魔王、家事をやらされる
「では朝食の準備をお願いします」
爽やかな笑顔で、そう言い放ったのは姑である
「私がですか?」
「他に誰がいるのです?」
(いるだろ作る奴、これまでどうしてたんだよ)
ここは王城の厨房
広い、そして何より視線が...
料理人が一斉にこちらを見ている
(おいっ、シェフいるじゃん)
(仕事しろよ)
「さあ、始めなさい」
姑の言葉が響く
私は食材の前に立った
肉、魚、野菜、香辛料
人間界の料理はよく分からんが...
決めた、チャーハンだ
「見てせやろう」
魔界を支配した私の力を
人間界ではありえない火力を
「魔炎よ、フライパンを熱しあげよ!」
フライパンが一瞬で赤く染まる
「却下です」
「料理は魔力で作るものではありません」
「手抜きです」
(お前を料理してやろうか...)
「分かりました」
私は火をおとす
そして普通にフライパンをもった
数分後
「...美味い」
料理人が呟いた
聖女が口を開く
「もういいわ、次は洗濯をしてもらいましょ」
「やらないと討伐しますね」
(...一番ヤバいよな、コイツ)
「洗うだけ、ですね?」
姑が淡々と言った
「洗って、干す、それだけです」
山のような洗濯物が目の前に積まれる
「では始めなさい」
魔王の力を見せてやろう
さあ、目に焼き付けよ
「水よ、集え!」
「風よ...」
「却下です」
詠唱が終わる前に止められた
「魔力に頼らない」
「効率的だと思うのですが...」
姑は一刀両断
「手抜きです」
(お前を干してやろうか)
魔力は使わない
私はただ、黙って洗う
気づけば山のような洗濯物は片付いていた
「早いわね」
姑が初めて反応した
「実は2人とも、私より出来ないのでは?」
聖女の髪が逆立つ
「お婆様、どうしますか?」
姑がスッと手をあげ止める
「いいでしょう...」
「あなたと対決してあげます」
不穏な空気が流れる...
てか王子どこ行った...




