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工場ゲー厨、異世界抽象工業に生きる。  作者: ししゃも
1章 工業大革命前夜祭
7/20

7話 王国産業管理団体、視察に来る。

 ウェスタニア王国北部、北の森。


 過酷な山々に囲まれているため、未だ手つかずな土地である。


 我々ウェスタニア王国産業管理団体の幹部連中は今、そこへ向かっていた。


 ことの発端は3日前の、北の森大環境破壊事件だった。


 おそらく犯人は件の、『神により招かれし者』だろう。

 手出し無用とは言え、視察くらいなら流石に許されるだろうということで、我々は北の森へ向かうことになった。


 近づくにつれ、無機質な機械の稼働音が聴こえてくる。

 音量からして、もうすぐ到着するだろう。


 異常だ。

 想像の10倍ほど早く着いてしまった。

 機械の音量が小さすぎるのだ。


 我々は、工場を見る。


 またしても異常だ。

 ベルトコンベアの一本も存在しない。

 それに、何だあれは。

 魔力の探知に秀でた者がとても怯えている。


「あれは、ヤバいです。とてつもない魔力の密度です」


 あれの見た目は、言い伝えで聞いたことのある、無限の万能保管庫を一回り神々しくしたようなものだった。

 なぜ、そんなものがここに?


 いや、一度だけこれの話を聞いたことがある。

 以前現れた『神により招かれし者』が持っていたスキルである、

 『レシピライブラリー』に作成が、とてつもなく困難なアーティファクトとして載っていたはずだ。

 となると今回の『神により招かれし者』は、前回の『神により招かれし者』が挫折したアーティファクトを作るまでに至っているというのか。


 どうやら我々が思っていた以上に、凄まじいことになっているようだ。


 せめて、この工場の主に話を聞いてみたいところだが……


「あなた達、誰?」


 どうやら、神は我々に機会を与えてくださったようだ。


「我々は、ウェスタニア王国産業管理団体だ。先日の大環境破壊を受けて、様子を見に来たのだ」

「そう、勝手に触らなければ見てっていいよ」

「ありがとうございます! そういえば、なぜ豆など食べているのですか?」

「コスパと栄養バランスが良いから」


 異常だ。

 これほどの工場を敷設出来る人間が、食費を節約する必要がどこにある?


 一旦それは置いておこう。


「この工場にはベルトコンベアが見当たりませんが、どうやって資源を運んでいるのですか?」

「Lua」

「は?」

「見る?」


 そう言い見せられたのは、知らない国の文字で書かれた呪文であった。


「おいケイ、そいつら誰だ?」

「なんかウェスタニア王国産業管理団体だって。知らんけど」

「なんか名前は聞いたことあるな」


 奥からもう一人、少年が出てきた。

 軽く話を聞いたところ、助手のようだ。


「パウル殿、この呪文は何が書いてあるんですか?」

「ただの工場の在庫管理してるだけのLuaじゃないの?

ああ、そうか。俺もあっち側になりつつあるのか……」


 何か一人でブツブツ言っているが、パウルも普通に読めるらしい。

 この工場は、こんな呪文が基礎教養らしい。

 異常だ。


 とりあえず、少しでもこちらに益があるように持って行こう。


「ケイ殿、少々よろしいですか?」

「端的に述べて」

「この工場で生産した基礎的部品の余剰を、こちらで買い取らせて頂けませんか?」

「別に良いよ。今鉄のインゴットが131072本くらい余ってるし」

「感謝申し上げます! 納品は定期的にこちらから使者を出すので、そのときにお願いします」

「了解。とりあえずそろそろ帰って」

「わかりました。本日はありがとうございました」


 こうして我々は、大きな取引先を手に入れたと同時に、大きな恐怖を感じたのだった。

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