に閉じ込めようとするとただ逃げられてしまうだけだ。
現状はものすごく大きい結界の中に閉じ込めているだけなので、それをやろうとしても意味がない。
身体強化魔法と、浮遊魔法で一気に加速させて、シャルのところまでいく。
「シャル!」
「待ったいましたわ!」
やはりシャルも魔法は打っているが、全て避けられてしまっている。当てられているのは物理のみだ。
犬が噛みつこうとしたのをシャルが受け止めたので、そこに暴爆を打ち込んでみる。
「暴爆」
やはり避けられてしまう。
「すばしっこいわね」
それに追いつき、双剣で連撃を繰り出す。これでは、自分が来た意味がないのではないのか?
「マイ!魔法で短刀を作ってそれを使うのよ。それと、身体強化魔法を私にもかけて!」
なるほど。確かにそうすれば、素早く移動して切り裂けばいいだけだ。
「分かった。でも……」
「いいわ。分かってるわ。この後、疲労でどれだけ動けなくなろうともいいですわ」
それならば、抵抗感はあるがいいだろう。
「身体強化魔法」
あとは、
「無属性魔法」
短刀を模したものを作る。重さもなく、振るいやすい。
もっと大きくても重さがないため、使ってみる価値はあるかもしれない。
今やる勇気はないが。
「よし、まずは1匹目を狩ろう!」
「もしかして、自分の狩れてないのにほっぽってこっち来たのかしら?」
「しょうがないでしょ!1人じゃ無理だったの!」
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