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バイト先での日常

 成り行きで杉山、柊と3人でお出かけが決まってしまった。僕としては全然嬉しいのだが、僕なんかとお出かけして楽しんでくれるか不安になっている面もある。

 そんな表情が顔に出ていたのか、杉山が「私たちが黒影っちとお出かけしたいだけだから大丈夫!」と言ってくれたので、だいぶ心は軽くなった。

 

 そして放課後、僕は雑貨店のバイトに出勤していた。


「こんにちは」


 僕は挨拶をしながら、バイト先の休憩室の扉を開けた。

 海外で働いている親からの仕送りはあるが、そればかり頼ってはいけないと思って始めた週三のバイト。今ではやりがいを感じており、非常に楽しく仕事ができている。


「よっす〜」


 僕の挨拶に、同い年の花凛が応える。

 彼女も僕と同じタイミングでこの雑貨店に採用されており、馬が合ったからか僕たちは顔を合わせて一週間も経たずに仲良くなっていった。

 仲良くなってからはこうしてシフトを同じ時間に合わせて、一緒に働いている。


「なんか玲、今日心なしかいつもよりニコニコじゃない?もしかして、彼女できたとか〜?」


 にやけた顔で花凛に指摘され、咄嗟に杉山さんたちが浮かんでしまった。いやいや、杉山たちは彼女じゃなく友達だ。


「僕が彼女なんて作れるわけないでしょ」


「ですよね〜。玲には私くらいしか女の子と接点ないもんねぇ。」


 別に女の子と接点あるし。なんなら女の子になっちゃったし。


「よ〜しよし。可哀想な玲くんにはお姉さんがハグしてあげましょう」

 

 ふくれていると、花凛が唐突に抱きついてきた。僕は反応できずに、彼女の腕の中に吸い込まれてしまった。

 僕は彼女より背が低いため抱きつきやすいのか、よく抱きついてくる。心臓に悪いからやめてほしい。

 僕の鼻腔が馨しい匂いを間近で嗅がされ驚く。

 一瞬頭が蕩けそうになるのを必死に堪えつつ、僕は花凛に女になってしまったことを悟られないように自分の胸を遠ざけていた。


「よ〜しよしよしよし」


 まるで子犬に褒美をあげるときのような幸せな表情で頭を撫でられると、こっちも拒否しづらくなってしまう。

 とはいえ、色々まずい状況なので抜け出したい。


「は、離してよ〜」


 僕が声を絞り出してそう言うと、僕を撫でていた手がぴたりと止まった。


「(そ、その言い方はちょっと…私がアブないイジメをしてるみたいじゃない…反則よ〜)」


「?」


 いきなり彼女の動きが止まったことに困惑しつつも、これがチャンスだと思い彼女の長い長い抱擁から抜け出した。

 何か小声で呟いていたように聞こえたが、よく聞き取れなかったので気にしないことにしよう。


「オラお前ら、遊んでねぇでしっかり働けよ」


「は、はい」


「はぁ〜い」


 オーナーに叱られてしまったので、僕たちは急いで持ち場に着く。


「叱られちゃったね〜。えへへ」


「もう、花凛のせいだから。あとでお仕置きね」


 責が花凛にあると言ったものの、変に競ってしまうとこちらもやりづらくなるため、少し冗談を交えた。

 すると、途端に花凛の目つきが変わった。


「お、お仕置き…!?ゴクリ。お姉さん興奮してきた〜〜」


「花凛、キモい」


「はい!ありがとうございまぁす!」


「だからキモいって」


◇◇◇


「お疲れ様でした」


「お疲れ様ぁ〜」


 僕たちはそう言い、バイト先を後にした。

 綺麗な夕焼けを背に、僕たちは並んで歩く。

 同じ駅を利用している花凛とは、こうしてバイトが終わってからも一緒に駅まで歩いて行っている。


「そういえばさ、一ヶ月前くらいだっけ?玲アルバイト休んでたじゃん」

 

「あぁ……うん…そうだね」


「休みとった後の出勤もなんか元気がなさそうに見えてたからさ、聞くのはやめてたんだけど。あの週なんかあったん?」


 まさか「いやぁ、女の子になっちゃった!ahaha!」なんて言えるはずもなく、適当な嘘をついて誤魔化す。


「いや、別に特別な事情みたいなのは何もなくて……ほら…あれだよ、風邪。風邪ひいちゃって。」


「あ、そうだったん?もう遅いと思うけどお大事にな〜?玲ってば、息吹きかけば折れそうなくらい華奢な体してるんだから、体調くらい気を付けな〜?」


「きゃ、華奢って……僕男なんだけど…」


「ははは、気にしない気にしない。」


「まぁ、ありがとね。やっぱり花凛は優しい」


 花凛は良い意味で、よく人を見ている。

 彼女の的確で優しい助言には何度心を救われたことか。たとえ一緒に働く機会が無くなったとしても、彼女とは繋がりを持ち続けたいとさえ思っている。


「いきなり口説くなって〜。じゃまた〜」


「またね!」


 いつの間にか駅に着いていたようで、住んでいる方向が真反対である彼女に別れの挨拶を告げる。

 

 電車に揺られ、窓に映る沈みゆく太陽を見つめながら僕は明日のことを考えていた。

 ひるねとの初めてのコラボ配信。楽しみだけど、一抹の不安と緊張も感じていた。

 絶対に楽しい配信にしたいと強く思っていたら、スマホが鳴る。

 ちょうどひるねからメッセージが来たようで、急いで確認する。


『ついに明日はコラボ配信だにゃ!マラクエはダウンドードできたかにゃ?』 


『もちろん。準備万端だよ』


『ナイスだにゃ。明日楽しみにしてるにゃ!』


『ありがとう!僕も楽しみだよ!』


 ひるねが楽しみだと思ってくれているのは非常にありがたい。その気持ちに応えるためにも、明日の配信はいつもより万全の準備をして挑みたい。


そして土曜日が訪れる。

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