第81話 それからの
いや、まぁ。アルテミスが思ったより可愛い反応で
憤死しそうになったのは秘密だ。
今も俺の腕の中で眠っているのだが………
「める…………むにゃむにゃ。。」
「何の夢を見ているのやら。」
「…………ちがいます。あいのささやき」
「ぬわ!起きていたか。何のささやき?」
「愛です。どうだった?気持ちいいでしょ?」
「うん。そりゃ良かったけど。」
「じゃあ、する?いいのよ?何度でも好きなだけ。私は嬉しいし。」
「お前、どう言うつもりなんだ?」
「ちょっと!ひどい!私だってメル好きだから捧げたのに!泣くわよ!ぐすっ。」
「あ、いや、すまん!許せ、俺も好きだから抱いててやる。な?泣くなよ」
「ほんと?じゃ、もっとして?」
酷い目に遭った。いや、嬉しい目か?
ちょっと病んでるが、まあ、求愛には変わらんからいいか。
しかし、普段との格差が激しいな。これが巷で言う”ぎゃっぷ萌え”か。
「ね、メル?これからもいい?いいわよね?大好きって、言ってくれたもの」
「いいけど、お前は大丈夫なのか?」
「うん。だいじょうぶ。大好きだから。」
「なぁ、昼間言葉を濁したろ。あれ何だ?」
「ん~上手く言えません。でも、今は駄目な気がしたの。」
「ふ~ん。なぁ、お前これからどうするんだ?」
「どうって?別に。神は続けるわよ?シリア様が困るし。メルも好きだから
抱かれに来る。私ね?ヤキモチ凄いの。だから、こうやって一人づつ相手
出来る迄待ったのよ?それじゃ嫌?別れるなんて認めません。」
「いや、構わない。アルテミスの好きな様にしてくれ。ん?これって、子供が
出来たらどうすんだ?」
「当然、産みます。当たり前でしょ?」
「ああ。問題無いならいい。その時は一緒に住むのか?」
「ええ。そうなってると思うわ。よ・ろ・し・く・ね?だーりん!」
「うん。まあ、アルテミスも大切にするよ。
ところで、アー「その先はダメ。今はこっち。ちゅ………」
上手くはぐらかされたのか、ヤキモチなのか、微妙だな。
ま、今はこっちでいいか。
朝5時の定期通信で補完した。
全員に変わりは無い。ステータスもだ。
ソニアとは、優しく合体したみたいだな。体調が良くなり、喜ぶなら問題無い。
昨日の、事の顛末と、皆での考察も教えておいた。本人も驚いていたがな。
だが、ソニアはソニアだ。優しく、気弱で、控え目、泣き虫。我慢強いのを
忘れていたから、今後は注意が必要だな?黙って我慢しそうで嫌だ。
アーシャとターニャは”女性の日”が来たみたいで残念がっていた。
こればかりは仕方無いぞ?治癒を掛けて大人しく寝た。
別宅ではレスティナとの初結合が無事に済んだ。問題は無いのだが、
ハーフエルフを何処まで隠すつもりだ?俺から言ってみるか。
全員で風呂に入り、食堂で朝食を取る。アルテミスも一緒だ。
風呂ではガイアが突っ掛かって言い合いしていたが、仲が良いのだろうな。
「「良くありません!」」
と、言うか。アルテミスは何時まで居るんだ?いや、いいけど。
居るなら居て欲しいと言うか、居れば良いんだがな。
「じゃ、居るわね。」
え?まぁ、いいか。仕事も忙しいから、予定をちゃんと立てて動かないとな。
貴族面談を熟しながら、再編会議も同時でやろう。時間が勿体無い。
ん?居る?って言ったか?何だ、聞き間違いか。
「居ちゃダメなの?ぐっす。」
「ぬあ!思考と会話すな!居ていいから。いや、居てくれ!泣くな。」
「本当?私おもい?しつこい?ねぇ?嫌だった?正直に言って!求めて?」
「……本当だし、重く無い。丁度いい、嫌じゃ無いぞ?嘘では無いし求めたろ?」
「何か、心籠ってない?やっぱり帰る?どうしたらいい?」
「アルテミス。好きだから居てくれ。な?」
「はいっ!可能な限り居ますね!うふっ!」
「アーシャ?」
「はい、旦那様。横ですから会話はダダ漏れですわ。アルテミスさんですね?
大丈夫です。アーシャにお任せ下さい。神様と妻の兼業ですわね?
皆さん!そう言う事ですので、宜しくお願い致します。さ、勉強の続きを」
そう、今は執務室で仕事してる俺だ。
妻達は横の妻ソファーセットで勉強会で、面談の同席は相性や過去の絡み。
得意分野が被るとか色々で決めてる。今はラティーナが同席中。
侯爵家にはエリダが同席してくれている。感謝だ。
ソニアは夫婦の営みをすると体調が良いので、ソファーに横になって勉強だ。
だが、無理はもうさせない。俺とアーシャの指示で無理に休ませる。
今回の件で、ソニアがどれだけ大きな存在か分ってしまった。
寿命なら、仕方無い。それ以外では嫌だ。
なのだが。俺の横にアルテミスとガイアが座って仲良くお喋りしているのだ。
仲良しはいい事だが、少し声のトーンを下げないと、皆に睨まれると
「「仲良くしてません!」」
「「「「「「「「「「「「睨んでません!」」」」」」」」」」」」
そう、仲良く無いし睨んで?あれ?何を考えていたっけな?
「くすっ。旦那様?皆さん仲が良くて幸せですね?」
「ソニアもそう思うかい?皆、根が優しいからな。勿論ソニアもだぞ?」
「有難う御座います。常に優しい女で、母で居たいですわ。あ、カトリーヌ?
新しい繊維だけど、旦那様と持って来て貰えないかしら?私が紡ぎと織りを
やりたいの。繊維の特徴に合わせた方法を何種類か考えているから。多分、
カトリーヌが言っていた感じに織れると思うの。今回のは合成繊維だけど
その前段階の物も作ってみましょう?そのまま不繊も作って様々な用途が
期待出来ると思うのよ。アーシャ様の構想にピッタリだと思うのよね?
それから新しい染料も思い付いたから試してみましょう。
アーシャ様、化粧品は植物由来もですが鉱物も試してみましょう。
アウラさんが詳しいので、実験の壁は低いかと。ただ、それらは色々と
添加しないとなりませんけれど、アルコールは必須です。」
「は、はい!なんか、ソニアさんが、カッコイイ」
「ええ………何だか、剥けちゃいまし、た?」
「デキる女ってかんじ?」
「元々が静かな雰囲気ですから余計に」
「んふふっ。別にそんなじゃ無いの。ただ、意思表現が楽だから。
なるべく詳しく、正確に、伝えたいだけなの。あ、フローネさんにも
知恵を借りたいのだけど、どうかしら?」
「私で大丈夫?鉱物ならアウラさんが。」
「そうなんだけど、成分や考え着く用途、新しい抽出方法も考えたいの。
植物と鉱物の両方でね?鉱物自体はアウラさんに聞くのだけど。
リーリアさんには新しい繊維での新しい織りや編みを一緒にやりたいの。
どうかしら?私も自分が全てやっていたから、服飾も出来るけれど、本職では
無いから。貴方のは趣味の領域を超えているわ。」
「ええ。私で良ければ。勉強になりますし、是非。」
「私もですか!お裁縫は大好きなのです!勿論御一緒させて頂きますわ!」
応接室で俺とエリダは侯爵家と面談していた。
「女王様。お初に御目に掛かります、モンテッチオ・フォン・コルバーノです」
「そう、そう来たのね?ならば。私が女王エリダヌスよ。お主は領地没収ね」
「なっ!いきなり横暴では!御再考を!」
「ふん、お主、ここに何をしに来た?総領主たる我が夫の召喚に応じて、
面談に来たのであろう?なれば私はその妻であり、この地この場の最上位は夫!
然るに、挨拶は我が夫にせねばなるまい!それを私を女王として、先に頭を下げ
総領主には挨拶せなんだな!ならば、私が女王としての見解で下すのみ!」
「ま!誠に申し訳御座いません!総領様。奥様。ご容赦下さい!」
「どうなされます?旦那様」
「先日もふざけた連中の相手をして、スラムのゴロツキにも舐められた。
俺が優しい態度を見せ、増長しているらしいが。さて、面倒だから飛ばすか?」
「と、飛ばす、とは……?」
「首に決まってる俺は容赦も躊躇もせん。が、血の圧政を敷きたい訳でもない。
分るか?お前はどうするのだ?随分と民にも重税を課していたようだが」
「そなた、何故私を見てるの?先程から話しているのは夫。総領様です。
熱心に私を見ても応えられないわよ?この身体に触れて良いは夫だけ」
「い、いえ、その様な、事は。ど、動揺して、おりまして、はい」
「ふむ、下衆いな。で、どうする?現状をどう変える」
「はい。いえ、は、ぜ、税は、適正に、戻し、ますです」
「それだけならばいい。貴家の処遇は再編会議で決める。貴様個人は少し痛みを
伴わんと、改心しそうにないな。数年、労役にでも出て来るか?
この地での、過去の悪事を総浚いさせているが、貴様の名も有ったかな?
その辺りも追及させて貰うぞ?」
「な!!儂等は高貴なる血!搾取し、虐げ、奪う存在ですぞ!平民の命など
取るに足らん存在!虫けらを踏み潰して、何が悪いのです!肥え太るが当然!」
「まあ!とんだ貴種も居たものね。」
「こう言うのは、搾取されんと気付かんか。ま、沙汰は追って出す。謹慎しろ」
「わ!儂を愚弄するとは!」
「こいつを摘まみ出せ」
「「「「はっ!」」」」
阿保は文句言いながら、騎士団に引き摺られ、退室した。
この地には、まだまだアノ人種が蠢いているのだろうな、疲れる。
「エリダは大丈夫かい?不快だったろう」
「はい。旦那様が清めて下さいませ。」
「そうだね、そうしよう」
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その朝、別宅では
レスティナとは初めてだったが、良かったのだろうか?
いや、受け入れたのだから今更か。アーシャ達も認めたのだしな。
「おはようございます、旦那様。嬉しいです。」
「うむ、俺もだ。身体は平気か?」
「はい。気遣って頂いたので。」
「ところでな、ハーフエルフなのは隠しているのか?」
「…………はい。やはり良い顔はされないので。旦那様にはお見通しですね。」
「本国では、そんな事は無いのだがな。普通に生活している」
「ここは差別や階級、女卑が根強いので。」
「何故、ここに居る?元冒険者なら、選択肢は多い筈だ」
「母が、この地に眠っていますので。引退の前には戻って来ました。」
「父親はどうした?」
「幼い頃に別れた切りです。やっぱり、難しいのだと思います。大森林の奥地だと
母から聞かされてましたから、現役の時に挑戦しましたが………無理でした。
どの道、エルフの”守り”を抜けられはしないのですけど。」
「まあ、人間には厳しい場所だな。何時か行ってみるか」
「良いのですか?旦那様なら難無くでしょうけど。」
「落ち着いたら行ってみよう。俺も久々だ。何人か顔見知りも居る」
「え?それは凄い事です!是非、お願い致します。父に会いたいので。母の
形見を渡したいのです。」
「では、そうしよう」
フェンディとフェルーナも一緒に風呂に入って朝食を済ませる。
レスティナには来週の領地・王都巡りを伝えて調整させる。
ギルドに出勤のレスティナを見送り、庭のテーブルでフェンディとお茶を
飲みつつフェルーナの相手もしてやらねばならん。
父親の愛情が欲しかったのだろう。凄く甘えて来る。
一頻りの相手をしてから分裂、新街道と北部に飛ぶ。
新街道は今日で王都迄繋がるのだが、まだまだ手を入れたい。
ケイティの父親のオリバーにも伝えて、稼働が可能な事を知らせる。だが、
宿場町が機能していないので、町と建物を利用しての半野営になってしまう。
その辺も早く何とかしたいが、政務官達が動いてくれているので、待ちだな。
北部も街道と街の下地として作った陣地を増やすのと、整備だな。
開拓の前に、人が住める環境が無いと成り立たないから。
街道もタルベとピルニャンとの領境いに延ばして行き来を円滑にさせる。
国境は無くなったから、領軍の基地として三千人が詰めている。
実は北部のピレネー森林と山地を突き抜けて、ボルドーへのトンネルを考えている。
そうすればボルドーとの直接の交流と取引が可能だし、ナッシュに繋げば新街道
と直通になって利便性が増すのだ。ボルドーにとっても旨味が大きい。
これは早くしたい。今日から手を付けるか?よし、分裂だ!
2人分裂した俺が現地に飛び、感知を使いながらボルドーを目指す。
一人が感知しながら洞穴を作り、一人が錬金で内側と地面を石で固めて行く。
執務室の俺が補完し、アーシャに話掛ける。
「アーシャ、いいかい?」
「はい、旦那様。どう致しましたか?」
「うん。実は北部とオストラバ地区を結ぶ街道から、ピレネー森林に入り、
山地の地中を掘ってボルドー直通の道を始めているのだが、ペリゴールに
了解を貰いたい。出来れば、そのままナッシュへ繋げ新街道にも直通したい」
「まあ!素晴らしいお考えですわ!早速、お兄様に!」
アーシャはスフィアを取り出し、通話を始める。
「ペリゴールお兄様、そちらは御変り有りませんでしょうか?」
『うん。何事も無く順調だよ。セバスとも商会の方は上手く行ってるしね。
可愛い妹が無事で安心だよ。あ、舞踏会の参加は出しておいたから是非。
相変わらず、メルは大きな事をして驚かせてくれるよ、そっちはどうだい?』
「はい。此方も大変では有りますが、大きな混乱無く。
あの、ご連絡しましたのは、旦那様の発案で、此方とボルドーを山地の下で
直通の道を通したいと仰ってまして。出来ればナッシュまで。」
『えっ!そんな事が可能なのかい?凄いよ!僕がお願いしたい位さ!
是非、会って色々相談したいなぁ。勿論了解だよ!』
「有難う御座います、お兄様。」
「アーシャ、今、都合が良ければ迎えに行く」
「あ、あの。お兄様?今はお時間有りまして?旦那様が御迎えに向かうと。」
『え?いいけど、雷帝竜様でも時間が掛かってしまうよ?』
「いえ、瞬時に移動が出来るお力が有りますので大丈夫ですわ。では、」
「旦那様、大丈夫な様ですわ。」
「ああ、では直ぐに連れて来る。」
そう仰って、旦那様は霊波移動で飛ばれましたの。




