第87話 舞踏会
ゴツイおっさんの夫妻と男女とエイミィ。ランダース男爵家か。
「ようこそ、ランダース男爵殿。奥方もお久しぶりです。」
「ようこそ、ランダース様、奥様。今宵はお楽しみ下さいませ。」
「侯爵様、聖女様、お招き有難う御座います!」
「アーシャ様もお久しぶり。後でお話いたしましょうね?」
「お招き有難う御座います、侯爵御夫妻様。あ、カトリーヌちゃん!
んん、後でお話しましょ。」
「うん。後でね!メルルちゃん、もう来てるから。」
「本日はお招き有難う御座います」
「デッサウ男爵もようこそ。アーノルドは家で預りますので」
「ええ、宜しくお願い致します」
男爵はこれで最後だよな?次は子爵か。そんなに居なかったな?
「「お招き有難う御座います、侯爵様」」
「従弟にエスコートさせたわ!後でね?」
「ようこそ、ルジェアンテ殿、楽しまれて下さい」
「ベステンゼー団長、本日はようこそ」
「今日は楽しみに来ました侯爵様。」
「エリダ様、殿下、王太后様は最後に」
「分かりました。宜しくお願い致します」
「ああ、デッカー達が着いてますよ」
この後は伯爵家を迎え、アーシャの実家のボルドー家を迎えつつ
侯爵、侯爵家に挨拶して俺達も入る。
勿論、先に霊波移動で飛んだ爺さんと宰相、外務卿は家族と玄関で
合流して入って貰った。
全員が揃ったので、俺が正妻三人とホール中央へ行き挨拶をする。
「本日は我が家の祝いにお集まり頂き感謝します。
広大な領地を賜り、本来ならば早くに催すべきだったのですが、オストラバ地区ロマーノの制圧等が続きまして未だに落ち着いてはいないのですが、エリダも妻として迎える事が出来ましたので、心ばかりのお披露目会と言う事でご容赦下さい。今夜は楽しんで頂ければ幸いです。挨拶の最後ですが、特別なお方を御二人、ご招待させて頂きましたので、後程、各自で御挨拶して頂きたいと思います。では!始まりです!」
俺の挨拶が終わって、緩やかに演奏が始まる。
先ずは、エリダと俺、殿下と王太后様で踊る。一曲終わって
エリダとアーシャが交代で踊る。まずはここまで。
この後は自由なので、交代で妻達と順に踊る。
皆も夫婦やお目当ての女性を誘って踊り始める。
基本、既婚の女性を誘ってはいけないが、上位者の誘いでパートナー承諾で
有れば問題無い。俺は主催者だから、誰を誘っても大丈夫だ。
ま、この集まりは見知った者が多いお祝の席なので、未婚同士でガツガツお相手
を探すとか、マナーがどうとか煩いのは無しだ。楽しめばいい。
アーノルドもメルルとアネッサを誘っているしな。早くも二人って凄いな。
俺は勿論、順繰り誘って回らなければならない。
ひな壇に殿下達と妻達、一段下に公爵家。と、後はホール脇のテーブル席に。
殆どの者は立って飲み物やつまみを口にして、歓談しながら踊る人を見る。
妻達と一巡踊ったから、イエネッタを誘って、その次は……
多いな。いや、仕方無い。あと二夜有るんだから乗り切ろう。
周りに目を配っているのだが。ん?エイミィが物凄く凝視してる?ん?
はぁ~、彼女も後で誘ってやるか。
取り敢えず上級貴族と踊って、休憩で席に戻る。
後で平民の招待客にも顔を出そう。ダンカンが煩そうだ。
「旦那様はお上手ですが、初めて踊った時も驚きました。」
「そうですわよね?何処かでお習いに?」
「金クラスになってからは、他国の上級貴族や王族の依頼が有ったから、呼ばれる
内に身に付いたんだよ。ま、一度見れば難しく無い。だが、国によって作法が
違うから、そこだけだな」
「普通は一度見ただけでは身に付かないですわよ?」
「そう言うモノなのか?ソニアとフローネは大丈夫かい?」
「「はい、旦那様。」」
「舞踏会も久しぶりですね?アーシャ様。」
「そうですね。忙しかったから、最低限にしてましたから。」
「これから、雷帝宮で定期的に行った方が良いかもな。領内貴族が単独で
行うには出費が苦しいだろう。皆の息抜きも必要だ。城下も考えないとな」
「そうですね、旦那様。二月に一度ですか?後、冬は社交シーズンですし。」
「ああ。何か考えよう」
「民達は、秋と春にはお祭りが有るようですわ。」
「ならば建領は間で丁度良いのか。貴族もお食事会の様な懇親の場が有ればな」
「そうですわね。少しづつ考えましょう。」
「もう少しお誘いしてから、また妻達と踊ろう」
「「「「「お願いします旦那様!」」」」」
壁の花になっている令嬢達を誘って順繰りと踊って行く。
お!パスカルとダイアナが踊ってるぞ?いい事だ。こうして、俺と踊る令嬢も
側室入りを狙っているのだろうか?アピールが凄い!グイグイ来るな。
え~っと、いたいた。
「お嬢さん、どうかな?」
「…………へ。え!わ、私ですか!?」
「そうだぞエイミィ。どうだ?」
「は、ふぁい!是非!」
エスコートしながら中央へ行くが、あたふたしているエイミィが愉快だ。
ドギマギし過ぎだ、落ち着け!
「せ、しぇんせいに、誘って頂ける、なんて、夢みたい!です!」
「む?そうか。家が招待したからな?放置出来ん。今日は立派な淑女だな」
「はわわわ~!ほ、褒めて頂いて、う、嬉しいです!」
「あの三人はくっつくのか?」
「あ、はい。その様な感じかと。」
「カトリーヌと話したか?」
「い、いえ、まだです。あそこは、恐れ多いと……」
「では、今から一緒に戻ろう」
「あ!エイミィちゃぁん!ダンスお上手なんですね!私は練習しても中々で……」
「カトリーヌちゃん!ううん。まあ、長く練習はしてるけど、カトリーヌちゃも
お上手だったわ!」
カトリーヌとエイミィが歳の近い同士でキャイキャイ始めたが、
嬉しいのだろう。アーシャも自分の伯爵、子爵令嬢の友人を妻連合の
新しい面子に紹介して盛り上がってる。友人の輪が広がるのは良い事だな。
「アーシャさんは、素晴らしい旦那様を捕まえたわよね~」
「本当です!羨ましくて!家の旦那様ったら、もう気が弱いったら!
贈り物一つ、弱腰で。顔色ばかり見るのですわよ?溜め息しかでませんわ。」
「でも、優しいでしょ?浮気旦那よりはマシです。」
「はぁ~、何処かにニルヴァーナ様みたいな殿方居ないかしら……」
「うふふ。無い者ねだりでは無いかしら?」
「そう言えば、ロマーノ地区は海の景色が素晴らしいと聞くのだけれど?」
「そうね!別荘でも有れば、夕方の潮風も沈む夕日を見ながら~」
「浪漫的ね~!」
「はい。旦那様が観光の施設を進められる様ですわ。」
「皆さんでどうですか?」
「「「いいわね~」」」
ふむ。観光も別荘地開発も良いか。いい情報だな。
淑女のお喋りも馬鹿にならんからな。
ではダンカン達の所に顔を出すかな。
「やあ、皆さん今日はどうも。肩身が狭いとは思うが許してくれ」
「いやいや、お招き頂けただけで儲けモノですぞ!」
「おめーさんも、すっかり大貴族になっちまったなぁ」
「まあ、英雄様ですからな。貴族云々は置いても、大物ですよ」
「あっちもスゲー事やってるし、脱帽だよ。国だぞ国!?呆れるよ!」
「それなりに大変なんだがな」
「あ!先生!殿下達迄いらっしゃるなんて、恐れ多いです!小心者の身になって下さい!心の臓が止まるかと思いましたよ!」
「まったくですわ。でも、御目に掛かれて光栄です。」
「アーノルド、明日からの雷帝宮はお前も来てみるか?」
「え?はい!いいのなら是非!」
「「え~~!私達も行きたいです!」」
「まあ、構わんが。アーノルドは家に入るのが決まっているから、見識を広げる為に呼んだだけで、楽しいのは舞踏会位だぞ?」
「自分はいいのですが……二人の相手は出来ないかもよ?」
「じゃあ、エイミィちゃんも巻き込んで観光しよう?」
「良い案ですわね?メルルさん。カトリーヌさんは……無理よねぇ。」
「どうかな?二夜は無理だが、翌日から建領祭だ。時間は少し取れるか?」
「でも、彼女があそこに座って、違和感無いのが不思議よね。」
「最近は、ぐっと大人っぽくなりましたからね、カトリーヌさんは。」
「これからも、物資や人材派遣やら頼む」
「「「お任せ下さい」」」
「新街道も開通して少しづつ稼働するから、商人ギルドでも頼む」
「「「はい、是非に」」」
「宿場町の開発・稼働も指揮者を付けるから、確り動いてくれ」
「はい!それこそ本業ですから」
「お声が掛かれば直ぐにでも!街、一つ作ります!」
「商店の手配も直ぐに整えます」
「ああ、頼む」
「学校も安定してるし、問題無しだな」
妻達との席に戻って、
「アーシャ、次の間奏で入ろう、皆も順番に。いいかい?」
「「「「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」」」」」
「旦那様とこうして踊れるのは幸せです。」
「俺もだよ、アーシャ。これからは定期的に出来る」
「はい。こちらでも少し開いた方が良いかもしれませんね?」
「そうだね。社交時期に2~3度かな?」
「そうですね。後は今位の夏季に立食パーティーなど。」
「いい考えだ。アーシャ達の好きで構わないよ?」
「まぁ!ですが旦那様在ってっての我が家ですわ。【霊分】が有るから?」
「それもだけど、妻達を信頼してる。皆の思う様にしていいさ」
「分かりました。でも、旦那様には相談しますわ。」
「ターニャは舞踏会好きだよね?今日はどうだい?」
「はい。我が家主催がやっぱり良いですね?楽しいです。もっと踊りたいです!」
「雷帝宮で定期的に催すから。最近は何か有るかい?」
「沢山、旦那様と踊りたいです。最近?ソニアさんが心配な位でしょうか?」
「うん、俺も反省してる。ターニャも何でも言ってくれよ?」
「はい。後は赤ちゃんでしょうか。」
「そうだね。そちらもがんばろうな?」
「はい!旦那様!」
「エリダは楽しめているかい?」
「はい。お母様も柵無くゆっくりと出来るので楽しそうですわ。」
「ああ、体調も良さそうだ。エリダも何か有れば直ぐに言うんだよ?」
「はい。旦那様に委ねておりますから。お母様の事も感謝しております。」
「夫婦なんだから当然だろ?明日の王太后様はお忍びにしないか?一領に顔を出すのは不味いだろ?」
「………そうですわね。デッカー総長も居るのだし、最低限の侍女達にして。」
「それが良いと思うんだよ。でないと、物凄く大事になるから」
「はい。それで宰相達には話ますわ。」
この後も妻達全員と踊り、イエネッタとも。
後は十台や未婚の人達で踊っていたのだが、ラストを殿下と王太后様で締めた。
中々に盛況だったのではと、思うのは俺だけだろうか?
アーシャ達が見送りに立ち、殿下は俺が霊波移動で王宮に送った。王太后様は
エリダと離れに泊まる様で、侍女達と早々に休んだみたいだ。
俺も見送りに立ち、全招待客を送る。普通はここ迄しないのだが、家の主催だし
侯爵家と公爵家が来ていたのだ。なるべくやっておかないと妻や家、家臣連中の
今後にも響き兼ねないからな。特に雷帝宮陣にとっては。
今は妻達と風呂に入っている。皆も疲れただろうな。
だが、楽しかったのか、笑顔で話をしている。招待客の分析か?
「――――の彼女は少し旦那様に媚びを売り過ぎですわ。」
「そうです!―――――も、密着し過ぎです!」
「―――――と―――は旦那様を狙い過ぎね、牽制入れないと。」
「エイミィさんは、一途だしメリットも有るのよね。」
「聖騎士団副長の娘ですからね。」
聞くんじゃなかった。生々しい話を聞いてしまった。
見ざる聞かざる言わざる。で、遣り過ごすんだ。それが正解の筈だ。
ガイアとアルテミスが両横に居るから癒されよう。
「そうね?幾らでも癒すわよ?」
「旦那様を癒すのは妻の御勤めです。」
「そうして貰おうかな。まだ、明日と明後日が有るしね」
風呂上りは自室の居間で皆でお茶を飲む。酒はもう今日は飲まない方がいい。
俺には関係無いのだが、フローネとソニアの手前、説得力が無いからな。
概ね成功だった、今日の感想と明日以降の勉強にもなった。
俺が人数分に分裂して、其々の寝所に向かう。
一人一人との語らいの時間だな。後はやはり、夫婦は寝起きを共にしないとな。
「ソフィアは何も無いか?少し元気が無いが」
「いえ……少し、悲しいです。けど、仕方無いとも、思ってます。」
「家の事かい?」
「はい。でも、父の自業自得ですから。それに、旦那様に嫁げましたし。」
「うん。何処かで、間違ってしまったんだろう。誰でも、そう成り得た。環境も悪かったと思うし、ヴァラント氏の心も弱かった。色々重なった結果だ。今度は自分達や周りが、そうならない様に気を付けていないとね?人を責めるのは簡単だが、自分を律するのは難しい」
「そうですわね。昔は優しい父だった記憶が有ります。父は何かを間違えた。私は間違えない様に気を付けないとなりませんね。」
「ああ。お互いだぞ?注意し合って、先へ進む。夫婦だし家族だ」
「はい、旦那様。ついて参ります、ずっと。」
「カトリーヌはどうするか決めたか?」
「悩んでますぅ。村の自然も味わいたいし、母さん達に王都も見せたいし。」
「ならば、別荘も決めたいから、先に向こうへ数日行くか?帰りに一緒でもいい」
「うわぁ!それがいいです旦那様!学校も後2ヶ月半だし、御子が出来れば幸せまっしぐらです!」
「そうだな。子は少し早いとか思ったりしないか?」
「え?農村は普通だし、愛する旦那様の御子です。早く欲しいですよ?母さんも30歳位の筈ですけど。」
「そうか。じゃあ、建領際が終わったら二人で行こう。三日位か?それからカトリーヌの母と弟を連れて戻ろうか」
「はい!あの子達も喜ぶだろうな~、弟が二人で、一番下は妹です。上がザガン、次がロブス、妹はニースです。妹がかわいくってぇ………あのぉ、旦那様。私が奥さんで、大丈夫ですか?」
「どうした、急に。良いに決まってる。不安や悩みは直ぐに言え?」
「…………んと、正直、自信無いです。でも頑張らないと、捨てられちゃうので。」
「別に無理をする必要も無いし、捨てもしない。もう俺の女だ、離しはしない。今更だぞ?カトリーヌ。アーシャの言葉を思い出せ。人は一人では何も出来ないから集まる。そう、言っていたろ?だからこその家族や村や街だ。ソニアにも言ったが役に立つとか、それで選んでいる訳では無い。結果がそうだと言うだけだお前はお前らしく在ればいい」
「………そう、ですね。私らしく。うん、私らしく頑張ります!御子も頑張りますね?」
カトリーヌには、たっぷり吸われた。と、言っておこう。
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