第52話 牽制?挑発?
翌朝、目覚めは爽快だ。時刻は5時。
昨晩は、久しく出なかったので、妻達におねだりされてしまった。
まあ、俺も彼女達は大事だから嬉しいんだがな。
抱き着いて眠る奥さん達の寝顔を見ますかね。
6時には、起き始めたので横になったまま、雑談。
ジェシカがお茶を淹れたので、ソファーで暫くお喋りだな。
身支度を整えて朝食の用意を始める。
こんな事ならメイドとコックを大勢連れて来るべきだったか?
とか思いながら。軍事行動先に使用人を連れ立ってもなぁ。
ま、野菜スープとスクランブルエッグ、ボイルウインナー、白パン。
果物。こんなものか?
支度を終えたカトリーヌが配膳を手伝ってくれる。
日増しに強くなると同時に、身嗜みが整って綺麗になっていく。
この娘は。いや、この妻はどこまで進化するのだろうか。
不思議ちゃんで、癒し系で、確り者。半魔人。で眼鏡っ子。属性凄ぇな。
阿保な事考えてたら、皆が集まったので
「母さんと妻達に感謝を」
「お義母様と旦那様に感謝を」
「メルは器用だよねぇ。料理も何だってやっちゃうし。そもそも殿方なのに」
「いや、元冒険者だから。何でもやれないと自分が困るし。俺、単独だったから」
「あ~そっか。忘れてたわ。大貴族がしっくり来てるから」
「冒険者の旦那様もお似合いですが、今の旦那様もお似合いです」
「そうです。オーラもカリスマも有ります」
「安定感が凄いです」
「何方にしても英雄様です」
食事も終わり、お茶を飲みながら雑談をしていた。
今日以降は湧き出る魔物の討伐と、陣地構築・防衛以外は率先してやる事は無い。
そんなこんなで、10時になり俺とイエネッタで頷き合う。
「では、行って来る」
「「「「「「「「「「お気をつけてください」」」」」」」」」」
外に出て、ユニコ達と戯れるバハムートに声を掛ける。
「バハムート!頼む」
「きゅい!」
飛び立ちながら巨大化するバハムートに、イエネッタを抱いて飛び乗る。
「あああ、あ、あんたね!っど、ドキドキするじゃないのよ!ふぁ、は、初めてなんだからね!」
「ふむ、そうか。だが、魔法の威力以外は普通の女性だ。危ないのでな、光栄だ。軽いな?食べた方が良いと思うが。掴まっててくれ」
「つつつ、掴まって!?は、破廉恥!でしょ!」
「いや、危ないんだ。俺が強めに抱いておく。痛ければ言ってくれ」
国境線迄2キロ。ここは何も無い。その5キロ入った位置にスパンダルの境界柵と国境監視所が有る。
その手前に襤褸いテントが乱立している。難民か。
だが、聞いた話より随分少ないと思うがな。感知の数は…………6000ってとこか。
その監視所の前に降りたバハムートの姿に、周囲は大パニックだ!
で、俺の出番ね。風魔法で増幅して
「者共しずまれっ!!」
しーんと、静まり帰った周囲を見渡して、ゆっくりイエネッタを下す。
と言っても、バハムートの上なんだがな。
「良く聞け者共!スパンダル兵!士官は居るのか!?」
「わ、儂が、責任者、だ、ななな何、奴だ!」
「私はストラスバルト王国!宮廷魔術師筆頭代理!イエネッタ・フォン・ルジェアンテである!この度我が国は、先に周辺国家へ通達した内容通りに、旧オストラバの地を完全制圧した!此れよりかの地はストラスバルト王国の管理下に置かれる!従って、王国法も適法されるので警告を促しに来た次第!無法に国境を越えた者は相応の裁きが下ると思え!軍事介入は宣戦布告と見做し、即座に蹂躙する!早馬で中央に伝えろ!直、今この場に居る難民に限り、無条件で受け入れる!安寧を望む者は今直ぐ移動を開始しろ!以上だ!」
そのままイエネッタを抱っこして、バハムートは飛び立ち、陣地に戻る。
真っ赤な顔のイエネッタを馬車に運び、騎士団30と軍の兵士500を連れて防壁に移動。
錬金で門を作り、受け入れ可能に。櫓も作り交代で監視させる。
兵の士官の一人に紙と筆記具を持たせて、名前や年齢、出身(町村)等の個人情報を記入させて、番号入りのタグを首に掛けさせ、入場したら男女別で待機させる。
俺はその横に兵士の待機室、難民の待機室を男女別で作り、風呂と脱衣所を錬金して湯を満たす。
数が足りないので、霊波移動で王都の服屋に移動して、丸ごと買い占めて戻る。
もう一度霊波移動で要塞馬車に戻り、事情を話して女性軍人に来て貰い、世話を頼み衣類を渡す。
そのまま陣地の隣に難民の収容陣地を作って10人づつの宿舎を人数分一気に錬金する!疲れる。
男性街と女性街で分けるが、それは後にする。
取り敢えずこんな感じか?
食材は食材庫を作り、内側は氷壁にしてあるので、番を立てておけば問題無いな。
疲れたので、受け入れは軍に任せて一旦要塞馬車に戻って来た。
テントに入ると談話室にアーシャ達が居る様子なので、入ってみると、目が合ったイエネッタが真っ赤になって機能停止した。
「どうしたんだ?」
「旦那様?乙女の心情を慮って下さいまし」
「ルジェアンテ様は乙女、分って下さい」
「御当主様。”言葉にしてはいけないルール”です」
「もう少しだけ分って下さいね」
「あ、ああ。分らんが分った…………お茶、ください」
「はい、只今…………”敢えて触れてはいけません”わ」
何だか攻められるので、お茶を飲んだら防壁門に様子を見に行く事にした。
待てよ?此処から防壁迄3キロ…………馬車が居るか。街道も敷こう。
水属性魔術師もだな。世話役の昼食もか。ごっそり連れて行くか。
魔術師10人と煮炊き役25人、荷馬車3台で向かう。これってイエネッタの仕………言うまい。
暫く待っていると、恐る恐ると言った感じで、疎らに入り始めた。
比率は圧倒的に女性が多いな。やはり男性は奴隷で売られたか…………
中には女も居ただろうが、此れだけ差が有るとは。
だが、女性達は殆どが日常的に犯されていたのを考えると、何とも言えんな。
男は10分の1程度か?男手は期待出来んか。仕方無いな。
軍の連中も有能だ。混乱無く捌いているし、健康状態を見て治癒も掛けてる。
ならば俺は難民陣地で受け入れに回るかな。
軍の兵士を100人程、案内等で配置させ、馬車が来るのを待つ。
1時間後、第一陣が到着した。20人づつの60人。
10人に分かれて貰って、手前の宿舎から入って貰う。この時に一人二枚シーツを渡す。
一番手前の宿舎に行き、扉をノックする。
『…………はい』
少し間が有って、返事。そしてゆっくりと開いた。
「済まんな。俺はニルヴァーナ伯爵と言う。この地を平定した者だ。
元有った国を滅ぼした巨竜を倒した者と言えば分り易いか?
まあ、世話役もやっている。足りない物や不便と感じる物を聞きたい。
まだ仮の陣地で、出来たばかりだから、不足が多いのは理解しているがな」
「あの……私達、どうなるんで、しょうか…………」
「どこか売るんですか?」
「また犯されるんでしょうか…………」
「殺されるの?」
「む、いや。そんな心配はするな。ストラスバルトの国民として扱う。
まだ平定したばかりだが、お前達の生活が成り立つ様に、街を開き職を作り平穏な日々が送れる様に復興させる。勿論、お前達の協力も必要だがな。希望者は時期を見て本国に移住させる。只、暫くは此処になるのでな。最低限は保障する。安全もな?で、急ぎ足りない物は?」
「寝床が固いので、せめて干し草が有れば…………」
「替えの服と下着です」
「タオルってどうかなりますか?」
「月のモノが来たので布が…………」
「その辺は直ぐ用意する。自分達で炊事・洗濯は可能だな?少し待っていろ」
また王都に飛び、商業ギルドで一時間で揃えて貰う様に指示。
要塞馬車に戻り、アーシャを呼んで説明した。女性特有の事情はアーシャが良いだろう。
取り敢えずは清潔な布と言われた。それしか無いか。
もう一度商業ギルドに飛んで本日中に追加を頼む。布も多めに頼みランプと油を追加。
食料は集めるだけ集めさせる。そんな話をしていたら、一便が届いたので受け取る。
戻って来て倉庫を錬金してから、敷き・掛け布団と枕を6千組、ワンピースと下着とタオルを3万本、取り敢えずの布。
ここにも女兵士に来て貰って其々配らせる。食事は当番制にさせて、随時飯場に詰めさせる事にした。其々は無理だし管理・統制が取れないし、時間で区切ると大混雑にもなるからだ。追々上手くやって行けるだろう。なので、ここに詰める兵士もここで食事をさせる。効率重視だ。俺は攻略隊なのだがな。
夕方には全員を収容して、名簿も揃った。女が5,316人で男が448人だった。
男性街に一応の壁を作り、余計な混乱を回避させる。
健康な男性は物資の搬入や陣地の建造の手伝いをして貰って馴染ませておく。
こんなモノかな?疲れた。
馬車に戻りテントに入る。
悩んだが、風呂に行きさっぱりしたい。
自室に戻ってソファーで横になる。ん~遣る事多くて疲れるな。
眼を閉じて感知すると陣地周囲に異常無し。国境防壁も問題無いな。外は…………数人が移動してる?偵察かな?奴等の国境監視所はと。ふむ、二千人か。攻めるには少ないが…………一応警戒はするか。バハムートの姿を見せて、あの程度でどうにかしようとはな。笑える。
お?順次集結してる?本気で攻める気か?集めて有事に備えるのか?さてさて。
まあ、五千や一万など、一瞬で片が付くからな。あ、ロマーノ国境はどうする?
難民は放置出来ないぞ?ま、明日だ。今日は無理。
あれから1時間半。ヤツ等の監視所は………五千に増えてるな、こっちの防壁は………
三十人か。脅かしに行くか?それとも処理するか。一度見に行ってみるかな。
そのまま霊波移動で防壁に行く。
「任務ご苦労!ネズミがうろついている様だが?」
「はっ!遠巻きに此方の様子を監視してます!」
「少し脅かすか」
飛び上がって防壁の上に立つ。
偵察に潜んでいる敵兵に向けて、指先から炎の弾を二十五発撃ち込む!
シュ―――――――ン ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!ボッ!
うぎゃ!とかぐわ~とか聞こえるが知らん。
「おい!完全武装の兵士が闇に紛れて何をやっている!軍事行動は宣戦布告と見做すと宣言した筈だが、お前達は馬鹿なのか?兵を集めている様だが無駄な足掻きだ!戻って伝えろ!」
ま、引かないだろうがな。
今晩は此処で様子を窺うかな?何処でも一緒か。なら戻ろう。
「何か有れば来る、監視を頼む」
「はっ!了解です!」
ふぅ~休まらんな。あ、夕食!ま、いいか。
難民陣地に移動して、巡回兵に異常無しだと聞く。
そのまま馬車に戻って来て、ユニコ達を少し撫でてやる。
馬車に入るとアーシャが通路に居た。
「あれ?どうしたんだい?」
「いえ、旦那様の………お姿が見えなくて。寂しいのです。お食事もまだなのでは?」
「ああ、済まない。忙しくてさ。疲れたから横になりたい」
「では一緒でも宜しいでしょうか………」
「いいよ。ちょっとだけ休みたい」
馬車の方の自室に入り、上着を脱いで横になる。アーシャも横で抱き着いている。
眼を閉じて感知は広げて直ぐに察知出来る様にしておく。
「ん~疲れた。イエネッタが使い物にならなかったから、受け入れから配置から物資から調達と指示出してたからさ。スパンダルの愚か者も粉掛けて来てるし…………」
「最近、特にこの地に来て働き過ぎです。私の旦那様………傍に居て下さいまし。
心配で寂しいです。離れたく無いのです」
「俺も離したくないよ?まぁ、今は仕方無いよ。遣っておかないと後々困るし、エリダ含めて家族の為だ。世界の為ってのも有るけど………妻や生まれる子供達の為だから」
「私達やお子の事を………嬉しいです。ですが、お疲れが溜まっては心配なのです
今は一緒に居て安心させて下さいまし」
そう言ってアーシャは裸になり、俺の服も脱がせて抱き着いてくる。
「肌が触れると、安心です。心地良いです………」
感知を警戒域に上げてから、アーシャを抱き締めて眠る。
柔らかくて甘い香りのアーシャの身体が温かくて落ち着く。気持ちいい。
少しづつ、PVも伸びて嬉しいです。
これも、読んで下さる皆様のお陰ですね。
頑張って進めて行きますので宜しくお願い致します。
さら




