第十六話 王vs勇者
穂月サイドです
「よくも戻って来れたな。裏切り者の勇者」
「人々に頼まれたんですよ。助けてくれって。貴方でなくて、俺達に。この意味、わかります?」
つまり、この王では助けてくれないと見限られてるってことだ。
「私は、人を助ける人間じゃないんだ。私は王だからな。」
「それで踏ん反り返ってなにもしないと?」
「あぁ。当然のことだ」
「随分と余裕ですね。あなたの城下の民が苦しんでいるというのに。」
「はっ下々のものがどうなろうとも私には関係ない」
どこまでも愚かだな。民が日々心も体も汚して働いた金で生活しているのは誰だ。
「ほんとうに?それは、本心からの言葉ですか?」
最後に尋ねる。
「そうだ。当たり前だろう」
ーー バンッ
弾丸が部屋に飛び込んできて、俺の結界に弾かれた。
俺はさっきからの会話を、光魔法を使って街全体に流している。
この術は魔城の図書館の古書に書いてあったんだけど。
城内の 館内放送として酷使されてたためコントロールはかなりの精度で出来る。
「貴方はーー王として失格です」
それを言ったのは俺じゃない。
「久しぶりだな。ルアン王子」
ルアン王子と熾音が部屋にはいってきていた。おそらく熾音の幻術を使ったのだろう。俺と王の会話は王都中に聞こえているはずだからな。
「お久しぶりです。穂月。随分と可愛らしい姫君を手に入れられたようで」
「魔王だけどな。確かに可愛い。」
「……堂々と惚気ないでください」
そう言って顔をしかめたルアン王子は以下にも「王子」という見た目をしている。金髪碧眼で今はボロボロの軍服のような格好だが、真っ白な衣装が似合う。
「ルアン王子はさっきまで何をしていたんだ?」
答えはわかっているけれど。この会話は王都中に広がっているんだ。
「仲間の騎士達と学校を回って子供たちを助けていました。途中から魔族の皆さんがすごい勢いで救済してくれて、もうほとんど魔物はいないと思います」
「それは良かった。じゃあ、俺たちは街の修繕を手伝ってくるから。その王、なんとかしといてくれ」
そう言うと、ルアン王子は苦笑して分かりましたと言った。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。第二十話くらいで完結する予定です。




