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W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
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第82話 それぞれの夜

 


 私がお兄様と連絡を取りまして、旦那様が霊波移動でボルドーへ

 ペリゴールお兄様を迎えに行かれたのですが………



「ぬああ!………は~ビックリだよ。メルには何時も驚かされるねぇ」

「あ、お兄様!ようこそ、いらっしゃいました。」



「「「「「「「「「「「「ようこそ、ペリゴール様」」」」」」」」」」」」


「あ、皆さん、お邪魔様。新しい奥さん達は初めましてだね。

 ボルドー家の次期当主で、アーシャの兄のペリゴールだよ。宜しく」


「まあ、座ってくれ。あ、カトリーヌ。分裂するから屋敷に繊維を取りに行く」

「はい、旦那様。」

「済まない、バタバタと忙しいんだ。手伝って欲しい位にな」

「君は本当に驚かせてくれるからね?心臓が持たないよ」

「いや、成り行きでな。ソフィアとジェシカで書記を頼みたい。纏めてくれ」

「「はい、旦那様」」


「済まないな、忙しいとは思ったが早く話しておきたかった」


「いや、僕もだよ。魅力的な提案だからね!此方は有難いばかりさ。アーシャも

 元気そうだし、安心かな」


「そう言って貰えると有難い。先ずは隧道なのだが”トンネル”と呼ぶ事にしたよ。

 ピレネートンネルだな。魔物の対策も有るから、両方の森林出入り口迄延ばして

 門を設置して領軍の管轄にしたい。トンネル内にも休憩所を作り、巡回兵に

 維持管理させる」


「そこは賛成かな。トンネル、だっけ?休憩は宿泊可能?多分通常の速度だと、

 一日では抜けられないよ?」


「そうか……では、中間に広目の余地を作って宿泊施設を作ろう。殻は俺が作るから

 ボルドーで運営するか?」


「いいのかい?メルが殆どをやってしまうのに」


「ああ、そちらにも旨味が無いとな。抜けて、ナッシュ迄の道も順路の整理をして

 くれれば、俺が通すよ」


「いや、何だか悪いね。そもそも話だけでも家には旨味しか無いのにさ」


「まあ、親戚って事で。それに、早くここと向こうにも酒の販売を始めたい。

 料金は二割増しでどうだ?」


「え?いいの?助かるけどさ」

「ああ。距離が有るから仕方ないさ」

「で、狙いはどこ?旨味だけじゃ無いでしょ?」

「ま、そうなんだ。北部の開拓・開発を手伝って貰いたい。人夫の斡旋でも

 ボルドーとして区割りを任せてもいい」


「いやいや、雇用の創出は助かるけど。いいのかい?それって旨味しか無い」


「ああ。今回の北部壊滅地帯をなるべく正確に出したら、面積で三分の一になる

 もはや、領内だけでのんびりやっていたら、破綻する。物資はいいんだ。

 入れればいいからな。だが、それだと値が高騰し領民が持たないし、貴族が

 干上がってしまって、貴族制度が崩壊する。遣るなら国王を排除した時に

 やってなければならなかった。もう遅い。領地を纏める上級貴族もガタガタだ。

 なるべく早くしなければな。」


「分かったよ。協力させて貰うよ。ボルドーとして。」



 その後は細かい取り決めを纏めて合意した文書を作り雑談だな。

 丁度昼に差し掛かるので、昼食を共にした。



「何だか昼迄御馳走になって申し訳無いね」

「いや、俺も助かる」


「しかし、こう美しい奥さんが揃うと壮観だね?メルが羨ましいよ。女王様もだし」

「まあ!お兄様?可愛い妹と、あんなにお優しいナンシー義姉様では不服と?

 御夫婦仲は大丈夫ですの?」


「あ、いや、失言した。ナンシーに不満は無いよ?ああ、無いさ。だけれど、男の

 夢と言うか、まあ、その、な?分るでしょ?」


「なれば、きちんと側室をお迎えあそばせ?御義姉様を泣かせる等許しませんわ」

「いや、泣かせてないって。メルも助けてよ」

「こればかりはな。俺に飛び火する」


 まあ、じゃれ合いだな。

 皆で笑いながら、そんな時間を和やかに過ごして、ペリゴールを送った。



 明日は再編会議を行うので、執務室の俺は政務官・文官衆と

 書類の整理を行っていた。

 主に各領地の運営と被害の状況、各貴族の財務諸表、現時点で判明している

 悪事の数々を並べた書類をだな。

 次に、俺が主導で進めている仕事の数々だ。

 新街道と各宿場町の開発。北部地域の開発と農地開拓。

 試験的に領都であるバハムートで学校と治療院(産院)と薬局。

 領内の街道新整備、観光地整備。来年度から着手する巨大都市開発。


 これらを書類にした物を説明しながら議論し、決定していく。

 俺が領主なら、どこの仕事に入れても良い訳だからな。

 犯罪者は捕縛、斬首又は労役。犯罪の程度によって家にも罰則有り。

 賄賂や横流し程度は軽ければ見逃し。巨額や恒常的なら捕縛。

 ニルヴァーナ領の方針が気に入らないなら放逐。

 緊急の措置として女性当主も認め、未成年も後見人を付ければ可能。


 場所は旧謁見室を改造して会議室にした。

 ここ迄で夕方になってしまったので解散して、妻達と食堂へ向かう。



 食堂に入ると人数が多いなと、思ったが、王都の屋敷から全員来ているから

 当然だったし、別宅からも来ているからだった。

 まあ、全員集合も丁度いいのか。


 気合いの入った夕食を、美味しく楽しく味わって満足だ。

 自室の居間で寛いでいるのだが、アーシャとソニアを中心にして、騒いでいる。

 カトリーヌと取りに戻った新繊維の事でだ。

 ソニアも余程の自信が有るのだろう。期待が高まるな。

 俺の両横にはガイアとアルテミスが居て、微笑んで見ている。

 彼女達は、率先してまで加わらない。それは遥かに極まった技術や品が溢れた、

 それが当たり前の世界で生まれた記憶が有るかららしい。そりゃ反則だな。



 風呂は全員で仲良く入る。これも仲良しの秘訣なのかもな?

 ここではアウラとエリダが横に付き、アルテミスが皆に身体を弄られて、

 ガイアが弄って遊んでいる。平和な光景だな。ソニアも平気そうで安心だ。



 同衾は勿論の事、分裂して全員だ。分割思考を慣れさせる為に、夜は複数だ。

 アーシャ、エリダ、アウラ、ソニア、アルテミスの俺が同位体だな。



 ソニアとは、夫婦の営みをしながらステータスで確認しなければならない。

 体調の数値と病の数値、子供の状態を確かめる為なのだ。

 行為が終わると嬉しそうに抱き着いて来るソニアが可愛いのだが、身体が楽

 そうに見えるのが安心だな。


「ソニア。今回色々と有ったが、これからは何でも言ってくれ。お前を失うと

 思ったら怖いと感じた。別に役に立つかどうかで一緒に居る訳では無い。

 特に最初の三人のお前達はさ。ソニアに至っては二人切りだったろ?

 お互いに、離れられない感じで。一緒に居るのが当たり前になってた筈だ。

 だから、恩とか役とか考えるな。お前に居て欲しい。それだけなんだ。

 そもそも子供が居るんだぞ?母親になるんだから子の事だけで十分だよ」


「はい、旦那様。そうします。でも、旦那様が大好きなので。

 何だか不思議です。もう五年も過ぎたんですね。私が母親になれるなんて。

 あの頃が懐かしく感じます。実は最初の頃の記憶が曖昧なんです。自分でも

 壊れていたのは分ってるんですけど、どうにも出来なくて。」


「そうだったな。修道院に預けようとしたら、凄い抵抗だったぞ?二回で諦めて

 暫く旅を続ければ変化が出るかと思ってな。お前の笑顔が見れた時は安心した

 んだぞ?綺麗な笑顔でな。もう大丈夫だって」


「感謝してます。無意識でも、旦那様と離れるのが怖かったんです。この人と

 離れちゃダメだって。そんな意識だったと。あれから、ヤキモキしました。

 何時迄経っても手を出してくれないから、自分に魅力が無いのだと悲しんで

 みたり、女から誘うのははしたないし、嫌われたら怖いし。

 凄く悩んだのですよ?いい想い出ですけどね。旅も楽しかったし。

 王都で住むようになって、休日のデートも嬉しかったわ。」


「そんなだったのか。俺は鈍いから教えてくれんとな。

 いや、魅力は有ったんだ。だが欲が薄くてな。良いと知っていれば

 手を出したさ。実際、お前を欲望の目で見る連中は多くてな。かなり排除した。

 ソニアの身を守る気だったが、俺の女って気持ちも、有ったのだろうな。

 さ。身体に響くから寝なさい。見ているから」


「もぅ……いじわる。私だって、そう思ってましたよ?おやすみなさい、旦那様。」


「ああ、おやすみ。ソニア」




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「今日は有難うな、エリダ。明日もだが」

「旦那様をお助けするのは当然の務めですわ。」


「そうなのかも知れないが、王都も有るしな。負担は減らしたい」

「この程度は負担に入らないわ。愛する旦那様の為ですから。」


「済まないな。愛情で返さなくてはな?」

「うふふ、是非。そう言えばペリゴールさんもお久しぶりでしたわ。」


「ん?面識が有ったのかい?」

「はい。子供の頃に何度か。伯爵家以上はそれなりに。お互いに年齢が近いと

 後を考慮して面識を広げる意味と婚姻での意味とで。今の公爵家は私より

 一回り以上上の年齢かアウリッヒよりも若いかになってしまうから余計に。」


「そう考えると大変だな。だが、俺と一番若いカトリーヌは七歳差だぞ?

 本来の年齢なら九歳差だ。余り考え過ぎも良くないがな」



「え?カトリーヌさんの年齢ってどうなってるの?」


「元々は十五歳前だった。カトリーヌが蘇った時に大幅に霊魂と肉体を

 消費・再生したんだ。そのせいで肉体年齢が二年分経過したんだよ」


「そうだったのね。彼女の生い立ちはアーシャさんから聞いたけど、過酷ね。

 それなのに、何時も笑顔で明るくて、前しか向いてない。人を思い遣る心も。

 本当に素晴らしい女性だと思うわ。尊敬できる人よ?あんな風になりたい、

 って、思えるんだもの。」


「カトリーヌが死んだ時、直接魂に触れた。絶望と悲しみに埋め尽くされてたが

 普段はアレだ。強靭な精神力の持ち主なのは違い無いな。憂いも無くなったし

 一度実家に帰してやらねばな。実母を心配していたから」


「優しい娘ですからね。私もお母様との時間を作らなくては。

 来年は”離れ”でゆっくりするのもいいわね。お母様も御呼びして。

 勿論、子づくりもですわよ?今から可愛がって下さいます?」


「では、そうしよう」




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「旦那様。”月のモノ”が来てしまって残念です。私がダメなのでしょうか……」


「こればかりは仕方無いさ。俺も何度か必要だと思っていたし。ステータスでも

 アーシャに問題が有る訳じゃ無いし、三年前に母さんが憂いを祓ってくれた

 だろ?大丈夫だよ。どうにしろ優先は先に婚姻した三人のつもりだけど

 ターニャとアーシャの二人だと”出来易い日”に空きが出来るから、他の妻も

 挑戦していくつもり。多分だけど、次で出来る確信が有る」


「え?本当ですか?早く御子が欲しいです!嬉しいです!」

「うん。【真神瑠璃】が馴染んでるから間違い無い。後は卵子次第だ」


「後二週間程です!楽しみです!」

「恐らくだが、アーシャとカトリーヌ、アウラ、ガイアは聖域でなくても平気だ」


「え?何故ですか?聖域でないと出来ないって」

「そうなんだが【真神瑠璃】が馴染めば、その、種族的にね?」


「え?私は普通の人間ですが?加護のお蔭ですか?」

「うん。加護も有る。前迄は、種族:人間。だった。今は変質して俺が識別

 出来なくなっている。前に言ったろ?鍵の話」


「あの、私はどうなっちゃうのですか?」

「まだ、分らない。でもアーシャはアーシャだし、アーシャが幸せにならない

 世界を母さん達が望む訳無い。心配無いよ」


「うん。そうですね。きっと。」

「そうだよ」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「旦那様?ソニアさんの件は取り敢えず無事で安心ですわね?」

「ああ。ただね、ソニアの覚醒が何を意味するのかがな。アウラもだ」

「私もですか?………確かに。どうなるのでしょうか?」

「まあ、そう不安な事も無いと思う。母さんがやってる事だから」


「そうですわね。でも妖精って。実際はどのような存在なのでしょう。」


「妖精。と言っても余り人間と変わらないが、ん~何と言ったらいいかな?

 住んでる場所が少しズレている。ソニアが自分の滅んだ村を復元させてたろ?

 あんな感じに近いかな?彼等の存在と言うか、活動かな?がこの世界に

 色々な現象を起こす元になっているんだよ。火を起こしたり、風が吹いたり。

 そういう現象の源なんだ。多分だけど、エルフは妖精族なんだが、元の血筋を

 引いてるから、妖精に種族覚醒させて、何等かの役割を持たせたと思う」


「旦那様は博識なのですね?誰も知らない様な事まで御存知とは。」

「いや、エルフには知り合いも居るし、妖精には会って話しをした事が有るんだ」


「え?妖精さんとですか?驚きです!」

「俺が魔人だったからだろうな。人間に姿は見せないから。いや、見えない」

「私もそうなってしまうのですか?」

「いや、多分半妖精だと思うが、妖精になっても問題無いと思う。

 現象の行使は自分の任意の筈だから」


「良かったです。旦那様と離れるのは嫌ですから。」

「俺もだよ?心配するな」

「はい」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「どうした?カトリーヌ」


「……だんなさま。ソニアさんが元気になって良かったですね?」

「そうだな。母さんにもだが、お前達の結束が最後は効いたと思う」

「でも……気付けなかったのは悔しいです。私も可愛がって貰ってて。」

「それを言えば皆だし俺が一番不甲斐無い。今回は最悪の結果は防げた。次に

 生かせなければダメだろうな」

「そうですね。失敗を生かしましょう!」


「お前も実家に帰ってみるか?それとも呼んでもいいが」

「え?母さんですか?いいのですかぁ?」

「ああ。舞踏会が終わってからな。決めておけ。行くなら連れて行くぞ?」

「あぅ、だんなさまと。二人なんて。嬉しいですぅ。どうしようかなぁ?

 御子を授かって、呼ぶのも有りかなぁ~」


「それでもいいがな。向こうに、家の別荘も欲しいな。環境がいいだろ?」

「はい。凄くいい場所です!コトブキの森近くかコルトラス川の畔もいですね?」

「そうだな。場所決めも兼ねて数日行くか?実はこの半島の西の沖に島が有って

 そこにも我が家の別荘が欲しいと思っててな。聖域もいいが」


「あ、わたし、もう”授かりの日”が来ます!」

「お!そうか。どれ。ん、【真神瑠璃】も馴染んでいるな」

「じゃあ、今日もいっぱい下さい。出来たら嬉しいです!」

「そうだな。そうするか。カトリーヌ。何でも言えよ?」

「はい、旦那様……ちゅ」



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