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最強の相棒 〜弱い僕と弱い君で異世界最強を目指す〜  作者: グラミヤマ
第二章 剣呑なるダンジョン
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第二章17『見送ることと、見捨てること』

 時間帯は体感的に朝の五時過ぎといったところか。 ヒロトはなんとなく街を散歩したくなったので、マレッカを連れた二人で中央街に聳える噴水の周辺を歩いていた。

 

「なんかデートみたいだね」 


「……は?」


「マレッカの見た目ってすごく可愛いでしょ? だからそう思ったんだ」


「人のコンプレックスを軽々しく突いてきやがるな……」


 可憐という言葉が何よりも似合う存在と肩を並べて歩いているので、ヒロトがそう思うのも無理はないだろう。

 例えマレッカが男であろうと、絵面だけでいえば本当にそう思えるからだ。


「やっぱコンプレックスなんだ……僕は女の子になりたいとか思ったことあるけどね。 まあ、実際に女装した時は恥ずかしかったけどさ」


「妙なカミングアウトはよせ」


 仲間に女装願望があろうと、それで見る目が変わったりなどということはありえない。

 少ない期間でのことだが、曲がりなりにも生死を共にした仲なのだ。 如何に薄っぺらく見えようとも、確かな想いというのはそこに存在するだろう。


「まあ……もしお前に彼女が出来なかったら、その時は俺が付き合ってやってもいいぜ?」


「えっ、ほんと?」


「冗談だ」


 上げて落とす──ヒロト的にはそれが"上げ"なのかどうかはわからないが、そうやって人をからかうのが好きなマレッカらしさに、なんとなくヒロトの口元が緩んだ気がした。


「そろそろ早朝って時間も終わるな……どうする、なんか適当な依頼でもこなして朝飯食うか?」


「それやっちゃうとベルカに怒られそうなんだけど……」


「バレなきゃ大丈夫だろ。 ほら、さっさと行くぞ」


 華奢な見た目からは想像し難い力で腕を引かれ、あれよあれよという間に二人はギルドのある方向へと走り出していた。






















───────────────────────












「なんだ、あの人だかりは?」


「すっごい集まってるね……もしかして、ダンジョンの?」


 ギルドに着いた二人を待っていたのは、一階の受付カウンターを埋め尽くしそうなハンターの群れだった。

 しかも、ヒロトにはその光景の原因に心当たりがあり、ほんの少しだけ鼓動が早まる感覚を味わう。


「ギルドが調査するって噂のアレか……俺らみたいな底辺ハンターに知らせてないってことは、あいつら全員ギルドに認められた実力者ってことだぜ」


「だったらあの怪物も倒せるかも……!」


 二人は出入口の大扉に身を寄せながら、ヒソヒソと目の前の光景に対して話していた。

 


「みなさーん! 話は聞いてますよね、今日は突如現れたダンジョンを調査する大事な日ですよー!」



「おい、あれってベルカがすげぇ嫌ってる受付嬢じゃねぇか? 緑色の服着たさ」


「確かにそうだね……言動が気に食わないんだってさ」


 ベルカの天敵ともいえる受付嬢が、ヒロトやマレッカのような底辺ハンターへの対応とはまるで違った声色で凄腕ハンター達を呼びかけた。



「おや、ミス・ミンシア。 今朝の当番が貴女だったとは……またその美しい顔が見れて嬉しいよ」


「また私を口説きに来たんですか、グリンさん。」


「口説くだなんて……私はただ、思ったことを伝えているまでですよ」


 ヒロト達からは不評な受付嬢にキザな態度で話しかけているのは、"グリン"と呼ばれるハンターだ。

 その手は"ミンシア"と呼ばれた受付嬢の手に触れ、灰色の瞳は同じようにミンシアの瞳を緩やかに刺していた。


「またグリンが女を口説いてるぜ、テメェも女のクセしてよくやるよな!」


「全く……他人が麗しき花を愛でているというのに、よく邪魔ができるね? これだから男は野蛮で穢らわしいんだよ」


 灰色の髪の毛と、それと同じ色をした瞳が特徴的な"グリン"は、他のハンターにからかわれると同時にその整った顔立ちを強ばらせ、冷徹な目を向ける。

 罵倒されたハンターは「すまんすまん」といった感じで手を振りながらその場を立ち去った。


「あいつ女のクセして女が好きなのか? 変な奴だな」


「まあ……珍しくはないんじゃない?」


 マレッカが目の前の光景を『変』と表現したことに対して、ヒロトはその『変な光景』を擁護して見せた。

 同性愛者とか、両性愛者とか、そんなものはヒロトの元いた地球ではマイノリティではなくなりつつある傾向にあった。 それ故に、"グリン"を嫌悪したりなんて感情はこれっぽっちも湧かなかったのだ。



「と・に・か・く! 一大事なのでさっさと行ってきてください! 場所は紅森の大滝の裏、そこにとんでもなく大きな樹木があるのでお願いします!」



 自分の手首を握るグリンの手を振り払い、受付嬢のミンシアは大きな声でハンター達にダンジョン探索の開始を促した。

 グリンは渋々ミンシアから手を引いて、ギルドの出口へと流れるハンター達に混ざってダンジョン探索へと行ってしまった。


「行っちゃったね……僕達はどうしようか?」


「ダンジョン探索の結果を待つだけでいいだろ、俺達が行ってもまた死にかけるだけだ」


 探索に赴かないのなら、せめてダンジョン内の情報でも話しておきたかったと少し後悔するヒロト。

 宗教絡みの問題なので身の安全のために避けたのは事実だが、ハンター達が危険な場所へ足を運ぶのを黙って見ているのはやはり思うところがあるのだろう。


「俺達は俺達で金を稼がなきゃなんねぇ。 適当な依頼を探してくる」


「うん、頼むよ」

 

 



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