第45話 エリダヌス
なかなか思う様に表現出来ていませんが
お読み頂き感謝です。
「うふっ、来ちゃった」
「まぁ、うふふふっ。先ずはお食事でも。食堂へ参りましょう」
「さ、エリダ」
メルに連れられて食堂に入ると、此処でも使用人達が並んでいて
「「「「「「「「「「ようこそいらっしゃいました、女王様」」」」」」」」」」
「お久しぶりです女王様。腕に依りを掛けました。ご堪能下さい」
「まぁ!ベッヘル!貴方が料理長だったのね!楽しみだわぁ!」
なんと、王宮で副料理長だったベッヘルが居たの!
彼の料理は芸術的な程に美しくて美味しいのよね。楽しみだわ。
それに、城以外なんて本当に久しぶりだからワクワクしちゃうの!
皆でこうして食事をするのも楽しいわ。普段は一人か、多くてもお母様と弟とだけ。
うん。ベッヘルのお料理も美味しい~!見た事無い品も?他国かしら?
食堂の内装や調度品も上品で趣味が良いわ。使用人も教育が行き届いてる。
上座は当主のメルで給仕は執事のペルルね?
私の向かいが正妻のアーシャさん、で側室の皆さん。
私の給仕は女家令のマリアンヌさん。一分の隙も無い。女官長みたいね?くすっ
他の場所も楽しみだわぁ!
食休めに移動したけど、此処は家族の居間かしら?
あら、お茶が素晴らしいわ。王宮にも負けてない。技量が高いのだわ。
「美味しいわ。素晴らしい技術ね」
「恐縮です」
「ねぇ、アーシャさん?この屋敷の使用人は皆さん高い水準なのね?
王宮にも負けないなんて、凄い事だわ。教育が行き届いてるもの」
「有難う御座います。家令のマリアンヌと侍女長のナターシャのおかげです。
やはり当家は英雄の屋敷ですから、恥ずかしい者は置いておけません。
あ、エリダ様の離れは完成して、何時でも住まわれる様にメイドも護衛も配置済みです。
勿論、本館の旦那様の隣にエリダ様のお部屋はご用意しておりますわ」
「何だか気を遣わせてしまってごめんなさいね?後半年。我慢しなくてはね。
早く此処に移りたいわ。皆さんとなら、毎日楽しそうだもの。
私の立場が微妙なばかりに迷惑を掛けてしまってごめんなさい。王族なんて…………」
「俺は何とも思ってない。気にするなエリダ。妻の一人だから心配するな」
「表向きは”さる、高貴な秘めたる愛人”となっておりますが、知る人ぞ知る話ですから、余り御気になされない方が宜しいですわ。この後、本館と離れ。気になる場所が有りましたらご案内致します」
「ありがとう、アーシャさん。貴女が居てくれて良かったわ。
愛しのメルったら、全然構ってくれなくて、毎日泣いて過ごしていても
気付いてくれない朴念仁ですから?ね?メル。私、本当に辛かったのよ?」
「そこも含めて旦那様ですから。うふふ」
「それもそうね?」
「酷い言われ様だなぁ。ま、鈍いのは認めるけど。やっぱり師匠の影響だよなぁ」
「ほら、私の言った通り。ラーンのせいだわ」
「御師様はそんなに酷い御方なの?」
「う~ん、何て言うのかな。大雑把?」
「ただの脳筋だわ。でも強さは間違い無し」
「母さんに育てて貰いたかったよ~」
「まあ!!メルちゃん!嬉しい事言って!お母さんも大好きよっ!!」
「あ、母さん。ダイアナ?母さんにもお茶出して「はい只今」この前のはアレで良かった?」
「「「「「ようこそ、シリアお義母様」」」」」
「あ、皆何時もありがとねぇ。ガイアも確りね?メルちゃん?新しいお嫁さん、放置しちゃダメじゃない」
「そうか。エリダ?俺の母さんだよ」
「…………ええと、初めましてエリダヌスです。お話は伺っておりましたが…………その、創世……」
「うんうん。メルの母親のシリアよぉ?正体は秘密にね?」
「シリアお義母様?初見ではやはり驚きますわ。私も腰が抜けましたもの」
「そうだったかしらぁ?何時も確り者のイメージだから。アーシャちゃん、そろそろ孫の顔見たいわぁ~!ターニャちゃんとソニアちゃんもよぉ?他のお嫁さんは、もう少し新婚味わってからね」
「はい。実は先日もそろそろどうかと。旦那様から提案が有りました」
「そう!楽しみね~!でもぉ、年齢を考えるとエリダちゃんとクリスちゃんは早目にしてあげないとダメよぉ?メルは疎いんだから。お母さん教えてあげるから、何でも聞くのよ?」
「そ、わ、私も!気になって、まして……」
「まあ、最悪は私が手助けしてあげるわね?孫の為だからぁ」
「それ、完全に孫バカだよ?世界の方で助けて欲しいんだけど?」
「それはダメですぅ~!自分で頑張りなさい?助言はしてるでしょ?」
「あなた。アーシャちゃんもカティも、家族がこれだけ居るわ。
私達で頑張りましょう?」
「うんうん。ガイアも早速嫁発言でいいわね?アーシャちゃん、エリダちゃん?頼むわね?」
「あっ!!言いたい事だけ言って消えたよ。ごめんな皆、自由な母さんで………」
あの…………聞いてはいましたよ?聞いては。
本当に創世神様が御母堂様って。ちょっと、いえ、かなり理解が追い付かないと言いますか。腰が抜けて思考が麻痺して、えっと。私ったら何を考えていたかしら?あれ?私って誰だっけ………
「あ、エリダが錯乱してる!【治癒】治ったか?」
「え?私ったら。もう大丈夫。驚いちゃって。でも、優しいお義母様で良かったわ」
「そうですわね、シリアお義母様は優しくてお綺麗で創世神様で………あぁ!崇拝する創世神様!」
「ちょっとアーシャ?エリダを案内するのだろ?」
「はっ!!も、申し訳有りません。先ずは本館から」
皆で連れ立って移動ですわ。1階と2階の部屋と施設を見て回るのね?3階は上級使用人と家臣?うん。内装はやっぱり上品で落ち着くわ。アーシャさんの趣味ね?
調度品はどれも高級だけれど、嫌味も無く過度に主張しない。いい専眼ね。
掃除も行き届いて塵一つ無いし、私の動線にメイドが見えない様に配慮もされてる。
豪華な絨毯もヒールで歩いても不自由しない絶妙な加減。
驚くのは屋敷内の照明だわ!火が一切使われてなく、全て魔道具だわ!
ふむふむ。この階段で上がった正面がメルのお部屋で左からアーシャさん達のお部屋が順番に有るのね?で、右側が全て私?え?全部?
「此処からがエリダ様のお部屋です。先ずは私設の応接室です。次が多目的室です。次が居間で間に待機室が有ります。次が私設の食堂で隣に厨房が入ってます。次は執務室で私室、衣装室と化粧室、寝室、浴室となりますわ」
此処で全てが済みそうなのだけど、此処迄するかしら………
「はい。此処迄します。全て魔道具で火を使いません。安心下さい」
「え、ええ。あの、こんなにして貰って………」
「いえ、エリダ様ですから。年明けに輿入れされる際の同行はお決まりでしょうか?」
「ええ。今就いている女官が3名と専属侍女が5名、女官長が引退して一緒に」
「では廊下を挟んだ向かいを、その方達の私室に充てて、この廊下には家の騎士団に24時間警戒で詰めさせます。念には念を入れます」
「其処迄しなくても…………」
「ダメです。さ、エリダ様?離れにご案内致しますわ」
何だか過剰な気がするのは私だけ?
でも、メルも他の奥さん達も普通に振る舞ってるのよね。
私の危機管理不足?ま、まあ、良い事なのですから、安心しておけば良いのよね。
それにしても広い屋敷に敷地だわ………そこに見えるのが別館で、ダンスホールでしょ?
その向こうが300年以上の歴史有る旧館。
使用人達の宿舎や警備詰所、諸々。廻りは林に囲まれてて協会まであるわ。
あ!あれが離れ?
「あれかしら?………素敵だわ…………見蕩れてしまうわ。林にひっそりと佇む小さなお城みたい。綺麗なお花に囲まれて、妖精が現れそうな泉。えっ?ユニコーンも居るなんて…………お話から飛び出したみたいで、とっても感動したわ!」
「はい。家の大工の技術と私のセンスとエリダ様のお好きな物語を参考に建造しましたから、自信作です。中へお入り下さいませ」
石畳みを進むの。周りは濃い緑の芝が生え、脇には色取り取りの花が咲き誇るの。
苔むす石の外壁に両開きの鉄柵を開けて5歩入ると、木貼りの鉄扉が有って、
ああ!『籠の鳥の姫』物語のままだわ!
これを開けて中に入ると…………うん。お話を再現してくれたのね。涙が止まらないわ…………
「おっと、大丈夫かエリダ?」
「エリダ様?お拭きください…………」
「私に、そっくりだったの。ひっく。だから、せめて、ぐすっ。一生叶わない、籠の鳥なら、ひぅっく。せめて、”あのお城に”住みたいって、ぐすん………ずっと、夢に見てた…………ありがとう」
醜態を晒してしまったわ。だって、幼い頃からずっと、夢に見てた場所だから。
『籠の鳥の姫』という物語。大好きな本。
私は生涯、王宮から出る事は叶わない。そう、思っていたのだから。
私が外に出たのは、お父様とお母様に連れて行かれた、直轄領の別荘。記憶は3回だけ。
お父様が亡くなってからは、自室と執務室の往復だけ。それが私の全て。
どの世界を見る事も無く、恋愛も結婚も無く、王宮の自室で、老いて死に行くだけ。
私の人生はそれで、幕が降りる。そう思っていたし、略確実だった。
でも、一人の男性と出会ってから、劇的に変わったわ!
世界最強のお方。【魔人のメル】
一目視界に入った瞬間から私が、世界が、変わったの。
誰かを愛するなんて、無い。と思ってたわ。そもそも、出会いが無いのだから。
有った処で許され無いのだから。
誰が相手でも揉めるのは確実で、大国で強国の我が国から、他国へ嫁ぐメリットも無いし望まれてもいない。
それを覆せる方。
数百年ぶりに現れた白金冒険者。最強の男。英雄。
上級貴族位を受けた事に依り、更に可能性が上がったわ。
この人を逃せば、他は居ない。
でも、だからってどうすれば良いのか分からなかった。
ある日、思い切って気持ちを打ち明けたの。
でも無理。ここからは出られない。泣きながら訴えたの。
そしたら彼、何でも無い風に言ったわ
『王宮の奥でも、俺の屋敷の奥でも、誰かに会わなきゃ一緒だ』
『大陸最強の俺が居れば安全だろ?』
確かにそうだった。
誰にも会わないのなら、場所は関係無い筈よね?
しかもメルが世界最強なのだから、これ以上の安全は無いし。
何だか、あっけなく解決したわ。
そこからは宰相と爺やと女官長とお母様と弟を巻き込んで何とか此処迄。
メルもアーシャさんも受け入れてくれたわ。後は時間だけ。
って言うか、もうここで良いのでは無いかしら?
通えば済む話よね?何か問題有るかしら?
いいえ、エリダ。無いわ。
ならば行動有るのみ!!!
「あの………エリダ様?途中から、声がダダ漏れですが…………」
「えっ!あら、やだ!私ったら~恥ずかしいわ~」
「エリダ?俺は構わないしアーシャ達も構わない。だが王宮の連中が大騒ぎする」
「そう………そうですわよね。どうすれば………」
「待てんのか?」
「えっ?…………そ、その…………うぅっ。ぐすっ」
「10日待て」
「え?」
「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」
「10日なら待てるだろう。俺達が”アノ”地を平定するのが7日。
スパンダルの牽制、諸々で10日だ。その後なら成果がデカくて誰も文句言えん」
「はい!メル大好きっ!!」
「流石は旦那様です。此れは頑張らねばなりませんね」
「アーシャさんも大変ね?まあ、エリダさんの為にも頑張りましょう。
”混沌の者”は放置出来ないしね」
「妻連合の踏ん張りどころですね?【光鎧】で頑張ります!」
「「「「「「はい!家と商会を守ります!」」」」」」
落ち着いた後は、離れの中を見て回って大満足!
本当に物語を再現してくれてて、嬉し涙が止まらないわ。
勿論、細部は変えて有るし、火を使わない様に魔道具が随所に使われているけど。
特に2階のベランダと屋上からの眺めが素敵で………
敷地を少し散策して旧館の前に有る薔薇庭園が素晴らしかったの!
アーシャさんとターニャさんのお気に入りで、手入れにも力を入れてるみたい。
気が合いそうだわ!すっごく綺麗なんだもの!
夕食は妻連合の全員と例の義母さんと義弟君。
皆で丸テーブルを囲んで楽しかったわ!
政務を投げ出して来て正解ね?最近は弟のアウリッヒも頼れるし安心。
料理も美味しいし、皆が仲良くて気持ちが落ち着くわ。何時振りかしら………
いいえ、そんなもの無い。王家の第一王女として、生まれた時から。
心許せる人は居た。でも場所は無かった。
此処なら何処に居ても安心だし、最愛の人が居てくれる。此れが幸せなのね。
デザートの後は居間でお茶を飲みながら雑談してからお風呂。
此処は皆で入るのね!驚いたわ!!ソニアさんとソフィアさんは”女性の日”でした。
バスメイドも居るけど、皆が流し合うなんて。でも、だから仲が良いのかも。
と、言いますか。アーシャさん?ジェシカさん?貴女達のお胸は何?何なの?凶器?
私の胸は…………しゅん。
「エリダ様?心の声がダダ漏れですわよ?」
「あ!いえ、その!別に、アレが、その」
「エリダ様も十分御立派ですわよ?自分視点だと小さく見えますから気のせいです」
「えっ?そうなの?そうだったら嬉しいけど……少し恥ずかしいわ」
「そうですわよね?旦那様」
「ああ、立派な胸だ。自信を持て」
「ぁ、う、嬉しいです。でも、余り見ないで下さい。は、恥ずかしぃ」
「そうか、すまん。臀部も可愛いがな」
「い、言わないで下さい!はず、恥ずかしいのです」
「御当主様。声に出してはいけません。それがルールです」
「ああ、そうだった。済まないエリダ」
恥ずかしかったお風呂も終わり寝室へ向かいます。
アーシャさんが気遣ってくれて、メルを寄越してくれました。
彼女の優しさに感謝しなくては。女のルールを乱さない様に気を付けましょう。
ソファーでお酒を飲むの?
「エリダ、新製品のシードルだ。林檎の発泡酒だよ」
「んくっ、んくっ、ふぁ。とても美味しいわ!人気商品になるわね?」
「ああ。暫くはラガー、シードル、ボルニャックの3種だな。初便が来たら飲ませるよ」
「ええ!楽しみにしておくわ…………もう、寂しくない。また寂しくなるけど、我慢するね?今日は沢山愛して下さい。離さないで…………お願い」
ふぅ。壊れるかと思ったけど、しあわせ。
メル…………愛してます。おやすみなさい。




