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W・M・S (Warlock Magus System)  作者: 渡野さら
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第114話 新たな研修



二期生最初の実地は、植物素材採集と狩りの研修だな。


場所は我が領地のストラス平原の草原と湿地、狩りは森で行う。

王都からだと新街道を利用しても片道で約一日掛かる為、四泊五日で

中三日で研修を行う事にした。

その為に前日は午前が座学と武器防具の合わせと、午後がテント設営指導。

その後に不足の有る者全員で買い出し。で、今に至る訳だが。



俺とクリス、グレゴリー、タムリンの担任組が引率して、残りが明日の準備。

勿論、実地の引率は担任が出るが、現役冒険者からは毎度お馴染み”草原の風”

彼等は此度、冒険者のランクが昇格して銅クラス一位に上がった。

堅実でパーティーの人柄も良い。個人的にも期待している連中だな。


実は今回、実地研修日数が長いのと、我が領地で有るのも併せてウチの騎士団を十名程派遣する。

更に特別ゲストで一日だけだが、アーシャとカトリーヌが顔を出す予定だ。

皆の驚く顔が見物だな。


もう一人、今期からの担当教員のタムリンだが、元は銀クラス一位の風魔法を使う魔法戦士だった。

子供を産むので引退し、最近手が離れて来たので教員になってくれたおばちゃん先生だ。

引き締まったスリムな体型で若作りだが、やはり元戦士だけあってスパルタ系のイケイケなのだ。

旦那は金クラス迄頑張ってからギルド職員に落ち着いた。

今は副所長だからダンカンが引退したら彼だろうな。



「先生!装着はこれで合っていますか?」

「ん?それはな……」


「グレゴリー先生!僕には少し重いんですけど……」

「それじゃコッチと代えてみな。ここが当たるから当て物を―――」


「タムリン先生~これだとスカートがつっかえて――」

「そんなの根性だよ。下着なんて誰も視やしないさ。どれどれ……」


 :

 :

 :

 :


翌日、朝七時に学校に集合。

現在は六時三十分か?さっき鐘が鳴ったな。

ちらほらと生徒達が集まり始めている。お、”草原の風”も来たな。



「「「「魔人様、クリスティさん。おはようございます!」」」」


「ああ、おはよう。今回も頼むな」

「おはよう、皆さん。」


「「「「「「「「「「押忍!!」」」」」」」」」」


「「「「ひぃっ!!!」」」」


「ニルヴァーナ騎士団、団長のクワトロだ。宜しく頼む」


「…………よ、宜しく、お願い、します……パーティー草原の風、です…びびった~」


「ははっ。済まんな。今回から実地にはウチの連中も随伴させる事にした。

 研修人数も多いし日数も長い。現役冒険者を都度、何組も呼ぶのは無理が有るからな。

 不測の事態に備えてだが、”草原の風”には冒険者の先輩としての働きを期待しているから頼む」


「「「「了解ですっ!!」」」」



そう。組織改編してクワトロは全ての騎士団の団長になったのだ。

デッカーは警備隊、騎士団、領軍、全ての武門の総長に。

王都の騎士団の隊長に副隊長だったサリウスが収まって、同じ副隊長だったアントロスが

アルテンの隊長に。カスタロッサはそのまま雷帝宮での隊長だ。


”草原の風”のリサがクリスティと何やら話しているが………


そうなんだ。一期生の終了前。と、言うかゴリアテの戦いの後からなのだが

カトリーヌの【大魔導】と共に、クリスティの名も方々で出る様になったみたいなんだ。



「「「おはようございます先生方。と、先輩方…………騎士団の方々もおはようございます。」」」


「ああ、おはよう」

「みんなおはよう。」


「「「「「「「「「「押忍!」」」」」」」」」」


「「「ひいぃっ!!…………びっくりしましたわ。」」」



「あ、お話に割り込みで済みません。私も魔術師ギルドから派遣された教師に、クリスティ先生の事を聞いたのです。」

「「私もです!」」


「ね?クリスティさん。結構評判が大きくなってるんです。やっぱり三属性持ちの実力者って居ないですもの。

私も生徒になりたい位ですからね。【大魔導】様には中々会えませんし教われませんから。魔法学院の話って本当なんです?」


「ええ。カトリーヌさんが校長で、私も移動するの。他にも宮廷魔術師とニルヴァーナ魔法師団が持ち回りで講師にね。

まぁ、確かにカトリーヌさんにはねぇ。忙しいしレベルが違い過ぎるから。後で驚くかもね?」


「?そうなんですね。私も魔法学院行きたいな~」

「「「私達も此処を出たら学院入学希望なんです!」」」



ふむ、大分集まって来たな。

そろそろ点呼を取って、順に乗り込ませるとするかな。




集合時間ギリギリも居たが、全員が揃ったので出発。

幌馬車十台に教員と草原の風が御者を務め、ウチの騎士団は馬で先頭と後尾に着いて新街道を走る。

速度はそこ迄早くは無いが、何せ新街道。路面が良いのでスムーズで負担も少なく走り抜けれるのだ。


だが、馬はやはり疲れるので一時間毎に休ませる。

新街道は馬や人が街道から外へ出る為の出入り口が設けてあって、草原へ出られるから

休憩時は街道から出る。

宿泊も宿場町の利用を考えたが、研修の意味が薄くなるので却下した。


昼休憩は街道から出て、ミュルツ川の支流の畔で弁当だな。

男子生徒。特に戦士志望の連中がウチの騎士団に大興奮で大騒ぎだったな。



秋なので早くに日が沈む頃、漸く目的の野営地点に到着した。




「よーし、皆ご苦労さん!馬の世話は騎士団が受け持つから、生徒諸君は班に分かれてテント設営だ!

今回の研修はここを拠点にするのでな、確りと張り込めよ?同時に竈の準備もだ!急げよ」


「あの、先生。そこに在るテントは何なんですか?」


「ん?ウチのテントだ。お~い。着いたよ~」





「「お疲れ様です旦那様。お待ちしておりました。」」



「「「「「「「「「「【聖女】様と!!!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「【大魔導】様ぁ~~!!!」」」」」」」」」」


「ほらほら皆さん、日が暮れますよ?」

「急がないと後が大変ですよ?」



「「「「「「「「「「…………はいっ!!!」」」」」」」」」」



生徒達にテントを張らせながら竈の用意をさせる。教員は、その出来を見て回る。

クワトロ達は馬の世話と周囲の確認。

”草原の風”は生徒達にアドバイスをしながら自分達のテントの用意だな。

カトリーヌは生徒達と同じ様に外で食事の準備をするらしく、錬金で厨房を作り

俺達と騎士団、教員分を用意するみたいだ。



「じゃあアーシャ様。初めましょうか。」

「そうね。人数も多いし。」

「え~っと、私達と侍女、先生方で十五人。騎士団が十一人。”草原の風”で二十七人ですね。どうします?」

「パンとブイヤベースにワインかしら?」

「じゃ、具沢山にしちゃいますね。海の食材は旦那様が喜ぶので。」



「錬金ってすげー!流石は【大魔導】様だ!」

「あれってもう完全に厨房よね!凄いんですけど!」

「間近で見れるなんて恐れ多いです!!」

「色々魔法の話を聞きたいっ!」

「【聖女】様とお話したいです~」


「くっちゃべってないで飯の準備しろよ~」

「そだよ~飯抜きになっちゃうわよ~?」


「「「「「は~~い」」」」」




皆がアーシャとカトリーヌを気にしつつも、何とか晩飯の準備が整ったな。



「よし!準備が済んだ班から食事に入ってくれ。終われば片付けと就寝の準備、それから集合だ」



生徒達の食事は其々だが、単純に肉を焼いた物や野菜と一緒に煮込んだ物が多いな

後はパンだが、そのままや焼いた物。挟むなど様々だな。

野営地をここに選んだ理由として、見晴らしが良く小川が近い。

森と湿原の間と言うのが主な理由だな。



「二人共ご苦労さん。お腹は大丈夫かい?」


「はい旦那様。お母様の守護が有りますから問題有りません。にしても多いですわ。」

「そうですね。私達の時の倍ですか。あ、クワトロ達は交代で食事に入ってね?”草原の風”の皆さんも此方ですよ。」


「有難う御座います、奥様」


「「「「助かります!」」」」


「教師の儂等もとは、嬉しいですの」

「ほんと、感謝だよ。【聖女】さんも【大魔導】さんも料理上手なんだねぇ。」

「そうですな。冒険者の飯は適当が多いですからな」

「講師としても来て貰いたい位ですね。」


 :

 :

 :

 :


「ん、集まったな。寝るには時間も早いのでな。明日からの予定の確認と、

折角だからウチの騎士団や妻達への質問時間にする。先ずは予定をグレゴリーからだ」


なのでベンチを錬金して皆を座らせて、前に教員やアーシャ・カトリーヌ・クワトロが座る。



「明日の起床は7時で、見張りの交代は各班に任せる。寝不足じゃろうが、冒険者はこんなもんじゃ。

で朝食を取り、湿原にツルスイレンの採取。戻って昼食を済ませてアノマリスの採取じゃ。

明後日は同起床で森と川へ狩りに出る。半数づつで2日じゃな。戻って解体。ざっとこんなじゃが、

装備の点検と準備は各自怠らん様にの。質問は有るかいの?」


「無いならいい。座学でも伝えて有るからな。だが、疑問はその都度教員や先輩に聞け?授業の一環だが

実地なのだ。危険が無い訳ではないからな。じゃ、自由に質問していいが……そこから順番に行くか?」


「はいっ!僕は聖騎士団かニルヴァーナ騎士団に入りたいんですが、その前に冒険者で鍛えようと思ったんです。近道って何ですか?」



「ふむ。物事に近道など無い。努力を積み重ねた者のみが結果、近道と言えるかも知れぬ。

特に基礎は大事だ。剣だけで無く魔法でもそうでは無いのかね?

それから、今は研修に来ておるのだ。特別に答えるが、内容を考えなさい。

後日当家を訪ねてくれば、質問程度で門前払いはしない」


「はい、有難う御座います」


「僕は戦士職志望ですが、剣の上達には何が有効ですか?

「やはり実戦だが、上位者との模擬戦も良いな。だが、毎日の鍛錬は最低条件だぞ?」


「剣で魔法に対抗出来ますか?」

「上級者の一定より上の域に達すると剣や”気”で防いだり無効化は可能だ。だが、奥様方レベルの使い手には無理だぞ?

魔法強度も高過ぎだし、発動速度も早過ぎて対処不可能だ」


「【大魔導】様は四大属性の更に上を扱うって聞いたのですが、本当ですか?」

「そうよ。土、水、風、火、光、闇の6大属性なの。」


「凄いです………あ、属性魔法と神聖魔法って、何が違うんですか?」


「属性魔法は空気中の魔素を使って自身の魔力で現象を具現化するの。

属性は自身の適正に委ねる部分が大きいから、後から身に付けるのは困難でしょうね。」


「神聖魔法は神を信じる力。信仰力と言っていいわね?この信仰力で神の奇跡の御力を、自身の聖力によってこの世に表す力。

聖なる力のお裾分けと思えば良いかしらね。ですから、幾ら聖力が有っても、信仰力が無ければ使えません。

神々は常に我々を見ています。」


「あっ!あの!【聖女】様の様に私もなれますかっ!?」


「”私の様に”………言いたい事は分かりますが、神に自身の姿を願ってはいけません。

力を欲してはいけません。疑ってはいけません。只、信ずるのみです。

それから、世間の皆さんは勘違いをしているのですが、私の【聖女】は特殊なのです。

時代時代で”聖女”は居るのです。良い例が、現教皇様ですね。」


「はい。肝に命じます。」


「えっと、その、【大魔導】様の魔法が見たいのですが!」


「う~ん。ここではちょっと…そうね、代わりに6大元素を出しましょう。……”出でよ六芒星”」



”ポッ・ポッ・ポッ・ポッ・ポッ・ポッ”



「「「「「「「「「「「「「「「「うわぁぁ!!」」」」」」」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「凄~~い!!!」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「「「「「「「おおおぉぉ!!」」」」」」」」」」」」」」」」


「と、まぁこんな感じね。更にこの六芒星から新たな魔法や原初を取り出すの。」


 :

 :

 :

 :


中々に盛り上がった質問会だった。

やはりアーシャの様な聖女に憧れる女子は多いのだろう。まぁ、無理なのだが。

カトリーヌの魔法は皆が驚いていたな。教員迄が未知の体験なのだから仕方ないが。

これは魔法学院が開校したら大変そうだな。

クワトロ達騎士団も、一朝一夕で今に至る訳では無いと理解しただろうし

魔法でも信仰でもそうだな。

基礎、初心、初動の積み重ねが、後に大きな力になって行くと分かってくれただろう。

今から実地研修を熟しながら自分の力量を自覚し、夢と現実を区別出来ればいい。

慢心や焦り、妄想で命を落として欲しくないからな。



「俺達も、次は銀クラス。着実に上げて行こうぜ!」

「「「うん!」」」


「お前達は堅実で助かる。その後ろ姿を生徒達に見せる事は、彼等にとって大切な事なのだ」


「いや、ま、俺等は普通なんで一段づつを確り上げないと、後が無理なんで」

「そうです魔人様。無理してポックリ死にたく無いですもん。」

「魔法もやっと中級。勉強も鍛錬も沢山あります。」

「だね。もっと鍛えないと上に上がれないよ」


「これからも頼むな」



その後は解散して就寝。見張りの交代は班で自由にやらせる。

ウチの騎士団と教員、”草原の風”が三交代で警戒に任る。

俺は分裂を一人増やして適当に巡回する。




深夜、ぶらついていると森の奥から生体を感知した。

暫く様子を見ていると、三匹か?斥候だな。

するとクワトロと”草原の風”のリステルが来た。



「居ますね。斥候ですか?」

「そうだろうな」

「どうされますか?御当主様」


「………放置しよう。手を出してくれば殺るが、明日の晩に攻めて来るなら討伐も若干体験出来る。

ま、数は少ないだろう。流れの20匹程度だろうな」


「解りました。警戒だけしておきます」

「僕もウチのメンバーには伝えておきます」



まぁ、クワトロは当然なのだが、流石は現役冒険者だ。

危険察知と気配察知が常に働いている。

リステルはハーフエルフで弓と魔法を使うレンジャーだし当たり前か。

ヤツも初めて見た時は子供だったが、今や一人前の冒険者。

頼もしくなったものだ。

エルフの里には帰らんのか?


エルフと言えば、レスティナを連れて、大森林に行かなければな。

彼女の父親を探して、亡き母の形見を渡さねばならんし。

【霊波移動】で近くに飛んで行けば、往復2日で済むかも知れんが……

久々に旅がしたい。馬と徒歩で行くのも悪く無いな。

レスティナと誰か2~3人、妻達を連れて行くのも楽しそうだな。

20日も有れば往復出来るか?少し厳しいか?


そうして夜が明けていく。









雨も降ったり止んだり。

湿度でムシムシ、お肌ベタベタ。日焼けも怖いし。

8月が恐ろしいですよ。

ただ、冷房が苦手なので、部屋では専ら除湿なのですが

それでも冷え過ぎて厚着したり。

消して暫くするとまた暑い・・

流石に、誰も居なくても下着姿で過ごせないしね。

良い方法が無いかしらん。


作品のご意見ご感想をお待ちしておりますね~


さら

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