第十一章 やり直し
俺は大阪へ帰った。
妻にすべてを話した。
妻の話も聞いた、長男の父親の事
長女が生まれて看護師として病院に勤めていた時、たまたま元カレがけがで入院して来た。
その頃俺は店も忙しく満足に妻をかまってやれなかった。
寂しさと懐かしさからつい関係を持ってしまった。たった一度のことだった。
まさか妊娠しているとは思わず。
俺の子供だと思い出産したらしい。
妻はただ泣いていた。
俺は何も言わなかった。
妻は俺への申し訳なさにいたたまれず。
次女が20になった折に離婚した。
だが、家族との縁まで切ったわけではなかった。
「血はつながってない」
長男は黙っていた。
「でも、お前は俺の息子や」
長男はしばらく黙っていた。
そして、
「俺も、そう思ってる」
と言った。
俺は泣いた。
長女も次女も、最初は怒った。
だが、時間をかけて少しずつ関係を取り戻した。
そして優花 真理
実の娘であることを知った真理は、俺を父親として受け入れた。
最初はぎこちなかった。
「お父さん」
その一言を聞くたび、俺は胸が痛くなった。
自分が父親として生きるはずだった時間を、失ってしまったことを思い知らされる。
それでも俺は、娘との時間を取り戻そうとした。
一緒に食事をした。
買い物をした。
彼女の話を聞いた。
仕事の相談にも乗った。
恋愛の話も聞いた。
そして優花の話も
彼女の夫は優香が既に妊娠している事も知っていて、優花もシングルマザーを覚悟していたらしいが、
それにも関わらず、全力で優花の事も真理の事も愛してくれていた様だった、それゆえ結婚を早めたのだろう。
それでも真理に妹が出来た時にはどうしても
実の娘の方が可愛くなったらしい。
それもしかたのないことかも、
俺の場合は全員俺の子供だと思うから愛情が注げた部分もあるが今となっては複雑な部分もある。
「お父さん、昔からそんなに女の人にモテたの?」
真理が笑う。
「まあな」
「調子乗ってそう」
「……乗ってた」
二人で笑った。
俺は初めて気づいた。
幸せというものは、若い頃に思っていたようなものではない。
女を追いかけることでも。
金を稼ぐことでも。
店を大きくすることでもない。
失ったものを数えるより。
残っているものを大切にすること。
それだけなのかもしれない。




