表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
80/117

第79話 ソニアとWarlock Magus System

 


 朝の定期通信で補完して現状確認兼、其々同衾している妻のステータスを確認

 ここからは、なるべく10分毎の霊波通信を心掛けて慣れさせる。

 今はソニアとアーシャの俺が司令塔をしている。


 俺の右側には、ソニアが眠っている。

 効果が切れると辛そうなので、3時間毎に真神治癒を掛けている。

 お腹も無事だ。順調に細胞分裂している。

 今日はソニアをアノ場所に連れて行く。

 ぐっすり眠る彼女を抱き締めて、体温を確かめる。


 7時頃ソニアが目覚めたので、メイド達が見守る中、2人ベッドの上でお茶を飲む。

 気分は悪くなさそうだし、少し笑顔だ。あれ以来、ソニアに笑顔が無い。

 正直言って、不安だ。何かを覚悟している感じで。



「ソニア、風呂に行こう。抱くぞ?」

「はい」



 寝間着と下着を脱がして、抱いて入り、ソニアの身体を優しく洗う。

 頭も洗ってやり、そっと流す。


 抱き上げて湯に浸かり、話掛ける。



「ソニアはあそこに行って大丈夫なのか?それが心配なんだ」

「…………こわい。でも………お母さんとの約束。頑張るの」


「そうか。だが、無理はするな?お前が大切なんだ」

「はい。でも、前に進めないから。」


「必要、なのだな?母さんも了承だな?」

「はい。カトリーヌは、清算済み。アウラさんは、蟠りは有っても、決着。

 私は………縛られたまま。それに、呼ばれてます。」


「そう言う事か。呼ばれるって、誰にだ?」

「…………アノ場所に。皆に。お母さんも、一緒です。」


「分かった。お腹は大丈夫か?」


「今はへいきです。んくぅ!ち、ちゆ、を」

「ん、【真神治癒】!!」


「ふ~。ふ~。ん、っは。ら、楽に、なって」

「ああ。温まって出ような」




 出るとメイドと侍女が待機していて、ソニアの身支度を整える。

 一斉に掛かって、あっと言う間に終わり、負担が少ない。

 ソニアの自室に戻り、2人で朝食を取る。ソニアは煮込みスープと

 カットフルーツで食べ易い物だ。



 食事を終えて、ソニアと雑談しているとノック音が響く。


「御当主様、ソニア様。皆様方です」

「お願いね」



「おはよう、ソニアさん。体調はどうかしら?我慢しないでね?」

「ソニアさん。お腹は冷やしちゃ駄目ですよ?」

「うん。皆が心配してます。」


「揃ったようね?」

「お母さん。私、頑張るわ。」

「ええ。じゃあ、行きましょうか?ほいっと!」




 皆が呆然としていた。

 アーシャ、エリダ、ターニャ、ソフィア、ジェシカ、カトリーヌ、クリスティ、

 ケイティ、アウラ、ラティーナ、リーリア、フローネ、クラウディア、

 で、ガイア。

 母さんの力で移動した先は見渡す限りが、只の荒れた平地だったから。

 だが、俺とソニアは分る。ここが何なのか。


 その、ソニアは、ふらふらと歩きだし、何かを呟いて、膝から崩れて座りこんだ。





 あ、記憶。私の記憶?どこ?止めて!お願い!




 何だか外が騒がしいわ。何だろう?

 嫌な感じがする。


 居間の窓から外を見るとガーナーさん家から火が出てる!

 武器を持った男達がうろうろしてる!

 大変だわ!


「お、お父さん!ガーナーさん家が燃えてるわ!野盗かも!」


「なに!?オヤジはここを!俺は見て来る!」

「おっしゃ!ソニアとガルムは隅に!」



 ドゴン!!


「何だお前達は!」

「うっせいな!」


 ドシュ! ブシュシュ~



「ああ!お父さん!!」

「この盗賊が!よくもっ!」


「あ~?死んでろ、老い耄れ」


 ドシュ!!ドサ。


「邪魔なんだよジジイが!」



 いきなり入って来た野盗に、お父さんとお爺さんが!

 止めて!何で!2人を帰して!



「お、お父、さん。おじいさん………やめ、て。」


「お!美味そうなの見~っけ!げっへっへ!ついてら。生娘か。味見すっか~」



「や、やめ、て、おね、おねが、い、来な、いで、」

「げひ~ひゃあ!たまんねぇな~?上物だぜぇ」



 私は弟のガルムを背に隠して後ずさる。

 こわい。震えが、止まらない。何で、こんな事に。

 何も悪い事、してないのに………誰か


「おら!可愛がってやるってんだよ!」



 ビリ!ビリビリり~!


 腕を掴まれ、胸元から服を破かれて、下着だけ

 怖くて、身体が動かない。どうしよ!どうしよ!誰か!



「ねいちゃんをはなせ~!このこの!」


 ああ!ガルム!だめ、にげて!だめよ!声が、出ない!



「うぜえガキだぜ、そらよ!」


 ドシュ!

「あう!」


 ドサ。ドカッ!バキッ!


「おら!おら!邪魔すんじゃねぇ!クソが!」



 あああ!ガルム!沢山血がながれて。し、しし死んじゃう。

 だれか、弟が、涙でぼやけて見えない……なんで



「げへ!早速ぶち込んで昇天させてやっからよ!おら!」



 や、やややめて、ああ、したぎも。おねがい。やめて。



「おい、さっさと金目と食料積め!燃やしてずらかるぞ!女も積んどけ」

「けっ、いいとこだったのによ。後でた~っぷり可愛がってやる!おら来い!」



 あぅ!やめ、て。だれか、おねがい、おじさん。



 裸のまま引き摺られて外に投げ出された私が見た物は、地獄だった。


 村の殆どから火の手が上がり、隣のおじさんも首が無い。

 向かいのおばさんも、犯されながら胸にナイフが刺さってる。

 ガーナーさんは逃げながら背中を切られて、あ、お腹を刺されちゃった。

 ミレさん夫婦は座って命乞いしながら刺されちゃった。あ、奥さん犯されてる。

 どんどん炎が強くなって、村が。なんで?やめてよ。どうしてなの?

 みんないいひとばかりだよ?なんでなの?だれか。た、す、け、て、



 引き摺られて荷馬車に乗せられそうになったの

 わたしを掴んでた野盗が倒れて。死んでる。

 え?なにが?


 仮面を付けた、大きな人が喋った



「無事か?ここに居ろ。皆殺しだ」



 その人は毛布をわたしに掛けて野盗を殺して廻ってる

 あっというまにみなごろしにして、馬に私を乗せて炎に包まれた村を出た




 少し離れた場所から、呆然と見ていた。

 生まれ育った、私の幸せだった、小さな村が、私の全部が


 火に呑まれて焼け落ちていくのを


 私はもう、何も考えられなかった。

 言葉も失っていた。

 何も見えていなかった。





 そうだよ。もう、皆居ない。過去の事。

 あの頃には戻れない。

 でも、でも逢いたい。


 私は地面にうつぶせて、泣いた。



「ごめん、ね。わだじ、ぐす、まだ、行けない。しあわせに、なるから」



 待っててね。そして見てて。頑張る。幸せになる。

 だから、まだ。まだなの。でも、あいたいよ

 父さん、ガルム、お爺さん、みんな。

 わたしはここだよ!




 え!?私を中心にどんどん草が生え、花が咲き、家々が立ち並び

 村の皆が一人、また一人、現れる!どうなってるの!?


 村が、緑が、皆が、あの頃の様に!

 お父さん!ガルムも!?お爺さん!なんで?どうなってるの?

 え?え?なにが………どうなって


 振り返るとお母さんや旦那様、皆がすぐ後ろに居るの。

 え?混乱して、分らない。でも、目の前にはお父さんが、弟が、




「母さん。これは一体なんだ」

「シリア様!これって神と同じ力です!何故!?」

「緑や村が、現れたわ………こんな事って」

「人が、透けています!どうなってるんですか!」


「少し待ちなさい。」




「ソニア。なぜ泣いているんだい?」


「…………お、お父、さん。だって、だって、」


「幸せになるのだろう?ならば笑顔じゃないとな」

「そうじゃよソニア。村一番の別嬪が台無しじゃ」

「ねいちゃんはキレイだから、わらってないとね」


「うん。うん。そうだね。わたし、馬鹿だから、わすれてた」

「笑顔で進むんだ。いいな?何時でも、”ここに”居る」


「ありがとう、お父さん。みんな。やっと、歩ける。またね?また。」



 そう言うと、村を包む緑と建物を残して、消えてしまったわ。

 でも、ううん。もう、大丈夫。私にはお母さんも旦那様もみんなが居る。

 だから。


 そこで意識は途切れた。





「母さん、何が起こったんだ?消えた村が再現され、死人が」

「シリア様。残留思念が。こんなの、魔人どころでは無いです!」

「シリアお義母様、ソニアさんは一体」


「ええ。この瞬間を待ってたの。ソニアの覚醒はこの場所と今でないと無理

 だったから。危なかったけど、成功ね」


「母さん!何が起きてる!?」


「さ、ソニアを抱いててあげないとね~!頑張って、乗り越えたご褒美かしら?」




「皆、座ってみなさい?ソニアの聖域は中々よ?」


「え?草原、草花が、フカフカの絨毯みたい。なぜ?」

「どうなってるの?何が?」

「母さん、諸々可笑しいんだが」

「シリア様。此処って実在してます!在り得ないです!」


「うんうん。みんなの鈍感っぷりがいいわねぇ~!解説し甲斐が有るわぁ~」

「いや、誰に解説するんだ?」

「旦那様、読者に決まってますわ。」

「え?」

「サービス大事です!陰でパンチラ頑張ってましゅ!」


「話が進まないんだが……」

「メルちゃん?ガイア?ソニアに何か感じない?」


「いや、珍しい髪の毛の色?位だが」

「私も同じです。」

「そう。じゃ、色を薄くしてくと~?」

「青灰色。かな?」

「よねえ。」

「青灰色、青、灰色。え?え?シリアお義母様?まさか!!」


「はい!アーシャちゃんせいか~い!」

「ん?アーシャ?」


「はい。旦那様と同じかと……」


「「「「「「「「「「「「「「「ええ?」」」」」」」」」」」」」」」


「まあ、同じ。って訳ではないけどぉ、似てるのよ。

 ソニアの力は精神の想いが、働きが、この物質世界に干渉、具現化されるの。

 また、逆も然り。精神、霊と魂が現実世界に干渉する力なの」


「はあ?それって魔人より凄いぞ!」

「そうです!神の行使です!一体なんで」

「ソニアさんは、どうなるのですか?」


「ソニアの一族の遥か遥か太古、その始祖はね?魔人を産み出す過程で造られた

 魔人の試作品なの。その血統。なるべく近親婚で血肉が薄くならない様に

 頑張ったみたいだけど、随分薄くなってたから、力の発現には通常では無理

 だったのよ。今、メルとの子を妊娠して、その身に力を宿した上で、ソニア

 自身が追い込まれる必要が有ったの。只、体力なんかは、普通の人と

 変わらないから、力の行使には注意が必要だけど」



「母さん。魔人を作った、その試作と言ったか?」


「言ったわよ?ステータスで、種族:って出るから、一族と思ってたでしょ?

 はいはい残念~!魔人は単体製造。人により造られし者、それが魔人。

 もう魔人の準備体は無いわ。その試作体6号が私で、唯一無二の

 完全体で試作0号があなたのお父さんで私の最愛の人、ゼロよ。

 そして、全知全能の存在でも有る、”天照大御神”。この世の絶対の存在ね。


「え、え、え?シリア様?私の記憶では、試作体は1号からですし、

 6号はアルテミスの筈です!私が7号。どうなってるんですか?」


 ちょっとガイア?それ、言っちゃう?ん~~種明かしはまた今度ね。

 でね、メルちゃんに色々託す予定の内、”終焉の観測者”がカトリーヌちゃんに

 なってしまったのよ~。ごめんね?ま、とは言え皆が居るのだしいいわよね?

 そんな訳で、魔人は世界を守護し、見守り、見届けるのが本来の役目だったの。

 それを創り出し、調整してきたのが


 Warlock Magus System 通称、W・M・S 」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ