第42話 ボルドー3
何故か一緒に寝ていた2人にキスをしてからベッドを出て、身支度を整える。
霊力でカトリーヌを起こして部屋に向かう。中に入ると裸だった
「あ、あの、はわ………ぃやん………しゅ、しゅぐに下着着けましゅ!」
「背中を向けろ、コレを結ぶのだな。ワンピースは大丈夫か」
「ひゃ、ふぁい。だいじょうぶです………はずか、しいです………よいしょ、んしょ、えっと、」
ワンピースは前ボタンだった。髪の毛を梳き紅を差して、お茶を淹れてくれた。
「ふぅ、お待たせしましたぁ。準備に手間取ってしまって………」
「いや、俺が来るのが早かった。女性は時間が掛かるからな、気を付けよう」
「す、すみましぇ、せん。なるべく綺麗にしたいので」
「十分可愛いが、女の心持も有るのだろう。無理は言わん」
「は、はい。その、御当主さまの前では、少しでも綺麗で居たいですから………ぁ、あの、口付け欲しいです――――――――」
「ぁん。んっちゅ。はふぅ……有難う御座いますぅ」
「いいのか?今晩何かが起こりそうなのでな、お前の能力を見ておきたかった」
「も、もっと欲しいです。でも止まらなくなりそうで。我慢しましゅ」
「ん、偉いぞ。飲んだら行こう」
「よし、先ずは剣からいつも通りに。光鎧を着けろ」
「はい。”装備”では!」
ヴォン!シュシュシュシュヴォン!ヴォヴォシュシュシュパ!!
キンキンキキキキキン!ヒュン!ヒュヒュン!キキキン!
「凄いぞ!カトリーヌ。光鎧を着ければ地上で勝てるのは俺だけだ」
「ハァハァハァ、んぐ、ハァ、光鎧無しで、ハァ、ここ迄出来れば。体力も、ハァ、まだまだです」
「それはそうだ。始めたばかりでこれだけ出来れば凄いぞ。解除して通常鍛錬だ」
「うむ、光鎧が無くても十分な強さだ。息を整えたら魔法にしよう。椅子とテーブルを錬金する」
「はい、ハァハァ、喉が、乾いて、ハァ、お茶出しますハァ、」
「旦那様、カトリーヌ、おはようございます」
「おはようアーシャ、鍛錬かい?」
「おはようございますアーシャ様、ちょっと、お茶淹れます」
「ええ。はい、私も神聖力が大幅に上がっているので、感覚の調整に。
お茶も化粧も鍛錬も、妻として頑張っていますね。ですが、怪我はダメですよ?
私達の身体は旦那様の物ですから」
「はい、アーシャ様。愛想を尽かれ無い様に気を付けます」
「ふふ。いい子ね、カトリーヌは」
「では私も【聖光】【聖浄化】【聖障壁】【聖光矢】【聖光弾】【聖震】………ふぅ。イメージ通りに行使出来ますが、強大で疲れますわ」
「凄い聖力だ、神の力と言われても頷けるな」
「はわわ~凄いですアーシャ様!」
「感覚として、この国の全土を障壁で包めそうですね」
「神様みたいですぅ~」
「正に、だな。母さんは何を求めているのやら。今晩か、余り大事は困るのだが、師匠が言う位だから異常事態なのだろうな。ガイアは普通の女性として過ごすようだし。ん?ガイアとはどうなった?」
「普通に妻枠に収めましたわ。それしか収まりが無かったものですから……
旦那様、私達妻が求めたら応じて下さる様、お願い致します。色々有りますので。
それ以外に旦那様からは私達、何時でもお待ち致しておりますから。
私やカトリーヌ含め、皆が旦那様を愛しておりますわ」
「大好きです!ね、アーシャ様!」
「あ、ああ。分った。俺も皆が大好きだから、幸せにする。3人で風呂に行こう」
「はい。お流し致しますわ」
「お任せ下しゃ、さい。あの?わたしって、舌足らずですよね。直らないかなぁ」ガックリ
「気長に治せば良い」
「うふっ。そうですね、ゆっくり直しましょ?」
「ふぁい~」
結果から言うと、風呂で愛情の確認作業をしてしまった。
アーシャとカトリーヌがねだるからだが。嬉しいからいいのだが、負担が心配なんだ。
勿論、2人には治癒を掛けておいたし、髪の毛も乾かしてあげた。服装や化粧は役に立たんからな。
2人の腰を抱いて居間に入ると妻達が勢揃いでお茶を飲んでいるので混ぜて貰う。
ガイアも暴走しなければ、普段は大人しくて面倒見の良い優しい女なのだ。
ちらちらと俺を見ているが、昨日の暴走が恥ずかしいのだろう。
「ガイア、俺の膝に乗れ」
「うん…………なぁに?」
「反省してるのか?」
「……ぅん。ごめんなさい……」
「ならいい。それとコレを嵌めろ。俺達夫婦の指輪だ」
「ぁ。ありがとう……オリハルコンだね。メルを感じる……」
「よし、なら終わりだ」
「嫌です。どきません。メルが嵌めて下さい。ずっと、待ってましたから」
「仕方無い女だな。はい、これで良いか?」
「うん。大事にするね?だから大事にして下さい」
「ああ、任せろ。だが、確かに。師匠と二人だったから、色々鈍いのかもな?」
「それは否定出来ないわよ?あのラーンだもの」
「確かに旦那様は女心に疎すぎます」
「「「「「「そこは同意致します」」」」」」
「のわ!全否定!そんなに酷いのか。反省が必要だな。皆、すまん」
「でも、そこもかわいい」
「そうですわね、ガイアさん」
「「「「「「そこも同意致します」」」」」」
「奥さん達に遊ばれてる……」
「そんな事無い。メルが大好き。何万年待ったと思っているの?」
「そう言われてもな。ん、ガイアはどうなるんだ?」
「私は神の力は有るけれど、只の女。メルの嫁。もう引退したから」
「後釜はどうなる?」
「皆が持ち回りと思う。シリア様の手は煩わせないもの」
「ふ~ん。ならいいか」
朝食の用意が整って、食堂に集まるとガイアに注目が集まり事情を説明。
自己紹介して昨晩の流れと今晩何かしらが起こる事を教えた。だが内容迄は不明。
俺、アーシャ、カトリーヌに残れと言った師匠の言葉からして、荒事だとは思う。
混沌の者、とかだったりしてな。
まあ、街や村と周辺の警備や守りを固める位しか、実際動きが無いのも事実。
ボルドー領軍も直ぐに動けるだけの2千人が巡回と警戒に当たっている。
俺はバハムートに事情を説明して、ガイアと合わせた。
驚いていたが、もう地上では只の女として生きるって事に納得していた。
予防として普段使わない神聖感知と霊力感知を半径30キロ展開しておいた。
しかしそうなると、変に動くのもな。で、晩迄待つしか遣る事が無い。
さて、何をするかな……仕方が無いので女性陣を連れて城下へ出て、レストランで昼食にした。
俺は茸パスタと小魚のアヒージョとパン。
皆もサラダ、ハンバーグ、魚のムニエルなど、其々だな。
しかし食事量が少なくて心配していたのだが、最初からケーキ屋に行くつもりだったらしい。
女性の甘味に対する執念が凄い。まぁ、彼女達が笑顔ならいいか。
この後は雑貨屋など回り、小物を幾つか買ったみたいだが城に帰る。
夕方、居間で寛いでいた。
感知を上げる迄も無かった。強烈な悪寒に襲われた!!
アーシャとガイアは震えてカトリーヌは倒れそうになっている!
「カトリーヌ!光鎧を!!ベランダに出る!バハムートォ!!」
方向を確認する迄もなく、南西。ピレネー山地の上空に赤黒い巨大な渦が出現していた!
「な、何だ。あれは……」
渦から”巨大な手”が下りてきて、何かをばら撒いている。
手の大きさだけで数十キロ有りそうだった。
「きゅるるる~きゅいっきゅ!」{メル!不味いぞ!世界が壊れる!!}
「あ、あれ、不味い。あんなの……どう、すれば…………」
「ガイア!確りしろ!”アレ”は何だ!!アーシャ!聖障壁をボルドーに!」
「はわ、はぃ……」
「”アレ”は異界の”邪神”…………遥か昔……に、ラーンが封印。したって…………」
「なにっ!!”アレ”が、”邪神”…………ヤツは、魔物と”混沌の者”を地上に撒いている……人間では……無理だ。どうする…………どう。アーシャ?障壁はどの位持つ?」
「この程度でしたらいつまでも。旦那様、どうされますか………」
「放置は出来ん!打って出る!デッカー!領軍と共に零れて下って来た魔物を頼む、俺とバハムートで大規模攻撃を行って、”混沌の者”を倒す。アレは人間では辛いからな!」
「はいっ!!”混沌の者”とは?」
「黒い異形の怪物だ!人間では相手が辛いから、ボルドー側に降りて来た異形はお前が相手をしろ!人間の枠を超えた者でなければ無理だ!じっとしろ、俺の霊力を渡す!」
「はっ、おおっ!ぬをおおおおおおおお!!!!力が漲りますぞおぉ!!」
「アーシャは障壁をピレネー森林の手前から展開していてくれ!皆は大人しくしていろっ!ペリゴール!デッカー達と領軍を!カトリーヌ、バハムート!行くぞ!!」
「ふぁいっ!」
「きゅいっ!」
「旦那様!ご武運を!カトリーヌ、雷帝竜様!気を付けて!」
「「「「「「「「「どうかご無事でっ!!!!」」」」」」」」」
バハムートはベランダから飛び立つと同時に元の大きさに戻る。
そこに、カトリーヌを抱えて飛び乗り、ピレネー山地を目指す。
「しかし、アーシャの障壁は凄いな!見える範囲全てが障壁だ。バハムート、お前の【轟炎弾】と俺の【究極燃焼】で大部分を吹き飛ばそう。後は個別撃破だな。山が多少消えてもやむを得ない」
{うむ。それが良いか。同時に邪神も攻撃する。ヤツとは久しぶりなのでな、血が滾る}
「師匠の時か?どうだった」
{我もラーンも瀕死だったが、創世神様の助力で何とか封印で来た。今のメルでは勝てんが、潜在能力は歴代魔人の比では無い。ヤツもまだ完全に封印が解けて無いのだろう}
「………そうか。押し返せそうだな。どれ、奴らにお見舞いしてやるか?」
{おうっ!!}
山地の頂上辺りにばら撒いている。
向こう側の旧オストラバやロマーノは大変な事になるだろうが、後回しだ。
大量に落とされる”混沌の者”と魔物に向けて、バハムートが【轟炎弾】を無数に放つ!!
俺も邪竜に放った5倍程の【究極燃焼】を放つ!!
「はわわ~すごいです!!山が無くなります!」
キューーーーン ドゴン!ドゴン!ドゴン!ドゴン!
ヒュー―――ン ピカッ ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!ドドドドドドドドド
数分後、山の一つが半分無くなり、焼け野原と化した。
上空では手が引っ込み、渦が無くなり始めている。
「良し、地上で討伐だ!バハムートは引き続き頼む!」
「ギュオオオ~ン」
「む~とちゃん!気をつけてね」
カトリーヌを抱き、地上に飛び降りる!
辺りの熱風を氷雪魔法で冷やしておく。生き残った”混沌の者”共にトドメを刺して回る!
カトリーヌも奴ら相手に普通に戦えている。凄いぞカトリーヌ!
「えいっ!やっ!はぁ~!たっ!このっ!いっぱいいますぅ~」
「凄いぞカトリーヌ!その調子だ!頑張ればご褒美だ!はっ!ぬん!」
「やったです~!はっ!!可愛がって貰えるです~!やっ!とっ!」
2時間後には略、倒し尽くしていた。
カトリーヌは初の本格的な長時間戦闘でクタクタだ。
俺達も降りて、デッカー達の応援をしてやるか。
「バハムート!残党を頼む!俺達は下ってデッカー達を助ける!」
「ギュオ~ン」
「さ、確り掴まれカトリーヌ。行くぞ?はあっ!!ルーダ!!」
空中に飛び上がりルーダを呼ぶと、直ぐに捉えて飛んでくれる。頼もしい。
「はにゃにゃ~飛んでます~疲れましたぁ」
「良く頑張ったぞ。もう少し頑張れ。デッカー達が待っているからな」
「はぃ……だいすきです。頑張りますね」
「ぬお!何と言うしぶとさ!しかしっ!御当主様に授かったこのちからっ!止まりはせん!!ぬぅん!」
「デッカー団長!こいつ等ヤバイ上に魔物が多過ぎてボルドー軍が!」
「あっしらじゃ、異形を相手するだけで手一杯でさ!」
「デッカ~」
「でっか~さ~ん」
「ん?何処からとも呼ぶ声が…………は!いや!」
「団長!!上、上ですっ!!!」
ドスン!!!
「デッカー!待たせたな。良く耐えた!皆、下がっていろ! ぬ~~ふんっ!!」
ヴオオオンンンンン!!!
スパスパスパスパスパスパスパスパスパスパスパスパスパスパスパ!!!
「おお!一振りで!流石は御当主様!!!」
「御当主様が来て下さったぞおお!!」
「御当主様だ!!これで無敵だぞ!」
「おお、御当主様!!」
「御当主様!!有難う御座います!!」
約10分程で”混沌の者”共は壊滅し、次は領軍が相手をしている魔物だ!
早く倒さねば被害が広がる!急がねば。
「引き続き魔物を蹴散らすぞ!ん?おい、皆伏せろ!バハムートがブレスを吐くぞ!」
ゴオヴァアア~~~!!!
ギャギャギャ
グゲゲゲ
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「漸く落ち着いて来たな。さて、どうするかだが…………」
「ちゅかれ……ました…………」
「おっと、ふむ。抱いててやるか。デッカー、このまま付近を確認しよう。被害は怪我人だけとは思うが。領軍の隊長とも話したいしな。ん?馬車?アーシャだな。ガイアも居る」
「旦那様~!!心配でしたっ!」
「メル!怖かったよ~」
「うむ、皆無事なら問題無いな。カトリーヌもデッカー達も大活躍だ。魔物は完全に駆逐出来てはいないが、一先ずの決着だな。ご苦労様」
怪我人を纏めて治癒しながら見回っていたら、千人隊長が居たので、情報を共有しつつ問題無しと判断したので、一旦城に帰る事にした。
カトリーヌも綺麗にして寝かせてやりたいしな。




