第22章 交差する想い
成功から2週間が経ったある夜。
私は美咲と、会社近くの落ち着いたバーで軽く飲んでいた。
「山田さん、最近本当に忙しそうですね……」
美咲はカクテルを優しく傾けながら言った。
照明の柔らかい光が、彼女の横顔を美しく照らしている。
「ごめん。プロジェクトが立て続けに入ってきてて」
「いえ、気にしないでください。
ただ……山田さんが無理してないか心配で」
彼女の優しさが、胸に染みる。
グラスを置いた美咲が、少し勇気を振り絞るように言った。
「あの……もしよかったら、今度、二人で旅行とか行きませんか?
遠くじゃなくていいんです。近場で一泊くらい……」
その誘いに、心臓が大きく跳ねた。
美咲の目が真剣で、頰がほんのり赤い。
「美咲……」
私は言葉を慎重に選んだ。
「お前の気持ちはすごく嬉しい。でも、俺はまだ……
ちゃんと自分の気持ちを整理できてないんだ」
美咲は寂しそうに微笑んだが、すぐに明るく頷いた。
「わかってます。
急かしたくないんです。ただ、山田さんの隣にいたいって気持ちは本物なので……」
その夜、家に帰った私はソファに座り、深いため息をついた。
美咲の純粋な想い。
そして、数日前に届いた遥香からのメッセージ。
【遥香】
悠真、元気?
近いうちにゆっくり話したいな。
また会えるのを待ってる。
二人の女性の顔が、交互に浮かんでくる。
私はノートパソコンを開き、先日書き始めた「手紙」を再び開いた。
「私は山田悠真として生きている。
でも、心のどこかには佐藤愛子がまだいる。
この二つを、どうやって両立させればいいんだろう……」
翌日の昼休み、佐々木が私のデスクに寄ってきた。
「山田、顔色悪いぞ。女関係で悩んでんのか?」
「……バレバレかよ」
佐々木は笑いながら肩を叩いた。
「男なんだから、ちゃんと選べよ。
優柔不断だと、結局みんな傷つけるぞ」
その言葉が、重く胸に刺さった。
夜、ベッドの中で私は天井を見つめながら呟いた。
「この体、男子ですけど何か?
今日は、二人の女性の想いに挟まれて、ますます気持ちが複雑になりました……」
恋愛という名の試練は、想像以上に難しかった。
でも、この葛藤も含めて、今の自分だと思おう。
少しずつ、答えを探していくしかない。




