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W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
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第30話 忙しい日々3

 

 商会に向かう馬車で、セバスは固まっていた。


「どうした?今更緊張も無いだろう」

「えええっと、あ、凄く奇麗な、人で。姉上、みたいで。緊張します」

「まあ!」

「そうだな。ジェシカは美しい。アーシャも作られた美術品の様に美しいが負けてない」

「えっ、その。その様に急にほ、褒められましても………」

「アーシャには緊張しないだろ?」

「はい!姉上は姉弟ですもん。凄く優しくて大好きだし尊敬してます!義兄上と邪竜を倒せるんですから」

「そうだな。アーシャはとんでもない女性だ。俺も尊敬している。男2人で見習わんとな」

「そうですね。アーシャ様はこの国の女性の憧れです。清く、正しく、強く、美しい。凄い方ですわ」

「僕の自慢です!でも義兄上はもっとです!大陸の英雄だからっ!僕、お仕事頑張りますね!」



 到着したので、早速中を見せて回る。

 倉庫は普通の倉庫だが、商品樽のラベル。間違って無いか等の有無の確認。

 樽も作りに不具合や輸送中の破損等も目視と打音で確認。員数も書類と合っているか。

 今はラガーだけだが、林檎酒も直に入荷するから置き場や起き方を考えないと、入荷と出荷で手間取る。


 アーシャ達の店が始まれば、隣を買って倉庫を増やす予定だ。

 量産される布や糸、製品の在庫。化粧品関係もだな。

 喫茶も始めると言っていたから、茶葉や食材、食器類も必要になる。等々を説明して事務所に入る。


 実際に遣り取りしている書類を見せて内容を説明。

 学校関連も毎週書類が届くので目を通して間違いや価格の適正値を読む。

 資金調達の方も不正や賄賂が無いか怪しい所を見る。実際に学校やギルドの現場も確認はする。

 大まかにはこんな感じで運営している。


「実際、セバスはこんな仕事が向くのではないのか?」

「僕もそう思ってます。こう言うの好きだし家の仕事にも絡んでるから良いかなって」

「先ずは、日々の仕事の流れと書類の内容を見て覚えてくれ。急がなくても見ながら物に触れていれば嫌でも覚える様になるさ。その頃には新しい仕事が一つづつ、増えてくる」

「はい!!」



 予定は過ぎたが、馬車に乗り屋敷に戻る。

 アーシャ達はまだ、林の教会に居るようだが、セバスの帰りには丁度良かったか。

 教会に歩いて向かう途中でユニコ達にびっくりしているセバスを見て思う。

 今年成人。まだ14歳なんだよな。あの子の為にも商会の存在が為になってくれれば良いが。


「セバス様は無邪気なお方ですね。微笑ましいです」

「まだ14歳だ。あれが普通なのかも知れんぞ?この世界は早熟早婚が望まれる。

 世界は危険に満ち、人は簡単に死ぬ。だからと言えば其れ迄だがな。そう思わなかったか?」

「どうでしょうか……いえ、思ったと、思います。なんでって」

「言ったところで現状は”これ”だ。母さん達にも思惑が有るのだろう。俺達が考え付かない理由が」


 ユニコに絡んでいるセバスを促し、教会の中に入る。と、直ぐにお茶が出る。


「お帰りなさいませ、旦那様。セバスはどうでした?」

「本人もヤル気だし、向くと言ってる。最初は見て触れての繰り返しだし何とかなるよ」

「はい!我が家の仕事も繋がってるし楽しそうなんです!」

「良かったわねセバス。メルさんも宜しくね」



 夕飯まで、お茶を飲みながら雑談をして過ごした。

 相変わらず母さんは、俺をいじるのが趣味なようだな。

 妻達も仲良くやってくれているし、カトリーヌとジェシカも馴染んでいる。安心だな。


 街が夕焼けに染まる頃、ボルドー家組は帰っていったが

 母さんは何故か一緒に居間にいる。どしたの?


「別にぃ?偶にはいいじゃないの。息子と居たいんだからぁ」

「いや、それは嬉しいけどさ。珍しいから」

「私はもっとお話したいので嬉しいです!母娘の触れ合いです!」

「やっぱりアーシャちゃんは話が分かるわねぇ~」


 目の前で母さん含む女性達が、茶菓子を囲んできゃいきゃいやっている。

 俺は眺めているだけ…………まあ、皆が楽しいならいっか。

 その後も全員で風呂に入ったが、省略する。

 何故って?そりゃあ母さんが絡んで来て大変だったからだな。

 だけど。母さんと風呂なんて初めてだったから嬉しいんだとは思う。偶にはいいかもな。


 寝室のソファーに座ってワインを飲む。うん、美味いな。

 向かいにはターニャとソニアが同じ様に飲んでいる。隣は母さんだったりする。

 普通、嫁が隣で親は向かいじゃないのか?普通も分からんが。

 寝る時は大人しく消えてくれた。何だかなぁ…………



 俺は最低だ。目の前で妻が気絶している。

 2人が張り切って攻めて来たが、返り討ちにしたら、こうなった。何がって?秘密だ。

 2人に治癒を掛けて、眠りに着いた。





 朝5時!決まって目覚める。スッキリした感じだな。

 両側で眠る2人の額にキスをしてからベッドを出て、窓から外を見る。曇り空か。


 顔を洗って衣装室に行くとマリアンヌが


「おはようございます、私の御当主様…………わたしの」

「おはよう、マリアンヌ。朝は無理をするな?」

「私の生き甲斐で御座います」


 言いながら、俺のガウンを脱がせながら密着しているぞ?胸や腕を摩り過ぎじゃないか?

 やはりスーツなのだな。鍛錬もするのだが………まあ、いいか。


「お座り下さいませ」


 ソファーに座ると上に跨って抱き着いてきて、たっぷりと口付けを堪能していた。


「ご褒美有難う御座います」

「あ、ああ。いや、少し仮眠しなさい」


 うっとりしている彼女をソファーに横たえ毛布を掛けて部屋を出た。

 何がどうなっているのか、さっぱり分からん。

 彼女の”ご褒美”は段々と過激になってないか?誰かに相談するか?


 本館を回って別館も回り、カトリーヌの反応が動いていたのでノックして声を掛けながら入る。


「起きていたか……ん?隣だったか――――カトリーヌ…………」


 隣の衣装室の扉を開けると、下着姿のカトリーヌが立っていた。


「あ、や、や、ぃやん」

「う、うむ、すまん」


 ドアを閉めて部屋で待つ。こんな早くに着替えているとは思わなかった。

 良く考えてみれば、農村の出だから朝は早いのかも知れないな。

 彼女も一人前の女性だから、ちゃんと確認しなければいけなかった。注意しよう。


「お、おはようございます、御当主さま。その、良いのですけど。ちょっと、恥ずかしい、です。

 私を助けてくれたし、魂?で繋がってるから。何をされても、えっと平気です。突然で、恥ずかしいなって、思って……えと、お子も産めると思うので、何時でも。好きに、して。ほ、欲しいなって………わたしは、う、うれし、です」


 ドレスっぽいワンピースに着替えたカトリーヌが、ぽふん。と、抱き着いて来た。

 抱き締め返して、頭をポフポフしてやる。


「そう言うのは、もう少し先にしておけ。カトリーヌの事は好きだぞ?今は学校や研究、日々の生活を楽しんでくれたら嬉しいがな。楽しい事は一杯有ると思うぞ?」


「はい!元気になったので!でも、わたしの事も見て、欲しいです。一緒に居たいです。だいす」

「分かっている。魂の世界は嘘を付けないから、カトリーヌの綺麗な気持ちは分かっている。大切にしてやるから心配するな。いいな?少し、外を散歩しながら話をしよう」


 見回りを兼ねて、話す事にした。

 敷地に出て、カトリーヌの歩幅でゆっくりと歩く。少し背が伸びているな。成長しているのか。


「あ!ドラゴンですか?ちっちゃいドラゴンです!すごいです!初めてです!あっ!私に飛んで、きゃっ。あ、かわいいですね?私の胸が好きなのかなぁ?うふっかわいい~」


「そいつは【雷帝竜バハムート】と言って、俺の盟友だ。半魔人になったカトリーヌにも懐いたのだろう。本当の姿は200メートルの巨体だ。バハムート、カトリーヌも頼むな。手を出してみろ」


「えっと、こうですか?あっ!何か声が……うわぁ、凄いねバハムートは!よろしくね?ここがいいのぉ?うん。いいよ?私おっぱい大きくないけど大丈夫かな?うん!ありがとね!」

「きゅいきゅい」

「気に入ったようだな。そう言えば来週にも学校で討伐体験の研修が有るが出てみるか?」


「はい!怖いけど、皆も御当主さまも行くんですよね?」


「勿論行く。なら、装備と荷物を纏めて準備しないとな。後で俺が見繕ってやるからな。今日から研究の方をやるつもりだろ?俺が部屋に行って合わせるからな。しかし伸びたな、まだ伸びそうだ」


「ありがとう御座います。身長伸びてるんですか?うれしい!もっと伸びないかなぁ~うふふ~ああっ!ユニコですっ!すごい!お話の生き物ですよ!あ、こっちくる!うわうわっきゃあ」


「ユニコ達もカトリーヌが気に入った様だな。お前達もカトリーヌを頼むぞ?」


「うわぁ~毛がふさふさぁ。もふもふですぅ。かわいいですね?御当主さま。あ!スカートめくっちゃダメだよぉ。きゃ!くすぐったい。うふふ。皆いい子ですね」


「よし、背に乗って散歩しよう。それ!」きゃあ」


 ユニコの1頭に乗り、俺の前にカトリーヌを横座りさせてゆっくり歩かせる。

 凄くうれしそうだな。元気になって良かった。


「うわぁ!視線が高くて良く見えます!目も治れば良かったのになぁ」


「その内治るだろう。待てばいい」


 中庭に戻ってカトリーヌを下ろすと、ユニコ達は近くの林でカトリーヌを見ている。

 バハムートもカトリーヌの胸から動く気無いらしい。

 中庭のテーブルセットの椅子に座らせて、ジャケットを預けて鍛錬を始める。

 何時ものようにクワトロが数人で攻めて来る!魔法剣2本で対応する!


 ギギギギンギャギャギャリン!ゴンゴンゴン!

 そらそらもう一度だ!行くぞ!


 ギギンドゴン!ギャリゴン!キンキンギャギャン!

 もっと来んかーい!



 30分程で全員汗だくのフラフラだな。全員に治癒を掛けるか。

 よし、そのままだぞ?パアっと光り、全員復活してきた。

「おお!御当主様のお力!」

「有り難い!まだ行けます!」

「うおお!感謝しますぞ!」

「凄いお力!では続きを!」


 こいつらバカだ。巡回の最中を忘れてやがる………


「ぁ、あの、大丈夫。ですかぁ?おしごとが…………」

「おお!姫!なんと可愛らしい!」

「おや!姫のお言葉で思い出しました!」

「え?わたし姫じゃ………」

「カトリーヌ嬢を守る為に巡回も大切!」

「お嬢様!警護は我らにっ!」


 やっぱりこいつらバカだった。ウチの騎士団大丈夫か?

 ジェシカとメイドが立っているのが目に着いたので、ここにお茶を用意させる。

 汗を拭いて貰ってる間に浄化の魔法で綺麗にする。

 俺を挟んでジェシカとカトリーヌが座ってお茶を飲みながらバハムートやユニコ達の事を話す。

 勿論、学校や研究の事も。

 セバスも来るので午前は商会に行く。午後は戻ってカトリーヌの装備と研究室の機材関係を手伝う。


 メイドは離れた位置に座らせているが、冷えるといけないので3人にストールを掛けて有る。

 マリアンヌが様子を見に来たのか、目が合ったので彼女も呼んでお茶する。


「そろそろ中に入ろう」

「はい。浴場へは行かれますか?」

「そうだな。さっぱりしておくかな。カトリーヌは居間に」

「はい」



 風呂に行くと、ターニャとソニアが洗っていたので、俺とジェシカも混ぜられた。

 4人で身体を流して、身支度を整え居間に行く。


「「おはようございます、旦那様」そろそろ朝食です」

「ん?そんな時間か」



 食事をしながらアーシャが


「本日はどうなされるのですか?」

「午前は商会に行く。セバスも来るし。午後は戻ってカトリーヌの装備や研究室を整えるのを手伝うよ。来客が有れば対応出来るしね」

「午後はいらっしゃるのですね?やはりお姿が見えないのは寂しいですから」

「そうですわね。寂しくは思いますもの」

「………」こくん

「はい。もっと構って頂きたいです」


「じゃあ、こう言うのはどうだい?」


 俺は妻達4人とジェシカ、カトリーヌに霊魂の波動を流して繋げる。


「え?これは。旦那様が包んでいる様な」

「はい!旦那様を感じます!」

「!!!」

「暖かいモノが……」

「あ!魂の繋がりです」

「蕩けてしまいそうです」

「常時では無いがこんな事も出来る様になったから、少しは紛れるかな?」

「「「「「「はい!」」」」」」



 それから商会に移動してパスカル、セバス、事務員達と仕事をこなす。

 ジェシカは控えてお茶の用意だけだが、見て覚えて貰うだけはして貰う。

 昼は商会の皆で近くのレストランで食事。

 ロマーノ南端風の魚介がメインの料理で中々美味かったな。



 午前が終了で屋敷にジェシカと2人で戻る。

 カトリーヌの装備を見てやらないとな。


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