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第一章35 『マイのスキル3』

「そろそろ出ますかね」

「ああ、僕も出ます。結構この宿どこでもあったかいから、あまり湯に浸かってると」

「確かにそうですね」


持っているタオルで適当に体を拭き、脱衣所に戻る。


持ってきた服を着て……


「マイさん……。それ、女性用では?」

「たぶん」


そうだ、前の村で夜に着て、洗ったやつを1番上にやっておいたから……。


部屋が暖かかったのと、少し急いでいたのもあり、ローブを持ってきていない。


「まあいっか」

「似合ってますよ」

「うるさい」


オーバーサイズの肩が出るようになっているパーカー(最近ユウに名前を教えてもらった)に下は、ショートパンツで冬にしては寒そうだ。


宿は暖かいので、気にならないが。


ノールさんをおいて先に部屋に戻る。

カウンターで鍵を受け取ろうとしたら、もう先にユウがとって行ったというので、そのまま部屋に行った。


「珍しくユウ早いじゃん」

「ここあったかいじゃん?」

「うん。あったかい」


それから夕食まではベットの上でだらだら過ごした。


「夕食?」

「そうだね」


ベットから降りる。


「やっぱり服似合ってるね」

「うるさい」


食堂に行くと、もうノールさんはいた。


「そういえば、シャルに誰か言った?」

「言ってないですね」

「私も」

「いますわよ」


後ろから声をかけられて、びっくりした。


「探知魔法使ったから、みんな食堂に集まってるなっていうのは気づいてましたわ」

「そっか。魔法使いだもんね」

「マイあなた……あの魔法なんですの?どうにか自分で解くことができましたけど、複雑すぎましたわ」

「どうにか解けたみたいじゃん。よかった」

「あんたねぇ……今日はその服装の可愛さに免じて許してあげますわ」

「うるさい」


ローブをつけてくればよかった気もしたが、付けてたら熱中症になりえない。

……いや、温度調整はできるけど、今から取りに行くのもめんどくさいか。


「さて、なに食べます?」

「ビールと、どうしようかな」

「俺もビールは頼みます」

「私もお願いするわ」

「じゃあ、僕も」

「「「……」」」


視線が痛い。


「分かった!オレンジジュースにする」

「本当ですわよ。子供が酒なんて……」

「一応飲める年です!」

「周りの目があるからやめて。マイ」

「なんでユウまで!」


もう、僕が酒を飲める機会は来ないのではないか……。


「まあまあ、飲みまのからじゃなくて、食べ物を先に選ぶのが普通だと思うんですけどね」

「そうだね。一応仲間が増えるかもってところだし、祝わないと。一応」

「一応一応って、そんなに嫌かしら?」

「ああ、嫌だね」

「なんていうものいいですの?」


ああ。本当にめんどくさい。

2人は今にでも剣を抜く体勢を作っている。

剣持ってないくせに。


「拘束魔法」


「え?ちょ?」

「何しますの」


「さて、ノールさん。メインを選びましょうか」

「トーンが一つくらい下がってるのがすごく怖いですね。何にします?」

「このハンバーグにしよっかなって。でも食べきれなそうだからな」


シャルの拘束魔法はもう解けそうになっている。さすが大魔法使い。

ユウは……もう抵抗すらしていない。


「拘束魔法」

「何するんですの⁉︎もう少しで……」

「無理だよ。シャル。マイの気が済むまでは解いてもらえないから、抵抗しない方が体力使わない」


その通り。もう少し2人には反省をしてもらおう。


「反省した?」

「した……」

「したから早く解いてくれないかしら」


魔法を解く。ちゃんとかけ直せるようにして。


「マイは別に私と分ければいいだけだから」

「そっか。ハンバーグでいいの?」

「いいよ」


今日食べるものはハンバーグに決定。


「シャルさんも多かったら俺が食べるので、全然名に頼んでもいいですからね」

「それは心配してませんわ」


見かけによらず食べるのだろうか。


「もとよりそのつもりよ」

「どうすればその考え方になるのか聞きたいところですが、まあいいです」

「簡単ですわよ。外食のとかの時に、爺とか側近に食べさせてましたから」


なぜそのような人物が出来上がったのかがよーく分かった気がする。


「決まった?」

「決まったわ」

「俺も……はい。オーケーです」


僕らは変わりなくハンバーグなので、決まっている。


「すみません」

「はい。お決まりでしょうか?」


やっぱりどこに行ってもこの定型文は変わらないんだな。


「ビールをジョッキで3つ。オレンジジュースをできればジョッキに入れて1つ」

「あー……わかりました」


いらぬ心遣い!

店員さんも僕を見て納得っていうふうに分かったっていうのやめて。


「あと、ハンバーグを1つ。ライス付きで」

「私もそれにしますわ。一つ追加」

「量は?」

「並でお願いします」

「同じで」

「えーっと、俺は、このステーキでお願いします。ソースは玉ねぎで」

「ライスは?」

「並で」

「はい。注文は以上でしょうか?」

「オッケーです」

「確認します」


いつもより1人分多く確認で繰り返される。

やはり聞きはしないが。


そして、先に飲み物が来た。


「先に乾杯しちゃうか」

「そうだね」

「じゃあ、乾杯」

「「「乾杯」」」


オレンジジュースを喉に流し込んだところで、ずっと思っていた疑問をシャルに聞いてみる。


「ねえ。シャル」

「なんですの?」

「なんであんな森の中に落ちてたの?」

「落ちてた訳ではなかった気がしましたわ」


ノールさんやユウもそういえばというふうにシャルの方を見ている。


シャルはビールを一口飲んでから言った。


「村の方から来たドラゴンにやられたわ。魔力の使いすぎでふらついて、そこを吹っ飛ばされて気絶したって感じよ。けど、そのあとは幸運にも食べられなかったわね」

「ふーん。なんで食べられなかったかが一番気になるけど、」

「それは意識がなくてわからなかったわ」

「だよね」


シャルは深いため息をついて、いう。


「ドラゴンなんかに遭遇してどう生き延びるっていうのよ。そんなのに挑むなんて無謀でしかないですわ」

「ほんとだね」

「うん。僕も無謀だと思う」

「ほとんど1人でドラゴンを倒してる2人がなにを言ってるんですか。特にマイさんなんて、10秒もせずに2匹倒してたでしょ」

「え?倒した?どういう事ですの?」

「昨日食べた肉がそれって意味」


僕の意味わからない回答にシャルは首を傾げているが、誰も補足をしない。


「え?うそ?」


そこで注文した料理が来た。


「お待たせしました」

「ありがとうございます。ビールひとつ追加で」

「俺も2つお願いします」


もうすでに一杯を飲み干したノールさんとユウが注文をし直す。

それに乗じて僕も。


「僕もビール一杯追加で」

「この子はオレンジジュースで大丈夫です」

「かしこまりました」


無理か。

店員さんは厨房に戻って行った。


目の前の机の上には熱々のハンバーグが置かれている。

ユウがそのハンバーグにナイフを入れて半分にする。それを取ってきておいた取皿に移した。


「はい」

「ありがとう」

「じゃあ」

「「「「いただきます」」」」


ナイフで小さく分ける、そのかけらを口に運んだ。

熱い。しかし、トマトソースと肉の汁が絡んで米が進む。


ビールが追加できた。


「あのさ。これ食べ終わったあと、ユリオス討伐の詳細っていうかなんていうかを説明するから。マイが」

「なにも伝えられてないんだけど?僕を過信しすぎじゃない?まあ、できるけど」

「さすがマイさん」

「だから飲みすぎないように」


みんなユウを見る。

シャルはユウとノールさんか。


「それ、早々に一杯飲み干したユウが言える事じゃなくない?」

「大丈夫。酔わない酔わない」

「いつしかを思い出してほしいね」

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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