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突然ですが魔術が使えないので(チートな)魔力と結界術を極めます。  作者: 来栖榊


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第5話 未知(魔術)との遭遇

「それはそうと、お嬢様何が起こったか事の詳細をお聞きしたいのですが…」

「あ、えと…」

ニーシャはナタリーに窮屈だったから城を抜け出してこの森へ入ったこと。そしたら盗賊に襲われたこと、その盗賊に捕まりそうな時に俺が現れて助けてくれたことなどを詳細に語った。


「なるほど……。」

ナタリーが静かに頷く。


「つまりノエル様は、お嬢様を守るため命を懸けて盗賊達へ立ち向かい――」


「命?懸けてないけど。」ん?なんかニーシャが言ってたことと違う気がするけど。


「見返りも求めず――」


「ごりっごりに魔術求めてきたけど…?。」

あれ?ナタリー話聞いてる?てかニーシャもニーシャで言葉選びがすごいな。


「それでもお嬢様の安全を第一に考え――」

「正直言って、魔術のことしか頭になかったよ」


「なんて慈悲深いお方なのでしょう……。」

話聞いてねぇなこれ。なんだ?さっきも話聞かなかったし、もしかして思い込みが激しい口か?

ナタリーがほんのり頬を染めながらこちらを見る。

だからなんで頬を染めてるんだ?


「ノエル、諦めて、ナタリーはちょっと思い込みが...」

「いや、大分だと思うけど…」


――――――――


雑談を交わしながらしばらく歩くと森が少し開けたてきた。


「ていうか、今どこ向かってるんだ?」

さっきから景色がほとんど変わらない森を歩き続けるのも退屈になってきたところだ。


「王都です。」王都ねー。なんか面倒事になりな気がするのだが。まあ、気のせいだろう。何にせよ俺はそんなことはしない。いや、それより忘れてた。


「ナタリー」


「はい?何でしょう。」


「魔術見せてくれ!」


「よろこんで。それこそ、私はいつでも魔術みせますよ。」

おお、ナタリーとっても気前がいいな。いつでもか。それにどんな魔術を使うのか楽しみだ。なんせ風系統魔術のようで風系統魔術ではない特殊な風魔術をつかっていたのだから。


「ふふっほんとにノエル様は魔術が好きなんですね。」

さっきもニーシャに言われた気がするのだが...まあ


「当たり前だよ。」

魔術は良い。何にせよ面白いし、美しい術式の数々。無から有を生み出す属性系統魔術。挙げだしたらキリがないが、魔術の素晴らしさは語り尽くせない。それほどまでに魔術は最高なのだ。


ん?待てよ、王都ってことは魔術使える奴が沢山いるってことだよな。なにそれ最高すぎないか?それにナタリーにはいつでも魔術を見せると言われてる。それに気になることがある。


「王都に魔術書はある?」

「ありますよ。」

「沢山?」

「沢山ありますよ。」最高!

「研究施設は?」

「ありますよ」最高!

「魔術師は?」

と聞いたところでニーシャが割って入り誇らしそう話し出す。


「いっぱいいるよ。トラルディア王国には優秀な魔術師が沢山揃ってて、なによりレベルが違うんだよ。幼い頃から貴族は魔術学園に入って優秀な教師から魔術を一から教わるの。それに――」


「何やってるんだニーシャ早くしないと置いていくぞ。」そこまで聞いた俺の心はとっくに決まっていた。ナタリーもいつでもと言っていたし後で見せてもらうから今は王都に直行以外あり得ない。


「さあ!新たな魔術を探しに行こうか!」


「ちょっと!ノエル置いて行かないでよー!」

「ふふっお嬢様早くしないと置いていきますよ。」

「ナタリーまで!?ちょっと二人とも待ってよーーー!!」


後ろからニーシャの悲痛な叫びが聞こえてくるがどうでもいい!今は王都にいち早くたどり着くのが先決だ。


そうして、急いで走ることしばらく経ち、違和感。


「これは...」圧倒的に禍々しく濁った魔力を感じた。醜いと形容するのが正しいとも言えるそんな魔力だ。


「ナタリー」

「はい。ノエル様も感じましたか」

「もちろん。」


ナタリーが両手にナイフを持ち構える。

「お嬢様、離れててください。」

「わ、分かった」

ニーシャも俺たちの反応から何かを感じ取ったのか。大人しく後ろに下がる。


「グオォォォォッ!!!」

次の瞬間獣の方向が響く。色んな声が混ざったかのようなおぞましい咆哮にニーシャが怯える。そして、間髪入れず目の前の木々を揺らしながら、()()()が現れる。


それは獣、と呼ぶにはあまりに冒涜的な姿をしていた。黒い瘴気を身に纏う5mほどのそれは辛うじて獣の形をしており、醜く溶け出した肉塊のような姿をしている。

こちらを認識したそれは真っ直ぐに俺たちに突撃してくる。


その声もよく聞けばグオォォォォなどではなく

「グGrrォrrrォoooooo!!!」それぞれの違う声が主張してるかのような声だった。やっぱきもいな。


「こいつは...何だ?」

「一体何でしょう?」

見たことがない生き物に少し驚くが、それよりも異質な魔力に気が向いてしまうな。っと


[結界]

突撃してきたそれは反応することもできず結界にぶつかるが当たった時の音がグシャじゃなくてベチャ寄りだったのは見た目から想像するのは容易かった。


「ナタリー、俺がこいつ止めておくから攻撃よろしく。」俺から結界を出して攻撃するのはできなくもないがナタリーの魔術が見たいのであえて攻撃しないことにしよう。さあ!ナタリーよ魔術を使うのだ!

「やはり、ノエル様…素晴らしいです!それでは遠慮なく【風水系統合成魔術:五里霧中】」


謎の獣の周りに霧が出現しすぅーっとまるで霧に紛れるようにナタリーの姿が消え去る。


合成魔術か。これは驚いた。まさか合成魔術を使うとは思わなかった。おそらくこの魔術は、ただ姿を消すだけでは相手が魔力探知出来るものならばバレるが、水系統で魔力を霧のように分散させることにより、完全に溶け込んでおり、認識阻害のような役割を果たしてると言ったとこか。

なるほど道理でさっきはあそこまで接近を許したのか。


ザンザンザン――とナタリーが小気味よい音を立てながら謎の獣を斬りつける頃には目の前に佇む謎の獣はすでに瀕死のようだった。こいつデカい割には大したことないな。


ん?さっきから何か引っかかるなと思ったらこいつ魔術的な何かが施されてるぞ。まさかまた新たな魔術に出会えるとは…だが、術式は不安定で理論もバラバラ。まるで実験でもしてるかのような魔術だ。

ふむ、ふむふむふむふむ。

よし!こいつ捕獲しよう!


しかし、この魔術は属性系統魔術ではない初めて見る魔術だ。楽しみだな〜。主とする属性、性質は何だろうか。ただ、それだけにこいつに施されてる魔術が未完成なのが残念だ。

しばらく俺が思案しているとナタリーがこいつにとどめを刺そうとている。


「ナタリー!とどめを刺すのちょっと待って!」

「え?」すんでのところでナタリーは謎の獣に刃を振り下ろすのを止めた。

ふぅ、危ない危ない。魔術に繋がるかもしれない貴重な奴を失う所だった。

それにしても俺の咄嗟の言葉に反応して止めるなんてナタリーなかなかの腕前をしてる。これは魔術を見るのが楽しみになってきたぞ。フフフ。


「ノエル様、どうして止めたのですか?」

「こいつ魔術的ななにかを施されてる。だから――」

「「あっ」」どうやら俺の言葉から何かを察したようだ。何にせよ、余計な押し問答をしなくて済むのはいい。


「ちょっとこいつを調べたら王都に行くから待ってて。」

「分かったよ。」「分かりました。」


そうして俺は瘴気獣に近づく。それにしてもとんでもない匂いだ。めちゃ臭い。そして、見た目がなかなかキモすぎる。


おーなるほど、おおよそ分かった。

まず既存の属性、性質でないことは確かだ。記憶を失っててもこれだけは断言できる。こいつは何らかの病気、ウイルスに感染していた獣でこいつは一度死んでる。ていうより今も死んでるのは継続中。さっきの動きをよく見ると死後硬直が起こっててそれを無理やり動かしてるようだった。

じゃあ、なぜ動いてるのかって?それは


「寄生されてる」からだ。

「寄生?」「うん。こいつは致死性を持つウイルスに感染して一度死んでる。そして寄生されて動いてるって感じかな。」

「え!?死んでるの?」「そうなのですか…」

こいつの体中に黒い斑があって、皮膚がひび割れて胸の中心辺りが爛れてる。これがこのウイルスの症状なのだろうか?

そしておそらくウイルスと寄生生物は共存関係にあるのだろう。侵して、乗っ取る。なかなかにグロいことしてるなこいつら。そして、一番の驚きはこれだ。


「このウイルスと寄生生物は既存の種は存在しない。」

「え?どういうこと?」調べてみて分かったのだが黒い斑点や爛れたところから術式などは見つからなかった。そう、ウイルスと寄生生物に術式が込められていた。いや、込められていると言うよりウイルスと寄生生物自体が術式と言えるだろう。そうつまり、


「このウイルスと寄生生物は魔術で作られた物だ。」


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