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W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
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第44話 相談と準備とエリダヌス



お読み頂き感謝です


 

 城壁の門が開きしばらく進むと王城に入る。

 馬車止めで降りてキンブリーを帰すと近衛兵このえへいが声を掛けて来る。


「ニルヴァーナ卿!ご案内致します!」


 王宮に入り歩く事15分で中枢区画に入る。更に15分で女王の執務室に到着。

 扉の前に立つ近衛兵がノックをして声を掛ける。


「ニルヴァーナ卿をお連れしました!」

『うむ、通せ』



 扉が開き、中に入ると細身の女性が飛びついて来た。


「メル!!いたかったわ!凄く逢いたかったの!」

「やあ、エリダ。体調は大丈夫かい?少し痩せたかな?」

「だって………ちっとも逢いに来てくれないのだもの。寂しくて………」

「済まない、ここの処忙しくてね。知ってるだろ?」

「存じてます。でも………逢いたかったの。我儘わがままって分ってます。でも…………」

「済まない。れからは会う方法を思い付いた」


「うおっほん!うおっほぉぉ―――ん!!」


「ん?ああ、宰相さいしょう殿、失礼。王太子様と筆頭殿も。さ、エリダ?座ろう」

「はい。メルはこっち、隣に居て?」

「メル殿、姉上が済まない」

「いや、俺も会えなかったから申し訳無いとは思ってる」

「エリダ様、この面子だから良いのですが、少し我慢して下さい」

「ワシャ、お嬢が幸せなら構わんがの」



「それで宰相殿は何処迄どこまで話を?」

「うむ、メルの話をそのまま、この面子と御前ごぜん会議の武官連中には通した」

「”邪神”はまだ封印が解けて無いから猶予は有る。俺とバハムートの感覚的に数年は持つだろうから、その間に、俺の能力を引き上げて進化するしかない。それとは別に、”混沌の者”だが、冒険者だと銀クラス1位以上の実力、近衛、聖騎士も上位者程度の実力でないと1対1でも厳しい。家の騎士団なら全員問題無いのだがな。だから、発見したら極力手を出さずに誘導に専念させたほうがいい。俺が感知すれば、直ぐに倒しに行く」


「それ程強力なのか………頭が痛いな」

「メル殿、どうやって向かうので?時間を短縮出来れば良いのだが」

「ふむ。雷帝竜様に飛んで貰うのかの?」

「いや、見ててくれ」


 俺はそう言うと、霊波移動で部屋の隅に移動し、元の位置にエリダを抱き上げた状態で戻る。


「きゃっ!お、驚きましたわ………でも、嬉しいです」

「なんと!たまげた!」

「どんどん人間離れするな………」

「済まない。よっと、まあ、こんな事も出来る様になったのでな。感知すれば瞬時に倒す事は可能だ。国内全てに感知を広げるのは可能だが、それを瞬時に確認するにはまだ不慣れだ。時間差は出る。それから魔物だな。今から増えるだろうから、各領主には領軍の警戒を強化させないと被害が広がる」

「何時、何処に出るか分らんのだからそれしか無いか。各領主に徹底させよう」

「国内はそれで当面しのぐとして、ロマーノじゃな」

「情報が少ないと予測も立てられん………メル、その感知とやらで、何か掴めんか?」

「やってみよう。どの道広げておかなければならんしな」


 国内は最低でもカバーしなければならないから、西寄りを考えると大きめに感知するか。

 半径で千キロ、西は何か国か入るが仕方無いか………!!なに?旧オストラバの中心部は”混沌の者”が、ロマーノは!これは。スパンダル、ポルンガは無しだが…………


「感知しながら話す。旧オストラバの中心部は”混沌の者”が大量に居る。周辺もちらほらだ。ロマーノ国境は壊滅だ。”混沌の者”と魔物で埋まっていて、人の反応は無い。北部も魔物と軍?がぶつかっている。ポルンガは無事だ。スパンダルもだが、ロマーノとの国境に軍勢の反応有りだな。防衛か?侵略か?国内には…………”混沌の者”の反応は無いな。っと、そんな感じだがどう見る?」


「旧オストラバを何とかせねば不味まずくは無いか?我が国に何時いつ攻め入るやも知れんぞ?」

「じゃの。急ぎはそれじゃろて」

「そんな!何とかならないの!?そんな恐ろしいこと…………」

「落ち着けエリダ!」


 震えるエリダを抱きしめ落ち着かせる。


「あっ」


「俺が何とかする。俺とバハムート、家の騎士団総出で行く。軍を1万程と宮廷魔術師も後方に出してくれ。残党と事後処理だな。これを機に”あそこ”を押えよう。浄化して呪いも解く。でなければ何時迄もヤツ等の温床になってしまう。そのままスパンダルも牽制した方がいい。恐らくロマーノに侵略戦争を仕掛ける気だ」


「それしか無いか。周辺国には事情説明の書簡を送る」

「なれば…………ベルンに集結で5日後でどうじゃ?最短じゃ」

「メル殿、宜しく頼む。屋敷の警備と領地の手助けは手配する」

「メル………怖いわ」

「心配無い、安心しろ」

「女官長、食事は此処ここに手配してくれ」

かしこまりました、王太子殿下」



 細かい話をした後に5人で食事をしながら雑談に興じた。

 今日の話し合いはこれで終了。後はスフィアでだな。動きを急がねば。

 エリダとは久しぶりなので、そのまま彼女の自室でワインを飲みながら雑談していた。


「もう!もう!もう!ちっとも逢ってくれないなんて。いじわる…………どれだけ寂しくて悲しいかメルにはお分かりじゃ無いのね………辛かったの」

「機嫌を直せ、ほら。これで何時でも話が出来るだろ?さ、手に持って魔力を流すんだ。ほら、俺のが反応するだろ?これで少しは紛れるんじゃないか?」

「まあ!これなら何時でもメルのお顔が見れてお話出来るわ!ありがとうメル!」

「もう一つ、左手を出してごらん?」

「はい…………ぁ、結婚指輪ウェディングリング…………嬉しい。指輪からメルを感じるの。包まれてるみたいに………ありがとう、ぐすっ。ふぇ、うれし、ぐす。です。大切に、しますね…………寝室に、連れて行って…………」



 ベッドの上で愛し合い、疲れたのかエリダはそのまま眠ってしまった。

 治癒を掛けて頭を撫でる。もうすぐ重責から解放されるのだ。頑張れ。

 頭を撫でながら、彼女を見る。


 小さい頭に小さな顔。160センチ程度の背に痩せた身体。狭い肩幅に折れそうに細い腕。

 整った顔立ちに美しいプラチナブロンドの髪の毛。

 頬に掛かるそれを指で掻き上げ、頬をなぞりながら治癒を掛ける。


「ぁ…………メル。愛してるわ」

「俺もだよ、エリダ。今日は帰る。泣くな、明日お忍びで来るか?」

「いいの?………迷惑じゃ、ない?嫌われたら……怖い」

「嫌わないよ?家の馬車と騎士団を迎えに行かせるから。いや、霊波移動で直接来る。いいね?」

「はい………お待ちしてます」

「ああ、おやすみエリダ」

「おやすみなさいメル…………」



 その後は近衛に先導して貰って、王宮を出て、城の馬車で屋敷に帰る。


「開門!御当主様のお戻りだ!」


「「「「「「「「お帰りなさいませ旦那様」」」」」」」」

「ああ、ただいま。出迎えありがとう。少し座りたい、お茶も出して欲しいな」

「では、旦那様の居間で」




「ふう。ジェシカのお茶は最高だな。流石だ」

「有難う御座います」

「旦那様、お話はどうでしたか?」


 執務室での話し合いを聞かせた。

 邪神封印の事

 混沌の者への対処

 魔物への警戒を領主に通達

 神聖感知で判明した西側諸国の状態

 特に旧オストラバは魔窟まくつと化している

 それに依って我が家が陣頭で打って出る事

 5日後にベルン集結手配

 場合によってはロマーノ、スパンダルへの牽制

 その話を聞いて、ターニャとソフィアが倒れてソニアとジェシカとクリスティとケイティが泣き始めた。

 アーシャとガイアは不安気な表情だが、カトリーヌは平気そうだ。

 恐らく、自分でもヤツ等を倒しているのが大きいだろう。

 落ち着かせる為に、俺の霊力を彼女達の指輪に流す。


「ふぅあ~心が満たされます」

「安心に包まれてるわ」

「旦那様の体温みたい」

「「御当主様に抱かれてるみたいです」」

「メルのこころ」

「嬉しいでし、です。御当主様」

「旦那様、有難う御座います」

「…………」


「落ち着いたかい?俺が居るから大丈夫だ。心配は無い、いいね?

 俺とバハムートは大規模攻撃魔法と炎弾と落雷で敵の大部分を潰して回る

 アーシャ、【聖障壁】と【聖浄化】【解呪】【聖光矢】と

 ガイアは大地母神の【天地創造】と【大地清浄】

 カトリーヌは家の騎士団の頭で残党の殲滅戦をしてくれ。

 宮廷魔術師と1万の西方軍がバックアップに就くから安心しろ。

 クリスティは学校を、ケイティは商会をジェシカは来てくれ。

 ターニャとソニアとソフィアは屋敷と文官を使って商会の補佐を頼む。

 屋敷の警備隊とは別に、家の警備と領地の手伝いを王太子殿下が手配してくれる。

 では、風呂に行って来る」

「「「「「「「「ご一緒します」」」」」」」」



 9人の奥さんが洗ってくれる。正に極楽だ。

 どんな風にかって?それは内緒だ。

 そんな訳で、寝室でも全員がベッドに入るという荒業を披露され

 ケイティは初結合を無事に済ませて熟睡中だ。

 皆の幸そうな寝顔が見れるなんて、俺は恵まれているな。

 彼女達を、家族を守らなくては。その為にも能力を上げなければ。



 朝は妻達が起きる迄、一緒に布団の中に居る事にした。

 なるべく寂しい思いはさせたくない。

 昨日のエリダを思い出した。泣いていたな………寂しい思いをさせたか。申し訳ないな。

 今日は迎にも行かなくては。

 まずは学校と商会、オリバーには早速動いて貰わなければ。

 テントも改造して、要塞馬車が収納出来る様にしないと、2日後のボルドーの迎えと、此方の出発が被ってしまうから、ベルン集結もバハムート便だな。そうなると余裕が出るから助かるな。


 俺の胸の上で寝ていたケイティが目を開けて、状況を確認しているようだ。


「ぁ、メル、御当主様。おはよう、御座います。あの、ささげられて、嬉しいです。諦めて、いましたから……」

「おはよケイティ。此れから頼むな。身体はどうだ?治癒は掛けたが」

「はい。その、大丈夫です。幸せですから」

「そうか。ん?おはよアーシャ。身体は?」

「おはよう御座います旦那様。沢山頂いたので幸で満ちてます」


 順次目が覚めて置きて来たので、ジェシカとカトリーヌが皆のお茶を淹れてくれて

 アーリーモーニングティーを楽しむ。この時間が好きだ。

 一頻ひとしきり会話を楽しんでから、全員で風呂に行く。

 時間もまだ早いから、ゆったり出来そうだな。

 妻達がキャッキャウフフしながら洗ってくれて、湯船に浸かる。

 うん。これを眺めてるだけでも幸せだな。


「どうされたのですか?旦那様」

「いや、皆で湯に浸かり、楽しそうな妻達を見てるだけで幸せな気分だ」

「じゃあ、ずっと幸せですね、あなた」

「そうだな。その為にも頑張らなくてはな」


 俺とカトリーヌで皆の髪の毛を乾かして着替えてから、食堂に向かう。

 ゆっくりと朝食を味わってから、食休めに居間で寛ぐが、デッカーとクワトロ、ガニメデを呼ぶ。

 昨晩決まった動きを伝えて鍛錬と準備をさせる。

 言珠スフィアでジェームズにも同じ内容を伝え、領内の警戒もさせる。


 取り敢えず、ジェシカ、クリスティ、カトリーヌ、ケイティを乗せて学校に行き、

 2人を下ろしてギルドでダンカンと相談だ。

 座学はクリスティが居るから良いが、来週予定の討伐体験は延期だ。

 まあ、その分座学は進むのだが。

 冒険者の方も警戒や探索、報告を国と相談して強化して貰う。


 商会に行き、事情を説明してケイティの紹介と通常業務の確認、商会の隣地を使っての拡張工事の手配を商業ギルドに依頼させる。

 スフィアを取り出し、エリダに繋ぐ。


『メル!一晩でも待ち遠しいです。わたくし何時いつでも構わないわ!』

「今から屋敷に戻って、それから迎えに行く。昼は屋敷で一緒に取ろう」

『分りましたわ。お待ちしてます』


 商会を出て屋敷に戻り、アーシャにエリダの件を伝えて霊波移動で彼女の執務室に移動する。



「やあ、都合は大丈夫か?」

「メル!!会った後だから、余計に寂しくなって。泣いて過ごしたのよ!もう、もう、ずっと傍に居て下さい!」

「済まない。もう少しの辛抱だろ?では戻ろう。女官長殿、明日の朝食後に送って来る。殿下と宰相殿に伝えてくれ」

「畏まりましたニルヴァーナ卿。女王様を宜しくお願い致します」

「ああ、頼まれた。では」


 そう言って霊波移動で屋敷の居間に戻るとアーシャ達が集まって待っていた。


「お久しぶりですエリダ様」

「「「「「「「「「「「ようこそいらっしゃいました、女王様」」」」」」」」」」」



「うふっ、来ちゃった」



明日も投稿予定です。



さら

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