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20話 パウルの実家。

「あ、そういえば実家に挨拶してなかったわ」

「一回行っとく?」

「そうしよ」


 こうして、軽いノリでパウルの実家訪問が決定した。


 ノスターの街へ到着する。


「久しぶりだね。

この前買った豆もまだ残ってるから、

ここ来るのまだ2回目かも」

「マジか。もうちょい来てるもんだと思ってたわ」

「それより、早く実家に案内して」

「わかってるよ」


 こうして、パウルの実家へ到着した。

 私たちを出迎えたのは、

涙を流しながら膝から崩れ落ちる、女性だった。


「……パウル、パウルなの?

一体、どこへ行っていたの?

いいえ、今は良いわ。

生きていて本当に良かった……」

「俺はそう簡単に死なねーよ!」


 話を聞くと、この女性はパウルの母親だったらしい。

 2ヶ月程前から、パウルは行方不明ということになっていたらしい。


「とりあえず、ご飯にしましょ。

今日はシチューよ!」

「俺、シチュー大好き!」

「私のとこだと、豆しか出てこないもんね」


 食卓を、パウルの家族たちとともに囲む。


 久しぶりの、豆以外の食事だ。

 温かい。

 温かい食事は何ヶ月ぶりだろか?


 にんじんが口の中で、崩れる。

 にんじんの甘みと、シチューのコクが口いっぱいに広がる。


 肉を噛みしめる。

 途端に、肉の旨味が爆発する。

 やっぱり、肉は美味しいね。


 じゃがいもも、口の中に入れた途端に崩れる。

 内部はかなり熱く、口の中をやけどしてしまった。

 だが、とても美味しい。

 やけどなんてどうでも良くなるほど、美味しい。


 パンとの相性も、抜群に良い。


 パンのほんのりとした、甘みとシチューのコクのある旨味は、

 口の中で合わさり合い、最高のハーモニーを奏でる。


 そんなこんなで、食事が終わり、団欒が始まる。


「おお、パウル。パウルじゃないか!」

「レナード兄さん、久しぶり。

元気してた?」

「勿論だとも!

この間もインテリジェンティアのリーダーとして、

頑張ってきたぞ!」


 唐突に、衝撃的な情報を叩きつけられる。

 私を打ち負かした人類の、中核寄りな組織のリーダーが今、

 目の前に居る。


「え、兄さんがインテリジェンティアのリーダーをやってたの!?」

「マジか、私が人類に負けた原因、ここに居るじゃん」

「もしかして、ケイさんが『神により招かれし者』だったりする?

まあ、流石にそんなわけ無いか!」

「あ、ケイは『神により招かれし者』で合ってるぜ」

「そうだね、この前は良い競争が出来たよ。

ありがとうね」

「…………マジか。

ケイさんがあのクエストラインを、

個人であのペースで進めてた化物だったか……」

「人を化物呼ばわりしないで欲しいな。」

「すまないね。

本当に驚いてしまって」

「許す」


 一旦この話は置いておいて、

 とっととパウルに挨拶をさせよう。


「そういえばさ、俺は行方不明になっている間、

この工場開拓の先駆者である、ケイの下で工場建設をしてたんだ。

それで、今後もケイの元で工場建設をやりだいんだ。

いいかな?」


 パウルは尋ねる。


「私は、パウルがやりたいなら賛成よ」

「僕も、これは全面的に賛成しよう。

僕が案じてたのは、パウルの安否だけだしね」

「……親父は?」

「…………好きにしろ」

「……そうか」


 こうして、パウルは正式にうちの労働力になったのだった。


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