第12話 アーシャ5
あの後はソファーでまったりしていたのだが突然、この空間の模様替え?をしたいと言うアーシャの提案で、時空術から使えそうな物を出して移動などをさせられている。
「先ずはベッドは一つで、夫婦ですから。大きいので十分です。ね?旦那様。で、この位置で仕切りが此処です。はい。鏡台と衣類を入れた棚も此処で、仕切りはこの位置です。毛皮の絨毯はここからここで、ソファーセットを此処に。テーブルセットは食事も兼ねますからあそこで、仕切りがこのように。そうですわ。うん、随分とお部屋らしくなって来ました。ローチェストは重ねて並べて本を仕舞って、上に鉢と調度品、剣等を飾って、仕切りになりましたからこの中にも小型のソファーセットを。ええ、良い感じですわ。どうですか?」
「ああ。同じ空間とは思えないな。此れからはアーシャも居るのだし、屋敷と変わらぬ様に整備しよう」
「はい。王都の住まいも購入しなければなりません。国に斡旋して頂くかお父様に探して頂きましょう。現在のニルヴァーナ家の資産状況はどのような感じでしょうか?」
「ん、今の屋敷と時空術にそれぞれ白金貨で2,500枚づつと俺の武器、防具、アイテム類で多分4,000枚かな?で、今回の討伐の素材売却代で一年当たり光金貨で50,000枚が5年間払われる予定だな」
「え?」
「白金貨で約10,000枚と今から入るのが光金貨250,000枚だ。恐らく」
「は―――ぁ、はあ?なんじゃそりゃ?」
「え?」
「おほほほ~何でもございませんわ、空耳ですわ。んん、コホン。白金貨だけでも十分過ぎる程ですから、新居の購入と使用人達の給金、家具、結婚式。余裕で賄えますわ。甲斐性の有る旦那様で良かったです」
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旦那様の資産に驚いて、淑女らしからぬ声を出してしまいましたが。
王都の一般的な平民の月収が金貨2~4枚と言います。平均、年30枚かしら。
冒険者の稼ぎはクラスによっても人によってもバラバラですが、貴族の年金だって
・騎士爵:100枚
・準男爵:200枚
・男爵 :400枚
・子爵 :500枚
・伯爵 :800枚
・侯爵 :1000枚
・公爵 :2000枚
領地を持たない法衣貴族は年金だけになりますから、屋敷の維持・使用人の給金・貴族の付き合い・洋服代・貴金属……とても贅沢は出来ず貧乏貴族が多いのも事実です。
旦那様は冒険者で未だ19歳。既に金貨換算10万枚とは!孤児院や教会に多額の寄付もされてたのだから、実際の収入は莫大ですわね……驚きましたわ。
流石は金クラス1位の冒険者です。お師匠様と別れて1人旅を始めたのが13歳、その時既に銀クラスだったらしいですから驚きです。
このテント?マジックアイテムでしょうけど。これ。オカシイです。以上です。まあ、有意義に使わせて貰いますけども。これも資産には入って無いでしょうね……
あと―――お義母様が創世神様って……何だかもう、驚き過ぎて普通になったと言うか。
どう反応したら正解?もうお母様なのだからお義母様でいいかなって。
私ってとんでもない人に嫁ぐのかしら?でも、大好きなのだから仕方有りません。深く考えない様に。
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何だか知らないウチに夕方か。数日鍛錬をして無いんだよな。なんて考えていたら来客だった。
宮廷魔術師筆頭のイッツェハーフェンと第二席のイエネッタ。中央軍の女性下士官2人が来た。
「メル坊、お邪魔しに来たぞい」
「アーシャ様!遊びに来たよー調子はどう?」
「「魔人様!聖女様!お邪魔致します!」」
「ああ、どうぞ。屋敷みたいな訳には行かないが」
「いや、お前さん。こりゃ屋敷と変わらんぞい。魔法具とは聞いておったがここまでとはの」
「メル!あたしもここがいい!」
「「ほんとですぅ~凄いお部屋です!」」
と、言う感じで整えたばかりの応接室に招いてお茶を飲み始めた。
「わざわざ恐縮です、イッツェハーフェン様。ルジェアンテ様。お2人の騎士様も」
「なに、素直に感謝の気持ちからじゃ。気になさる事は無い」
「そうそう!あんな事!誰にも出来ないんだから。無理しちゃダメよ?体力温存しないと凱旋辛いわよ?」
「初めまして。騎士団で副団長補佐のマリエッタです」
「同じく、ジョセフィーヌです。聖女様って、お人形みたいに可愛らしい方なんですね」
「まあ、嬉しいけど褒め過ぎですわ。アーシャ・フォン・ボルドーです」
「うわ!ボルドー家!上級貴族様!」
「すごい!ボルドー家で聖女様で超美人!」
「え?そんなに有名ですか?」
「アーシャ様は自覚無いでしょうけど、ボルドー家は国内外ではワインの有名産地だから」
「そうじゃの。無所属で一大勢力を誇るの。ワインの国内シェアは6割!凄まじい事じゃよ」
「何だかお兄様が心配になってきました」
「なに、今の御当主は中々のお方じゃ。更にそなた等が婚約すれば誰も盾突く者は居らんよ」
「まあ!」
「アーシャ様とメルが結婚するの?」
「素敵です!」
「ああ、それも含めて話が有ったんだ。夕飯でもどうだ?俺の手製だが」
「そりゃあ構わんがの」
「旦那様のお料理は美味しいのですよ」
「「「旦那様ぁ?」」」
「あ!ぃぇ、えーっと。まぁ、そう言う訳でして……」
俺はアーシャに連中を任せて厨房に入った。
全員貴族だがここは戦場だ。野戦食は慣れてるだろうから、大丈夫か。
〆た鯛の切り身と生野菜をオイルで混ぜたサラダ、チキンスープ、ハンバーグステーキにデミグラスソース掛け。こんなものか。
30分後に戻ると盛り上がって爺さんは蚊帳の外だった。すまんな。
「口に合うかは分からんがな」
「アンタ、コックも出来たのかい!驚いたね」
「「凄いです!美味しそうです!」」
「はい、とっても。では頂きましょう」
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「いやーメルの以外な一面を見たよ」
「そうか?デザートにヨーグルトチーズのケーキだ」
「「「うわー」」」
「儂はワインがええの」
俺達は女性陣とは別にワインにした。
「ああ。俺達はワインにするか。で、話なんだが。
城塞都市ベルンだが、軍だけでは駄目だ。創神教を呼んだ方がいい。邪竜の腐食のブレスだが、アレには呪いが含まれていた。アンデッドは勿論だし、土地が腐るだけじゃなく呪われている」
「なんと!それは手が出せんな。凱旋後に協力を得て再出動じゃな。と、言う事は元オストラバ跡地は呪われた大地と言ったとこか」
「ああ、浄化と聖光が必要だな」
「頭が痛いの。あそこは外交次第じゃが、まずはベルンじゃの。お主等もか?」
「そのつもりだ。この陣地の事も有るから元々戻って来るつもりだったしな。半々でって感じかな?」
「それは助かるの。イエネッタの属性魔術師団も行けば完璧じゃ」
現場なら任せな!とか、イエネッタが張り切っている。
「それから、爵位なんだが受けようと思う。出来れば名誉爵位がいい」
「ほう。以外じゃったな。王家の打診は伯爵位じゃな」
「それは高過ぎないか?」
「「「「え?伯爵?」」」」
流石に皆が驚いた。
「それだけ事態を重く見た、と言う事と、お主を国に縛り付けたい意図が有る。異例じゃが王族か公爵家から輿入れさせるつもりじゃろうの」
「いや、それは流石に断るぞ?アーシャとは婚姻する。それで高位の姫を側室に?無理が無いか?」
「エリダお嬢もお主に入れ込んでおる様子じゃ、正式に弟君が王位に即位した後を考えておるかも知れん」
「じーさん!エリダってあのエリダか?」
「そのエリダなんじゃよ」
「いやいや、いや、それは問題だろ!」
「あくまで予想じゃよ。爵位を受けるならセットで屋敷を貰ぉてくれ。元侯爵家の敷地が空いておるでな。国の管理物件じゃが維持にも金が掛かるで。貴族院と財務官僚の愚痴が減るで。これは宰相殿の意向での」
「仕方無いか―――貴族って柄でも無いのだが」
「申し訳有りません、旦那様……」
「アーシャが悪い訳では無い。俺の自業自得だ」
「あ、私メルツェリン様の剣が見たかったのですが、駄目ですか?」
構わない。と、了承して時空術から【魂喰い】を取り出し能力封印を施す。ポウッと光る。
ショートソードの魔法剣も取り出す。
「ぐぬぬぬぬ!!これ、持てません!」
「ソウルイーターは70キロ程有るから重いかもな」
「うへぇ~それは流石に持てません。これを自在に振り回すのが驚きです!」
「こっちも、私が持つとロングソードみたいで」
「だな。自分と相性の良い物を選ばないとな。」
そんな話や魔法の話で盛り上がって21時には帰って行った。
アーシャが何か考えてる様子だったので声を掛ける。
「いえ、先程のお話に有りましたエリダ様とは、もしかしてエリダヌス女王様ですか?」
「その様だな。だが、爺さんの取り越し苦労かも知れん。今は目先を考えよう。
凱旋が終わったら、アーシャの両親に挨拶をして婚姻の了承を貰う。
俺の屋敷で2人にも説明する。
派遣予定のメイド達はアーシャが面接して良い者は引き抜いてくれ。アーシャの侍女もだな。
譲渡予定の貴族街の屋敷は宰相殿に手配して貰おう。
俺達はここへ戻って暫く仮り住まいだな。素材の作業とベルンの開放の為だ。
このテントは俺の時空術で拡張可能だから、部屋をちゃんと仕切ってメイドや侍女を連れても大丈夫だ。
こんな所か?」
「はい。概ね大丈夫かと。両親も反対は無いと思いますから話はすんなり通ると思います。
ソニアさんとターニャさんのお2人は私が3人だけでお話いたしますからお任せ下さいまし。
家から私の侍女とメイドを数人連れて出ます。コックは見習いを1人貰いましょう。派遣の方々は紹介の雇用形態の者だけを調べてから、新しい屋敷で使うようにしませんと。
お屋敷の手配は旦那様にお任せ致しますね。
ここもベルンも旦那様に付いて行きますので。
テントはその様に出来るとは驚きました。それならば問題無く過ごせますわね?有難う御座います。
ソニアさんとターニャさんにも侍女を付けて慣れて貰った方が宜しいですわ。ターニャさんはお仕事をどうされるのでしょうか?」
「ギルマスのダンカンには相談して、一応ここでの事務の一員にして貰った。だから暫くは問題無い。側室入りした後は退職して貰うしかないだろうな」
「そうですね……それが宜しいかと。結婚式はここの目途が立ってから、でしょうか?」
「それが諸々良いと思うんだが」
「なれば、貴族院に婚姻の手続きだけはしておきませんか?半年は先になりますでしょう?」
「そうだな―――そうするか。未婚の女性達のまま、同居を続けるのも問題だしな」
その後は何故か、介助を理由に一緒に風呂に入った。全身真っ赤のアーシャだったが、恥ずかしいなら止めておけ。とは言えなかった。だが、安心でもあったのは確かだ。
で、同じベッドに入り、抱き着かれたままでアーシャは眠りに着いた。
何だか―――どんどん流されている感じがしないでもない。だが所詮戦う事しか能の無い俺が考えた処で。と深く考えない様にした。
何とか更新出来ておりますが、テンポ悪くすみません
中々、表現と内容を纏めるのに苦労してます
さら




