協力技
「空から攻めるとは考えましたね」
「おう。まさに意表を突く作戦だろう?」
ケルヴィンが感心して、アベルは鼻高々になっている。
ラルフが諦めたふうに息を吐いた。
「まあ、数人程度を転移魔法で魔物の頭上に運ぶことなど造作もないがな」
「つまり頭上から攻撃を加えることに適した者が後発部隊だな」
カルメンが言い、一同を見渡す。
頭上からの攻撃……魔法ではなく得物を持った者が適しているのだろう。剣や槍といった直接攻撃を加えられる武器が向いている。
(そうなると、魔法主体で戦う私やヒース、フィオナは除外になりそうかな)
そういったことを踏まえて、仲間内でああだこうだと言って決まった面子は――
①先発部隊…セシリーナ、ケルヴィン、ヒース、フィオナ、アンソニー、ダグラス
②後発部隊…アベル、ラルフ、カルメン、デューク
となった。
後発部隊は聖剣を扱えるアベル、竜族で飛行可能なラルフとデューク、そして槍術を扱えるカルメンが適役と判断。消去法で残りの仲間が先発部隊となった。先発部隊も前後から挟み撃ちする隊列で分ける。
前側はケルヴィンを中心にセシリーナとヒースが援護に回り、後側はダグラスとアンソニーを中心にフィオナが援護に回ることになった。
セシリーナの隊をA班、フィオナの隊をB班、アベルの隊をC班と名付けた。
創世の女神は万が一深手を負ってはこの世界の存続に関わってしまう。そのため彼女はもしものときの退路の確保を担うことに決定した。全体の戦況を俯瞰して見てもらい、もしも不利と判断したら全員の戦線の離脱を行う係だ。いわゆる現場監督である。
ケルヴィンが決定したことを議事録に認める。
「――これで隊列決定ですね」
「ああ。あとは各隊で詳しい作戦を話し合ってもらったほうがいいな」
「ええ。その内容を全員で共有いたしましょう」
アベルが提案してケルヴィンが頷いている。
各隊での話し合いは重要だ。足並みを揃えておくことがきっと勝機に繋がる。
ケルヴィンがセシリーナとヒースに頭を下げる。
「セシリーナお嬢様とヒース様はこちらへ。作戦を練りましょう。我々は先発部隊の前側攻撃を担当いたします。後続部隊にバトンを繋げるために良い滑り出しにしましょう」
「そうですね!」
「重要な役割になりそうだね」
セシリーナとヒースが言い、ケルヴィンの三人で顔を突き合わせる。
それぞれの部隊も個別に集まって作戦会議を始めていた。皆真剣な顔つきで、とても頼もしい。チームワークが感じられた。
自分たちは『星を喰らう魔獣』の正面から攻める。下手な小細工は通用しないかもしれない。いかに自分たちに魔物の注意を引き付けるかの役割だ。派手にドンパチやることと、相手を圧倒することが主軸になるだろう。
そうだとすると――
「初回から全力全開、フルパワーで攻めるべきですね!」
「そうなりますね。そして相手の視界を奪うような眩しい攻撃がいいかもしれません」
「眩しい……。全属性の魔法を一斉に打てば花火みたいにはなるんじゃない?」
「それちょっと楽しそうですね!」
ヒースが両手で花火が上がる真似をして、セシリーナが同意する。
全属性魔法……つまり自分は四大精霊を一斉に召喚すればいいだろうか。一気に自分の持つ魔力を消耗してしまいそうだ。けれど背に腹は代えられない。
ケルヴィンがヒースに目を向ける。
「ヒース様、ひとつお願いがあるのですが」
「なんなりと」
「私が得意とするのは魔法剣です。ですからどの属性の魔法を剣に宿らせるか考えていたのですが、自分だけの力では不十分だと思ったのです」
「うん。それで?」
「そのため、ヒース様のお力をお借りできないでしょうか? つまり、貴方様の扱える聖魔法を私の剣に宿していただきたいのです」
「つまり、聖属性の魔法剣で戦うということ?」
ヒースの問いかけにケルヴィンが神妙に頷いた。
聖属性に目をつけたのは良いアイディアだと思う。聖魔法は基本的に治癒や補助の効力があるものが多く、攻撃魔法は少ない。だからこそ魔法剣に宿して攻撃したときには未知の威力が出るかもしれない。また『星を喰らう魔獣』が星の破壊を司る魔物だと仮定すると、再生を司る聖魔法は正反対のため弱点属性になる。弱点攻撃――いわゆるクリティカルヒットを狙えるかもしれない。
ヒースが目を瞬く。
「それは発想の転換で名案だね。聖魔法を宿した剣戟はおそらく眩しいだろうし」
「聖なる光を発しそうですよね!」
「眩しいほどの剣圧を飛ばせるように工夫してみます」
セシリーナが身を乗り出して言うと、ケルヴィンが苦笑する。
これでケルヴィンとヒースの戦法は決定した。後は自分だ。四大精霊を一気に呼び出すことができれば一番。なのだけれど、果たして自分にできるだろうか。
――……きっと大丈夫だ。
ここ一番の大勝負。きっとシルフもウンディーネも、イフリートもノームも力を貸してくれるはず。精霊使いとして彼らが最大限力を発揮できるよう力を尽くすのだ。たとえ魔力切れを起こしてへろへろになったとしても。足を踏ん張るのだ。
自分たちが作戦を練っている間に、各小隊もそれぞれに戦略を決めたようだった。
そうしていよいよ『星を喰らう魔獣』との大戦が幕を開ける。
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