第4話 新たな刺客?
「あ、そういえぼ名前言ってなかったね。俺の名前はノエル。ただのノエル。それで、君の名前は?」
「私の名前はニーシャ・ヴァレンティア・フォン・トラルディア」
「いや、長っ!?ニーシャ・ヴァレンタインなんだって?」余りの長さに思わず聞き返してしまった。
「ニーシャ・ヴァレンティア・フォン・トラルディアです!!」
「ああ、ごめんごめん。」
どうやら、俺が間違えたせいで大変ご立腹の様子。
「むぅ……。」
そこでニーシャがふと首を傾げる。
「あの……。」
「ん?」
「トラルディア、だよ?」
「そうだけど?」
「その……何も思わないの?」
「?」
ん?何が言いたいんだ。意図が汲めないな。
「名前長いなーとは思った。」
「そうじゃなくて……。」
「うーん、じゃあ名前が長いからどこかのお偉いさんとか?」
「そ、そうだけど...あの、もしかしてだけどトラルディア王国って知らない?」
「トラルディア王国?」
聞いたことがあるような、ないような。
そもそも俺には過去の記憶がない。
一般常識は分かるのに、国名となると妙に曖昧になってくる。…やっぱ魔術以外曖昧かもしれない。
「知らないな。その国がどうしたの?」
「え?し、知らないの?そのトラルディア王国がここなんだけど...」ニーシャが本気で困惑している。まあ、無理もないか。ここにいる以上この国を知ってるのは必然であるはず。
でも、1つ言わせてほしい。知らないものは知らない。本当に知らないんだよ!
「なに、もしかしてニーシャはトラルディア王国のお姫様とか?」
「え……。な、何でわかったの!?」
「え?」
この子少しポンコツなのかもしれない。王族にありがちな長ったらしい名前だし何より、国名と名前が一緒ってことは何かしらの関係はあることは分かるはずだ。
「いや、長い名前だし、名前と国名が一緒だから」
「それだけで!?」
「違うの?」
「違わないけど!それでも、先にトラルディアの方に反応するんです!」
王族、ね、なるほどな、道理であいつらに襲われてたのか、それなら辻褄があう。ただ先程のニーシャの反応的にやはり詮索はしないほうが良いかな。
「あ、忘れる所だった。呼び方はニーシャ、でいいかな?無詠唱見せてよ!」
「……フフッ。ほんとにノエルは魔術が好きなんだね。分かったよ。」
「じゃあ見せるね。」
ニーシャが手を掲げる。
その瞬間だ。ゾワッ
魔術につながる何かが見つからないか先程から常に魔力を探知していたら、先ほどの男や目の前のニーシャと比べても遥かに異質で強大な魔力を探知した。しかもそれが
「――ん?」
凄まじい速さで
「え?」
「ニーシャちょっと待って。」
ニーシャが首を傾げて、こちらに近寄ってくる。
「どうしたの?」
「なんかすごい魔力が近づいてる。」
こちらに向かってくる。
「え?」
「上だ。」
バサァッ!!森の木々が大きく揺れた。その次の瞬間黒い影がこちらというより俺に向けて刃を向けてきた。
[結界]
カキィィンとナイフと結界がぶつかり甲高い音を立てる。それに同級の強化系統魔術よりも
「速いな。てか、頭と心臓狙うなんてめちゃくちゃ殺意高めだね...俺君に何かしたかな?」
ロングスカートのメイド服。ミディアムボブの銀髪。
「その方から離れなさい。」
「………ー!?」
ふむ、その方ね、てことはニーシャの護衛だろうか。なんにせよ、ここは穏便に会話で誤解を解くとするか。
「誤解だよ、俺はニーシャに何も危害を加えてないよ。むしろ――」「だまれ!お前のその異質で異様な魔力色は何だ?怪しすぎる。そんな奴の言葉なんか信用出来ない。」カキィィン。
「…え、………も!」
「信用出来ないって言われても、そもそもそっちから襲ってきてるし、怪しいのはそっちだと思うけど。」
「それならば、その異質な魔力は何だ?それにお前の格好そこで倒れている奴らの仲間じゃないのか?」
カキィィン。
「ちょ……てるの?」
言われてみれば確かに俺もボロボロの布切れを纏ってる。この男達と同じ仲間と思われても違和感ないか。
カキィィン
「え、私ここにいるよね?急に見えなくなったとかないよね...」
「てか、攻撃してこないでよ!さっきから的確に急所ばっかり狙ってきて一体君はなんなの?」
「…………」カキィィン
「ちょ、だから」
「っ…………」カキィィン
「ねえ、諦めないで、会話しよう...」
「…」カキィィン
「何か言えよ!!」カキィィン
えぇ...とうとう何も言わなくても攻撃してくるようになってきたぞ。こいつ…
「二人ともいい加減にして!!!
【風系統下級魔術:風弾】!」
【結界】「って、おお!!それは無詠唱じゃないか!」
カキィィン
「お前はそろそろやめい。」ペシィン
いい加減鬱陶しくなり、結界を圧縮させハエ叩きの要領でカキィン女の頭をひっぱたいた。
「………?…、??」
少し楽しくなって気づかなかったのかそれともまさか反撃されるとは思わなかったのか、首を傾げ少し涙目になりながらこちらをみてきた。
「ナタリーもノエルやめなさい!」さっきのニーシャとは比べものにならないくらいの剣幕で、こちらに詰め寄ってくる。よほど無視されたのが効いたのだろう。ごめんニーシャ。
「返事は!!」「はーい」「承知いたしました。」
「それで、こいつは一体何なの?」と、カキィン女について尋ねる。
「この子の名前はナタリーで、私の専属メイドで護衛でもあるのよ。」
なるほど、中々過激な護衛だ。それほどまでに危険な奴だと見えたのだろうか?一体俺のどこが危険だと言うんだ?
「ナタリーこの子は、ノエル。そこに倒れてる盗賊から襲われそうな時に助けてくれたの。」
「なるほど。そういうことだったのですね。私としたことが早とちりしてしまいました。異質な魔力だったのでつい。」
「ノエル様申し訳ありません。先程のこと謝罪させてください。」
「ま、早とちりなら仕方ないか。
だが、断る。」
「?.………??」
そんなガチ困惑しないで...
「では、何かお詫びを...」
「その言葉を待ってたよ。」
「ふふふ、ナタリー覚悟してね。」
ナタリーがゴクリと喉を鳴らす。
「それなら、
ナタリーが使う魔術を見せてくれ!」
「?…………??」
またガチ困惑してる...
「///」
って思ったら頬赤く染めてこっちチラチラ見てきたぞ
えぇ...だから怖いってなんなのこの人...
――――――――
その時のナタリーの胸中
「その言葉を待ってたよ。」
「ふふふ、ナタリー覚悟してね。」
この少年が一体私に何をお願いしてくるのだろうか。
大変なことじゃなければいいんだけど...
「それなら、ナタリーが使う魔術見せてくれ!」
「?…………??」
何を言ってるのこの子?たったその程度でいいの?
はっ、まさかこの子がそもそも何かを要求してきたのも私の罪悪感を減らすため?だとしたら辻褄が合う。自分が子供であることを理解してるからこそ最初は敵だと認識していたとは言え子供の命を狙った私のことを...あぁ、あんな酷いことを言ってしまった自分を悔いたい。なんていい子に向けて刃を向けてしまったのだろう。近くで見ると整った顔立ちをしていて可愛く見えてきた。
決めた!私が守らないと!ノエル...か。ふふっ




