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第一章26 『ドラゴン討伐5』

パリーンッと何かが割れる音がした。


まだ回らない頭の中で、なにが起こったのか考える。


まあいっか。寝よ。


「……やばい。ユウ!起きて」

「なに?」

「早く!ドラゴンが村を襲いにきた」


ユウは飛び起きて、剣を手に取った。


「ユウはノールさんを呼んできて。僕は、村長さんに状況を伝えに行く」

「分かった。何体いるかだけ教えて」

「5体。全部来やがった」


ドアを開けて、杖を出現させる。


「探知魔法」


村長さんのいる部屋がわからない。

だから、探知魔法で探すことにする。


下の階の、一番奥。


ノックなしで、部屋に入り込む。


「村長さん。起きてください。ドラゴンがきました。起きてください!」

「ドラゴンが?」

「はい」

「分かった。この家の外の敷地内に、櫓がある。その上には、鐘があるから、思いっきり鳴らしてくれ。それを鳴らせば、青年団の人たちが住民の避難とかをしてくれる」


家の外の櫓……探知魔法で探す。


あった。

「分かりました。そしたら、僕たちはドラゴンと交戦に移ります。では」


玄関から外に出るのは、時間が惜しい。

部屋にある窓から外に出る。


村長さんが後ろから何かいっていたが、構っている余裕はない。


浮遊して櫓まで行く途中で、ユウがノールさんのいる部屋と思われる場所から何かを投げた。


「ローブか」


そういえば、焦っていて被るのを忘れていた。

この肩の出ている、レディース用のものでは防御するどころか、肉片ごと布切れにされてしまうだろう。


「ありがとう」


そう叫んだが、もうユウはいなかった。


櫓に着く。

そこで鐘を思いっきり鳴らした。


だんだんと村に光が点っていく。



「緊急!緊急!教会まで避難を!」

剣を携えた人たちがそう言いながら出てきた。


あの人たちが、村長さんの言っていた青年団の人たちだろうか。


一応、戦いに加勢してくるなとしっかり言っておかないと。

櫓から飛び降りて、もう一度浮遊魔法。


まだドラゴンは上で羽を羽ばたかせているだけだ。

魔力をしっかりと溜めておく。


ドラゴンが本格的に村を襲う前に、村人たちが避難できるといいが。


「すみません。青年団の人たちですか?」

「そうだ。早く避難しろ!あっちの教会に結界が貼ってある」

「いや。僕は村長さんの家に泊まらせてもらっている、旅人です。僕とその仲間がドラゴンを討伐するので、青年団の皆さんには絶対に加勢しにこないように厳しく言っておいてください。助けられる保証はないので」


早口に説明した。

しかし、まだ僕を子供だと思っているのか、納得していない様子だ。


「ふざけてないで早く避難しろ!」


ああ。もう!

なんで分かってくれないんだ。


その上、ドラゴンのうち1匹がこっちに降りてきている。

探知魔法で他のドラゴンは動いていないことがわかったが、動き始めるのも時間の問題だ。


「とりあえず、僕の言った事は分かりましたね?」


向かってきたドラゴンを迎え撃つ準備をする。


「氷系魔法」

溜めていた魔力を全て使って氷の槍にして、そいつに打ち込む。


しかし、あっさりと避けられてしまった。


「結界」

最大限の結界を張って、一度足止めする。


防御力低下魔法をかけて、ユウに物理攻撃で倒してもらった方が良かったか?失策だ。


固まって動けていない青年団の人を無理やり立たせた。

その間にも、もう一度魔力を貯める。


「しっかり立ってください。ちゃんと、村人たちを避難させること。そして、青年団の人たちに来るなということ。分かりましたか?」


「わ、わかった。わかった」


パニック状態で、ちゃんと言ってくれるか心配だが、今はこの人がちゃんと逃げてくれる方が大切だ。


青年団の人は周囲の人をしっかり連れて、走り去っていく。


よかった。ちゃんと自分に与えられた仕事はするじゃないか。


「さて、やってやるか」


一度、探知魔法でドラゴンたちの場所を確認。


2体は自分のいる場所とは全く逆の方向に向かっている。


ユウがそっちの対応をするため、走っているのを確認できた。


あまり気にしなくても平気だろう。

しかし、後の2体は僕の方に動き出した。


ノールさんがこっちに来てくれている事が不幸中の幸いか。


ドラゴンを押さえつけている結界を解く。


「魔法全貫通とはいえ、高速魔法はあの巨体じゃ通らないし」


ノールさんがこっちに来るより、あと2匹のドラゴンがこっちに来る方が早いだろう。


「3体を同時に足止めか。できるかな?逆か。僕じゃないとできないよね」


3体を同時に翻弄するなんて、僕しかできないだろう。

ダミーを使った闘い方なら、


「僕の独壇場だ」


結界から解放されたドラゴンは、目の敵とでも言うようにこちらに突っ込んできた。


仲間と共にと言うことなのか、残りの2体も一緒に突っ込んでくる。


「炎系魔法」


自分のいる場所に炎を発生させる。

もうそれはすでにダミーであり、燃やしてしまってもまったく問題ない。


炎の塊に突っ込んだドラゴンはそこで痛みに耐えるようにもがいた。


「2匹はヒットか」


炎耐性を持っているとはいえども、僕のスキルで確実にダメージは蓄積される。


1体はいなくなった僕のダミーを探している。


本当の自分は、ドラゴンのいる近くの民家の屋根の上にいる。

櫓で鐘を鳴らし終わった時点で、もうダミーは作っておいた。


ただ、視界の範囲にしかダミーを出現させる事はできないと言うのが少し面倒だ。

どうしたものか。


考えている時間がもったいないので、1回頭から捨てよう。


「氷系魔法」


「炎系魔法」


「風系魔法」


新たに作り出したダミーが魔法を使っているように、どんどん攻撃を仕掛けていく。


ダミーの数は3体。ドラゴン1匹につき、1匹を対応させる。


「炎系魔法」


「氷系魔法」


風系魔法で、動きに隙ができているやつがいるので、そいつを焼き尽くす。

炎の煙で、視界が悪くなっている奴には氷系魔法で作った槍で突き刺す。


いいねいいね。


順調だ。


「通常攻撃魔法」


自分の実体で、一気にドラゴン達に傷を負わせる。

しかし、傷こそ負って痛そうにしているものの、まったく機動力は落ちていない。


「マジかよ。タフすぎ」


ここぞとばかりに、隠れていた実体を使って攻撃したため、自分の場所がバレてしまう。


もう少し、負傷してくれる予定だったのに……。

2体同時に飛びかかってきた。


木造建築の民家が音を立てて折れる。

そして、鋭い爪での乱撃。


「結界」


咄嗟のことで結界を張るが民家は崩れていき、足を滑らせてしまった。


背を向けて、頭だけでもその乱撃から庇う。

ローブの魔法陣を……間に合わない。


魔力を節約するためにってケチらなければよかった。

終わったな。そう思ったとき、


「マイさん!大丈夫ですか」


駆けつけていた、ノールさんだ。

ノールさんの撃った弾丸は綺麗にドラゴンの目を貫通する。


それによってできた一瞬で、魔法陣が発動できた。

ドラゴンの片足が吹っ飛ぶ。


狼男の魔法で身体強化したほどの防御力は無いみたいだ。


「助かった!」


何箇所か切り裂かれているものの、大事には至っていない。


「回復魔法」


傷を全て回復する。


ドラゴンは、片足が吹っ飛んでもまだ機動力は落ちていない。

少しバランスは悪くなったか?


「結界!」

2体のドラゴンは、新しく出てきたノールさんを狙った。


ノールさんの後ろからの尻尾での攻撃を結界で食い止める。


「ノールさんは片足がない奴を相手して。僕は後に体を食い止める」

「分かった!」

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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