第94話 発明は…
ジャクオ島の別荘に飛んだ俺達は、早速続きの作業に入ったのだが
仕事では無いので、二人で相談しながら作り込んでいった。
ああでも無い、こうでも無い、と言いながら。勿論カトリーヌの体調を見ながら。
こういった事も中々楽しいんだよな?カトリーヌも笑顔だし、楽しめてるのだろう。
厨房を先に仕上げて食事が作れるようにしておいたので、昼はここでカトリーヌが用意してくれる。
調度品は無理だが、それ以外はどうにかなるので順次仕上げて行く。
ふと、カトリーヌが立ったまま考え事をしている。ん?
「どうした?カトリーヌ。体調か?」
「あっ、いえ、あの、えっと、恥ずかしいので………」
「?どうした?何でも言え?今更だろう?」
「…………下の事ですぅ。さっき、えっと、お小水をしてて、やだぁ、恥ずかしいれすぅ!」
「ちゃんと言わないと分からん。どうした?」
「ふにゅ…………今から、お腹が大きくなると、今の便器では辛いかなって
………それで考えたのです。今から錬金しますね?」
カトリーヌは石製の椅子?樽?何だか良く分からない物を作った。
「これです。どうですかぁ?座って出来るしお腹も圧迫しないかなって。
私達女性は色々有りますし、普段からこんなのがいいかな?って思ったんです。」
「ほう、これは便利なのではないか?良く考えてある。いい発想だ。
女性の事は分からんが、アーシャや母さんにでも聞けばいい」
「で、”コレ”です。まだ研究の途中なんですけど………」
「紙、なのか?布か?」
「はい。これは水に溶け易い性質の紙で、用を足した後にこれで拭くのです。
で、便器に落としてレバーで水を流すのです!どうですか?」
「これは、凄いぞ!カトリーヌは天才だな!良くこんな便器や紙を考えたな!?」
「あ、紙はアーシャ様と考えている”月のモノ”の製品に考案中だったんです。
布はソニアさんが考えたので、せめて他はって。それで、厨房やお風呂の水も一緒に流して、
沈殿槽で濾過してこの薬草を入れて汚水と汚物を分けた後に魔人治癒か神聖魔法の
治癒を掛けるんです。すると、只の水と養分の有る土になるんです!どうですか?」
「いや、もうここまで来ると天才を超えたな!画期的過ぎる!
アルテミスが言っていた意味が理解出来る!母さんに聞かないと」
「はいはいメルちゃん、どうしたの?カトリーヌは無理してないかしら?」
「あ、母さん」
「お母様!」
「いや、カトリーヌが天才過ぎて。母さんの判断を聞きたかったんだが」
「えっとぉ、ダメ、ですかぁ?」
「いいえ、良いわよ?良く思い付いたわね?偉いわカトリーヌ。こっちいらっしゃい。」
母さんはカトリーヌを抱き締めて、頭を撫でている。もう身長も変わらないがな。
「便利だけじゃなくて、ちゃんと後の事と環境も考えたのね?
これからも、それで頑張りなさいね。」
「……はぃ。嬉しいです、お母様。」
「そうね、便器はもうひと手間加えると、女性には有り難いわ。考えてみて?
そう言えば別荘も形になったのね?楽しみにしておくわ。じゃっあね~」
「カトリーヌ、良かったな。母さんの言った意味は分かるか?」
「はい。でもどうしたら………あっ!ちょっと改良します!んしょ、んしょ。こうして……わ!出来た!」
「見た目は変わらないが……?」
「この小さいレバーを引くと……ほら、管が出て水が出るんです!
その、えっと、女性には、必要、なので……」
「ふむ、そうか。しかし凄いな?では母さんのお墨付きだし、
ここやコトブスの別荘、雷帝宮や屋敷もコレに替えるか?」
「はい。でも私がやります。男性にはあまり、その、説明とか、困るし…………」
「では、俺も手伝うぞ?早く済むだろ?水路とかもな」
「はい!」
今日は俺達の本館と親達等の身内の別館の途中で止めて帰る。
「ただいま母さん。あ、晩御飯は私が作るわ。」
「戻った。む、ザガンはどうした?」
「村長の所に。実は………先程、村長と代官様がやって来て
家の建て替えをしたいから考えてくれと…………」
「え?どうしてかしら、ジェームズさん。」
「ふむ。この地の直轄はジェームズなのだが、カトリーヌが懐妊したのを機に、
実家を整えておきたい心配りなのだろう。良いのではないか?
建て替えの最中は王都か雷帝宮で」
「あ、そうですね。でも………ジェームズさんに悪いなぁって気が………いいのでしょうか。」
「なに、奴からしても大した手間と金額では無い。逆に自分の領地に
我が別荘とお前の実家が有るだけで益は有るのだ」
「…………そうですか。ん、母さん?甘えましょう?旦那様が仰るのだから。
皆さんの顔を立てるのも大事だし。」
「そうだねぇ………御当主様のお言葉なら。では、恐れ多いですが、お願い致します。」
「うむ、伝えておこう。奴も喜ぶだろう」
この後、ザガンが帰って来て経緯を説明し、ジェームズにスフィアで依頼して礼を言っておく。
俺とカトリーヌは三日間、ジャクオ島の別荘に通って、遂に完成した。
カトリーヌは夜な夜な実家に有る機械を使って布を作っていたが、見せてはくれなかった。少し悲しい。
ベッドやソファーセット、布団、棚、等の家具はアルテンメルンの街で買い込んで運び、設置した。
備え付けの服やタオル等は王都で調達、マダムの店のも。カトリーヌが選別して別荘に。
食材もアルテンとニルヴァーナ領で調達した。その他はナーフェルベントの街に。
満遍なく金を使わないとな?領主の務めだな!
最後の夜はコトブスの別荘”虹の尖塔”の一室で過ごしたのだが…………
カトリーヌの恰好が。その、見た事も無い服?で、その、XXXいのだ!
まさか、これを作っていたのか?いや、これ何だかヤバイんだよ!!
カトリーヌが着ると、非常にヤバイ!衝動が抑えられない!身体が言う事を聞かない!
しかも!その下にうっすらと見える下着が…………初めて見るが………悩殺される!
やはりカトリーヌは魔性の女だった。
「旦那様………どうですか?た~っぷり、可愛がって下さいね?」
「…………」
朝五時。獣になってしまった自分に反省。
お腹が心配になったが、母さんの守護だから、平気な筈だ。
カトリーヌはご満悦で右胸に縋り付いて眠っている。可愛い寝顔だな。
しかし……凄い妻だな。別の意味で魔人だよ。世界中探しても居ないだろう。
「んぅ。ぁ、だんなさま……おはようございます。どうでした?」
「おはよ、カトリーヌ。正直ヤバかった。お前の魅力が過ぎて、止まらなかった。身体は大丈夫か?」
「はい、平気。少し怠いですけど、成功です。これで御奉仕力が倍増ですね?うふふ」
「カトリーヌには振り回されそうだ。まあ、嬉しいがな」
「今日は母さん達と雷帝宮ですか?」
「そのつもりだ」
「ジャクオの別荘は皆さんで行くのですよね?」
「ああ、母さんも王太后様も期待していたみたいだからな」
「じゃあ、もう一つ楽しみにしてて下さいねっ?」
なんだろう?凄く笑顔が輝いていたのだが………
カトリーヌの実家に飛んで、皆で朝食を取って出立の準備をさせる。
「では、いいか?じっとしてろ」
~~~~~~~~~~
「え?ここは?」
「うわっ!母ちゃんデカい城が!」
「わわっ!」
「うわ~お姉ちゃん~」
「ここはニルヴァーナ領バハムートの街だ。城中に飛ぶぞ!」
~~~~~~~~~~
「む、ただいま。何故に俺の居間?まあ、いいけど」
「おかえりなさいませ、旦那様。」
「「「「「おかえりなさいませ」」」」」
「おかえり、義息子殿」
「メルちゃん早かったわね?」
「ああ、もう少しゆっくりしたかったが、ジャクオの別荘が仕上がったから。此方はカトリーヌの実母と弟達だ」
「ふぁふぁ、は、じめまして、母です~」
「長男のザガンです!姉がお世話になってます!アノ一件は有難う御座いました!」
「ロブス、です!緊張してます!」
「に、ニース。です。お姉ちゃんの、妹、です。」
ニースは真っ赤になってカトリーヌの傍にくっついている。ロブスは……テンパってるな。
ザガンは流石だ。確りした男だな。
「まあ!カトリーヌの!?私が正妻のアーシャです。お久しぶりね?よっくぞカトリーヌを逃がしてくれました。
今や家にも国にも無くてはならない妻の一人です。暫くゆっくりされるのでしょう?部屋は幾らでも有りますから
ごゆるりと過ごして下さいね?サリーニャ?客間にお通しして、誰か付けておいてね?」
「はい奥様。さ、此方で御座います。」
「また後でね?」
「カトリーヌ?身体は大丈夫?ゆっくり出来ていないでしょ?
旦那様。少しはカトリーヌを労わって下さいまし。可哀想です。」
「む、ぐ、いや、そんな、別荘が、な。カトリーヌ?助けてくれ」
「少しゆっくりしたかったです。でも、別荘地の選定は決まってたし、良い事も有りました。」
「まあ、どうしたの?」
「コトブスとジャクオ、両方決めてジャクオは仕上げて来ました。コトブスの方は
仕上げをジェームズに任せてますから来週中に。それに”アノ人”を創神教が引き取ってくれて。
おまけにジェームズが家の実家を建て替えてくれるみたいなんです。
旦那様が甘えろと仰るのでお願いしました。後は前から考えてた物が実用化出来ました。
お母様にも許可されて、女性は今後快適になると思います。」
「そう。それは良かったわ。でもゆっくり出来て無いのだから、
おねだりしちゃいなさいね?それで”物”って何かしら?」
「その、お下品ですが……おトイレです。えと、旦那様は恥ずかしいので、
ザガン達の相手をして貰えると助かります……」
「ああ、そうだな。では後で呼んでね?」
「はい。」
「上手く逃がしたわね、カトリーヌ?」
「旦那様は鈍いので、余り攻めてもお可哀想かなって。」
「うふふ。優しいわね?それで、続きは?」
「はい、コレです。よいしょ。これが便器で座って済ますのです。で、この小さなレバーを引くと、ほら。
管が出て水が出るので女性には快適です。特に月に一度は。まだ研究中の紙ですけど、
最後はこの紙で拭いて一緒に流します。どうですか?お母様に聞いたら問題無いようで………」
「……………………す、凄いわよ!カトリーヌ!!」
「「「「すごいわ!カトリーヌ!!」」」」
「「「待ってたわよカトリーヌ!!」」」
「これっ!凄い発明だわ!世の中がひっくり返るわね!」
「カトリーヌちゃん?貴女、天才だわ!エリダが親友になるって、分かるわね!」
「「カティ!待ってたよ~」」
「カトリーヌさんは天才だわ!」
「こんなの考え付かない!」
「早く試したい!」
「え、あ、えっと、じゃあ、隣のトイレを替えて来ますね。」
「設置したので、後程。後ですね?アーシャ様。旦那様を”コレ”で誘惑して、成功しました!
なのでアーシャ様の番です!色と型を決めて下さい、見本はこれです。サイズを測ります。一日有れば出来ますから。」
「カトリーヌ~!!!流石よ!でかしたわっ!私もコレで赤ちゃんゲットよ~!!」
「「「「「いいな~~~」」」」」
「順次作りますし、ソニアさんなら作れます。あ、ジャクオ島には綺麗なビーチが有って、
遊ぶには持って来いなのです。だから水着を考案しました!コレです!
急遽なので作った中から選んで貰う事になりますけど、がまんして下さい。
コレも順次受付ます!」
「「「「「「キャ~~!!」」」」」」
「若いっていいわぁ。ねぇ、シリア様。」
「いいえ~、エメラルダさぁん?私達もまだまだよ?頑張って水着、着ましょぉ?」
「え?あぅ、わ、私もですの?そ、あの、頑張る………わ。」
良かった。皆さん喜んでくれて。本当はまだまだ有るけど小出しにしないと
世界に影響しちゃいけないから。
下着とネグリジェは受けもいいみたいだし、アーシャ様に頑張って貰わなきゃね?
行く行くは、おしゃれ下着も流行らせたいし、服も色々増やしたいな。
生活に役立つ物も作りたいし。夢は広がるな!
旦那様とアーシャ様のお陰だもんね。頑張らなきゃ!
アーシャ様のサイズを測って、色とデザインの希望を聞いていたら、皆さんが殺到しちゃって。
結局全員分の注文を聞いてから部屋を出ました。
感知を広げると………居た。
なので母さん達に会いに侍女と向かったのね。
ここは客間で、家族でも過ごせる広さなの。アネッサちゃん達が泊まった同じ広さ。
コン コン
「カトリーヌ奥様です。」
『あ、奥様!今直ぐ!』
「申し訳御座いません。お身体は平気ですか?」
「さ、奥様。こちらへお座りに。」
「お腹を冷やしてはいけません。お掛け致します。」
「お茶の他に甘味は如何ですか?」
「ええ、ケーキを一つ貰おうかな。旦那様に半分召し上がって貰うから。」
「はい、只今。」
「旦那様?逃がしてあげたのですから、ご褒美欲しいです。」
「ああ、済まないな。何か考えておく。それでな、ザガン。そんな時に相手が………」
「旦那様ったら。母さん?落ち着かない?何処か宿か城下にして貰おうか?」
「ダメだよ!バチが当たるわよ。こんな贅沢な部屋は恐縮しちまうけど、あんたの立場も有るんだろ?」
「お姉ちゃん、凄いんだね~!お茶もお菓子も美味しいし、見て!姫のドレスみたい~」
「二-ス様?カトリーヌ奥様は凄いお方なのですよ?」
「ボルドーや旧オストラバ地区を騎士団を率いて異形を倒し」
「王都に攻めてきた魔物を御当主様と打ち倒し」
「世の為になる研究を日夜続けて」
「お世継ぎ迄懐妊される快挙!」
「「「「ニルヴァーナ家も安泰ですわ!」」」」
「くすっ。私、そんな凄い女では無いの。」
「いや、大した女だ!剣技は間違い無く最強だし、
魔法も金クラスですら敵わないだろう。研究の成果も高いし、
他人の為に動く心が素晴らしい。美しさも磨かれている」
「あ、余り、褒められても……恥ずかしいです。もぅ。」
恥ずかしいから、旦那様に”あ~ん”してあげて、一緒にケーキを食べたり
母さんやニース、侍女とメイドで女のお話したり。
旦那様はザガンとロブス相手に冒険の話で盛り上がってるんだもん!
ご褒美なにかな~~
~~~~~~~~~~
「私達で、あの娘を見守りましょう。いいわねぇ?娘達。」
「「「「「「はい!勿論です!」」」」」」
「シリア様?どうされたのかしら?」
「いえね。あの子、生活に使う水も一緒に排水して、流れたモノを正常な水と養土とに分離、精製して
再利用迄考えて、実際に試しているの。凄い娘だわ。」
「「「「「「ええ~~~!!」」」」」」
「しかも、まだまだ世に出すのが早いと自分で判断してぇ、黙ったままの智恵や物で溢れているのぉ。
あの子の凄いのはそれだけでは無くてねぇ?その後。どう使われるか、何が起こるか。どんな悪事に利用されるか迄考えて、
対処法迄をセットにする考えでいてねぇ。これは脱帽だわ。既に電気は実用化か諦めるか悩んでるみたいねぇ。」
「え!?電気をですか?」
「「「「「「「でんき??」」」」」」」
「カトリーヌの頭の中って、どうなってるのかしら……」
「シリア様、カトリーヌちゃんが居れば世界は………」
「そうねアルテ。あんな思考の持ち主ばかりなら、世界は平和に存続出来たのかも知れないわ。
私達が見守らなくても………まあ、温かく見ていましょ!」
ブクマ登録有難う御座います!
物語は如何でしょうか?感想など頂けましたら幸いです。
頑張って進めているのですが…………
さら




