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第一章12 『王城から脱出したい』

「こんばんは。取ってきました」


朝にここまで案内してくれた人がまた案内をしてくれた。

ユウは王様のそばまで行って、布に包まれたものを差し出す。僕はユウの隣で請求書を渡す。


「ま、まさか。もう取ってきたのか?」


流石に攻略が早すぎただろうか。まあ、思っていたよりも簡単な仕事ではあった。

王様は驚いている。


「はい。あまり強い敵もいませんでしたよ。一応これであっているか確認してください」


王様はユウの持っていた家宝を手に取り、しっかりと見た。


「確かに、盗まれた剣だ。感謝する」


ちゃんと合っているということは、報酬ももらえるということなので、請求書を渡した。


「じゃあ、報酬の魔道具なのですが、これが請求書です」

「あ?ああ。もう買ってきたのか」


王様は請求書を取った。そして、僕らの方を見る前にもう一度請求書を見た。綺麗な二度見だ。かなり高額なので驚くのは無理もないだろう。


「ま、まあ。勇者たちよ。よくやってくれた。この栄光は末代まで語り継がれるだろう」


めちゃくちゃありきたりなセリフに僕らは呆然とする。別に栄光なことではなく、報酬が欲しかっただけなのだが。


「勇者よ。話は変わるが、配偶者などはいるのか?」


ユウにそのような人がいた覚えはない。まさか王様の娘と結婚などという話ではないだろう。


「いません」

「そうか」


王様は嬉しそうに言った。


「お前みたいなきれいな女にまだ配偶者がいないとは思わなかった。わしにせがれがいるんだが、ちょうど勇者と同じくらいの年齢でな。結婚しないか?」


まあ、この流れじゃあ不回避ですよね。ユウは即答した。


「嫌でございます」


王様も引かずにいう。


「そんなこと言うな。今日の夜中、一度2人きりで会ってみろ。絶対に気にいるはずだ」

「興味がありません」


ユウ、それ以外と失礼だよ。と教えてあげたいが、王様の前なので言えない。


「そんなこと言わずに。ほら。この2人をお連れしろ」


周りにいたガタイの良い兵士に米を運ぶように抱えられる。ユウは2人がかりで、連れて行かれている。途中の分かれ道でユウと逆の方向に連れて行かれた。


「僕。歩けるんですけど」


一応話しかけてみる。王様のいるところでも、今でも、逃げ出すことは可能だったのだが、騒ぎにしたくはないのでそのようなことはしない。

結局、脱走を考えているので、騒ぎにならないとは思えないが。


「ああ。そうか。悪かったな」


兵士さんは優しく、すぐに僕を下ろそうとしてくれたが、自分で魔法で浮きながら降りる。


「王様に気に入られてしまったとは、大変だな。勇者にもやることはあると言うのに」


この人は王様に呆れているようだ。どうにか脱出のために手変えないか考えたが、後で咎められるのはこの人なので、その案は捨てた。


「ほんとうですよ。僕、男なんですけどね」


兵士さんは僕の方を見た。


「いや。嘘つけ」

「本当ですよ」


彼は少し言いにくそうにして言う。


「それを国王様は……」

「王様は僕のこと男っていうのは知らない。と言うか、お尻触ってきた」


彼は自分の手を顔に当てて、マジかよ。めんどくせぇ。と言った。

「分かった。国王様にはどうにか伝えておくから。どうにか怒らせないように、あー、伝えておく。うん」

「その必要はないよ。もうその時には、僕いないから」


探知魔法を使ってみると、この先の道に別途のある部屋は右側に一つしかなかった。


「え?」


不思議そうに言ったが、何も事実を伝えただけだ。


「この部屋ですよね。ありがとうございます」

「ああ、その部屋だ」


僕はその部屋に入り、即座に扉を閉める。さて、どうやって脱出しようか。


手頃な椅子を見つけて座る。ダミーを使うなら、もうこのまま逃げてしまった方がいい。


とりあえず、察知魔法を使って周辺の状況や、この城の構造、ユウのいる場所を確認する。


城は左右対称だ。


どうやらユウは僕と真反対の場所の部屋に入れられている。その上、僕と違って扉の前には警備までついている。



ユウの部屋にも一応窓はついているので、そこから僕のものを浮かす魔法で脱出するのが一番か。


杖を取り出し、体を宙に浮かせて外に出た。自分以外を浮かせるには、自分を浮かせる魔法より数十倍の魔力を消費してしまう。


どれくらいもつかは分からないが、最悪ユウは落とせば良いので良いだろう。

回復魔法使えば、粉砕骨折くらいは治せるし。


「入っていいですか?」


扉がノックされる。声が無ければ、王様がもうきたのかと思うところだった。

早まらなくてよかったと、本気で思う。


「はい。何かようですか?」


すぐに扉が開けられ、さっきの騎士さんが入ってきた。


「すまない。飲み物入るかなと思ってな」

「……ありがとうございます」


ありがたいと思う一方で、邪魔だとも思ってしまう。


「少し話をしても?」

「まあ、少しならいいですよ」


本当はしたくないというふうに、心底迷惑と伝わってくれることを願いながら言った。


「じゃあ、少しだけ」


簡潔に言ってくれ。脱出計画を立てないといけないんだ。


もしかして、これは僕が脱走しないようにするための、見張りだったりするのか?

そうなら、この騎士さんを振り切ることも、視野に入れなければならない。


「脱走しようとしているだろ?」


はい。そうです。なんていう人がいると思ったか?

「思っていません」


強行となると、一つや二つの壁や窓くらいは壊していかないといけないかもしれない。

器物破損とかになりそうだが、監禁罪と相殺されるだろう。もしかしたら、こっちが正当防衛的なものでセーフになるかもしれない。


「そうか。俺は、窓からお前が飛び降りたって何も言わない。見ていたとしてもな」

「そうですか。ありがとうございます」

「え?なんか驚いたりしないの?」


人がしてくれた好意に驚くなど、失礼なことはしない。


「勇者のいる部屋の前には、2人見張りがいる」

「それはもう知っています」

「なんで知ってるんだ?」

「探知魔法で調べました」


やっぱり、窓から出て、ユウも窓から落として、路地に逃げ込むのが一番いいか。


「監禁してるのに、菓子の一つも出さないんですか?」

「監禁されてる身として、菓子を要求図々しさは認めてあげよう」


騎士さんはしゃあないと言って部屋を出ていった。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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