第48話 日常から戦場へ
む、朝か。実に清々しい朝だ。
昨晩の妻達も素晴らしかった。この人数だな、無理が無いのは。
偶に9人とか…………無理過ぎでしょ。分ってよ。いや、俺に拒否権は無い。
妻達の気持ちを、判断を、受け入れるだけだ。それが正解の筈だ。
アーシャ、最強にきゃわいい。本気で芸術品クラス。
ターニャ、可愛い街娘のお上品バージョン1.02。
ガイア、可愛いお姉さん700系。なんのこっちゃ。
其々に魅力も特徴も有り、可愛い奥さん達だ。
アーシャの頭を撫でてみる。寝顔なのに笑顔が凄い!何故?ふむ………
頬から首、鎖骨と降りて大きな胸をつんつんする。
もの凄い柔らかさと張りと弾力!一切穢れの無い乳白色に綺麗なピンク色。
正に芸術だな。だから、そっと触ってみる。
「ぁっ………ん…………気付いていらしたのですね?」
「ああ。だが、可愛くてつい、ね。まだ早いよ?」
「嬉しいお言葉です。もっと………触れて下さいまし…………」
え?朝からですか?ま、まあ。良いのだが。愛する奥さんのご要望に応え………
応えたら結局3人共になってる現実が怖い。
だが、幸せ一杯の笑顔で妻達にお茶を淹れてお喋りを楽しむ。それが正解だ。
「朝から満ち足りておりますわ。凄く幸せです」
「ええ。本当に」
「あなた?幸せです。待った甲斐が有りましたわ」
「む、そう言ってくれると、いや、笑顔が一番嬉しい」
「「「私達も嬉しいですっ!」」」
4人で浴場へ行き、色々と流してさっぱりしたら、時間が少ないから鍛錬だけに。
中庭に出るとカトリーヌがバハムートやユニコ達と戯れていた。
「おはよう御座います、御当主様。感知して待ってました」
「ん、上達してるな。では始めようか。2刀全力で来るんだ!」
「はい!行きます――――はっ!やっはっはっはっはっはっ―――――――」
シュインシュシュシュシュシュシュシュキンキキキキキン!
「まだまだ!霊力を漲らせろ!そうだ!」
「は、い!や~!――――」
ほう。此れは凄いぞ!この領域に来たか。ボルドーでの戦闘で経験値が溜まったか。
「よし、上出来だカトリーヌ!光鎧無しで行うぞ?」
「解除、行きます!たっはっはっやったったった――――」
うむ。光鎧が無くても既に地上最強だぞ!危ないから着せるけど。
凄い成長速度だ!魔法も期待が持てるな。
「よしよし、今日は此れ迄だ。十分だぞカトリーヌ。汗を流そう」
「はい。んしょ、よいしょ」
浴場で2人、流し合っていたのだが、カトリーヌのおねだりが来たので
応えてあげた。アーシャにも言われてるしな。
それに益々女らしくなって行くカトリーヌに抗える訳も無い。
しかも求愛行為には特にだが、凄い色気を発するのだ。
お互いスッキリして、ジェシカも手伝って身嗜みを整えてから食堂へ。
俺が席に着いてから食事が始まる。
皆に午後からの事を伝えて、アーシャには伝達も頼んでおく。
3人で馬車に乗り、カトリーヌは学校。俺達は商会に行く。
「学校が終わる迄には行くが、クリスティと待っててくれ」
「はい、分りました…………」
馬車を降りて笑顔で手を振るカトリーヌ。
降りる時に耳元で「まだお腹がじんじんします」って囁かれた。小悪魔だ………
ジェシカにも「カトリーヌさんは魔性の女ですね」って笑われた。
いや、ジェシカ。君も魔性なのだが。俺は奥さん達に振り回されてばかりだ。
それも幸せなのだろうな。
午前中は商会で普通に仕事を熟す。
明日からの事はセバスにも事務員にも伝えてあるしケイティが居る。
ターニャ達もフォローしてくれるから問題無いだろう。
昼前に出てカトリーヌとクリスティを学校で拾って屋敷に戻る。
皆で食堂に集まり、霊波移動で王宮に移動する。
「メルぅ~!!やっぱり凄く逢いたかった!寂しかったの!」
「ん、ごめんな?さ、行くよ?女官長、済まない。明朝に」
またまた霊波移動でアルマンド山脈の中腹の岩場に移動して、絶景を見せてみる。
勿論、俺のコートを被せている。凍るからな。
「…………す、すごい。美しい景色…………言葉に出来ないわ…………」
「凄いだろ?また来よう。掴まって?」
で、屋敷の食堂に帰って来た。
「「「「「「「「「「「「「ようこそ、エリダ様!!」」」」」」」」」」」」」
「もう。”お帰り”の方が嬉しいわ。でも、ありがとうね。お腹空いちゃったわ」
「ええ、お食事に致しましょう」
「では頂こう。妻達に感謝を」
「「「「「「「「「「旦那様と創世神様に感謝を」」」」」」」」」」
「アーシャ、予定は考えて有る?」
「はい。一応エリダ様や皆と。纏まっていませんが」
「ふふ、好きに動けばいいさ。息抜きなのだから」
服装をどうしようか悩んだらしいが、エリダが居るから万が一も有ってはならない為、家の騎士団20名がフル装備で警護に就く。すると隠しても意味が無いから思いっきりドレスと宝石で飾る事にしたらしい。
それって狙ってくれと強調してるのだが………俺も居るからいっか。何て思ったりした。
10人の妻達が着飾っている。非常に目立つぞコレ………いいのか?
だが、皆が少女の様に笑顔を輝かせているのを見て、何も言えなかった。
いや違う。言いたくなかった。それで正解の筈だ。
同行はマリアンヌとナターシャ・メリヌ・クラリス・エメラ。
デッカーが20人で警護して、前後15人づつ警備隊員で固める。戦争かよ。
中央広場と中央通り周辺を、この一団が移動するのだ。目立つ。
妻達はお構い無しでキャッキャッと買い物を楽しんでいるがな。可愛いものだ。
3時のお茶も町娘に人気のクレープと言う甘味屋を占拠して楽しんでいる。
最近アーシャ達が行く店が人気や流行と言う事で繁盛しているらしいのだが、
立ち寄った店が人気店になる。と言う、逆な展開らしい。女性心理は分らん。
夕方、例によって宝石店に入ったのだが、一斉に俺を見るので、一つ頷く。
途端に笑顔で漁り始めるのだった………それ以上飾るのか?重いぞ?
ん?そろそろか?マリアンヌを見ると、彼女も頷くので、アーシャに見切りを付けて貰って、店の人間に品の検品だけさせておく。支払いは後日屋敷でだ。
全員を馬車で移動する事5分。俺のお気に入りのレストランを貸し切りにして、屋敷の主だった者達は全員呼んで有るので、そこへ。
古城を意識した外観の静かな佇まいがお洒落な場所だ。
「旦那様?ここですか?」
「うむ。今日は貸し切りで家の者も呼んで有る。さ、入ろう」
「メル!素敵なお店ね!最高よ」
「旦那様?秘密にされてるなんて………有難う御座います」
「息抜きが屋敷では詰まらんだろう?家の者達も普段良くやってくれているしな。出陣式も兼ねてだ」
「流石は御当主様!」
「お優しい旦那様ですわ」
「メル!大好きっ!私、すっごく楽しいわ!」
「まあ、普段皆には助かっている。明日出陣だが、大した事は無い。デッカー団長!乾杯を」
「はっ!ニルヴァーナ家の更なる発展を願って、乾杯!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「かんぱ~い」」」」」」」」」」」」」」」」
「旦那様。今日は有難う御座います。私達は幸せ者です」
「本当に。愛してるわ」
「「「「「「「「有難う御座います」」」」」」」」
「奥さんを幸せにするのは当然だから。此れからも頼むね」
先ずは食事を楽しもう。此処も料理・雰囲気・給仕は最高水準だからな。
うむ、野菜もスープも美味い!素材を上手く引き出している。ベッヘルにも劣らない。
この魚!淡泊な中にも上品な味が隠れており、かつ、濃厚なソースが嫌味も無く絡みあい、口の中で絶妙な協奏曲を奏でる!これぞ宇宙!………食レポでした。
アイスで口休めして、肉が出て来る。ダンカンは今日も肉を飲んでるだろう。
メインが終わって、デザートが出た辺りでテーブルを回る。当然男性からだ。
デザートを食べる女性の邪魔をする等、自殺行為な愚かな真似はしない。
それが正解の筈だ。
6人架けテーブルを25箇所、ふぅ。多いな。
だが俺の仕事だ。家臣や使用人達との触れ合いも疎かには出来ん。
家なら出世出来る、廃れ無くて安泰、生活が楽、
色々な希望を持って勤めてくれる。
ならば雇い入れた以上は応えてやらなければならない。
夜も更けて9時半にはお開きとなり、順次馬車で帰路に就く。
「お疲れ様メル。ちゃんと皆を労うのね?関心しましたわ。ちょっと女性陣の視線を集め過ぎていませんこと?妬けてしまいますわ、ねぇ?アーシャさん!そう思わない?もぅ!寂しくて死にそうでしたのに……うさぎさんでした!」
「そりゃ労うよ。エリダも頑張ってるからな、よしよし。今日は泊まるのだからいいだろ?後10日待てば済むのだから我慢しろ。宰相と爺さんには話して有る」
「えへへ~~えっ?じゃあ本当に帰って来たら王宮を出て通いに出来る?嬉しいです!!有難うメル!いえ、旦那様!!」
「ですからエリダ様。年明けの輿入れ時に身内での合同結婚式ですが、時期を早めませんといけませんわね。主はエリダ様、同時にソフィア・ガイア・ジェシカ・カトリーヌ・クリスティとケイティです。大まかには当初の予定通りで、増えた彼女達も同時で行います。ドレスも急がせなくてはなりませんね」
「ん、着いたよ?続きは風呂でね」
「エリダ様!お身体流します~」
「僭越ながら私も」
「有難うね。カトリーヌはジェシカとも仲良しなのね?」
「はい。私とカトリーヌさんは一緒に居る事が多いので。それに妹みたいで」
「いいわね!年明けには私もお仲間よ!あら、それなら私が長女かしら?うふふ」
賑やかな入浴も終わり、寝室なのだが…………10人と添い寝だ。俺、凄い。
いや?凄いのは10人絡まって眠る妻達なのか?深く考えたら負けだな。
エリダは胸の上だが顔が密着してて良く寝れるな。
いや、口が当たってるんだよ。あれ?……ちゅ。んちゅ。ちゅぴ。
起きてるのか。まったく…………
「だって………また、お預けですもの…………」
いや、そうだけど。皆なんで我慢し、まあ、エリダは会えないからなぁ。
ん、朝5時。決まった時間だ。
動けないが、皆に包まれて気分が良い。エリダは俺の胸だ。
可愛い寝顔を眺める。年齢より、少し幼く見える。
今日は出陣だから気合い入れて起きる……と、皆が拗ねるんだよなあ。
もう少し、このままか。
な、訳も無く。カトリーヌがごそごそ始めた。待て、落ち着け。
カトリーヌ?俺は動けないんだぞ?
よいしょ、んしょ、んっ。あっ。ぁっ
不穏なくぐもった声が布団の中から聞こえてくる。
アーシャには拒むなと言われた。当然動けん。この状況で?地獄の門番か?
しかも誰も起きない。感知済みだ!助かるが。
やっと終わった……色々と処理込みだ。満足のカトリーヌは寝てしまった…………
誰か起きないかな~なんて思っていたら、アーシャとガイア、エリダが起きた。
助かった~早く自由にして下さいっ!
「おはよう御座います旦那様」
「おはよう、あなた」
「メルあっ、旦那様、おはよう御座います。胸板の上って、安心出来るのですね」
「そうなんですエリダ様。ぐっすりでしたでしょう?」
「ええ!病みつきになりそうです、旦那様」
「そこが最高ですエリダさん」
「さ、起きてお茶でも飲もう」
その途端にジェシカとカトリーヌが起きて、お茶を淹れ始める。
美味しいから良いのだが、凄い条件反射だな。
マリアンヌとナターシャが入って来たので、其々身支度を整える。
「そう言えば、ジェシカとカトリーヌに侍女メイドとガイアにも専属侍女が必要だが、中から出せないか?」
「済みません、只今調整中でして数日掛かります」
と、ナターシャ。するとマリアンヌが
「………侍女の充てが出来るかも知れません。連絡を取ってみますので暫しお待ちを」
「うむ、頼むな。人的余裕は欲しい」
「わた―――――――ほしいです」
「ん?どうした?」
ちゅっちゅ
「ご褒美です」
「…………え?あ、ああ。そうだな。今日も頼むぞマリアンヌ」
「はぃ………嬉しいお言葉です」
その、廻りに皆も居るのだが、その、誰も気にしないと言うか、咎めんと言うか
良く状況が理解出来んが、見なかった事。に、されているのか?分らん!
此処は、我が愛しのアイドル、アーシャちゃんに聞こう!それが正解の筈だ。
総勢10名の奥さん達との朝食を終え、ゆったりお茶を飲んで
会話を楽しんでからエリダを送って行く。
エリダには別れ際に泣かれたが、抱きしめて、落ち着いてから屋敷に戻った。
戻ると居間にアーシャが居たので聞く事に。
「アーシャ?マリ「旦那様?うふふふ」…………」
アーシャは言葉を遮って、微笑むだけだ。
此れは”口にしてはいけない”シリーズだ!了解!俺は頷くのが精一杯だ。
「旦那様。良く出来ました。ご褒美です、さ」
俺は頭をアーシャの太腿に置いて、撫でて貰っている。
すんんごぉい、気持ちいい~!コレ、ご褒美だわ。
至福の一時を堪能したら、いよいよ出陣だな。
さて、テントを出して横の両扉から要塞馬車とユニコ達を入れる。
正面の通常ドアから出陣メンバーが入って行く。
「では、留守を頼むぞ?何か有ればスフィアでな。行ってくる!」
「「「「「「「「「「「「「「「ご武運を!」」」」」」」」」」」」」」」
四角いテントを手にバハムートはぐんぐん高度を上げていく。
西に向けながら高度一万メートル迄上昇して一気に加速する!
一時間掛からず目的地上空に到達したバハムートは
ゆっくり旋回しながら下降していくのだった。




