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異世界転生者は不遇を受けるようです  作者: 星になった少女 えり
第二章 地下ショッピングモール編
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第85話 あの少女の意志はまだ残っている。俺はそう信じていたい。


 ぐぅーー。


「先輩、お腹すきました!」

「隊長、私もです。」

「それはそうだよな……お腹が減るよな。」


 ずっとおいしい匂いが漂ってる中、待つこと約1時間。完全に俺ら3人がいるのを察しているかのようなゆっくりスピードで、料理をしているのだろうか……。いまだに料理は、完成されていないらしい。でも、よく考えてみたらこれ、何のために待ってるんだ? もし、そのおいしそうな料理ができたとして、俺ら3人は食べることはできない。……わざわざ、空腹状態で待ってる必要な無いのではないであろうか。


「少し、食べるか?」


 俺は二人にそう言った。


「え、先輩。食料持ってたんですか?」


 意外な反応だった。


「まぁな。」


 実は、脱出する際にあの部屋にあった食料をありったけ持ってきたため、一応の食料はあった。さっさと出してあげればよかったかもな。


「全部保存食だけどな。」


 俺は持っていた食料を全部出した。ほとんどが、乾パンやスナック菓子だった。


「なんか、寂しいですね。こんないい匂いが漂っているというのに、乾パンとは……。」

「まぁ、無いよりかはマシだろ。食わなきゃさらにひどい目に合うからな。」


 特に空腹でな。


「そうですね。」


 三人は仲良く乾パンとスナック菓子を分け合った。


「……おいしいです。」

「確かに、今まで何も食べてなかったですからね。」

「そういえば、そうだったな。」


気が付いてなかったが、昼食を食べて以来、何も食べていなかった。あの昼食以降、色々なことが起こりすぎて、時間の間隔がずれにずれまくってた。


「今何時なんだろうな?」

「そうですよね。ここは地下ですから日光を見ての時間を確認できないので、全然わからないですね。」

「いつもはお昼の時間だよっていう鈴の音とかでわかっていたもんだから。」

「持ってきていた時計もだいぶくるっているだろうし、もうわからねーな。」


 時計の針は12時を指している。でも、これが夜の12時なのか昼の12時なのかは確認できない。というか、そもそも、あの研究所に行った時から、この時計は挙動がおかしかった気がする。急に針が逆回転したりしていた。そんな時計を信用なんかできない。


「そういえば先輩、なんでそんなに時間を気にしているんですか?」


 メンバーの一人に聞かれた。


「時間は大切だ。記録を取るときも、ちゃんと何日の何時何分に始まったかを書かなければ、それはただの文字の並びになってしまう。俺らはあのバケモノの最後を見て、残してやりたいと思う。だから、時間を知りたかったということだ。」

「なるほど。」

「まぁ、今回の場合はもし、このまま料理が出てこなかった場合、俺らは何日持つかを考えていたんだけどな。」

「食料問題ですか?」

「その通り。」

「それで結果は?」

「……そう持たんだろうな。ま、これから料理に2時間もかからないと思うから、全然大丈夫だと思うがな。」


 ふぁーー。


 二人が寝むそうな顔をして、あくびを出していた。


「俺の予想だが、今の時間は夜だと思う。ここは夜を仮定して。一人見張りをやって、それ以外の奴らが休憩するという形をとろうと思う。」

「おっけー。」

「了解です。」

「じゃあ、最初は俺がやるから、先に寝ていてくれ。」

「先輩、ありがとうございます。」

「隊長、私がやります。私、隊長が来るまで寝ていましたので。」

「お……それは助かる。俺も眠かったからな。」


 なんか俺も眠くなっていた。きっと夜なんだろうな。


「じゃあ、あの料理が出来たら呼んでくれ。」

「おやすみです。」


 二人は眠って夢の中に向かったのだった、


 ~30分後~。


「あ、隊長。やっと料理ができたみたいです。」

「お! ほんとか?」


 俺はその声で目がさえた。寝る前からずっと俺は、とても気になっていた。今料理していた人は、いったい誰なのかを。


「料理人が出てきましたね!」

「さて、誰が出てくるのやら……。」

「「「!!!」」」


 俺ら三人は驚いた。驚きすぎて言葉が出なかった。


「なんで、あいつは襲わなかったんだ……。」

「ほんとですよね……。」

「謎すぎます……。」


 厨房から出てきたのは、あのバケモノを作り出した、あの人だった。


「なぜ、あの少女はそこまでおとなしく入れるのだ?」


 自分の体をああにもされているのにもかかわらず、あいつを前にしてても何も思わないのか?


「もしかして……。」

「もしかするかもな。」


 いつの間にかあの少女の意識はなくなってしまって真のバケモノにかわっつぃ待ったのではないかと思った。


「……料理を食べてますね。」


 あのバケモノはなんの躊躇もなく料理で作ったものを、食べていた。普通、敵の作ったご飯なんて食べないのが普通だろう。


「ん?」

「どうしました、先輩。」

「いや、あのバケモノの意識は生きているな。」

「どうしてそうと言い切れるのですか?」


 ポニテのメンバーがそう聞いてきた。


「だってあのバケモノの顔を見てみろ。」


 俺はそういうと二人は、バケモノの顔を見た。


「泣いてますね。」

「料理を食べて泣いているのですか?」

「その通りだな。きっと、あの少女はあいつの作った料理を涙が出るほどおいしいと思ったんだろう。もし、少女の意志が死んでいたら涙さえ出なかったはず。」

「そうですね、隊長。」


 メンバーがそう言ってきた。


「だってそう思わないと、あの少女がかわいそうだしな。」


 俺らは二人の食事が終わるまで、ずっと扉から見続けていたのであった。

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