第一章36 『マイのスキル4』
結局シャルは4分の1ほどをノールさんに食べてもらっていた。
そして、ユウは3杯目。ノールさんは4杯目を飲んでいる。
「ノールさん。指でパチンって鳴らすやつできる?」
「できますよ。これですよね」
ノールさんが指でパチンと鳴らす。
「どうやんの?」
「えーっとですね」
自分も鳴らせるようになった。
よし。何度か挑戦したことがあったが、全くできたことはなかった。
「そろそろユリウスの方の話をする?」
「そうだね。そろそろそろ?」
「酔ってるよね?」
「いやいやいや?シラフ」
よし。置いておこう。
「まず、ユリウスのいる場所は、」
さっき教えてもらった通りに指を鳴らす。
それと同時に、魔法で世界地図を出す。
「魔法で世界地図を出すって……どんだけ……あれ……。なんでもないですわ。というか、それをやるためにノールに教えてもらったのですわね」
「そう」
ノールさんはしっかり机の上を見ているが、ユウは全く上の空だ。
まあいい。あとで部屋でしっかり聞かせよう。
「まず、ユリオスのいる場所は、ここ」
地図を少しずつ拡大していき、木が一本一本見えるくらいにする。
「またこれも恐ろしいくらい詳細ですわ」
「ここは今いる場所から大体1日程度」
少し縮小し、今いるところからユリオスの場所までの経路を示す。
「あってる?」
「たぶんあってますわ」
「そして今回戦場はさっきも見せたけど、ここになる。気が切り倒されてるから、ここがユリオスの生活場所なんだろうね」
次は具体的な対処法についてだ。
「戦い方なんだけど……正直未知の世界なんだよね。だからいつも通り、僕は後方で魔法使って、ユウは前衛で重い一撃を入れる。ノールさんはスナイパーで長距離からの撹乱かな?もしかしたら、散乱銃使って前衛頼むかも」
「いつも通りですね」
「そう。いつも通り以外できることがないんだよ」
手強すぎてなにも手を打てない。だからいつも通りにする他ない。
「ただ、シャルの使い方が、よく分かんなくて」
「私は一度も戦いに加わったことないですものね」
「そーれは、あしたわたしーがー、手合わせすればよくない?」
酔いすぎだよ。
「これと一緒の部屋で寝ると考えると……」
「わたしの部屋に来てもいんですわよ」
「そっちの方が嫌かな」
まだユウとの方がいい。
「まあ、そうするとして、やっぱりなにも対処法とかは浮かばないよ。だからいつも通りの出来ることをやるしかない。本当に未知の世界だからね」
「そうですわね。で、このままだと魔法も物理も通らないというのに、信じて良いのですね?」
「それに至っては安心していいよ。物理も通るし、魔法も通る」
こんなものだろうか。
「マイさん。あれは話さなくていんですか?俺にはいまいちどうなのか分かりませんでしたけど」
ユリオスが探知魔法越しに喋ってきたやつか。
「簡単にいうと、探知魔法越しにあいつが喋りかけてきた」
「ど、どういうことですの?」
「えーっと。探知魔法でユリオスの場所とか確認したんだよ」
「ん、んん?まあ、確かに……マイなら……できるか……まあいいわ。ごめんなさい。続けて」
「そしたら、探知魔法に含まれてる微小な魔力に気づいて、探知魔法越しに話しかけてきたってこと。『かかって来い」だってよ」
「ゾッとするわね」
本当にゾッとした。
「ゾッとするだけじゃなくて、それだけの力も持ってるってことを暗に示してやがる。本当に性格が悪い野郎だと思うよ」
「ふーん」
さて、こんなもんだろう。
アイスでも頼もうかな。確かメニュー表に載ってたはず。
「すみません」
少しして、店員さんが来た。
「はい。ご注文ですか?」
「バニラアイスひとつください」
「私もお願いしますわ」
「ええ。じゃあ俺も」
僕らはユウを見る。
目は空いているが、ほぼ寝ているような感じだ。
「……」
「はい。これでお願いします」
「かしこまりました」
「この人完全に意識がどこかにいってますわよね」
「そうだね。部屋に連れて帰るのがめんどくさいかも」
アイスも食べ終わって、お開きにする。
「ほらユウ。部屋に戻るよ」
アイスを食べ終わった時にはもうユウは寝ていた。
「んん〜。ん?」
「部屋に戻るよ」
「ん?」
「聞こえてるでしょ。はい。自分で立つ」
ユウが椅子から立ち上がろうとしたところで、ユウが足を滑らせた。
「身体強化魔法!」
咄嗟に自分に魔法をかけて対処。
杖を取り出して、モノを浮かせる魔法を使い、俵を運ぶように持つ。
身体強化魔法って一時的に身体能力上がるけど、使った後の疲労感半端ないんだよな。
これも改善点だ。
「大丈夫ですの?」
「たぶん。身体強化魔法使ったから」
「気をつけてくださいよ。それとも変わりますか?」
「いや。いいよ。こんなに飲ませた僕も悪いし」
部屋の鍵はノールさんのに開けてもらって、ユウをベットの上に魔法で浮かせて移動させた。
「ありがとうございます」
「いやいや。じゃあ、おやすみなさい」
「おやすみ」
さて、このアル中をどうしたものか。
「ユウ。上着くらおは脱いでから寝て。ユウ。ユーウ」
だめだこりゃ。
気づかなかったけど、右手をがっしり掴まれちゃってんだよな。
自分はローブ着ていかなかったので、このまま寝てもいいが……。
「もういいや」
その瞬間。右手首を一気に引かれる。
またしてもいつしかのように抱え込まれる形になってしまった。
「絶対ユウ起きてるよね?」
予想通り、返事はない。
「はぁ」
息を吐いた瞬間にどっと疲れが来た。
身体強化魔法の副作用を忘れてた。
全く抵抗する術もなく、そのまま寝てしまった。
「マイ?なんで……ってそっか。1人部屋なんだよね」
もう朝か。まだ寝ていたい。
「マイ。行くよ」
「どこに?」
「短剣の使い方教えてあげるから」
「んーん」
そういえば、そんなこと言ったな。
「やる?やんない?」
「やる」
「じゃあ、顔洗ってきて。そしたらなにも持たないで着いてきていいから」
「分かった」
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