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W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
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第19話 アーシャ出陣

 

 練武場に移動してから先ずは得物を手にする事。

 殆どが木剣を取った。槍代わりの棒は2名。まあ、ありがちな結果だ。

 経験者は自分のペースで鍛錬を始めたので良いが全くの初心者も居る。

 そいつ等には握りから教えなくてはならない。直ぐにバテるだろう。

 握りと振りを教えて振らせる。木剣が抜けたり腰が引けてたり、様々だ。

 最初は兎に角振らせて身体に馴染ませないと話にならない。

 棒の連中も見る。やはり握りと持つ位置、身体の位置が悪い。

 基本動作を教えて振らせる。突く、引く、色々やらせてバテ無い程度に馴染ませる。

 此処には教員が2名居るが、アーノルドとエイミィにも声を掛けて注意させてから魔法教室に行く。





 教室に行くと全員が驚いて一斉に俺を見る。

 魔力の鍛錬を行っていると、程度の差は有るが感覚が鋭敏になる為、俺の膨大な霊魔力に驚いた様だ。


「すまん、驚いたか。これでも普段は隠しているのだがな」

「えっ?ニルヴァーナ様は、どの位の魔力量、なのですか?」

「しかも純粋な魔力とも違います」

「魔力か。そうだな…宮廷魔術師筆頭イッツェハーフェンの爺さんの250倍だな。君はそのイッツェハーフェンの1/15だ。

 生物は皆、霊力と言う感知できない力を持っているのだが、俺は霊力と魔力を混ぜ併せて扱い易く、強力なモノに変化させて使っている」


 ここにはアネッサ、メルル、カトリーヌ、他に女子2人と男子1人の6名が居る。

 呆けた顔で見てくるが、口を閉じなさい!メルル、涎!カトリーヌ、顔が赤いが大丈夫か?あの男の子はイってしまったな。


「にひゃ、にひゃ、250倍!?どんなですか!」

「はわわわ」

「あ、あの、れいりょく?」

「あ、ま、魔力って、増えるの?ですか?」


「うむ。魔力操作にも使えるのだが、皆は魔力切れを経験した事は有るか?」

「「「「「「有りません!」」」」」」


「そうだな。基本は禁止されている。それは身体に良く無いとされているからだが、それは本当だ。死にはしないが、体調を崩す事が有る。だが、魔力切れのギリギリ手前で辞める→回復を繰り返すと魔力の増大に効果的だ。寝る前とか良いかも知れんな。若しくは誰か人と一緒の時な」


「そうなんですか!?」

「やってみようかな?」

「凄い事を聞きました」

「俺は試すよ!」

「あ、わたし…どうし」


「その鍛錬に魔石が有効だ。空の魔石には魔力を込められる。これを使って自分の限界を探しながら鍛錬をするのだ。後な、込めた魔力を自分なら吸い上げる事が可能だ。難しいがな。これを繰り返すのは魔力操作の訓練になる」


「そんな方法が有ったなんて!」

「驚きです!」

「おっぱいにも込め…あいたっ!」

「すごいです……」


「まあ、君達はまだまだ若いからな。今から幾らでも伸びる。この部屋の魔石を使って試してみろ」

「「「「「「はい!」」」」」」


 癖は有っても、皆素直でいい子達だ。色々教えて逞しくなって欲しい。選択肢が増える様にな。

 早速魔力を込め始めたか。カトリーヌは心配だな。止めるか?


「カトリーヌは今は辞めておけ。戻ったら説明する。魔力循環にしておけ」

「あ、はい。分かりました」

「メルルは待て、もう少し、すこし、そこだ!それがギリギリだ。吸い上げをやってみろ」

「バレッタとジェンヌも後少しだ、慎重に。アネッサ、辞めろ。後ほんの少し…そうだ!バレッタはそこまで!ジェンヌも少し、、よし!ルートビヒはまだ余裕あるな―――もう少し、少しづつ、辞め!今の感覚を忘れずにな。今度は吸い上げてみろ」


 中々苦戦しているな。そうだ。頑張れ。


 結局、全員少ししか吸い出せなかったが、体調には問題無い。

 練武場も見に行き、アーノルドに2回ほど手解きして鍛錬は終了。アネッサに買い物の纏め役を頼みカトリーヌと俺は馬車に乗り屋敷に帰った。




 うむ。予想通り戦場になっていた。どうする?逃げるかっ?逃げよう!


「お館様、逃げてはなりません。私が奥様に始末されます故。さ、参りましょう。カトリーヌ嬢もこちらへ」



「あ、ジェームズ!連行してくれたのですね。旦那様、お帰りなさいませ。さ、此方です。マリアンヌ?カトリーヌさんを宜しくね?」

「はい、奥様。カトリーヌ様は此方です」


 酷かった。屋敷の使用人の全員が代わる代わるで採寸と平服や礼服の細かい注文をする訳だから、服飾店の人員が30人は居たと思う。それに女性陣は貴金属やら髪飾りやらヒールやら色々有るからな。

 男性陣も礼服や平服の上着は剣帯する連中はベンツを入れる位置や深さまで拘りが有る。ハットも拘ったりするしな。お疲れさん。

 俺も揉みくちゃにされた。誰だよ、どさくさに抱き着いているのは。

 カトリーヌも酷かったようだ。背中まで伸ばした茶髪のウェーブをリボンで一つに纏めている。瞳はぱっちりの碧眼でメガネっ子。素顔は可愛い系?と言うやつか。147センチの小柄で胸は78センチと普通に有るのでロリ巨乳とか合法ロリとか叫んでいる奴が居たが何だ?



 とにかく、戦場の混乱は収束し、24時間交代制通常営業に戻った。


「ふぅ。終わりましたわ。皆さん、ご苦労様でした。翌朝、私達と共に出る者は早く床に就かせて。ジェームズ、同行の騎士団にもお願いね?要塞馬車を出します。

 カトリーヌさんは疲れたかしら?お茶を飲んだら研究室の概要説明をしたいから一緒に」



 休憩をしてから妻達とカトリーヌ、ジェームズも一緒に研究室に向かった。

 今はまだ、長机が置かれた何も無い部屋だ。


「奥様の構想には私も農家として勿体ないなぁって思ってたので、挑戦し甲斐が有ります!

 小型で良いので糸紡ぎや織機が欲しいです。長机を並べて条件を変えた試験片を並べて、比べながら実験します。

 熱で溶かす小さい炉と濾過機。瓶と金属皿、擦り器は多めがいいです。水を入れるタンクと乾燥箱、位ですか?

 後は試しながらだと思います」


「うんうん!私の想いに近いと思うわ!そうなの。そこを使って新しい世界を考えていたの!成功すればと言う素材は劇的に変わると思うのよ!」


「はい!頑張ります!」


「ジェームズ、その辺りを調達して欲しいのよ。どうかしら?」


「はい、奥様。明日……明後日には揃います」


「ではお願いね?配置はカトリーヌさんの指示でね。後は綿花ね」


「承りました。恐らく、そろそろ夕食の支度が整います」



 食堂に移動したら、丁度出来上がったのでそのまま夕食に。

 アーシャの出立前夜と言う事も有り、手の込んだ料理ばかりが並んだ。

 カトリーヌも嬉しそうで何よりだ。

 その後は普通に風呂に入り、俺はカトリーヌの部屋に行く。明日の装備の為だ。


「カトリーヌ、入るぞ?」

「あわわっ、ど、どうぞっ!お館様」


 部屋に入ると可愛い寝間着に上着を羽織って、ソファーに座ってお茶を飲むカトリーヌと傍で荷物を整えているメイド長が居た。


「準備をしていたか。昨日買った中に着れそうな物を頼んでおいたが大丈夫か?見せてくれ」

「は、はい!えっと、長袖と、短パンツとスリットワンピと上着、ブーツとグローブです。あ、えっと、下着はコレとコレです…恥ずかしいです」

「いや、下着は見せなくていいが、それとタオルは必要だ。他の装備は俺が持っているから心配いらないが……メイド長。小さなザックにタオルと替えの下着とワンピース、水筒と包帯と虫よけを段取りしてくれ。明日の朝でいいが、俺とカトリーヌのお弁当も頼む」

「承りました。お館様」


 メイド長が出ていって話始める。



「カトリーヌ。実は、お前の身体は非常に危険な状態だ。無理をすれば、何時死んでもおかしく無い位に全身が傷んでいる。俺としては屋敷で療養して欲しいが、どうだ?」


「そうですかぁ。なんと、なく。そんな感じ、してました。やっぱり、しあわせは無いんですね。

どうせなら、普通に過ごしたいです。

いい事無かったけど、お友達出来たし。

だいすきなえいゆうさまに会えたから。

ずっと夢だったんです。大好きな英雄様が、いつか助けに着てくれます様にって。

叶ったから。だいじょうぶです…………」


 カトリーヌはそのまま下を向いて、静かに泣いていた。


 そのままカトリーヌを抱き上げて、ベッドに寝かせ布団を掛け涙を拭く。

 頭を撫でながら治癒を掛けていたら、眠りに着いたようだ。


 部屋を出て、メイド長に今晩誰かしらがカトリーヌに付いている様に頼んでから、自室に向かった。



 部屋の居間に入ると3人の妻達が居たので、カトリーヌの事を話した。

 いつ精神破綻してもおかしくない

 いつ心臓が止まっても、血管・内臓から出血で死んでも不思議はない

 いつ脳の破壊で死んでもおかしくない

 全身の骨も薄く脆い。月のモノも止まっている。身体全てが傷み過ぎている

 子供の頃からの暴力と性暴力で肉体と精神が限界に達している

 俺の治癒では微々たる変化しかない。それ程蓄積が酷い

 本人に話したら気付いていたらしく、このまま過ごす事を希望した

 いつか英雄様が助けに来てくれると願ったのが叶ったから、いいんだと。


 ターニャとソニアは泣いていたが、アーシャの無表情が凄まじい。膝の上の拳が震えている。


「俺は無力だな。戦う事しか出来ん。俺に助けを求めた者すら何も出来ないとはな」


「それは。旦那様のせいでは有りませんし、私も聖女と言われながら何も出来ません。カトリーヌさんは如何程の時間が有るのでしょうか」


「わからん。今晩かも知れんし、来週かも。このまま何事も無く生き続ける事は無い。後は出来る事をするだけだ」


「そうですわね。悲しいし悔しいけれど、仕方有りません。全ての人を救える訳ではありませんから」

「そうですね。なるべく、彼女に良い思い出を」

「………」こくん



 明日も有るから早く寝よう。そう、声を掛けて4人でベッドに入った。

 母さんが介入して来ない。カトリーヌの死は確定なのだろう。

 やるせない気持ちで眠ってみた。




 --------------------




 旦那様からカトリーヌさんの話を聞いて、怒りと寂しさと無力と様々な感情が入り乱れてしまいました。

 彼女の命の灯が消えるのは、動かせない事実の様です。

 実の父親が、何と言う事を!許せません!必ず報いを!

 明日は早いので寝ます。カトリーヌさんは旦那様とソニアさんにお任せして、私の出来る事を!





 パっと目が覚めたら5時でした。ターニャさんが起こしてくれた様です。

 2人で起き出し顔を洗い、お茶を飲んで身体を覚まします。

 ナターシャとクラリスは準備万端で待ち構えて居ますから、早速準備に取り掛かって貰います。

 旦那様は鍛錬と見回りかしら?カトリーヌさんは大丈夫かしら…


 お化粧をして髪の毛は下ろしたまま。黒の首まで有る神官ブラウスに黒タイツ、黒の短パンツを穿いて司祭服を改造した物を着ます。ミスリルの胸当て部分的なフォールズ、それから下はミスリルチェインが司祭服と垂れていて、前2本後ろ2本スリットが入って動きを阻害しません。

 膝上ブーツにはサバトン、グリーブ、ポリンが一体の物を履いてます。一応ガントレットは持って行きますけど。

 ターニャさんは武力は無いですけど、安全を考慮してワンピタイプのドレスと私の様な鎧の一部が合わさった旦那様の特注品を着ます。


 今回は別に冒険や討伐では有りませんが、道中の安全上です。

 ニルヴァーナ家の私設騎士団が同行しますから、万が一も無いと思いますけどね。

 準備が整ったのは7時でした。


「では、行って参ります旦那様」

「うん。気を付けて。何か有れば言球スフィアで」

「お、奥様、あの、よろしくお願いします」

「「「「「「「「「「行ってらっしゃいませ奥様」」」」」」」」」」


 今回の同行は私とターニャさんとその侍女のナターシャとクラリス。

 キッチンメイドのメリヌとランドリーメイドのニース、パーラーメイドのジェシカ、神道女の2名。

 私設騎士団は10人で馬車の後ろの外に物見が付いていて常に2人、御者も交代で2人。


 馬車は車長7メートルで黒塗り。両横にニルヴァーナ家の家紋が入っていて目立ちます。

 その馬車を引くのが癒しの魔法付加された鎧を纏うユニコーンが4頭。

 そしてこの要塞馬車、中が凄いんです。旦那様の改造品ですが

 横のドアを開けると左右に伸びる廊下、正面は会議室。右の通路の左側かろ奥に向けて旦那様、私、ターニャさん、ソニアさん、ジェームズ、マリアンヌ、侍女の4人部屋、メイド4人部屋、奥が騎士団の部屋で物見に出るドアが有ります。

 戻って奥から右がメイド達女性陣の4人部屋が5部屋、男性用が4部屋。

 通路左は右から倉庫、食材庫、厨房、食堂、予備室で左が入って予備空間で中扉の左が洗濯室、右が脱衣所で奥がお風呂。次がトイレが男女別に。倉庫が有って談話室が2つ通路奥が騎士の詰め所で御者台にも出れます。

 一言で言いますと凄い!終わります。


 王都の中はゆっくりと走ります。危ないですからね?


「うわ!何だあの馬車は!」

「ニルヴァーナ家の要塞馬車だ!スゲ~」

「ユニコーンだ!!初めて見たぞっ!」

「どこかに出陣か?」

「わわわ!最強騎士団だ!」



 色々と言われておりますが、お出掛けですよ。ちょっとお仕置きに。


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