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第21話【決闘審判心得】

◇◇◇◇第二十一話【決闘審判心得】◇◇◇◇


「やぁやぁ、後から来てみれば何やらヴィクシア勢と学園会の間で談合の様子。

 怪しからぬ、まことに怪しからぬのである!」


競技場に入ってくるなり大声で先頭のフルプレートの鎧の上に赤いサーコートを着た男、ロート・キーンが大きな声でこちらに声をあげました。

最後尾にはなぜかエドモンド・シドリー教官殿が付いてきていますが何事でしょう。


「試合のルールについては確認したが勝ち負けに関して話題にしたことはない。

 言いがかりはやめてもらおうか」


いつもは親しげで飄々とした雰囲気のミロル会長がまじめな声音で応対していると、威圧感がすごいですわね。

怒れる獅子獣人の迫力は、私もちょっと気押されるものがありますわね。

お兄様とは違った王者の威厳が感じられますわ。


「むぅ、了解したのである。

 こちらも立会人として講師から剣術課のエドモンド・シドリー殿を呼んだのである。

 手合いの見極めを出場者の所属する自治会だけで行うのは公平性に疑問が残るのでな。

自治会の諸兄には悪いが勝負の判定にはきちんと協議して決定してほしいのである!」


なるほど、そのためのシドリー教官殿ですか。


その教官殿はわたくしを見るとニコリと笑って話しかけてきました。


「いやぁ僕としては昨日の今日でピピル君がどうして決闘審判なんてやることになったのか興味深いね」


「まったくですわ」


「なんだかロート君が言うことには君がモニカ君にけがを負わせたとからしいけど?」


「わたくしが、というよりモニカさんの治癒術をレジストした反動で魔力がが逆流した内出血ですわ」


「なるほどね……

 まぁ聖女候補付きの聖騎士見習いの諸君は、自分たちが目を離したすきに護衛対象が傷つけられたら、理由の如何によらず怒るだろうなぁ……」


「双方了解の上で訓練しただけですのに……

 困ったものですわ」


「そうだなぁ……

 命は取らないとはいえ子供が決闘とかやめて欲しいよホント」


「挑発したのはお兄様ですけれど、話の流れでどっちもやる気のようでしたわ」


「そうかぁ、君のお兄さんは王であろうと頑張っているからなぁ……

 もう少し肩の力を抜いてもいいと思うんだけどなぁ。

 まぁ僕は王様なんてやったことないから、あんまりアドバイスもできないんだけど。

 多分そのあたりは老師が見ていてくださるだろうし」


「あら、決闘審判の挨拶があるようですわ、わたくし戻りますわね」


「立場上どちらかの陣営には肩入れすることはできないけれど、このくらいいいだろう。

 全力出して頑張っておいで」


「はいありがとうございます教官殿、ではごめんあそばせ」



ヴィクシア側のみんなは北側に陣取っています。

わたくしが合流するとそろって闘技場の中央へ、南側からくるヘールジャニアの聖騎士見習いの方たちと向かい合います。


中央、両者の間に自治会のメンバーとシドリー教官殿が立ち、ミロル会長が口上を述べます。


「一つ、本件はクインルー聖国の聖女見習いモニカ・コルゥの負傷がヴィクシア連合王国のピピル・マ・ピピルの所業であるとヘールジャニア教国所属のモニカ・コルゥ守備隊隊長ロート・キーンによって謝罪を求める訴えがあり、ヴィクシア連合王国代表アルガ・マォ・エルテ・ヴィクシアが拒否。

 本件決着は決闘を持って解決をはかるものとする」


「一つ、五対五の決闘審判を実施するものである。

 この審判によって決定した事柄は蒸し返しや再度の不満の表明は認められない。

 一つ、違反した場合程度に応じた罰則を持って処理する。

 ちなみに、最高で所属本国への通報と放校処分となるので心してほしい」


「ではこれよりヴィクシア連合王国とヘールジャニア教国の決闘審判を始める。

 武器は刃引きした武器もしくは木製などの非殺傷武器で行うこと。

 魔法は自己強化以外使用しないこと

 審判の指示には必ず従うこと」

 

「最後に剣術課のエドモンド・シドリー教官からお言葉をいただきたい」


ミロル会長がこう宣言し、シドリー教官殿に目配せすると教官殿も頷きながら一歩前に出て


「ぼく個人の感想としては貴族の風習として無暗に暴力を持って物事の解決をするというのはどうかとも思う。

 ただ、力持ちて自らの領地を守るのが貴族であるならばこういう事態が学園で起こるのは仕方がないか、とも思うが。

 なお、皆命に関わる大きな怪我なくつとめてほしい。

 命に関わる怪我でなければ大抵の傷は治せる。

 学園都市にはそれだけの人がいる。

 僕からは以上だ」


こう宣言しました。

らしいと言えるほど付き合いは長くありませんが教官殿らしいと感じましたの。


シドリー教官の言葉が終わると先鋒のサクラ殿を残して北側の控えの溜まりに帰ります。

あちらの先鋒も女性のようですわね。

サーコートの色はピンク色で胸当てについた波型の数は5本、兜形は顔が出ていて額の中央が伸びた分下に下がって引き延ばされたような形をしています。


「僕が右手を下ろしたら勝負開始だ。

 いいね?

 では始めよう。

 準備はいいね?」


「ではヴィクシア側、サクラ・カヅキ一回生、ヘールジャニア側ルカ・キーン一回生」

 

ミロル会長が、ス……と右手を上げ双方動きのないことを確認し、勢い良く手を下ろしながら号令をかけます。


「はじめぇ!」


さぁいよいよ勝負の開始です。

先鋒の手合いはどうでしょうか。

サクラ殿、よろしくお願いいたしますわ。

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