第2話 目覚めて初めての魔術はこれでした
いい感じにまとまらなくていつも書くよりほんの少し長くなってしまいましたが、ぜひ読んでください。
魔術の気配を感じた俺は急いで魔力の霧散地点へ向かう。ここから直線距離で六百メートルほどで思ったより近くて助かった。なんにせよ早く魔術を見たいから。
魔力が霧散している場所へ向かう道中、角の生えたウサギや牙の異様に鋭いイノシシが突っ込んできたが、相手するのが面倒なので殴り飛ばしておいた。
そうして、しばらく走り後少しでその場所に着きそうになった時、属性系統魔術の詠唱が聞こえてきたため、俺はさらに速度を上げ、着いたと同時に魔術が見れる喜びのあまり叫んだ。
「まーじゅーつーの気配!」しかし魔術を放とうとしていた男が途中で魔術の詠唱をやめてしまったため、魔術を見ることができなかった。どうしても魔術が見たい俺は
「さあ!俺にどんどん魔術を見せてくれ!」と二人に向かって言った。
「お前誰だ?なんでこんなところにガキがいやがる。」
しかし、返ってきた言葉は魔術の詠唱ではなく、俺がここにいることへの疑問のようだが、そんなことはどうでもいいからさっさと魔術を使ってほしい。
「魔術だよまーじゅーつ。分かる?さあ!さっきみたいに詠唱から初めてよ!」
「ああ?んなこと分かるに決まってんだろ。オメェ舐めてんのか?」
となぜか急に怒り出した。なんでだろう?ただ単に怒りやすいようにも見えるが、単純ににさっきの言葉が馬鹿にしてるように聞こえたのだろうか?まあ事実そうだけど。
「こんな所にいるってことはおめぇ普通のガキじゃねえなこいつの護衛として雇われた?だが、それにしては...」
男は顎に手を当て考えるような仕草をしながらブツブツと何かを言っている。なんか無視してきたしコイツはほっといて、そこの少女に聞くとしよう。
「じゃあそこの君魔術見せてよ!霧散した魔力と魔力回路的に風系統でしょ!いいね!雷系統に並ぶ速射性でとても汎用性がきくいい魔術だ」
「え?あ、あの...」
俺が矢継ぎ早に言葉を投げかけたせいでオロオロしだした。ここはフォローをしておかないと。
「ああ、ごめん。そんな急かすつもりは無いんだよ。ただそこで俺に向かってでもいいから、魔術を放つだけでいいんだよ。」
「だあ!魔術、魔術うるせぇ!お前が誰かなんてこの際関係ねぇ。どうせガキ一人増えたところで何も変わらねぇ。死人に口無しだ。そんなに魔術が見たいならお望み通り見せてやるよ。」
「お?まじか!とうとうその気になったか。いいね!君が使う魔術は土系統かな?さっきも詠唱してたし。」
男は結構な口火を切っているからさぞ素晴らしい魔術を使うことであろう。それこそ超級じゃなくて上級でもいいから見せてほしい。まぁ見せてくれるなら初級でも下級でも何でもいいけど。
[脈動する偉大なる大地よ「ん?」我が呼び声に答え、その力を我が身に「あ、この詠唱的に使う魔術は下級かぁ...そっかぁ...」
あんだけ大口叩いたんだからどうせならもっと派手な魔術を使って欲しかった。まぁ、下級でも後ろの木を抉る威力はあるけど。
「いまさら後悔しても遅いぜクソガキ。死ねぇ!【土系統下級魔術:岩弾】!]
「あ、危ない!」
少女が心配してくれているようだがあいにく心配はいらない。下級程度じゃかすり傷も負わないからね。
ふむ、肝心の魔術はと言うと、魔法陣を見る限り一般的な土系統下級魔術のようだ。何らかの強化が施されてるわけでもなく、ただただ平凡そのもの。だが!それも良い。やはり魔術は興味深い、それも普通の属性魔術では出来ない、無から有を作り出す属性系統魔術と来たら尚更だ。
しかし、下級魔術ではあるが、これがなかなか侮れない。風系統や雷系統のような速度と速射性は無いものの安定性と堅実さがある。
「いい!やっぱり魔術は至高にして最高!それも久しぶりの魔術と来たら生身で受けるのが道理だと思うけどやっぱどれくらいの威力かは見たい。だから」
[結界]
魔術によって作られ射出された鋭くとがった岩が俺に当たろうとする―すんでのところで俺の目の前に半透明な遊色効果の色をした壁が出現し岩弾は壁に当たると甲高い音を立てて砕け散った。
やはり、威力は普通の土系統と変わらないようだ。
「何!?おめぇ今何した?透明な壁で岩弾を軽々と防いだだと!?」
「す、すごい。」
それぞれの反応的に男は驚きが大半、少女は感心と驚きが半々といったところだろうか。よし今回は詠唱ありだったから次は無詠唱をくらってみようか。
「よし!次は詠唱なしで無詠唱の岩弾みせてくれ!」
「おい!おめぇそれなんだよ!質問に答えろや」
「あぁ、それって結界のこと?」
「結界って馬鹿かおめぇそんなのガキに出来るわけないだろ。ただでさえ魔力消費が馬鹿にならないし、何より結界はそんな小さくねぇ。それこそ超級魔術とかやべえやつを防ぐための最終手段みたいなもんだぞ?そんなもんおめぇなんかに使えるわけねぇ。」
ん?何言ってるんだ?今の結界はただ術式も介さないただの魔力の障壁いわば魔力の塊だぞ。ただ、俺の場合はでかすぎると面倒だから凝縮し押し縮めてコンパクトにしてるだけで特別なことは何もしてない。
「それにそんなに魔術が好きなら、おめぇが自分で使えばいいだろ。」
ごもっともであるが、生憎俺は魔術が使えない。なぜなら魔術を使うには魔力回路が必要であり、これは魔術の心臓っていうかほぼほぼ魔術そのものの要素を決める利用、創造、短縮、射出、作用――そういった全ての工程を魔力回路が担っている。
つまり魔力回路が存在しなければ、魔術は絶対に使えない。こればっかりは神でさえも変えることができぬ事実であり常識だ。そしてどういう訳か俺は魔力回路が存在しない。つまり、
「生憎、俺は魔力回路が存在しないから魔術使えないんだよね。」
「………ぶはっ、まじかよ御伽話かと思ったが、まさか魔術が使えねぇ人間に会うとはな。ただいるってことは聞いたことはあるぜ?おめぇらのこと何て言うか知ってるか?」
さあ?何て言うのだろうか。魔術が使えない落ちこぼれだから無難に劣等種だろうか。それとも魔術を使う能が無いから無能だろうか。まあ、魔術が見れるならどうでもいいけど。
「無能種って言うんだぜ?
フン、それならおめぇが結界使ったってのも嘘だろうな。なんせ無能種が結界なんか使えるわけないもんな。ギャハハハハハ。」
無能種――。
俺と男を見ていた少女の肩が小さく震える。
その言葉が、この世界でどれほど侮蔑的か分かるのだろう。
しかし、なるほど、そう来たか。まさか俺の考えた無能と劣等種を合わせるとは、考えたな。っていう冗談は置いといてやはり、魔術が使えないと差別されるのか。
とりあえずじゃあ、次の魔術見せてもらおう。
「よし!じゃあ、無詠唱で岩弾よろしく!」
「は?今の話聞いてたか?おめぇ無能種つったんだぜ?少しは反応しろやボケェ。」
「反応って言われても特に何とも。まあその顔に言われたらムカつくけど、今は魔術を観ることが先決かな」
「んだとクソガキィィ、舐めんなや。やってやるよ。じゃあ準備するから後ろ向いてろ。」
なんの準備だ?無詠唱に準備とかいらんだろ。まさか無詠唱出来ないから普通に詠唱して俺に不意打ち当てるために後ろ向かせたとか。まっありえないか無詠唱なんて当たり前の技術できないほうがおかしいし。
なんなら詠唱は詠唱することで、その魔術の術式を一から構築することで安定させたり、自身が使える
魔術所謂力の誇示が目的で、大体超級魔術とかを無詠唱じゃなくて詠唱するはずだ。
「ねえ、後ろ向いたけど準備終わった?早く魔術見たいんだけど。」
[ミャクドウスルイダイナルダイチヨワガヨビゴエニコタエソノチカラヲワガミニ土系統下級魔術:岩弾]
「死ねぇぇぇぇクソガキぃ!」
男の必死な早口詠唱に、思わず言葉が漏れてしまった。
「いや、詠唱するんかい」
すんごい小声で早口の詠唱。やっぱ無詠唱できないのかな?ただ、やっぱ無詠唱も観たかったためそれだけ残念だ。それにしても、よく噛まずに言えるな。
「無詠唱じゃないのも良いけど今はいいかな」
[結界]
「だぁぁぁぁ!何なんだよオメェはよぉ!!なんで俺様の魔術が防げるんだよ。」
なんでって言われても、はっきり言って弱い。下級止める程度造作もない。それこそ術式ちょっといじって中級くらいの威力にしたり、連射できるようにしないと話にならない。
「詠唱するってことは、やっぱ無詠唱出来ない感じ?」
「たりめぇだろ。無詠唱なんて出来るわけねぇ。無詠唱は一般的に上級魔術が使えないと話にならねぇぞ。」
何だと!?無詠唱なんていう簡単すぎる技術が上級魔術師じゃないと使えないだと!?
まあ、俺詠唱どころか魔術すら使えないんだけどね。
ナチュラル煽りをかましてブチギレの男(未だ名称不明)そしてお察しの通り主人公くんは魔術バカです笑
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