第115話 新たな研修2
朝6時になり、早い者は起き出して来る。
顔を洗う者や、女子は各班朝食の準備に入っている。
俺も調理に掛かるかな?
と思ったら、既にカトリーヌとミレーヌ。クリスティで取り掛かっていた。
「おはよう。朝から済まないな」
「「おはようございます旦那様。」」
「おはようございます、御当主様」
「ん?肉メインか?クワトロ達が喜びそうだな」
「はい。騎士団や戦士職の人には、お肉が無いと足りないでしょうから。晩のゴブリンは見逃したんですね?」
「ああ。上手く行けば今晩襲って来るからな。討伐も出来る」
「そうですね。後少しですから、皆さんを呼んで下さいまし。」
「では、女性陣は私が参ります。」
連中を起こして皆で朝食なのだが、案の定クワトロ達とマードック・キャサリンは喜んでいる。
なので、他の者は別メニューにしたらしい。気が利くな。
朝食の後は火の始末、装備の点検確認をして出発。
侍女とアーシャ、担当外の教員は留守番だな。
先ずは昨晩にゴブリンの斥候が窺っていた地点に行く。
「よっしゃ、皆コレを見るんじゃ。ゴブリンの足跡よの。ワシらの野営地を確認に来たんじゃな。
足跡からして三っつ、斥候役じゃ。今晩あたり襲撃が有るじゃろ。
四つ指の小さい足。良く見て覚えるんじゃ」
「怖いです。大丈夫なのですか?」
「私達を食べに来るの?」
「三匹なんて怖くねーよ」
「でも凶暴なんでしょ?」
「たかがゴブリンだぜ?」
「おいおい、ゴブ舐めんなよ?」
「そうよ。女は捕まったら犯されるんだから。」
「小さくすばしっこい。馬鹿だけど侮れないの。」
「そうだね。道具や爪は凶器だよ?鼻もいい」
「そうだな。俺や騎士団、教員ならば”流れ”のゴブリンが20や30素手でも準備運動にもならん。
しかし、今のお前達が95人全員で掛かっても生き残るのは一割がいいとこだ。」
「「「「「「「「「「「「「「「「ええぇ~~!」」」」」」」」」」」」」」」」
「それだけ侮れない連中なんだよ。ゴブリンやコボルトは小さいけど、群れで組織的に行動し攻めて来るの。
経験も無い武力の小さい相手じゃ全滅は必至だよ?昔は全滅した村も良く見たもんさ。
どんな敵でも油断すれば死ぬわよ?覚えておきなね。毒にも注意だよ。」
「「「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」」」」」
少し先には狼の足跡も有ったが偶然か?
その後は問題無く湖に面した湿原に着き、ツルスイレンの採集を行った。
班行動で警戒させながらだが、初めてではギクシャクしていたな。
規定数を採取して野営地に戻る。
少し時間が押したので、カトリーヌが転移で先に戻り
留守番組と昼食の準備をしてくれる事になった。
随伴教員と”草原の風”、生徒達はカトリーヌの魔法に唖然としていたが。
「着いた~~」
「腹減った~」
「うわ!いい匂いだ~」
「飯メシめし飯!!」
「さ、並んでね。女子は何人か配給手伝ってちょうだいな。」
「「「「は~い【聖女】様。」」」」
美味そうだ、頂くとするか。
昼飯はゴロゴロのロールキャベツに塩茹でのウインナー、パンなのだが、騎士団には更に鶏肉が焼かれていた。
食後は少し休憩してからアノマリスの自生地に行く。
距離はさほど遠くないので時間は掛からない。
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夕食を済ませて身綺麗にし、就寝。
とは行かず、全員戦闘準備をして待機。
篝火以外の火も落として息を潜めて待つ事夜更けの0時。
なんとゴブリン10匹が狼と共に攻めてきた!
ワーウルフと言われる魔狼だな。
「来たぞ!」
リステルとカトリーヌが弓でワーウルフを射掛ける。
”草原の風”と騎士団でゴブリンを嬲って行動不能にする。
そこを生徒達にトドメを刺させる。
動けないゴブリンを3人掛かりで刺す!
ワーウルフにも同じ様にトドメを刺して回らせる。
女子生徒には教員が手を持って一緒に刺す!
男子も気の弱い者は同じく一緒に刺す!
魔法使いでも同様だ。命の遣り取りを体験させるんだ。
感知では、まだ11匹居る。
ほら、出て来やがった。
革鎧等を身に着けたヤツが数匹居るし、小剣も持っている。
一番後ろに大きいのが1匹。群れの頭のホブだな。
巨大なこん棒を持ってゆっくり向かって来る。
ホブゴブリンは”草原の風”に任せて騎士団が残りを痛めつける。
そこを生徒達がトドメを刺して回る。
ふむ、難無く終わったか。
ま、初めて魔物を殺したのだろうからこんなモノだろう。
女生徒はまだ少し怯えているがな。
”草原の風”を見ると……
リステルが矢を射掛け、リサが火球を撃ち込む!
腕で防いで怯んだ処を
すかさずマードックとキャサリンが走り込んで時間差で切り込む。
キャサリンが腹を狙うと見せ掛けてこん棒を持つ右腕を切り落とす!
瞬間、マードックが首を一撃で飛ばした。
うん。危なげ無い戦いぶりだな。
「諸君、良くやった。怖かっただろうが、実戦は、命の遣り取りは理解出来たと思う。
騎士団や教員、先輩冒険者に感謝しろ?」
「「「「「「「「「「「「「「「「ありがとうございました!」」」」」」」」」」」」」」」」
「じゃ、討伐証明部位を切り取るんだ。ゴブリンは右の耳だ。ワーウルフも右耳だ」
切り取りが終わった死体を集めて、錬金で地中に埋める。
死体を放置出来んからな。
処理が終わったら手を洗わせて、ワインを配る。
無事に終わった事に乾杯をしてから就寝だな。
勿論、見張りは継続して立たせる。
俺の感知では野生動物以外は居ないが、これも経験だ。
「お疲れ様でした旦那様。人に物事を教えると言うのも大変ですわね?まして命が掛かっておりますから。」
「そうですね。大変だと思います。ゆっくり身体を休めて下さい。」
「済まんな2人共。まぁ、自分の経験を伝えるだけだが、上手く身に着けてくれるかが心配だな。
2人は朝戻るのだろ?もう寝よう。お肌の敵だぞ?」
「「おやすみなさいませ、旦那様。」」
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朝5時に目覚めて身支度を整えてからテントを出る。
騎士団と教員、”草原の風”が適度に巡回していて、生徒も班のテント前で見張り番がチラホラ見える。
おはよう。と声を掛けながら回っていると、森で大き目の生体を感知。
熊か?鹿か?いや、これは……ジャイアントラビットだ!
普通の兎と違い、魔物に分類されるが人を襲わないので魔獣扱いなのだ。
しかもこの時期は冬前で栄養を蓄えているので肉が美味で評判の食材になる。
動きも素早く大き目なので、専ら冒険者に狩りの依頼が出るのだが、成功率が低い。
なぜなら遭遇率が低いからだ。大量捕獲等聞いた事が無い。
勿論、俺が獲ろうと狙って張り込めば別だが、普通は運の要素が強い。
なので、捕獲する事にして【霊波移動】で森の中に飛ぶ。
遠目に潜んで標的を確認。
間違い無くジャイアントラビットだ。
更に【霊波移動】で目の前に飛び、頭を殴り飛ばして捕縛終了だ!
これは朝から良い食材が手に入ったな。
しかし大きい。油も乗っていそうだし、柔らかそうだ。毛並みもいい。
肩に担いで森を抜け、辺りを見ながら野営地に戻る。
重いな。300キロは有りそうだ。
朝の澄んだ空気に、支流からの小川の潺が聞こえる。
実に良い環境だな。
俺の秘密の小屋でも欲しい位だ。
ん?男だけの息抜き的なロッジでも作るか?考えておこう。
40分掛けて野営地迄歩く。
環境が良いので自然を満喫しながらだ。
現在6時。今から処理すれば朝食に間に合うな。
残りは妻達にも食べさせたいから持って帰って貰おう。
テントが見えて来た。クワトロが軽く朝稽古をしているのが見える。
ん?俺に気付いて向かって来たぞ?
「御当主様!お一人で狩りとはズルいですよ!」
「同意です!我等も………あっ!」
「それはもしやジャイアントラビットでは!」
「「「「「「「おお!凄い!!」」」」」」」
「ああ。だから瞬時に狩らないと逃がしてしまうからな。良い食材が手に入ったから、カトリーヌに頼もう」
「「「「「「「「「「「やったぞ!!!」」」」」」」」」」」
な訳でカトリーヌとアーシャにお願いして調理して貰う。
「「凄いです!」私は村で一度口にしただけです!」
「じゃあ、シチューにしましょうかアーシャ様。騎士団にはステーキも付けましょうか?」
「そうね。シチューにするのはお勧めね。」
「下拵えしますね。毛並みも良いので綺麗に剥がしておきますね。」
生徒達にはシチューを振る舞うから足りない物だけ準備させた。
となると、殆どの者がパンだけになったのだが
結果から言うと大興奮の大好評だった。
不定期でしか入手困難だから、王都の高級レストランでも滅多に出ないし
貴族連中も高額報酬で買い取る為、平民には中々届かない。
逆に外れの農村近くで獲れたら、村単位で分けるから食べる事も出来るらしい。
「非常に美味ですわ旦那様。」
「そうですねアーシャ様。ほっぺが落ちそうです!」
「はい、カトリーヌ様!最高で御座います!」
「本当に!御当主様、様様ですわ!」
「そうだね、美味いの一言に尽きる。オークションだと白金貨で数百枚迄上がるらしい」
「そんなに!ですがこの美味さは納得です。希少ですからな」
「残りは家の妻達に持って帰りたい。カトリーヌ、頼むな」
「はい、旦那様。」
旨味の出るシチューは正解だったが、ステーキも良かった。
ドラゴンステーキと甲乙つけがたいな?
そうだ!ドラゴン試練にも行かなくては!
少し厳しいが冬の間に行くか?
いや、行こう!!
バハムートも来てくれれば脱落者や同行者も助かるしな。
楽しみが増えたぞ~!
生徒も教員もホクホク顔だな。
さ、ここからは研修だ、切り替えて行こう。
「美味かったが、今日明日は狩りじゃ。森での狩りと川での漁。
二手に分かれて貰う。明日は交代。
で、解体もやってもらうんじゃが……よっしゃ、こっからこっちは狩り。こっちは漁じゃ。
ほんじゃ準備に入ってくれ。教員も分かれてくれぃの」
やはりグレゴリーは歳の功も有るし冒険者年数も長かっただけ有って
纏めるのも上手いし砕いた教え方もいい。流石だな。
腰痛が気になるが、任せて安心だ。
「よっしゃ、森の連中はこっち集まれの」
「川はこっちだよ!さっさとしな。」
皆、思い思いの装備で集まって来る。
魔法組はローブが殆どだが、ロッテンハイムは神官着の下に鎖帷子か。
アーシャを意識したのか?ま、順当だが。
剣と弓の連中は殆どが革鎧だが貴族連中はハーフプレートメイルか。
今日の森班に貴族全員を入れた。
一纏めが楽だからだ。
お互いが慣れてくれば混ぜて行く予定なんだ。
ロングソードにショートソード。
ナイフ、槍、弓。錫杖。ん?錫杖?あ、ロッテンハイムか。
川班には数人に網と籠、銛と竿を渡している。
「んじゃ、出発するかの~」
「「「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」」」」」
「川漁はこっちだよ!」
「「「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」」」」」
森の入り口に着き班分けだな。
人数が多いから、3つに分けて狩りをする。
弓持ちと魔法使いは均等に。
グレゴリーとクリスティが一班ずつ着くので俺も分裂で其々に。
騎士団も、2・2・2で分かれる。4人は川の方で
クワトロは自由に見て回るらしい。
「秋は冬ごもりの準備、冬は食料不足で獣も魔物も苛立って凶暴じゃから注意せいの」
森に入り糞を見つける度に何の動物のモノか解説する。
野草や茸も食用出来るモノを教える。
有毒の植物や獣もだ。
解毒の薬草やポーションが無ければ命を落とす事も多い。
皆が真面目に聞いている。
ある程度進んで3班に散会する。
昼に森の入り口で待ち合わせだな。
今回俺達教員は危ない時に手を出すだけで
狩りの手伝いも感知もしない。
生徒だけにやらせる。
獲物が0って事も有りうるが、手を出せば意味が無い。
暫く歩くが小動物だけ。
そうそう出会う事は無い。向こうも警戒してるしな。
なので食用出来るモノを実際に摘ませたりする。
残り時間も少ないが……
「しっ!静かにしろ!」
「えっ?なんすか?」
「どしたの?」
「ビックリするよマンデリー君」
「静かに。あそこに鹿がいる」
「あ、ほんとだ。」
「やった!狩ろうぜ」
「少し遠いよ?」
「え?殺すの?」
マンデリー達が鹿に気付き、作戦を立て始めた。
いや、ヤツが指示を出して早速動き始めた。
ふむ、悪くは無いな。
奴等の技量ではこんなモノだろう。
配置に着いた処でファイアーボールとウォーターボールを鹿の向こうに打ち込む。
当っても当たらなくても良い。牽制だな。
慌てた鹿が此方に向かって逃げるのを、弓が三方から射かけて
立往生した所を剣を持った連中が仕留めに行く。
「ん、見事仕留めたな」
「「「「「「「「「「やった!!」」」」」」」」」」
「本来はもう少し狩るのでしょ?」
「少し残酷ね。」
「時間が無いし、こんなもんじゃね?」
「集合地点に行かないと」
「じゃ、木に括って担ごうぜ!」
大人の鹿が一頭、彼等にしては上出来だ。
草食動物は常に捕食者に対して敏感になっているから
未熟な彼等が狩れたのは高い評価だな。
太目の枝を落とし、鹿を結んで2人掛かりで交代で担ぐ。
森の入り口の集合場所を目指して。
3班が無事合流して野営地に向かう。
他は猪が1頭と兎が2羽だ。
漁の方はどうだったかな?
本日の結果は初めてにしては先ず先ずの出来だ。
基本、生徒達に全て任せてやらせた訳だがマンデリーとジョルジュが
リーダーシップを発揮していた。よい傾向だな。
川での漁ではキャサリンとフローリアが率先していた。
だが、解体は皆苦手のようだな。
魚はそうでもなかったが、やはり獣は辛いか。
翌日も可も無く不可も無く熟して終了した。
命を狩る尊さ、大自然の厳しさ、魔物などの脅威への警戒と戦い。
この世界で生きると言う事を理解できたなら御の字だな。
研修が終わり、さてさて。これからどうなる?
いや、普通なのですけどね(笑)
私の生活がどうなるかの方がコワい!
このコロナ時代もどうなって行くのでしょうね?
色々と不安な世の中と私の体調&生活!!
頑張るしか無いのですがね?
執筆も頑張ってま~す!
そう言えばなんですが、最近の100均コスメがすごい!
昔は興味無かったのですけど、今は品質も揃えも良くなって!
節約の為にも研究中ですわん!
さら




