第78話 ソニア2
朝からのでは無く、暫くしてからの定期通信で補完した内容に驚いた!
ソニアが妊娠したのもだが、病魔に侵されていた事もだ!誰も気付かなかった。
何故、誰にも相談しなかったのだ!母さんが来て助かったが、死ぬつもりだった
のか?母さんには、もう問い掛けるなと言われた。任せるしか無いか………
この男爵の面談が終われば、少し話をしよう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「アーシャとアウラ、少しいいかい?執務室に飛ぶ」
「「はい」」
「どうされたのですか?旦那様。先程の方に何か?」
「いや、実は、ソニアと俺が聖域に居るのだが、ソニアが懐妊した」
「「まあ!喜ばしい!!」」
「うん、それ自体はいいのだが、彼女の身体は病魔に侵されていた。
全身に巡っていて、かなり危なかったらしい。母さんが何とかしてくれた」
「「え!」どうして!」
「分からない。何かを悩んでる感じだったから、問い掛けたが、
言わなかったから、魂の接続を行って見抜こうとして病が分った。
急いで治癒を掛けながらステータスを見たら、全身に病原が巡っているのと
懐妊が分ったんだ。子供は母さんが守護してくれた。
病気は、俺が真神の治癒を続ければ一月程で治るらしい。ただ、母さんに
ソニアが黙ってる事は問い掛けるなと言われた。母さんが目を掛けると。
心当たりが無いかって、言うのと。皆にも気を付けて欲しくてさ」
「一体どうして。何で誰にも。私達にも言えないなんて。死ぬ気だったと?」
「ソニアさんは、とても繊細な方です。まさかとは思うのですが。」
「ま、そうね。アウラちゃんの考えが近いかしら?」
「母さん!」
「「シリアお義母様!」」
「ただ、あの娘にも色々とぉ葛藤が有るの。誰のせいでも無く、あの娘の内側の
問題なのよ。手助けは出来てもぉ、自分で消化するしか無いの。
アーシャちゃんのせいではなのよぉ?」
「ですが、私達が傍に居ながら。不甲斐無い想いです。」
「アーシャ様………お義母様、もしや私に近いのでは。と思ったのですが」
「そうねぇ。種類も方向も違うけど、似ているわぁ。
でも、この話はもうここだけにしておきなさぁい?余計に苦しむわよ?ね」
「「分かりました」」
「ああ。ありがと母さん」
「うんうん!じゃあ、まったね~ん!」
「「「はぁ。」」」
「旦那様、申し訳御座いません。何も目に付かない愚か者でしたわ」
「いや、俺が夫として確りするべきだった。病気もステータスで瞬時に見れる
のに、怠っていた。ましてソニアは話せなかったんだ。もっと、時間を割く
べきだった。過ぎた事を言っても始まらん。今から直す。普段から可能な
限り、皆のステータスを確認する。皆での語らいも重要だが、もっと
一人一人と言葉を交わす時間を作らんとな。と、言う訳で2人からだな」
「うむ。ステータスに問題は無いな。【真神瑠璃】も馴染んでる。
そう言えば、ソニアの声を戻した。新たな真神力でな」
「まあ!でも、ならば余計に何故」
「…………いえ、多分、だからこそ、余計にですわ」
-----------------------------
聖域では
「メルちゃん。」
「え?母さん?どうしたんだい?」
「ふ~~。ちょっと、娘とお話が有るから借りるわ」
「いや、いいけど。え?」
「ソニア。お母さんとお話しましょうね」
「…………?はい。」
「え?ここは………真っ白なお部屋。」
「さ、お座りなさい?」
「はい。あの」
「お母さんは、まあ。神様だからぁ、全部分ってるの。
でね、貴女が感じてるモノは――――――――――――――――――」
「あ、母さん。ソニア。おかえり」
「お母さん。有難う。私も頑張るの。」
「ええ、頑張るのよソニア。見ているわ」
「はい。見ててね?」
「ええ。じゃ、メルちゃん。まったね~」
「え?話が見えないんだが……ソニア。身体は?」
「…………今は大丈夫です。おはなし、いいですか?」
「え?ああ。じゃ、ソファーに座ろう」
「…………私、旦那様が大好きです。でも、話せないし、農村の出だから旦那様の
お役に立てません。私の村は野菜とお花の栽培で成り立ってました。
お爺さんは村長で、父さんと弟の四人家族。母さんは弟を産んで死にました。
お婆さんもその後に無理が祟って。女の私が家の事やらなきゃって、必死で
した。知ってます?農村は女が家の事と畑の手入れと収穫、旦那様の奉仕を
するんです。男性には、耕して、畑を害獣や魔物、水害から守って貰うので
大事にするんです。女では無理ですから。私も、それが当たり前と思ってて
命を救って貰って、生活を守ってくれる旦那様に恩返ししたかったの。
最初は良かったの。でも、急にお仕事忙しくなって、大貴族になって、奥さん
増えて、私が出来る事って無いのに、どんどん無くなって。
半年前から調子が悪かったです。でも、旦那様に言えなくって。酷くなって
悩んでたら、益々言えなくなって。アーシャ様には特にバレ無い様にしなきゃ
って、隠してたら、吐血するようになって。日に日に吐く量が増えて、もう
死んじゃうのかな?って。また旦那様に助けて貰っても、出来る事無いから
せめて赤ちゃんだけでも間に合えば、貢献出来る。それしか考えられなく
なってしまったの。でも、御子を産む人も沢山増えたから、それすら要らない
かもしれないって思ったら、もう何も言えなくなってたの。
苦しかった。何も出来ない女が大事にして貰っても、赤ちゃんも産めないって
役に立たないんだもの。でも残りの時間が無いし、どうしようって。
そればかりになって、他の事が考えられなくて。ごめんなさい。馬鹿な女で。
でも、お母さんが。分ってくれてて。ぐす。娘って言ってくれて!ぐすっ
出来ないなら、頑張れって!母親が居るんだから!甘えろって!
喋れなくてくるしかった!でも!お母さんは!ごめんねって!旦那様!
馬鹿な嫁を許して!ごめんなさい!!うわあああああん」
ぬう。ソニアの思いを聞いていると、思い込みも有る。だが、
そんな素振りは最初だけで、後は全く見せなかった。アーシャやターニャも
気付かないって、どれだけ我慢してたんだろう?そうさせたのは俺でも有るか。
もっと夫婦の語らいを大事にすべきだった。間に合ったから良かったが
死んでいたら悔やみ切れない処だったぞ。
「ソニア。許すも何も無い。お前が無事ならいい。気付いてやれなくて
済まなかった。旦那失格だ。今日から、俺も改める。何でも言ってくれ?
お互いちゃんと向き合おう。お前を失うトコだった。そんなのは嫌だぞ?」
ソニアを抱き締めて、泣くだけ泣かせた。
30分後には、寝てしまっていたが、それでいい。
起きてから語りあえば良いんだ。
体調はどうなんだ?母さんが危ないって、言う事は余程だぞ?
どんだけ我慢してたんだよ。ステータスっと。
え~っと。これ、どんだけ酷いんだよ!本当にやばかったぞ!
でも、裏を返せば、それだけ向き合って無いって事だ。
誰も気付かない程にコミュニケーション不足だったのか。皆と。
話せない。それだけで、取り残されるものなのだな。こちらの認識不足だ。
勝手に大丈夫だと思い込んでいただけだ。自分の妻の異変にここまで気付かん
のか?俺は愚か者だ。領地も世界もどうでもいい。自分の奥さんを放置する
位なら、放り出せばいいんだ。しかも、一番長いソニアをだぞ!情けない。
「ソニア、済まなかった。お前達、妻を見失う位なら、他は投げるさ」
「それは駄目。私が嫁失格なの。だから頑張る。何でも出来る様に努力するの。」
「起きてたのか。身体は?正直に言えよ?」
「うん。辛いです。赤ちゃんが心配」
「まってろ。【真神治癒】どうだ?」
「はい、楽に。ありがとう旦那様。これから頑張ります。旦那様を支えるのは
当たり前だから。話せないから本は沢山読んだから、知識を生かすの。
開拓も任せて。農地は詳しいから。」
翌日、雷帝宮に戻って、ソニアは自室で静養する事になった。
当然暫くは、分裂した俺が着いて治癒を掛けながら様子を見るし、侍女と
メイドも交代で着きっきりの体制で面倒を見る。
早速アーシャとアウラにはソニアの独白を伝え、自分の不甲斐なさを痛感し
ソニアと話をしたようだ。俺は同席しなかった。
アーシャ達も、話せない事がどれだけ辛くて、誰とも意思を通わせられないか
痛感したようだった。確かに、筆談では限界が有る。
ソニアだけが悪いのでなく、皆に反省が必要だった。
一番怖いのは体調だった。我慢しないソニアは辛そうで、今迄どうしてたか
効いたら、痛み止めの薬草と自分のヒールで痛みだけ麻痺させたそうだ。
なのでなるべく早目に治癒を掛けて行かないと、苦しむのだ。
それと一日に数回、吐血する。不安にはなるがステータスも確認しながら
だから、大丈夫だと思いたい。
お腹の子は母さんの守護だから信じてるが。
晩には急遽、王都からも皆がやって来て、休みを過ごすそうだ。
女性陣がソニアの部屋に集合して、色々話合ったそうだが、結束が強く
なった感じだな。後はソニアの体調だ。
「ごめんなさい、皆さん。迷惑を掛けてしまって。ただ…………やっぱり話せない
と言うのは、その時々で上手く意思を伝えられなかった。そうしている内にね
色んなモノが溜まって行って、叫びたくなる。でも出来ない。段々と身動きが
取れなくなって、自分を失ってしまってたの。 それにね。
故郷の皆が夢に出て言うのよ。熱い、苦しい、痛いって。早くこっちに来い。
お前だけ幸せになるのかって。引き寄せられてたわ。今も、あの時の光景が
鮮明に浮かぶの。生涯、消えないわ。
だから、最後はあの場所に1人戻って、ひっそりとって。」
「ソニアさん、人は皆弱いの。一人では生きられない、だから人は集まって
生きるの。私達もそう。一人では何も出来ないから集まって旦那様を
お支えするの。それは当たり前の事なの。だからもう、悩まないで」
「ええ…………ごめんなさい」
「今は、赤ちゃんの為にも身体を一番に考えて」
「はい。エリダ様」
「さあ、ソニアさんの身体に障りますからこの辺で」
「「「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」
「「…………」」
アウラとカトリーヌが残り、二人共黙ってソニアを見つめている。
ソニアも黙って見つめている。
突然、三人が頷きアウラとカトリーヌは部屋を出て行く。
ベッド脇の椅子に座っている俺はソニアを見ると、薄っすら微笑んでいる?
俺の分らない世界が三人の間には有るのだろう。仲間、なのか?
「ソニア、辛くは無いのか?直ぐに何でも言うんだぞ?」
「身体が痛いです。それと洗面器を」
「はい。ソニア様」
「う、ぉぇ、ごぼぼっ………は、ぁ~ふ~。ありがと」
「どれ、【真神治癒】」
「済みません旦那様。楽になりました」
「ソニア様、何でも仰って下さいね?」
「そうだぞ?お前を失ったかもしれないと思うと恐ろしい。頼む」
「…………はい。そうします。旦那様…………わがまま、いいですか?」
「いいよ。なんだい?」
「明日、私を連れて行って欲しいの」
「ん?何処…………あそこにか。…………わかった」
「済みません…………すー。すー。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その日の主な面談
「アゼンツァの奥方か。先日は騒がせたな」
「いいえ、ほとほと呆れ果ててましたから。奥様方にはご迷惑でしょうけれど」
「旦那様が未然に防ぎ、実害は有りませんでしたから」
「息子は良かったのか?」
「私は後妻でして。アレは先妻のです。私の寝所に迄入り込む猿ですから。」
「それは大変だな?で、現状を聞きたい」
「家は中央の北部寄りですから、被害は多少で済んでますが、当時は軍等に荒らされ
まして、代官その他も逃げ出して混乱はしていますし、田畑も荒らされたと。」
「あの辺りか。確かにそうだな。爵位は一律で下げる。公爵家も飲んだ決定事だ。
それから、これも賛成を貰っているが、領地再編をしたいと思う。北部開発は
出来る範囲での協力要請だな。貢献度で割当したいと考えている。
他家もそうだが、女性でも当主に、とな。未成年もだ。その場合は後見人を
付けて貰うがな。奥方とか」
「はい。構いませんわ。独力でも結局数年単位掛かりますし、配下がガタ付いて」
「うむ。この際膿は吐き出し、無理なく領地を経営して発展させて欲しい。
総領直轄領も作り、受け持つ。北部開発もな。財務状況は?」
「何とかなってますが、税を落とすと来年度が厳しいかと」
「税は適正に戻す。財務諸表を出してくれ。支援が必要なら行う」
「分かりましたわ。所でおバカさん達はどうなりましたの?」
「余罪追及中だな。出る物出さして斬首だ。余計な仕事で疲れるがな。
通知は行ったと思うが建領の舞踏会は出席してくれ。全ての貴族と街の
顔役に告知してあるのでな」
「楽しそうですわね?お相手でも探そうかしら?」
「独身なら構うまい。息子も婚約者を見付けねばな?」
「あら、いいの?私は火遊びで満足よ?」
「まあ!妻の前で浮気宣言ですの?」
「うふふ。聖女様は、確かに若く美しいわ。で、も。女の魅力はそれだけでは
ありませんのよ?」
「勿論ですわ。我が夫は外見で判じる殿方では有りませんから。」
「そうね?まぁ、ゆっくりゲームを楽しみましょう。では、アーシャ様。」
「ごきげんよう、ロアーナ様」




