↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/23

樹.Last Hope Island 第2章第7節【裏切り】

「これはどういうことだ…!?」魚人族のアルは激怒し、必死に抗った。


鎖が「ガチャガチャ」と耳障りな音を立てるが、びくともしない。傷一つさえつかなかった……。


それから数日間、扉の隙間から食料と水が差し入れられたが、誰が自分をここに閉じ込めたのか、まったく見当もつかなかった。


そしてある夜、閉ざされたままだった扉がようやくゆっくりと開いた。ランタンの火に照らされたその人物の顔を見た瞬間、アルは北極海に突き落とされたかのような骨の髄まで凍る恐怖を覚え、全身を激しく震わせた。目の前にいるその人間は、かつて自分が嵐の中から救い出した、大髭のサベファだった。


「先日は助けてくれてありがとよ! だが、お前は極めて珍しい魚人族じゃねえか。伝説の中だけの存在だと思ってたが、まさか本当に目の前に現れるとはな!」大髭のサベファは、欲にまみれたギラついた目を向けながら、アルの髪を力任せに掴み上げて言った。


「見てくれ、こいつが本物の魚人族だ!」大髭のサベファが身をよけると、後ろにいた奴隷商人が品定めするようにじっくりと観察し始めた。


「これほど稀少な出物は、本当に初めて見るな……」奴隷商人は感心したように頷きながら言った。


「だろ? 今回はたっぷり色をつけてもらうぜ!」大髭のサベファは下品に笑いながら奴隷商人の肩を組み、部屋を去っていった。残されたのは、怒りに震え、歯を食いしばって絶叫するアルだけだった。


数日後、アルは闇市の地下競売場へと連行された。そこでは奴隷や美女が日常的に取引されていたが、極めて珍しい魚人族の登場に、買い手たちは一斉に驚愕の視線を送った。誰もが独占したいと望み、すぐに激しい競り合いが始まった。そして最終的に、王室の血を引く貴族が彼を競り落とした。


古い伝承では、魚人族の肉は万病を癒やし、寿命を延ばす効果があるとされていた。哀れなアルは部屋に監禁され、日の光を見ることも許されなかった。貴族はアルが自害するのを恐れ、彼を鎖で柱に縛り付け、口すら閉じられないようにした。生かしておくためだけに、毎日強制的に食事を流し込まれた。そればかりか、アルは毎日肉を一切れずつ削ぎ落とされ、血を抜かれた。それは貴族が自ら摂取するため、あるいは他の有力者たちへ献上するためのものだった。さらに、貴族が宴を催すたびに、アルは「見せ物」として引きずり出され、貴族たちの歪んだ欲望を満たすために虐待の限りを尽くされた。


一年が経つ頃には、アルは見る影もないほど痛めつけられていた。両目は潰され、耳は削がれ、喉は沸騰した湯で焼かれ、手足は切り落とされ、息も絶え絶えの状態だった。従者がアルが死んだと思い貴族に報告すると、貴族は「崖から投げ捨てろ」と冷淡に言い放った。こうしてアルは、100フィート以上の高さがある崖から海へと突き落とされた。


普通の人間であれば即死する高さだったが、魚人族は生まれつき強靭な生命力を持っていた。瀕死の状態であっても、海に戻ったことが皮肉にも彼を生きながらえさせることになる。幸いにも、その夜は激しい嵐が吹き荒れていた。この恵みの嵐がアルを大西洋の深海へと運び、冷たい海水がアルの代謝を極限まで低下させた。その後、食事のために外へ出ていた魚人族の同胞が、変わり果てた姿となった族長を偶然発見し、慌てて彼を救うためポセイドン神殿へと連れ帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。