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7/20

*大学二年生 六月

「じー」

「……なんだよ」

「別にー。私たちも余裕ができたなって」

 土曜日の昼下がり。何年たってもこの梅雨の時期は好きになれない。

 独特のジメジメ感、そしていつでも雨で外に遊びに行けないことなど、すべてが嫌になる。

 いつの間にかインドア女子に調教された私は家にいること自体は全くストレスではないが、こうも毎日読書だアニメだゲームだとしていると体からキノコが生えてくるような気がする。

 それに、ベッドもそろそろ干したい。

 というか、目の前のこの男からは本当にキノコが生えてきそうだ。

 相変わらず邪魔そうな目にまでかかった髪の毛、生気のない瞳、常に眠そうに欠伸をしているところなど、よーく探せばコケも生えてそうな気がする。

 と、頭の中でいじっているが、私の鬱憤もそろそろ最高潮になり爆発する。

「あー! もう! いつも雨! 雨! 雨! そろそろお出かけしたいー!」

「お出かけねえ……」

「車出してよ車! ドライブしたい! 雨の日でもドライブならできるでしょ!」

「えー。ペーパーだから嫌だよ」

「じゃあ私する」

「カーシェアで予約しといたぞ。僕の免許でだけだがな。わかったら早く助手席に乗る準備をしろ」

「けちー」

「お前に運転免許が発行されたのは、昨今の自動車教習所の不景気のせいだと今でも思っている」

「失礼な。駐車が苦手なだけで運転は大丈夫だっての。マリオカートも得意だし」

「免許返納の対象は高齢者だけじゃないぞ」

「むきー!」

 怒った私に対し、はいはい、いいから準備しとけよ、という。

 彼はささっと着替えると車を取りに先に家を出た。

 私は彼を待つまでの間に着慣れた服を着て、軽く化粧をする。

 まあ、どうせ雨だし帽子でおけ。それよりも車で食べるためのお菓子を用意しないとね。

 バタバタと用意をしていると、ライン電話がなる。

 出ると、どうやらマンションの前に車を置いてくれたという。

 私は急いでマンションの下まで降りてくると、彼が車の中にいた。

 ……まったく。昔は女子席の扉開けて紳士ぶってくれたのに。

 今でも私は乙女なんですけど?

 プリプリしながら女子席に乗り込むと、彼は私の怒ってますというアプローチに気が付いたが、無視をする。

 こ、こいつめ……!

「んで? どこいく? 雨だからあんま遠いところはいかないぞ」

「えー。わんこそばを食べに行こうと思ったのに」

「岩手!? 岩手まで行こうとしていたの!?」

「じゃあ牛タンでいいよ」

「仙台もいけねーよ!?」

 全くわがままばっかり……。あっ。

「じゃあじゃあ! じゃあさ! あそこいこ! この間やってたアニメの聖地!」

「……あー、あそこか。まああそこなら」

「ね? ね? 丁度アニメも雨だったしさ! いこ?」

 私のカワイイお願いに対し、彼は了解とだけ呟くと。

「春奈。シートベルトしろよ」

「りょーかいしました! 凛、運転よろしくね?」

 はいはいと凛――桜井 凛史郎は言うと、私――五十嵐春奈を乗せて発信する。

「疲れたら運転変わってあげるからね?」

「お菓子一杯食べて寝てろ。ついたら起こしてあげるから」

「けちー! 非モテー!」

「やかまし」

 

 大嫌いな梅雨の日も彼といると大好きな一日になる、そんな雨の日の一幕。


今週の更新はここまで。

基本的には四半期ごとの区切りで、その間に★のターニングポイントとその幕間、それから卒業後の様子を作成。


来週以降は基本、日に1話更新にします。


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