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W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
78/117

第77話 ソニア

 


 貴族面談をしていて、公爵二家の現状は把握出来た。

 男爵、準男爵も数家対応したが、此方は問題無いと言える。


 さて、困ったがどうしたモノか。最後の一家が来るから、後は侯爵家だ。



「お初に、お目に掛かります。フレドニア侯爵家が妻のジュリアです。

 この子は嫡男のデルトロです。」


「ああ、メルツェリン・フォン・ニルヴァーナだ。皆にも伝えているが

 爵位は一律で下げて貰う。準王家が被るのを防ぐ意味合いでな。

 年金は据え置きだから爵位だけだ。現状を聞きたい」


「ふん!親父の首を飛ばしたから、てっきり潰しに掛かると思ったが」


「ま、貴家自体が悪事を働く、又は加担していたならだが、そうで無いなら

 無用な事はせん。悪事はあくまで本人だ。本来なら当主が斬首だからそう思うな」


「情は有ったがクソ親父だったからな。俺が当主になるなら文句無いさ」


「ほう?見所は有りそうだ。で、現状は?」


「はい。混乱は有りましたし、派閥内でも逃げた家も有りますが、何とか

 デルトロと持ち直しつつ熟しております。財政は何とか維持が出来てはいます。

 ただ当家も一部北部を担ってましたので、痛手では有りますわ」


「あのクソ親父が貯め込んでたから何とかなってるが、現状維持が一杯だ」


「財務表を出せば、支援はする。北部は俺が主導で開発と開拓を行うが

 人間の手配は協力してくれ。貢献度によって、開発後の領地割りを決めたい。

 それから、現状で無事な地域の再編を考えているがどうだ?現侯爵家も聞き取り

 はするが、ペスカーラは現状壊滅でランチャーノも危ない。各家の派閥貴族家も

 消えたり逃げたり潰れたりと、様々だろう?一度再編して、各家に合わせた負担

 の少ない、困窮しない領地割りが良いだろう?開発が進めば順次組み込んで

 再再編なり、すれば良いと思うが?国内の他地域からも開拓移民や入植を

 募って行く予定だ」


「俺は総領殿に賛成だな。現状は何処も厳しいし、単体での解決は無理だ。

 再編すれば混乱は起きるが一時だ。派閥の家家も一緒に苦労して貰わねば

 民が苦しむ。俺はクソ親父みたいにゃならねぇ。反吐が出るぜ」


「お前は態度も口も悪いが実直だな。デルトロ、歳は?」


「18だ。態度はあんたに言われたくない。だが、民を守ろうとしてるのは

 分るからな。スラムは快挙だよ、あんな力技は誰も出来ねぇ。国王ぶっ殺した

 のもな?凄い男だってのは認めてる」


「まあ、あれは我が妻を狙った報いと、オストラバ人に対する非道でだ。

 民、と言うかな。弱者は守らなくてはな。それが力を持った者の義務だ。

 武力でも権力でもだ。

 何れにしろ賛成なら、現侯爵達の面談後に再編会議を行いたい」


「ああ、家は構わない。我慢は数年だろ?良くなるなら願ってもないさ

 なあ?母上?おい、どうした?」


「へ?あ、ええ。格好いいから……え?再編ね?そうね。」

「………見蕩れてたのかよ。歳を考えろよな~。」

「と!女性に年齢の事を言うなんて!格好いいのだから、仕方無いじゃない!」

「開き直ってどうすんだよ。ま、いっか。程々にしてくれよ?」

「私だって、まだ女なのです。失礼しちゃうわ」


「面白い親子だな。来週末は、この雷帝宮で二夜連続で舞踏会を催す予定だ。

 貴族は自由参加だし、街の顔役達も自由だ。翌日からは街の民主導で建領際も

 手配をして貰っている。是非参加してくれ。年頃なら出会いの機会なのだろ?」


「あんた、本当に何でもやっちまうんだな!まあ参加はするけど、出会いねぇ。

 期待はしてないけどさ」


「まあ!では総領様とも踊れますのね?」

「そうとも言うが。まぁ、頑張るか。デルトロ、これから頼むぞ?奥方も」

「ジュリアですわ」

「ん?なに?」

「ジュリアと御呼び下さいませ」

「…………ああ、そうだな」

「私、総領様とお茶するんだから」

「え?何言ってんだ母上。帰るぞ?総領殿も忙しんだよ!」

「え~?だってイケメンだもの。折角シングルなんだから楽しまないと。」

「は?いいから!今日は帰るぞ!次にしろよ!ほら立って!」

「あっ!そうりょ………」

「騒がせて申し訳ない!又伺うからさ!じゃ」


「騒がしい親子だな………ふふ。頼もしいじゃないかデルトロ」




 面白い家が居てくれて助かった?いや、悪くは無いな。

 次は侯爵家だが、アゼンツァ家はどうにでもなりそうだから残り二家。

 大筋はそこまでだな。伯爵以下で数家有るが、場所も面積も政治的にも、然程

 重要ではないから何とかなりそうだな。


 しかし。そう考えると、この地は上級貴族が全てを握ると言う習慣なのか?

 余り褒められた事では無いが、今回は俺にとって益になる。

 なんせ上を纏めれば大方片付く。だが、少しづつ変えねばならんな。


 まだ男爵家が三つ面談を残しているから早く終わらせよう。

 三人に分裂して其々が応接室に向かった。





 結局終わったのは一時間後で、夕食前になった。気分は疲れるな。

 執務室にて、今日の結果報告を政務官達と話しながら書記もして貰う。

 早速、雷帝宮で使わせている”ペン”を使って記録している。



「お仕事お疲れ様です、旦那様。夕食の用意が整いましたわ」

「あ、アーシャ、アウラ。今行く。では、また明日だ」


「「「「「はい、お疲れ様でした」」」」」



 2人に左右から腕を抱かれて食堂へ向かう。


「今日から貴族面接でしたがどうでしたか?」

「明日は私も同席致しますが」

「ああ。比較的に友好だが、色々と混乱が生じているから、早期解決しないと」


「やはり北部の壊滅状態が大きな原因ですか?」

「そうだね。だからどうしても時間が必要だ」

「なるべく負担を抑えた領地割りが必要なのですね?」

「そうなるな。頭が痛いが再編は急務だ」




 今日の夕食も満足だっった。メインは肉だがソースとの相性も良く。

 工夫を凝らしてくれる料理人の皆にも感謝だな。

 あ、しまった。別宅にも分裂しないとな!

 王都は………やはり。向こうも分裂しないとならんな。自分の霊波鍛錬にも。



 食後自室の居間に皆で集まり雑談の時間だ。

 勿論、両方の別宅にも分裂して飛んだ。可能な限り、皆との時間を共有したい。

 アーシャ達はレスティナとフェンディの事をはなしている。

 フェルーナとベルナーラの事もな。姉妹のようで可愛いんだよ!

 今日からソニアと俺が【聖域】に滞在している。

 実は【真神瑠璃】が出来てから、優先の妻達には前もって仕込んだのだ。

 早く定着すれば、それだけ可能性が上がるのでね。楽しみだな!

 ただ、これが上手く行くなら、アーシャ、アウラ、カトリーヌ、ガイアは

【聖域】で無くても大丈夫と思う。

 それから。ソニアには試したい事が有るんだよな。





 -----------------------------


 聖域では




「ソニアと2人切りも久しぶりだな?」

「…………」


 ソニアが嬉しそうにしている。

 家の女性陣で一番長いのがソニアだからか、言葉が無くても伝わるんだよな。

 優しく抱き締めてゆっくりと服を脱がして裸にする。勿論自分も。

 そのままソニアをベッドに横にして抱き合う。


 霊力の操作も慣れて来て、出来る事も増えて来ている。

 成功すれば御の字だが……果たして。


「ソニア。力を抜いて、楽にして。そうだ…………真神力しんじんりょく正精真神せいせいまじん】!」


 ソニアの身体が光り、次第に収束。光は小さくなり胸の中に消えて行く。

 これは精神に作用する力で、ソニアの精神的苦痛と戦ってくれる。


 暫くすると胸から青い光が飛び出し弾けた!



「…………ぇ。こえ。だんな、さま。………もどった……の?」


「そうだ。上手くいって良かった。ソニアの傷は少し強かったからな」

「ぅ。ぐす。戻った!ひぅ。戻ったよ~!うわあぁぁあああんん!もどっだ~」



 ソニアが泣き止む迄、抱いててやる。もう炎も怖く無い筈だ。

 俺が身の回りの設備に火を使わないのは火災予防も有るが、ソニアの為だ。

 火を見るだけで錯乱状態になるから、絶対に火は見せなかった。

 照明も、厨房も、暖を取るのも、ソニアの前では使わないのがルールだった。

 でも。これで、大丈夫だ。精神に作用させる力や魔法は非常に繊細なんだ。

 復活の無い、精神崩壊などの類ならいいが、正常に戻すには非常に気を使う。


 まあ、一件落着だな。



 ソニアはそのまま泣き疲れて眠ってしまったので、ずっと抱いていた。


 そうか。母さんが手を出さなかったのも、俺が戻すと分ってるからか……

 しかし髪の毛伸びたな。綺麗な艶のある黒髪。しかも青身が入ってる珍しい色だ。

 ストラスバルト王国ではまず見ないが、思い出してみたら、ソニアの村で殺された

 人達は殆ど黒髪だったような………元々が少数民族の末裔かも知れんな。

 光に当たると青い髪に見えて美しいのだ。

 良く考えたら、初めての同棲?恋人?の様な関係の女性だが、大事に出来て

 いたのか疑問が残る。反省が必要だな。




「ん………だんなさま。有難う、御座います。命を救って貰って、心も。妻にも

 して頂いて。私が先に、天に召される、でしょうけど。

 魂はずっと、一緒に居たいです」


「ああ。そんな事も出来る様になるだろうが、転生体のソニアと会えなくなるぞ?

 まあ、その前に。今は子作りだな。人生まだまだだぞ?」


「はい。赤ちゃん。欲しいです。沢山、お願いしますね?」

「そうだな、頑張るとしよう」



「あっ………」




 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「んぅ。あ、さ。かしら?」



 旦那様のお顔を私の胸に埋めて抱き寄せるの。しあわせ。

 この人に色んな物を貰ったの。だから、この幸せを、赤ちゃんで返したいの。

 それ位しか、私には出来ないから。神様。シリアお義母様。お願いです。

 どうか、間に合って。


 一頻り堪能した後、カーテンの向こうが薄っすら明るいのに気付くの。

 そっと、裸のまま窓辺に行き、カーテンの隙間から景色を眺める。



「………きれい」



 遥か遠く、水平線の彼方から、朝日が顔を出そうとしている。

 まだ上空は群青色で、光の瞬きが見える不思議な世界ね。

 旦那様がお昼の眩しい光。アーシャ様は夜の眩しい光かな?

 ターニャさんどれかなぁ?  私は…………暗くて見えないや。

 赤ちゃんを授かれば、少しは見えるのかな。



 暫く見てから、バスタオルを身体に巻いて朝食の準備しましょ。

 サンドウィッチだけど、具材は手の込んだ物にしたいな。愛情を籠めたいの。




「おはようソニア。早いのだな」

「はい。目が冴え、てしまって。お流し、しますね」



 2人で浴場へ行き、旦那様のお身体を私の身体を使って丁寧に。

 気持ちいいかしら?私の方が気持ち良くなりそうだけど、我慢ね。

 ゆっくり丁寧に肌を合わせてお流しよ?どんな時間も一緒なら幸せなの。



「どう、でしたか?気持ち、良かった。かしら?」

「ああ。最高だ。気持ちが籠っている」


「早く、赤ちゃん。欲しいの。それしか、出来ないから」


「そんな事は無い。今迄、ソニアが居てくれたお陰で、俺は俺で居られた。

 ソニアを助けた後、一緒に居てくれたから今が有る。

 ソニアが居てくれたから、人を気遣う事や付き合う事が保てた。

 ソニアが居てくれたから、女性の扱いが最低限身に付いた。

 ソニアが居てくれたから、遊びに出たり、贈り物をする事も覚えた。

 ソニアが居てくれたから、一緒に食事をして、眠る事を覚えた。

 ソニアが居てくれたから、居を構えて、帰る事が出来た。お前のお陰だ。

 母さんが言っていた。お前との出会いは必然だと。俺もそう思う。感謝してる」


「言い過ぎ、です。私が貰ったモノ、沢山なの。だから………」

「じゃあ、頑張るか?」

「あ……ちゅ。」



 頑張ったけど、ぐったりなの。意識が飛んじゃって。

 旦那様は、満足かしら?まだ、力が入らないの。




「うん。ソニアの手料理も久しぶりだ。挟んだ中身に手が込んでいる。

 早くから準備していたんだな?スープも美味い!」


「はい。愛情です。これ位しないと」

「ありがとなソニア。2人の時間も懐かしい。あの頃に戻ったみたいだ」

「はい。現在も良いです。けど………あの頃、2人旅だった頃。あのままでも、私は

 良かったです。足手纏いは分ってます。今も昔も。」


「俺一人ならな。流石に女性には厳しいぞ?男性冒険者でも長期は辛いからな」

「体力は、自信有りました。農村の出なので。魔物は無理、ですけれど。」

「何時かまた、って思ったりな。美味かった、御馳走様だ。」



 食後、2人でソファーに座ってお茶を飲んでるの。だけど。


「ソニアは何か心配が有るのか?夫婦なんだから何でも言え?」

「…………有りません。赤ちゃんを授かれば、それで。」


「お前との付き合いが一番長い。何か有る事は分るぞ?」

「きゃ。ぁ。」


 抱っこされて捕まったの。じっと見つめて来て、眼を逸らせない。

 どうしよう。でも、怒られちゃう。赤ちゃんが間に合うかな………



「無理矢理聞くぞ?”魂の接続”だ」


 {えっ?ここは………}

 {俺とソニアだけの魂の世界だ。全てがさらけ出され嘘は吐けない}

 {え!駄目です!早く赤ちゃんが欲しいだけ!}

 {無駄だ魂を重ねれば。む!ソニア!何故黙っていた!}

 {…………言えません}

 {兎に角!急いで治療する!}


「真神力【真神治癒】どうだ!?………いや、少しづつ治ってるか?

 ステータス!む?全身に病原が!間に合うのか?な!着床が始まっている!

 これはどうする!母さん!」


「はいはいメルちゃん。慌てなくても大丈夫よぉ?」

「いや!慌てるだろ!ソニアは治るのか?いや、子供が!俺の治癒が!」

「落ち着きなさぁい?メルちゃんの治癒なら、一月も有れば治るわよぉ?

 赤ちゃんが出来るのねぇ。うんうん!孫よ孫!母さんの力で孫は包んでおく

 から大丈夫!それっ!うん、もう平気。ソニアちゃん?」


「………ぁ、シリアお義母様。ごめん、なさい。不甲斐無い嫁で………」


「いいのよぉ?身体も治るし、赤ちゃんも大丈夫だからぁ、大人しく寝て、

 余計な事を考えては駄目よぉ?メルはいいから、私に孫を抱かせなさい。

 いいわね?もう、赤ちゃんと私と自分の身体の事を考えなさぁい?ね。」


「…………ふぁい。ごめんなさい。うぅ。ひっく。」



 そのまま私は眠りに落ちていったの。お母様の撫でてくれる手が温かくて。




「で、本当に問題無い?ソニアはどうしたんだ?」


「ええ。メルちゃんが治癒を続ければ大丈夫よぉ?赤ちゃんは私が守護したの。

 だから問題無~し! まぁ、女も色々有るの。少しは汲んであげなさいな。

 もう、問うんじゃないわよ?私が目を掛けておくから。危なかったわよ?

 移動は明日にして、今日は安静にさせなさいな。」


「ありがとう母さん。少し混乱した。ソニアは、いや、任せるよ。」





 薄っすらと、意識が上がってきたわ。どうしていたのかしら。

 …………はっ!そうだったわ!慌てて跳ね起きて


「ソニア、横になっていろ。何も心配いらない」


「メル、さま。ごめんな、さい。ひっく。ごめんなさい、ふぇ。ぐす。」



 そのままベッドに戻されて、頭とお腹を撫でてくれるの。優しさが、辛い。

 でも、お母様との約束。守らないと。


「言い難い事なら、母さんに相談すればいい。分ったな?」


「…………はぃ。」



 赤ちゃんを身ごもったの。やっとお返し出来る。

 シリアお母様にも抱いて頂かないと。





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