12話 王国産業管理団体、幹部会議再び。
ウェスタニア王国産業管理団体の一室で、
今日も彼らは胃を痛めていた。
「まさか、『神により招かれし者』と、
工場の開拓競争をすることになるとはのう……」
「ですが我々には、人海戦術を行えるだけの、人が居ます」
「神が出す報酬ってのも、気になるわよね」
「まずは、『レシピライブラリー』で見れるらしい、
クエストラインとやらを確認してみませんか?」
「そうじゃな」
レシピライブラリーを開く。
「何じゃこれは、膨大すぎる!」
「なんか細かく、達成報酬もあるみたいね」
「神曰く、チャプター3の踏破とのことじゃが、
チャプター2までの時点でこの作業量とは…………」
「あの人はあの短期間で、これらをこなしたというのですね?」
幹部連中は一様に憂鬱とした雰囲気を、漂わせていた。
「あの、『レッサープログラマブルロジスティクス』について、
確認しておきませんか? あの人が書いていた呪文関連かもしれませんし」
「そうじゃな。見てみよう」
レッサープログラマブルロジスティクスAPIガイドを開く。
その瞬間、ケイが書いていたものとは異なることが、本能的に解る。
ケイが書いていたプログラムよりも、圧倒的に記述量が多いのだ。
「我々は、これを理解しなければならないのか…………」
「これが、あの人の言っていたLuaか……」
「自分の脳内に通知なんか飛ばして、何になるのかしら?」
「我々にはまだわからないが、いずれわかるのだろう」
その時、中年の男は告げる。
「話の合間にクエストを確認していたのですが、
どのクエストも大体は、高度な加工の上に成り立っている、
機械類を作るものなのですが、これらの多くは中央集権的で汎用的な物流が組めれば、
まともな時間で『神により招かれし者』に、並べるかもしれません!」
確かに、クエストを見ていると、中央に巨大な倉庫でも設けて、
そこから出し入れする形で、物流を組めれば、
汎用的に解決できそうなクエストが多いようだ。
各クエスト毎にラインを組むよりも、
圧倒的にラインの再利用性を、向上させることができるのだ。
これまで、この国で工業化されていた都市では、
製品毎に1からラインを作っていたらしいから、それに引っ張られていたようだ。
「なるほど、……確かにこれらのクエストには、
その傾向があるかもしれん。
王に頼んで、賢さに自信のあるもの達を、招集してみるのじゃ。
じゃがエストー工業帝国からは、反発が来そうじゃな。
向こうは自己のやり方を否定された様なものじゃからな」
我々は、少し希望が見えた気がした。
「報告があります!」
ケイの元へ、使者として行かせた者だった。
「なんじゃ? 言ってみろ」
「機械への搬出を並列化する技術が、
魔導大学の教授達により、開発されたそうです!」
希望はありそうだな。
この時集められた天才集団は、後に賢者と呼ばれることとなった。
-人類の進行度-
3%




