第112話 私を助けてくれるエクシード十剣の実力は
「オレにも指示を頂けませんか」
「エクシード十剣の一人。ヴォルテールです。一応、この国のナンバー2です。もちろん剣士です。この隊の指揮権は彼にあります。グロス様の弟子で後継者と呼ばれていますね。姫様とは兄弟弟子ですね。無謀にも姫様に横恋慕しているようですが姫様より弱いので全く相手にされていません」
「ううっ、本当ならオレとフレディックが冥竜王を倒し英雄として凱旋する予定がショウ様に取られたんだ」
なんだか、どんどん個人情報まで入ってくるぞウェストファリアの解説。というか部隊を預かる人間が私に指示なんて求めてくるな!
「君はどうしようかな。とりあえず、待機で。状況によっては出てもらうかも」
ナンバー2とナンバー3がいればとりあえず、RDHが相手でも数分は持つだろう。こいつは手元においていざって時に使おう。残り3人か。なんだか面接みたいだ。目の前では神との戦闘を行っているのに。
「エクシード十剣の一人、マウリヤ。剣士です。エクシード十剣の紅一点一号です。私とは別のタイプの美人ですね。好きな相手がヴォルテールですがヴォルテールは姫様しか眼中にないので悲しい片思いをしています」
もはや私の指示を受けるのが当然といった趣でウェストファリアが紹介してくれる。
「その個人情報は必要ないわ~」
「あなたもエミリーの護衛について。女手が必要な局面がでてくるかもしれないし、遠距離攻撃を持ってないとRDHに一撃で殺られるから」
そう指示を出すとヴォルテールと一緒なのが嬉しいのが喜んで戻っていった。残り2人か。
「エクシード十剣の一人、カニシカです。魔法剣士です。エクシード十剣の紅一点二号です。真面目でガードが固い剣士です。好きな相手は本命がケネー、対抗がイブン、大穴がフレディックで私にも情報を漏らさないガードの固い女魔法剣士です。昔、ヴォルテールが好きだったんですがマウリヤが好きなんで身をひいたようです。ちなみにヴォルテールの初体験の相手がカニシカのようです。私とマウリヤとカニシカの三人を集めてエクシードの三百合なんて呼ばれてます。まあ、世間の評判はともかく最高の同僚であることには間違えありませんね」
もう突っ込む気力もなくて聞き流す。
「君も消去法でエミリーの護衛かな。理由はマウリヤと同じだね」
特に不服と思うこともなくマウリヤは護衛に戻って行った。これでラストか。
「エクシード十剣の一人、軍師ガンバルベエだ。ウェストファリア、ワシの紹介はいらん。あえて言えば、皆に特攻を指示した男だ」
これまで人物とは違いガンバルベエは自分で自己紹介してきた。彼には左足がなかった。
「ガンバルベエ様はこの国一の知恵者なんです。さらにエクシード流体術の使い手で近接戦闘ではこの国に並ぶ者はいません。左足が無いのは冥竜王との戦いで冥竜王に喰いちぎられたからです」
紹介は不要とガンバルベエが自己申告しているのにウェストファリアはガンバルべエの紹介をしてきた。これもメイドの性なのだろうか。
「足を失ったのは無能の証明よ。ところでコレが今生の別れとなるかも知れんから今、言っておくが先程の我が特攻命令への中止指示、誠に痛み入ります。あれが最善手であることは疑いませんがそれでも全員が生き残る道があるのならそちらの道の方がいい。よく中止指示をくれましたな」
そう言うガンバルベエは身体が震えている。苦楽を共にした仲間に死ねと命令するのだ、とんでもないストレスだったのだろう。そこから解放されて嬉しさで感極まったのだろう。やや、目尻に涙を貯めながらガンバルベエは自分の役割を提案してきた。
「ワシは当然、姫様の護衛じゃな。神相手にこの脚では一回分の盾にしかならん。姫様護衛の指揮は執ろう。数分と言わず数十分は稼いでみせよう。真澄殿は神討伐の指揮を執られるのがよかろう。人員も今の割り振りに拘ることなく自由に引き抜いてもらってかまいません。あなた方が敗北すればどの道、エクシード十剣がそろっておってもあの相手には勝てません。ならば残された手段は攻勢一点のみです。ウェストファリア、お主は当然、真澄様付きじゃ。先程の紹介をずっと聞いておったがエピソードを入れ真澄様に印象深く説明するのはすばらしい。しかし、RDHとの戦闘でどう立ち舞えるということがまるでできておらん。真澄様に情報を提供し、解決策を真澄様が作成し、我らが行動する。お前の働きがこの戦の勝敗を決める。真澄様の頭脳の助けとなり、真澄様の盾となり命を懸け働くのじゃ」
「はい、分かりました。エウクレイデスの名に懸けて」
これまでのふざけた様子を微塵も感じさせずウェストファリアは神妙な顔をして頷いた。
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