高校一年生 十二月 幕間
「寒いねえ」
「そうだな。もう帰れよ」
「そしたら凍死しちゃうよ?」
「二人でするよりはましだろ」
「二人なら凍死しないよ。温め合えるから」
「あと数時間で夜も開ける。お前は早く帰っておけって」
「そんなに温め合いたいなら、いいよ? 脱ぐね」
「脱ぐな」
「始めてが野外だなんて……いやん!」
「そんな始めては嫌だ」
「彼氏のパンツがキャラものブリーフだった」
「いや、大喜利始めたわけじゃないぞ?」
「座布団は?」
「……じゃあ座布団一枚」
「やりい!」
「こんな始めては嫌だ」
「彼女がにんにく臭い」
「嫌だなあ」
「こんな始めては嫌だ」
「あ、僕の番か?」
「うん」
「うーん……。玩具を使う、とか?」
「生生しくて気持ち悪い」
「座布団没収」
「ひどいよー! 桜井の回答なのにー」
「それにしても世のカップルが今イチャイチャしているとか思うと、嫉妬であったかくなってきたな」
「そうなの? 私たちもイチャイチャしてない?」
「……そういう意味じゃない」
「そういう意味にする?」
「……は、初めてが野外は嫌だ!」
「そ。まあいいけど。ん」
「おいっ! 自然に首にキスをするな」
「あ、つい」
「つい、でするなよ……」
「でも口じゃなきゃセーフでしょ?」
「そうなの? それが女の子ルール?」
「うん。ん」
「おい! 服の中に頭をいれるな!」
「ふう。あったかくなってきたね」
「……確かにな。狙い通りならやるな」
「ぶい」
「あー、あったかくなってきたら今度は腹減ってきたな」
「コンビニ行く? お金少しはあるよ」
「今何時? ……3時か。この時間に行って通報されても面倒だ」
「そ?」
「まあ、5時過ぎれば早起き学生程度だろ? そしたらぶらぶらするわ」
「じゃあ私の腕でも食べてる?」
「僕は喰種か」
「かじってるだけでも気がまぎれると思う」
「んなわけあるか」
「ちぇー」
「何? 食べられたかったの?」
「私、多分だけどキスマークとか歯型とか付けられたいタイプ」
「付けたいんじゃなくて?」
「どっちも。共依存的な? 意味知ってる?」
「辞書的には。イメージはできないけど」
「お互い一つの鎖につながれるみたいな感じ」
「あー」
「お互いがお互いを支配しているみたいなのに憧れるんだ」
「かわってるなあ」
「桜井はないの?」
「僕は……ないかなあ。僕は多分、好きな人が笑顔でいてくれるのが一番好きだと思うよ」
「おいおいー。深夜にそんな詰まらないノリはいらないぜ?」
「ダルがらみきたよおい」
「ねね。目をつぶって想像してみてよ」
「何を?」
「桜井は、自分の好きな人の首を絞められてるの」
「……」
「それでね、好きな人は苦しそう。力を緩めるのも強めるのもあなた次第。彼女の命はあなたの気分次第。だけど、彼女はそんな状況に興奮してあなたを潤んだ瞳で見つめて……」
「……」
「あ、桜井も興奮してるね!」
「はっ⁉ へ⁉ な⁉」
「なに?」
「いや……え?」
「だからなによ?」
「い、いま……さわった?」
「うん。硬くなってたね」
「お前はバカなのか⁉」
「うるさ」
「夢か……?」
「それにしても、よくこの場所見つけたね」
「……よく話題かえられるな……」
「でもこの場所って立ち入り禁止だよね?」
「……もういいや。……ああ、ここなら警察もこないだろ」
「ふーん。見る感じ、なんか事故でもあったみたいだね」
「ああ。だが、ますます子供が遊ぶ場所がなくなってくるな」
「あれ? 今の社会に対するディスカッションでも始める? いいよ! とりあえず私は子供は男の子と女の子が一人ずつほしいな」
「バカとするディスカッションは頭が痛くなるぜ」
「なにおー!」
「……」
「……」
「……寒くないか?」
「……暖かいよ」
「……そうか。ごめんな」
「……ううん。こんなロマンチックな日のロマンチックな時間に一緒に居られて、よかった」
「……ああ。今日クリスマスか」
「忘れてたの?」
「いや、つい失念していた。……いつか、イルミネーションでも見に行こうな」
「そうだね。でもイルミネーションなんて見れなくてもいいんだ」
「じゃあ、理想のクリスマスって何だよ」
「こうして二人で、お話している。それこそが理想、かな」
「それは、彼氏になる男は尽くし甲斐がないな」
「私は安い女だよ? だけど彼女にする獲得難易度が高いんだ」
「どれくらい?」
「捕獲レベル7ぐらいかな」
「絶妙だなあ」
「春奈ワニ」
「僕に釘パンチは出せそうにないぜ」
「でもまあそうだなあ。もし将来、理想のクリスマスをプレゼントしてくれるなら」
「まあ、参考までに聞いておくよ」
「暖かい温泉につかりながら、雪を楽しみたいなあ」
「……季節要因が絡むのはしんどいなあ」
「楽しみにしてるからね?」
「へーへー」
「大丈夫だよ。私は、いつまでも――いつまでも、待ってるからね」
本日はもう一話更新




