第49話 呪われた地とバハムート
バハムートが地上に降りて、騒然とはなったが混乱は収拾。
現時点での陣地はベルンの防壁外に駐屯している。
邪竜討伐以後、不毛の大地になった旧オストラバ地区の監視が主任務だ。
ここは仮陣地で、俺達が先制して絨毯爆撃で進路を作り、宮廷魔術師達が更に
魔法攻撃で地均しを行いながら進んで行く。
元の王都地区に到達したら本陣地の構築と防衛線を形成。
俺とバハムートは延々と絨毯爆撃を続けて殲滅を只管行う。
カトリーヌと騎士団で残党の処理とアーシャ、ガイアの護衛だ。
そうやって殲滅した土地を2人が汚染と呪いを解呪し大地を綺麗に平地に戻す。
駐屯地の隅にテントを下し、俺とアーシャ・ガイア・カトリーヌとむ~とちゃん。
デッカー達騎士団数名で西方軍の駐屯司令部に向かう。
「ニルヴァーナだ。ヘルゴラント将軍と面会したい」
「はっ!此方です!」
話は通っていた様で、すんなり案内されたのだが、周囲の視線が凄い!
武人だから、俺やデッカー達に興味が湧くのは分る。
それも有るがそうで無く、アーシャ達への視線が凄い!
「おい!ニルヴァーナ家だ!スゲぇ」
「最強騎士団の団長と隊長だ!」
「聖女様だ!本物!!」
「聖女様のおっぱい凄いな」
「英雄様だぞ!デカい!威圧が半端ねぇ」
「うわ!眼鏡っ子かわいい!」
「まじ聖女たんぱねぇ」
「此方です。ニルヴァーナ伯爵様をお連れしました!」
『お通ししろ』
「やあ、将軍。久しぶりですね」
「ヘルゴラント将軍、その節はお世話になりました」
「久しいなメル、奥方も。まぁ座ってくれ。直に宮廷魔術師も来る」
「今回は魔物相手だが攻め側だから楽しみなのでは?」
「まあな、軍は平時だと金食い虫で肩身が狭い。戦争は回避したいが、出番が無いと叩かれる。困ったものだよ、まったくな。メルの提案は軍にとって渡りに船だな」
「しかし軍が居てこその抑止力と平和ですから。定期的に出動が必要なのかもしれませんわね」
「奥方の様に理解ある者が少ないのも問題だな。そちらのご婦人は?」
「我が妻ですよ」
「側室のガイアです。大地母神の力を以て参戦します」
「同じくカトリーヌ、です。騎士団を率います。あ、お茶を出しますね」
カトリーヌが時空術からカップとポットを出して其々に配る。
魔人の力もだが、急激に大人の女性らしくなってきた。頼もしい事だ。
「うむ、申し訳ない。地母神の神官着だが、まさか聖女殿程のお力が?」
「はい。大地を甦らせますわ」
「ふうむ。凄いな。カトリーヌ殿はまさか前線で戦うと?」
「はい。先頭で」
「なんと!全く武人に見えない!」
「カトリーヌは家で最強だよ。あの邪竜も3日有れば倒せるんじゃないかな?」
「そこ迄とは!むむう。可愛らしい奥方にしか見えぬ」
「うふふ。有難う御座います、ヘルゴラント様」
「奥方達は美しいがそれなりに棘が有ると言う事か」
コンコンコン『宮廷魔術師様御一行です』
「うむ、お通ししろ」
「やあ、将軍。来てやったよ?あ!メル!アーシャ様!」
「先日振りだね姉御」
「まぁ!ルジェアンテ様!」
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「んで?爺さんから聞いてはいるけど?」
「皆の負担を減らす為に俺とバハムートで今晩から広域殲滅で絨毯爆撃を続ける
皆の出番は明日以降だが、魔物を頼みたい。”混沌の者”は極力カトリーヌと騎士団で対処する。武官でも上位者の実力が無ければ一対一すら厳しい」
「それ程なのか!」
「は~魔法は通じるのかい?」
「魔法でも剣でも、耐久値が高いから上位攻撃でないとダメージにならない」
「笑えんな。分った、軍は魔物の殲滅が主だな。俺は異形を刈るがな!」
「まあ、分ったわ。攻撃、防御、治癒とそれなりに振り分ける。今回は私が頭なんでね。それより、スパンダルが戦争を仕掛けるって本当なの?」
「ああ、あの布陣は間違い無しだろう。ポルンガにも警戒している感じだし。今回の侵攻で俺達が強引に押えるのは良いが、4国会談を要求されるだろうし、揉めそうだな」
「は~やだやだ!宰相殿と王太子殿下のお任せ~ってね!」
「そうだな。我等武人は鉾で有り盾で有る。外交はお任せだな」
「兎に角そう言う事なんで、俺は今晩から動くからタイミングはアーシャに伝える。明日の昼頃を目処にするかな」
「「分った」わ」
その場は一旦お開きになり、テントに戻る。
要塞馬車とユニコ達を出して馬車に移動してテントを収める。
自室に入ると妻達も抱き着いて来て
「雷帝竜様と御一緒とは言え、心配です」
「あなた。大丈夫なの?」
「御当主様………怖い」
「わたしも一緒に行きたいです」
「まあ、何も問題無い。上空から一方的に潰すだけだ。最初に旧王都地区に【究極燃焼】を飛ばして直径50キロ程を吹き飛ばす。そうすれば5倍の範囲内程度の可動物体は消えるだろう。後は絨毯爆撃だな」
「それ程強力な魔法を………人は居ないのでしょうか………」
「常に感知しているが、北半分に生存者は居ない。その気なら、アノ地を丸ごと消しても良いが周囲がただでは済まないからな。本来なら一撃で片付く」
「あなた………それってもう、魔人の範囲を超えてるんじゃ………」
「そうなのか?バハムートに聞いてみよう」
「ただ、無理は為さらないで下さいまし」
「ん。昼にしよう」
その後昼食を取り、目視で確認もしたかったので、バハムートと偵察に飛び立つ。
国境を越えて10キロ付近から魔物が増え始め30キロ地点からは”混沌の者”も増え始めた。
「やはり多いな。ま、瞬殺だが。バハムート?俺は歴代魔人と比べてどうなんだ?」
{最強だ。いや、魔人の武力で言えばラーンだが、潜在値含めてメルが最強だ。なにせ地上に居ながら神人に開眼したからな。我が言う分には許して貰えるかも知れんが、創世神様の僕たる神々は、魔人の成れ果てなのだ。創世神様がそうしたのだ。我も魔人だけでは世界が危ういのを懸念されて生み出された存在だ。だから、地上で自ら神人に開眼したのはメルが初めてで唯一だ。いずれは”邪神”を倒す為に神にならねばならん時が来るだろう。”真神”としてな。その時我が案内役を務めるだろう。そうなれば我の役目はカトリーヌの守護だけだ}
「他は………聞かない方が良いか?魔人・神・母さん・真神・案内とは?」
{【魔人】は”世界を維持する者”だ。特定の生物を助ける訳では無い。魔人についてはそれしか言えん。
【神】はガイア等を見れば分る様に、創世神様の僕として世界の管理を行う存在だ。
【創世神様】は創世神様だ。他でも無い。
”真神”は創世神様と”天照大御神様”が願う存在。即ちメルだ。
案内、とは………言葉のアヤだが恐らく、我が直接そのお役目を担うだろう}
「ふむ…………母さんと”天照大御神”とは?」
{創世神様はメルの母で”天照大御神”様は父だ。
メル。”世界”は、我等は、お主の味方だ。分らぬまま進むのは不安であろうが、答えを先に求めると世界が危険なのだ。分ってくれ。必要な”時”に我も話すのでな。創世神様も来てくれているだろう?今はこれで納得してくれ。それから、カトリーヌを大切にな}
「そうか。ま、バハムートが言うならそうするさ。お前はダチだからな。
父さんは天照大御神と言うのか。覚えておこう。母さんも言っていたが、”カトリーヌを大切に”ってのは何の意味が有るのだ?」
{そうしてくれ。カトリーヌについてはまだ、言えん。だが、あの娘は役割を背負ってしまった。それは本来なら”真神”となったメルが担う予定だったのだ。我があの娘を構うのも、それが理由だ}
「その役目は言えないのだろ?」
{うむ。他の核心にも繋がるのでな。なるべく平時は穏やかに幸せに過ごさせてやれ}
「分かった。アーシャが選ばれた理由は知ってるか?」
{知らん。知らされていないのでな。予想も着かん。恐らくそれは触れてはならない部分なのだろう}
「ありがとうバハムート。今は良しとしよう。戻るか、夕方迄ノンビリしよう」
馬車に入って談話室で寛ぐ。
バハムートはカトリーヌにくっついてじゃれている。
先程バハムートから聞いた話を考えてみる。
魔人は世界を維持する者?神は魔人の成れ?真神?
母さんと父さん?カトリーヌ?アーシャ?サッパリ分らん。
情報が断片的過ぎる。
今は考えるのは止そう。他にも色々有るのだしな。
ん?気付くと妻達が俺を見ている…………
「旦那様。お難しいお顔で…………何か心配事でしょうか?」
不味いぞ?心配掛けてしまった!何か乗り切る方法は………
「実は…………」
「「「「実は?」」」」
「ずっと思ってるんだが」
「「「「ふむふむ」」」」
「何故、俺の妻達はこんなに可愛いのだろうか。と」
「「「「きゅうん…………大好き旦那様ぁ!!」」」
一斉に飛びつかれて揉みくちゃなのだが、上手く誤魔化せた。
「ち、ちょ、ぬわ!こら、あはは、全く。可愛いんだから仕方無いだろう?」
「もっと!毎日言って下さいまし!もっと可愛くなります!」
「最強に可愛くなってみせますから!」
「御当主様の為だけに可愛くなってみせます!!」
「もっと可愛くして下さい!毎日言って下さい!」
「今よりかい?それは他の男の目に触れさせたくないなあ?妬いてしまうぞ?」
「他の殿方など眼中ありませんから!」
「あなたの視界から出ませんから!」
「閉じ込めて頂いても結構ですから!」
「御当主様だけの女ですからぁ!」
「そんな事を言われたら宝石箱に閉じ込めて俺だけで愛でたくなってしまうぞ?
屋敷から出るなんてとんでもない!飾っておきたい程なのに」
「「「「きゃあぁぁ~~閉じ込めて~」」」」
ふふん、どうだ?何時も朴念仁だの疎いだのと言われてばかりじゃ無いぞ?
”偶には甘い言葉で彼女のハートをゲット”作戦だ。
暫く妻達といちゃいちゃしてました。
しかも凄い機嫌がいい!4人共、ずっと密着して、何でもしてくれるし。
これ、極楽!此れからは定期的に甘い時間も作ろう。それが正解の筈だ。
早目に夕食を済ませ風呂に入って自室でお茶を飲みながら感知をしていると
妻達が夜着にストールを羽織って入ってきた。
「どうしたんだい?そんな格好だと襲ってしまうぞ?」
「そうして頂きたい位です。旦那様?出る迄居ても?」
「構わないよ。寂しかった?」
「「「「はぃ」」」」
「こっちにおいで?さ、くっついて。もう直ぐ出るから」
「お気を付けてください。心配なのです」
「邪神の尖兵です。何が起こるか………」
「離れたく有りません」
「魂は繋げて欲しいでしゅ」
「ん?いいよ?ほら………安心だろ?準備運動だから心配無い」
「「「「嬉しいです!」」」
「もう行くよ?あ、ここでいい。そんな格好なんだから」
「――――――――お気を付けて」
1人づつ口付けをして部屋を出る。
馬車を出るとデッカー達が並んでいて無言で頷く。俺もそれに応えて。
「バハムート、行こう」
「ギュルギョオ~」
徐々に巨大化するバハムートの背に飛び乗り、一気に上昇!
ゆっくり進みながら指先に”力”を込める!
指先に超高圧の銀の弾が完成した。
「あれ?銀色?ん?無意識だったが魔法の順序は踏んでないぞ?”コレ”は何だ?」
{徐々に魔人から神人。更に真神へと進化しているのだ}
「そうか。この”力”か。ま、今は………吹き飛べ!!」
銀の弾を西に250キロ飛ばす!―――――――弾けろっ!!
シュ―――――――ン。ピカッ! ドゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
遥か遠方で巨大な光が弾けた後、俺達の前方100キロ迄が衝撃波でクレーターにより更地になった。
「よし、絨毯爆撃に移ろう!」
{おう!}
バハムートの轟炎弾が雨の様に地上に降り注ぎ、俺の炎矢を千本単位で地上に落とす!
生き残りは多少仕方ない。兎に角これを繰り返して面制圧する。
進みが早い。開始4時間でクレーターに到着し、感知反応は無いのでここから南に進路をとる。そしてもう一発、銀の弾をお見舞いする!
シュ―――――――ン。ピカッ! ドゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
爆風も収まらない内から、嬉しそうにバハムートが炎のブレスと雷球を地上に吐き出し、凄まじき威力で地上は炎獄と化していた。
つか、あの雷球やばくないか?そこら中に電撃を撒き散らしながら転がってる!しかも数が凄い!雷球の電気で地上が昼の様に明るいぞ!
雷球の電撃に当たった化け物は弾けて消え、魔物は炭になって行く!恐ろしい威力だ!
こりゃ早目に終わりそうだな…………今晩は北半分だな。
明日以降の南半分はちらほらと逃げ延びた生存者も居るし速度を落として慎重にだな。
俺も負けてられん!半径50キロ、氷の槍を降らせる!そらよっ!!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
{やるな!メル!我も暴れるぞっ!}
バハムートが身体をくねらせ天に向け大声で吠える!
次の瞬間、地上から100メートルの空中迄が電撃で満たされ、どんどん連鎖して数キロの範囲が放電によって炭化していた。
「すげ~今日は早く帰れそうだ!」
朝7時、帰路に就いていた。
北半分は焦土と化した。残党の殲滅戦は苦労無いだろう。
妻達が不安を表していたから、早く帰ってあげたい。
漸くベルンの駐屯地が見えて来た。
バハムートに肉を食わせてやらないとな。
「ふう。バハムートもお疲れ!肉を貰おうな」
「ぎゅるる~」
少し手前で降りて数百メートル歩いて戻る。
朝から大騒ぎは勘弁だからな。
我が家の要塞馬車に行き、ユニコ達を撫でて可愛がってから中に入る。
「ただいま~」
「えっ、旦那様??だんなさま~!ぎゅ~」
「お帰りなさい、あなた」
「心配で眠れませんでした~」
「御当主様。ひしっ!!」
「バハムートが張り切ってさ、北半分更地にして来た」
「「「「えっ?」」」」
「いや、北半分「「「「え?」」」」」
「北「旦那様?こんなに心配させて、どんな非常識なのですか?」」
「あなた。遣り過ぎです。私の心配帰して」
「眠れなかったのですよ?」
「む~とちゃんだけじゃ無いですよね?」
「い、あの、可愛い奥さん達の顔が早く見たくて………つい、な」
「まあ!そんなにですか?仕方無い旦那様ですわ~そんなトコもかわいいっ!」
「そ、そんな、逢いたいなら、言ってくれないと…………もじもじ」
「あ、余り言われると、その、恥ずかしぃの、ですが…………」
「じゃあ、ず~っとくっついてましゅ!だきっ!」
ご機嫌は回復した。
何でおこられたんだろう…………?
ま、可愛いし、機嫌いいし。この対応が正解の筈。と、思いたい。
皆様、雨で苔が生えてませんか?
さら




